日常生活自立支援事業をわかりやすく|専門員と生活支援員・3つのサービス・成年後見との違い
福祉サービス分野/第82講の解説記事 | 更新:2026年
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日常生活自立支援事業は、社会福祉法で第2種社会福祉事業として規定される福祉サービス利用援助事業です。都道府県・指定都市社会福祉協議会が実施主体となり、市町村社会福祉協議会と協力して行います。判断能力が不十分となった人の意思と自己決定を尊重し、その人らしい生活を援助するのが目的で、試験では重要度A。「専門員と生活支援員の役割」「契約の代理はしない」が定番の出題ポイントです。
ここだけ覚える
- 第2種社会福祉事業(福祉サービス利用援助事業:第16回-問60)。地域福祉権利擁護事業として創設→2007(平成19)年に現名称へ。実施主体=都道府県・指定都市社協、一部を市町村社協へ委託(=基幹的社会福祉協議会)。
- 対象の2要件=❶判断能力が不十分で情報の入手・理解・判断・意思表示が困難 ❷利用契約を締結する能力がある。確定診断や障害者手帳は条件でない。相談・支援計画の作成は無料、契約締結後のサービスは有料。利用の6割が認知症高齢者。
- サービス3つ=福祉サービスの利用援助(苦情解決制度の利用手続き含む:第17回-問59)・日常的金銭管理・書類等の預かり(宝石・貴金属は預からない)+定期訪問による生活変化の察知。
- 専門員=初期相談・支援計画の作成・契約の締結・生活支援員の指導(生活支援員ではない:第17回-問59)/生活支援員=支援計画に基づく具体的なサービス提供。契約締結審査会=本人の契約能力を審査/運営適正化委員会=第三者機関として運営を監督。
- 本人に契約締結能力があることが要件→成年後見制度の後見・保佐類型には該当しないと考えられる。契約の締結を代理することは含まれない(第10回-問59・改)。締結できなければ成年後見制度を検討。
事業の概要|第2種社会福祉事業・契約で利用
- 社会福祉法で第2種社会福祉事業として規定される福祉サービス利用援助事業。地域福祉権利擁護事業として創設され、2007(平成19)年に現在の名称に改称。
- 判断能力が不十分となった人が福祉サービスを利用するとき、その人の意思と自己決定を尊重し、できる限りその人らしい生活ができるよう援助することが目的。
- 利用者本人との契約でサービスが提供される。相談や支援計画の作成は無料、契約締結後のサービスは有料。利用件数は年々増加し、6割が認知症高齢者の利用。
対象の2要件|「不十分ながらも判断能力がある」人
- ❶判断能力が不十分となり、日常生活を営むのに必要なサービスを利用するための情報の入手、理解、判断、意思表示を適切に行うことが困難であること。
- ❷日常生活自立支援事業の利用契約を締結する能力があること。
ひっかけ注意:利用にあたって認知症の確定診断や障害者手帳の有無などは条件とはなりません。「契約締結ができるだけの能力がある」ことが決め手です。
3つのサービス|利用援助・金銭管理・書類の預かり
- ❶福祉サービスの利用援助:利用開始・利用終了の手続き、苦情解決制度の利用手続き、利用料支払いの手続き、住宅改修や消費契約、住民票の届出などの行政手続きの援助など。
- ❷日常的金銭管理:年金や福祉手当の受領に必要な手続き、医療費・税金・社会保険料・公共料金を支払う手続き、これらの支払いに必要な預貯金の出し入れ・解約手続きなど。
- ❸書類等の預かり:年金証書、預貯金通帳、権利証、保険証書、実印・銀行印などの預かり(宝石・貴金属等は預からない)。
- これらの援助に伴う定期的な訪問による生活変化の察知を行う。
過去問(第17回-問59):「具体的な支援内容には、苦情解決制度の利用援助や日常的金銭管理が含まれる」=○。福祉サービスの利用開始・終了の手続きや預貯金通帳の預かりなども行います。
実施体制|基幹的社協・専門員と生活支援員
- 実施主体は都道府県・指定都市社会福祉協議会で、事業の一部を市町村社会福祉協議会に委託。委託された市町村社協を基幹的社会福祉協議会という。基幹的社協には専門員と生活支援員が配置される。
