訪問介護とは|身体介護と生活援助の違い・医行為でない行為・2時間ルールをわかりやすく
福祉サービス分野/第55講の解説記事 | 更新:2026年
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訪問介護(ホームヘルプ)は、訪問介護員等が居宅を訪問し、生活全般にわたる援助で居宅での日常生活の継続を支えるサービスです。試験では、身体介護と生活援助の仕分け(流動食の調理は身体介護!)、医行為でないと考えられる行為、生活援助に該当しないもの(ワックスがけ等)、サービス提供責任者の業務、2時間ルールが繰り返しねらわれます。整理しましょう。
ここだけ覚える
- 特段の専門的配慮をもって行う調理(嚥下困難者の流動食など)=身体介護(生活援助は×・第24回)。見守り的援助・喀痰吸引・経管栄養も身体介護。
- 床のワックスがけ・草むしり・ペットの世話・大掃除などは「日常生活の援助」に該当せず、生活援助では算定不可(第26回)。
- 自動血圧測定器による血圧測定は医行為ではない→訪問介護員が行える(第22回)。
- 訪問介護計画はサービス提供責任者が作成(管理者=×・第25回)。管理者に資格要件はない(第27回)。
- 2時間ルール:1日複数回は原則2時間以上空ける。空けなければ合算して1回(看取り期は合算せず算定可)。
訪問介護の概要と目的
訪問介護の目的は、①生活習慣や価値観を尊重した生活基盤を整える、②生活の自立の拡大(自立支援)、③社会との交わりによる自己実現、④健康状態の把握・異常の早期発見・事故防止、⑤利用者の状態変化を発見し他の職種へつなぐ、の5つです。快適な日常生活の実現と、日常的な訪問による早期発見を次の支援へ結びつけることが役割です。
サービス内容の仕分け(身体介護・生活援助・乗降介助)
- 身体介護:排せつ・食事・清拭・入浴・整容・更衣・移乗移動・起床就寝・体位変換・服薬の各介助、通院外出介助。特段の専門的配慮をもって行う調理(嚥下困難者のための流動食などの調理)、自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助、特別な医療的ケア(喀痰吸引・経管栄養)も身体介護。
- 生活援助:サービス準備(健康チェック・安否確認等)、掃除、洗濯、ベッドメイク、衣類の整理・補修、一般的な調理・配下膳、買い物・薬の受け取り。利用できるのは、一人暮らし/同居の家族等に障害や疾病がある/障害や疾病がなくてもやむを得ない事情で家事が困難、のいずれかの場合。
- 通院等乗降介助:外出前の用意→車への移動・移乗→受付・受診の介助→帰宅までの援助。2021(令和3)年度改定で、居宅が始点または終点なら病院等から病院等への移送、事業所から病院等への移送も算定対象に。
回数の届出(2018年10月〜):ケアマネが厚生労働大臣が定める回数以上の生活援助中心型を居宅サービス計画に位置づける場合、利用の妥当性を検討し、計画に理由を記載のうえ市町村に届出が必要です。
医行為でないと考えられる行為
介護職は原則として医行為を行えませんが、線引きが難しい行為について、厚生労働省から2005(平成17)年に通知が出ており、次の行為は身体介護として行うことができます:①一般的な方法による体温測定 ②自動血圧計による血圧測定 ③パルスオキシメーターの装着 ④軽微な切り傷ややけどなどの処置 ⑤医薬品使用の介助(軟膏をぬる・湿布を貼る・目薬の点眼など。褥瘡の処置などの除外条件あり)⑥爪切り・やすりがけ ⑦日常的な口腔ケア(歯みがきなど)⑧耳垢の除去 ⑨ストーマ装具のパウチにたまった排せつ物の除去 ⑩自己導尿のカテーテルの準備・姿勢の保持など ⑪市販品の浣腸の使用。
さらに2022(令和4)年12月には、介護現場で実施が多い行為を中心に整理した通知が出ています。
- インスリン関係:指示されたタイミングでの声かけ・見守り、未使用の注射器等の患者への手渡し、使い終わった注射器の片づけ(針を抜き処分する行為を除く)と記録。患者が測定した血糖値が医師の指示範囲と合致しているかの確認、注射器の目盛りが指示単位数と合っているかの読み取り(注射の実施はできない)。
- 血糖測定関係:持続血糖測定器のセンサーの貼付や測定値の読み取りといった血糖値の確認。
- 服薬等・その他:容態安定など3条件を医師等が確認した場合の医薬品使用の介助、半自動血圧測定器による血圧測定、とろみ食を含む食事介助、有床義歯の着脱・洗浄。
- 医療機器まわり:経管栄養の準備・片づけ(注入・停止の行為を除く。位置や状態の確認は医師・看護職員)、吸引器の汚水廃棄・水の補充、在宅酸素の流量設定・装着準備(開始・停止は医師・看護職員・本人)、人工呼吸器の位置変更(立会いの下)、膀胱留置カテーテルの蓄尿バッグからの尿廃棄・尿量や色の確認。
