成年後見制度をわかりやすく|後見・保佐・補助の3類型・任意後見・市町村長申立て
福祉サービス分野/第81講の解説記事 | 更新:2026年
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成年後見制度とは、認知症・知的障害・精神障害等により判断能力が不十分で意思決定が困難な人に後見人等を立て、その判断能力を補っていく制度です。本人の保護に加え、❶自己決定の尊重 ❷残存能力の活用 ❸ノーマライゼーションの3つを理念とします。試験では重要度Aの頻出単元で、法定後見の3類型・申立人・任意後見の開始要件が繰り返し問われています。
ここだけ覚える
- 法定後見=民法・家庭裁判所が職権で選定/任意後見=本人があらかじめ定める。法定後見の3類型:後見(欠けている)・保佐(著しく不十分)・補助(不十分)。
- 申立ては家庭裁判所へ。申立人=本人・配偶者・4親等内の親族・検察官など。補助は本人の同意が必要。65歳以上の者の福祉のため特に必要なら市町村長も請求できる(都道府県知事ではない:第25回-問59)。
- 成年後見人の代理権=財産に関するすべての法律行為(本人居住の不動産の処分は家庭裁判所の許可)。医療行為への同意は職務外。日常生活の行為・婚姻・遺言(一身専属的行為)は取り消せない。
- 任意後見=公正証書で契約し、家裁が任意後見監督人を選任することで開始。受任者本人・配偶者・直系血族・兄弟姉妹は監督人になれない(第28回-問59)。本人死亡・任意後見人の死亡や破産で契約終了。
- 成年後見制度利用支援事業=費用(申立て費用・報酬=本人負担)が困難な人へ助成。障害者総合支援法の地域生活支援事業では必須・介護保険の地域支援事業では任意。
成年後見制度の全体像|法定後見と任意後見
成年後見制度には法定後見と任意後見の2つがあります。法定後見制度は民法に定められた後見制度で、本人や家族などの申立てにより、家庭裁判所が職権で後見人などを選定します。任意後見制度は、判断能力の低下に備えて、本人があらかじめ後見人を定めておくものです。
ひとこと:成年後見制度の利用の促進に関する法律第4条には「国は、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する」と規定されています。
法定後見の3類型|後見・保佐・補助
- 後見:判断能力が欠けている者が対象。支援者は成年後見人。
- 保佐:判断能力が著しく不十分な者が対象。支援者は保佐人。
- 補助:判断能力が不十分な者が対象。支援者は補助人。
- 監督は家庭裁判所が行い、必要に応じて成年後見監督人・保佐監督人・補助監督人を選任する。
法定後見を開始するには家庭裁判所への申立てを行います。申立てができるのは、本人、配偶者、4親等内の親族、成年後見人等、任意後見人、成年後見監督人等、検察官などです。補助の申立てをする場合は本人の同意が必要です。申立てを受けて、家庭裁判所は本人の判断能力を判定し、後見人等を選任します(専門家などが必要な場合は複数選任も可能)。
過去問(第25回-問59):「都道府県知事は、65歳以上の者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、後見開始の審判の請求をすることができる」=×。請求できるのは市町村長です。
後見人等の実態|第三者後見人が8割超
- 後見人等には親族後見人と親族以外の第三者後見人があり、近年は司法書士・弁護士・社会福祉士などの専門職後見人が増加。社会福祉協議会・福祉関係の法人のほか、NPO法人等も選任されることができる。
- 2024(令和6)年の1年間で、親族が成年後見人等に選任された割合は約17.1%、親族以外の第三者は約82.9%で、親族の割合を上回っている。
- 利用者増加の見込みから市民後見人の養成・供給が課題とされ、市町村は研修の実施、家庭裁判所への推薦その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
後見事務の内容と権限|医療同意は職務外
後見事務の内容は財産管理(預貯金や不動産、相続、贈与などの管理)と身上保護(衣食住などの生活上の手配、療養や介護の手配)の2つです。医療行為への同意や手術方法の決定などは職務に入りません。
- 成年後見人:代理権=財産に関するすべての法律行為(本人居住の不動産の処分は家庭裁判所の許可が必要)。同意権・取消権=日常生活の行為以外の行為。