- 専門員:高齢者や障害者への援助経験がある社会福祉士、精神保健福祉士などで一定の研修を受けた者。初期相談、支援計画の作成、契約の締結、生活支援員の指導などを行う。
- 生活支援員:研修修了者で実施主体と雇用契約をした者。支援計画に基づく具体的なサービスを提供する。
- 実施主体の都道府県・指定都市社協には、医療・福祉・法律の専門家による契約締結審査会が置かれ、専門員が判断できない場合の本人の契約締結能力の程度を審査。第三者機関として運営適正化委員会が事業の適正な運営を監督する。
過去問(第17回-問59):「初期相談から支援計画の策定、利用契約の締結までを担うのは、生活支援員である」=×。担うのは専門員です。
介護保険利用の援助と成年後見制度との違い
介護保険の利用にあたっての具体的な援助としては、❶要介護認定等に関する申請手続きの援助 ❷要介護認定等の調査に立ち会い、本人の状況を正しく調査員に伝える ❸居宅介護支援事業者の選択の援助と事業者との契約締結の手続きの援助 ❹サービス提供事業者との契約締結の手続きの援助 ❺利用料の支払いの援助、などが考えられます。
- 成年後見制度との関連では、どちらにも利用制限はないが、本事業は本人に契約締結能力があることを利用の要件としており、成年後見制度の後見類型や保佐類型には該当しないと考えられる。
- 逆に、本事業の契約締結ができないと判断された場合には、成年後見制度の利用を検討する必要がある。
過去問(第10回-問59・改):「支援内容には、利用者の代理者として事業者と契約締結を行うことが含まれる」=×。契約締結のための手続きの援助は含まれますが、契約を締結することは含まれません。
よくある質問(FAQ)
日常生活自立支援事業の実施主体はどこですか?
都道府県・指定都市社会福祉協議会です。社会福祉法で第2種社会福祉事業として規定される福祉サービス利用援助事業で、事業の一部を市町村社会福祉協議会に委託します。委託された市町村社会福祉協議会を基幹的社会福祉協議会といい、専門員と生活支援員が配置されます。
日常生活自立支援事業は誰が利用できますか?
2つの要件を満たす人です。①判断能力が不十分となり、日常生活を営むのに必要なサービスを利用するための情報の入手、理解、判断、意思表示を適切に行うことが困難であること、②事業の利用契約を締結する能力があること。つまり不十分ながらも判断能力がある人が対象で、認知症の確定診断や障害者手帳の有無などは条件となりません。相談や支援計画の作成は無料ですが、契約締結後のサービスは有料です。
専門員と生活支援員の役割の違いは?
専門員は、高齢者や障害者への援助経験がある社会福祉士、精神保健福祉士などで一定の研修を受けた者で、初期相談、支援計画の作成、契約の締結、生活支援員の指導などを担います。生活支援員は、研修修了者で実施主体と雇用契約をした者で、支援計画に基づく具体的なサービスを提供します。第17回-問59では「初期相談から契約締結までを担うのは生活支援員」=×(専門員)として出題されました。
書類等の預かりでは何を預かってもらえますか?
年金証書、預貯金通帳、権利証、保険証書、実印・銀行印などを預かります。ただし、宝石・貴金属等は預かりません。そのほかのサービスとして、福祉サービスの利用援助(利用開始・終了の手続き、苦情解決制度の利用手続き、行政手続きの援助など)と日常的金銭管理(公共料金等の支払い手続き、預貯金の出し入れなど)があり、定期的な訪問による生活変化の察知も行います。
成年後見制度とはどう使い分けますか?
日常生活自立支援事業は本人に契約締結能力があることを利用の要件としているため、成年後見制度の後見類型や保佐類型には該当しないと考えられます。逆に、本事業の契約締結ができないと判断された場合には、成年後見制度の利用を検討する必要があります。また、本事業では契約締結のための手続きの援助は行いますが、利用者の代理者として契約を締結することは含まれません(第10回-問59・改)。
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