注意:病状が不安定であることなどにより専門的な管理が必要な場合には、医行為とされる場合もあります。細かな条件は最新の教科書・通知でご確認ください。
生活援助に該当しないもの
- 「直接本人の援助」に該当しない行為:主として家族の利便に関する行為(利用者以外への洗濯・調理、利用者の居室以外の掃除、来客の応接、洗車 など)。
- 「日常生活の援助」に該当しない行為:草むしり・水やり、ペットの世話、家具等の模様替え、大掃除、窓のガラス拭き、床のワックスがけ、家屋の修理、正月や行事用の調理 など。
過去問(第26回問50):掃除の際に特別な手間をかけて行う床のワックスがけは生活援助として算定できる=×(日常生活の援助に該当しない行為)。ただし、家族が高齢で困難な家事など、事情によっては対象になることも認められています。
事業の基準(人員・設備・運営)
- 管理者:常勤専従1人。資格要件はなし(「介護福祉士でなければならない」は×・第27回問50)。
- サービス提供責任者:介護福祉士・実務者研修修了者等の常勤の訪問介護員。利用者40人またはその端数を増すごとに1人以上(常勤サ責3人以上等の要件を満たすと50人ごとに1人以上)。業務は訪問介護計画の作成(管理者の業務は×・第25回問50)、実施状況の把握、訪問介護員への指示・技術指導、ケアマネへの服薬状況・口腔機能等の情報提供、サービス担当者会議への出席など。
- 訪問介護員:常勤換算2.5人以上(サ責を含む)。生活援助中心型のみ行う訪問介護員は生活援助従事者研修課程(2018年度創設)修了者でも可。
- 設備:専用区画、プライバシーに配慮した相談室。
- 運営:説明・同意、計画に沿った提供、初回訪問時等の身分証提示、同居家族に対するサービス提供の禁止、緊急時対応・記録、提供困難時の連絡・他事業者の紹介、業務継続計画の定期的な見直し。保険給付の範囲外の希望には、市町村独自サービス・住民参加型福祉サービス・ボランティアなどの活用を助言。
- 共生型訪問介護(2017年改正で創設):障害福祉の居宅介護・重度訪問介護の指定事業所であれば、基本的に指定を受けられる。
介護報酬(時間区分と2時間ルール)
- 基本サービス費:身体介護中心=4区分(20分未満など)、生活援助中心=2区分の時間で決定。乗降介助中心=1回単位。
- 2時間ルール:1日複数回の提供は、原則として次の提供までに2時間以上の間隔を空ける。空けない場合は1回のサービスとみなし、所要時間を合算して算定。看取り期の利用者には、合算せずそれぞれ算定可能。
よくある質問(FAQ)
身体介護と生活援助の違いは何ですか?
身体介護は排せつ・食事・入浴などからだに触れる介助や見守り的援助で、嚥下困難者のための流動食の調理など特段の専門的配慮をもって行う調理も含みます。生活援助は掃除・洗濯・一般的な調理・買い物などの家事援助で、一人暮らしの場合や同居家族等に障害・疾病がある場合などに利用できます。
流動食の調理はどちらで算定しますか?
嚥下困難な利用者のための流動食の調理は、特段の専門的配慮をもって行う調理に含まれるため、身体介護として算定します。生活援助として算定できるとした肢は誤りです(第24回問50)。
訪問介護員ができる「医行為でない行為」には何がありますか?
2005年通知では、体温測定、自動血圧計による血圧測定、軟膏・湿布・点眼などの医薬品使用の介助、爪切り、日常的な口腔ケア、耳垢の除去、ストーマのパウチにたまった排せつ物の除去などです。2022年12月の通知では、インスリン注射の声かけ・見守り・注射器の手渡しや片づけ、持続血糖測定器のセンサー貼付なども示されました。ただし病状が不安定で専門的な管理が必要な場合は医行為とされることもあります。
生活援助として算定できないものは何ですか?
家族のための洗濯や調理など「直接本人の援助」に該当しない行為と、草むしり・ペットの世話・大掃除・床のワックスがけなど「日常生活の援助」に該当しない行為です。ただし家族が高齢で家事が困難な場合など、事情によっては対象になることもあります。
訪問介護計画は誰が作成しますか?
サービス提供責任者が作成します。管理者の業務と位置づけた肢は誤りです(第25回問50)。すでに居宅サービス計画が作成されている場合は、それに沿って作成します。なお管理者に資格要件はありません(第27回問50)。
本記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。掲載内容は執筆時点の情報にもとづく学習用の解説です。制度・定義・数値(時間区分・人員基準・医行為の範囲など)は改定されることがあるため、最新・正確な情報は教科書や公式サイトでご確認ください。医療的ケアの可否の判断は、医師・看護職員などの専門職にご相談ください。