生活保護制度をわかりやすく|8つの扶助・介護扶助と介護保険の関係・介護券
福祉サービス分野/第72講の解説記事 | 更新:2026年
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生活保護制度は、日本国憲法第25条の生存権の保障の理念に基づき、国民に「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する制度です。ケアマネ試験では重要度Aで、とくに介護扶助は問58の定番。補足性の原理→他法他施策優先(介護保険の給付が先)、8つの扶助のうち現物給付は医療と介護の2つだけ、介護施設入所者基本生活費は生活扶助——この3点を軸に、第18回・第23回・第27回・第28回の過去問実績つきで整理しましょう。
ここだけ覚える
- 基本原理4つ=国家責任・無差別平等・最低生活保障・補足性(資産能力の活用が要件)→他法他施策優先の原則:介護保険の介護給付・障害者総合支援法の自立支援給付・扶養義務が生活保護に先立つ(第27回:介護扶助が優先×)。
- 基本原則4つ=申請保護(急迫時は申請なしでも可)・基準及び程度(厚労大臣の基準)・必要即応・世帯単位(難しい場合は個人)。保護費=最低生活費−収入の差額。実務は福祉事務所長に委任。
- 扶助8つ=金銭6(生活・住宅・教育・出産・生業・葬祭)+現物2(医療・介護)=医療券・介護券で給付。住宅扶助は補修費も含む(第18回)/高校の就学費用は生業扶助。
- 介護扶助の範囲=被保険者は利用者負担分・被保険者以外はサービス自体(10割)・支給限度基準額超えは範囲外・施設の日常生活費=生活扶助の介護施設入所者基本生活費(第28回:住宅扶助×)。移送は介護扶助の独自給付。
- 手続き=被保険者は通常どおり/被保険者でない場合は福祉事務所へ申請し判定は介護認定審査会に委託(第23回)。提供は指定介護機関(介護保険法+生活保護法の指定)・介護券・請求は国保連。
生活保護法の基本原理と基本原則
- 4つの基本原理:①国家責任(国がすべての困窮国民に必要な保護を行う)②無差別平等(要件を満たす限り無差別平等に受けられる)③最低生活保障(健康で文化的な生活水準を維持できるもの)④補足性(利用し得る資産・能力などの活用を要件とする)。
- 補足性の原理に基づき他法他施策優先の原則:介護保険法の介護給付・障害者総合支援法の自立支援給付・民法による扶養義務などが生活保護に先立って行われ、それでも不足する部分が生活保護の対象。
- 4つの基本原則:①申請保護(要保護者・扶養義務者・同居の親族の申請で開始。急迫した状況のときは申請なしでも保護できる)②基準及び程度(厚生労働大臣の定める基準・不足分を補う程度)③必要即応(個人・世帯の実際の必要の相違を考慮)④世帯単位(難しい場合は個人を単位にできる)。
- 保護費=厚労大臣の基準で計算される最低生活費から収入額を差し引いた差額を支給。外国人は法の適用対象外だが準じて保護。実施機関=知事・市長・福祉事務所を管理する町村長(実務は福祉事務所長に委任)。
過去問(第27回-問58):「補足性の原理により、生活保護の介護扶助は、介護保険の保険給付よりも優先して給付される」=×。介護保険による保険給付が優先される。
生活保護の8つの扶助
- 金銭給付(6つ):生活扶助(飲食物費・光熱水費など基本的な費用)/住宅扶助(家賃・地代・居住家屋の補修費など)/教育扶助(義務教育の給食代・交通費・教材代など)/出産扶助(分娩等)/生業扶助(生業の資金・技能習得の費用など。高等学校の就学費用を含む)/葬祭扶助(埋葬・納骨など。遺族や実際に葬儀を行った者に支給)。
- 現物給付(2つ):医療扶助(指定医療機関による医療サービス)と介護扶助(指定介護機関による介護サービス。ただし福祉用具購入・住宅改修は金銭給付)。福祉事務所が交付する医療券・介護券によりサービスが給付される。
- 8つの扶助は要保護者の必要に応じ単独または組み合わせて支給される。
過去問(第18回-問58):「住宅扶助は、家賃だけに限られ、老朽化等に伴う住宅を維持するための補修費用は含まれない」=×。補修費用も含まれる。
生活保護と介護保険(被保険者資格と介護扶助の範囲)
- 介護扶助の対象=65歳以上/40〜65歳未満で特定疾病により要介護状態となった人。65歳以上の被保護者は第1号被保険者(保険料は年金からの特別徴収か、普通徴収なら生活扶助に介護保険料加算)。40〜65歳未満で医療保険加入=第2号被保険者。医療保険未加入=介護保険の被保険者とならない(生活保護では医療保険未加入者も介護扶助の対象とする)。
- 介護扶助の内容は原則介護保険のサービスと同じ(居宅介護・福祉用具・住宅改修・施設介護・介護予防・介護予防/日常生活支援)。+移送(交通費・送迎費)=介護扶助の独自給付。居宅介護・介護予防は計画に基づくものに限る。