- 保佐人・補助人:代理権=特定の法律行為(申立ての範囲内・付与には本人の同意が必要)。保佐人の同意権・取消権=民法が定める一定の行為(不動産・動産売買、訴訟、借金など)。補助人の同意権・取消権=特定の法律行為(申立ての範囲内・本人の同意が必要)。
- 行為の取り消しについて、日常生活に関する行為と一身専属的行為(婚姻、遺言など)は取り消すことができない。
任意後見制度|公正証書で契約・監督人選任で開始
- 後見人となる人(任意後見受任者)を指定し、あらかじめ後見事務の内容を契約で定めておく制度。契約は公正証書で行う。
- 家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、監督人が選任されることで任意後見が開始される。監督人選任の申立てができるのは、本人・配偶者・4親等内の親族・任意後見受任者。
- 任意後見受任者本人やその配偶者、直系血族および兄弟姉妹は、任意後見監督人となることができない。
- 裁判所は監督人から定期的な報告を受け、任意後見人に不正があった場合は、監督人の請求を受けて任意後見人を解任できる。本人が死亡、または任意後見人が死亡・破産をした場合、任意後見契約は終了する。
過去問(第28回-問59):「任意後見人の配偶者は、任意後見監督人となることができる」=×。配偶者・直系血族・兄弟姉妹・任意後見受任者は欠格事由に該当します。
成年後見制度利用支援事業|必須と任意の違い
- 申立て費用、後見人等の報酬などの費用は本人の負担。費用負担が困難な人に費用を助成するのが成年後見制度利用支援事業。
- 介護保険の地域支援事業、障害者総合支援法の地域生活支援事業の一つとして実施。地域生活支援事業では必須事業、介護保険の地域支援事業では任意事業。
- 実施市町村は増加傾向で、おおむね8割程度の市町村が実施。対象者や助成の範囲は市町村によってさまざま。
ひっかけ注意:「介護保険の地域支援事業では必須」=×(任意)。「費用は市町村負担」=×(本人負担・困難な人に助成)。
よくある質問(FAQ)
法定後見の3類型と判断能力の対応は?
判断能力が「欠けている」場合が後見(支援者は成年後見人)、「著しく不十分」な場合が保佐(保佐人)、「不十分」な場合が補助(補助人)です。監督は家庭裁判所が行い、必要に応じて成年後見監督人・保佐監督人・補助監督人を選任します。なお、補助開始の申立てをする場合は本人の同意が必要です。
後見開始の審判は誰が申し立てられますか?
本人、配偶者、4親等内の親族、成年後見人等、任意後見人、成年後見監督人等、検察官などが家庭裁判所に申立てできます。また、65歳以上の者につき、その福祉を図るためとくに必要と認めるときは、市町村長も法定後見審判の請求をすることができます(第25回-問59では「都道府県知事」=×として出題)。
成年後見人は医療行為への同意ができますか?
できません。後見事務の内容は財産管理(預貯金や不動産、相続、贈与などの管理)と身上保護(衣食住などの生活上の手配、療養や介護の手配)の2つで、医療行為への同意や手術方法の決定などは職務に入りません。また、成年後見人が本人居住の不動産を処分するには家庭裁判所の許可が必要で、日常生活に関する行為と婚姻・遺言などの一身専属的行為は取り消すことができません。
任意後見はいつから始まりますか?
任意後見契約を結んだだけでは始まりません。契約は公正証書で行い、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、監督人が選任されることで任意後見が開始されます。なお、任意後見受任者本人やその配偶者、直系血族、兄弟姉妹は任意後見監督人になれず(第28回-問59)、本人が死亡、または任意後見人が死亡・破産をした場合、任意後見契約は終了します。
成年後見制度利用支援事業とはどんな事業ですか?
成年後見制度の利用にかかる申立て費用や後見人等の報酬(本人の負担)について、費用負担が困難な人に費用を助成する事業です。介護保険の地域支援事業、障害者総合支援法の地域生活支援事業の一つとして実施されており、地域生活支援事業では必須事業、介護保険の地域支援事業では任意事業とされています。おおむね8割程度の市町村が実施していますが、対象者や助成の範囲は市町村によってさまざまです。
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