- 範囲:被保険者=サービス自体は介護保険から提供され、利用者負担分を介護扶助として事業者へ支払う/被保険者以外=介護サービス自体を生活保護から介護扶助として提供。支給限度基準額を上回るものは範囲外。
- 食費・居住費等=負担限度額までが介護扶助、超えた分は補足給付。通所サービスの食費は自己負担。施設等入所中の日常生活費は生活扶助の介護施設入所者基本生活費として給付。
過去問(第28回-問58):「介護施設入所者基本生活費は、住宅扶助として給付される」=×。生活扶助から支給される。
介護扶助の手続きと指定介護機関
- 介護扶助の申請には要介護・要支援状態の認定が必要。被保険者=通常どおりの手続きで要介護認定/被保険者でない=福祉事務所へ要介護認定の申請を行い生活保護制度で判定(審査判定の公平性を保つため、実際の審査判定は介護認定審査会に委託)。
- 要介護認定後、被保険者は申請書に居宅介護支援計画または介護予防支援計画の写しを添えて福祉事務所に介護扶助を申請(被保険者以外は計画書不要)。
- サービス提供=介護保険法の指定+生活保護法による指定をあわせて受けた事業者(指定介護機関)。居宅介護支援事業所が被保護者に居宅介護支援を行う場合も、生活保護法による指定が必要。
- 福祉事務所から毎月、被保護者ごとの介護券(介護保険の被保険者証に該当)が交付され、それに基づきサービスを提供。介護報酬の請求は介護保険と同様に国民健康保険団体連合会へ。
- 最近の動向:2013年改正=就労自立給付金の創設・不正/不適正受給対策の強化。2018年改正=進学準備給付金(現・進学・就職準備給付金)の創設・医療扶助における後発医薬品(ジェネリック)使用の原則化。
過去問(第23回-問58):「すべての被保護者に対する要介護認定は、介護扶助の必要性を判断するため、生活保護制度で独自に行う」=×。被保険者は通常どおりの手続きで要介護認定を受ける。
よくある質問(FAQ)
生活保護と介護保険は、どちらが優先されますか?
介護保険が優先されます。生活保護法では補足性の原理に基づき、他の法律などによる給付が優先される「他法他施策優先の原則」がとられており、介護保険法の介護給付、障害者総合支援法の自立支援給付、民法による扶養義務などが生活保護に先立って行われ、それでも不足する部分が生活保護の対象になります。第27回試験では「補足性の原理により介護扶助は介護保険の保険給付よりも優先して給付される」=×が出題されました。
生活保護の8つの扶助とは何ですか?
生活扶助(飲食物費・光熱水費)、住宅扶助(家賃・地代・補修費など)、教育扶助(義務教育の費用)、出産扶助、生業扶助(技能習得費など。高等学校の就学費用を含む)、葬祭扶助の6つが金銭給付、医療扶助と介護扶助の2つが現物給付です。現物給付の2つは、福祉事務所が交付する医療券・介護券によりサービスが給付されます。第18回試験では「住宅扶助は家賃だけに限られ補修費用は含まれない」=×(補修費用も含まれる)が出題されました。要保護者の必要に応じ、単独または組み合わせて支給されます。
介護扶助では、何がどこまで給付されますか?
内容は原則として介護保険の介護サービスと同じで、これに加えて移送(介護サービス利用にかかる交通費・送迎費)が介護扶助の独自給付です。介護保険の被保険者の場合はサービス自体が介護保険から提供されるため、利用者負担分を介護扶助として事業者へ支払い、被保険者以外の場合は介護サービス自体を介護扶助として提供します。ただし支給限度基準額を上回るものは介護扶助の範囲となりません。食費・居住費等は負担限度額までが介護扶助とされ、超えた分は補足給付、通所サービスの食費は自己負担です。施設入所中の日常生活費は、生活扶助の介護施設入所者基本生活費として給付されます(第28回で「住宅扶助」=×が出題)。
介護保険の被保険者でない被保護者は、どうやって要介護認定を受けますか?
福祉事務所へ要介護認定の申請を行い、生活保護制度で判定を受けます。ただし審査判定の公平性を保つため、実際の審査判定は介護認定審査会に委託されます。介護保険の被保険者である被保護者は、通常どおりの手続きで要介護認定を受けます。第23回試験では「すべての被保護者に対する要介護認定は生活保護制度で独自に行う」=×が出題されました。なお、40歳以上65歳未満で医療保険に加入していない被保護者は、介護保険の被保険者とはなりません。
指定介護機関や介護券とは何ですか?
介護扶助による介護サービスを提供できるのは、介護保険法の指定を受けた事業者であって、生活保護法による指定をあわせて受けた事業者(指定介護機関)です。居宅介護支援事業所が生活保護受給者に居宅介護支援を行う場合も、生活保護法による指定が必要です。指定介護機関には、福祉事務所から毎月、被保護者ごとの介護券(介護保険の被保険者証に該当)が交付され、それに基づいてサービスを提供します。介護報酬の請求は、介護保険と同様に国民健康保険団体連合会に行います。
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