介護支援分野 第1講 高齢化の進展と高齢者を取り巻く状況/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
第1講 はじめに
この講のゴール
ケアマネの勉強、最初の一歩へようこそ。なぜ「介護保険」という制度ができたのか――その出発点が、この「高齢化」です。
- 「高齢化率」という言葉の意味がわかる
- 7%・14%・21%の3つの段階を覚える
- 日本の今の数字と、これからを知る
- なぜ介護保険が必要になったのかが腑に落ちる
はじめまして。ケアマネ先生です。
第1講は、介護保険が生まれた背景になる、高齢化のお話です。
今日のゴールはこの4つ。まず、高齢化率という言葉の意味。
次に、7パーセント・14パーセント・21パーセントという3つの段階。
そして、日本の今の数字と、これから。
最後に、なぜ介護保険が必要になったのか。ここまで分かれば大成功です。
焦らず、ゆっくりいきましょう。
用語の確認
そもそも「高齢化」とは?
高齢化とは、社会全体に占めるお年寄りの割合が増えていくこと。これをはかる物差しが 高齢化率 です。
- 分子は 65歳以上の人口
- 分母は 総人口(全国民)
まずは言葉の確認から。
高齢化率とは、国民全体のうち、65歳以上の人が何パーセントいるか、という数字です。
割り算で考えましょう。分子、つまり上にくるのが、65歳以上の人口。
分母、下にくるのが、全国民の人口です。
介護保険で高齢者といえば、原則65歳以上。ここが出発点ですよ。
最重要・暗記ポイント
3つの段階:7 → 14 → 21
高齢化率の数字で、社会は3つの段階に呼び分けられます。ここは試験頻出です。
ここは一番大事なところです。しっかりついてきてください。
高齢化率が7パーセントになると、高齢化社会と呼びます。
14パーセントになると、化が取れて、高齢社会。
そして21パーセントを超えると、超高齢社会です。
覚え方は、7の倍数。7、14、21。7ずつ増えると覚えてしまいましょう。
最新データ 2024年
日本の今:高齢化率は約29%
では日本は今どこにいるのか。すでに「超高齢社会(21%)」をはるかに超えています。
- 国民の およそ3.4人に1人 が65歳以上
出典:内閣府「令和7年版高齢社会白書」/総務省人口推計
では、日本は今どのあたりにいるのでしょうか。
なんと29.3パーセント。65歳以上はおよそ3624万人です。
超高齢社会の21パーセントを、はるかに超えていますね。
言いかえると、国民のおよそ3.4人に1人が高齢者、ということです。
数字は毎年少しずつ変わるので、最新はお手元の教科書でも確認してくださいね。
区分を理解する
前期高齢者と後期高齢者
65歳以上は、さらに2つに分けて考えます。介護や医療では、この区別がとても大切です。
前期高齢者
約1,547万人。比較的お元気な方が多い層。
後期高齢者
約2,078万人。医療・介護のニーズが高まる層。
65歳以上は、さらに2つに分けます。
65歳から74歳までが、前期高齢者。比較的お元気な方が多い層です。
75歳以上が、後期高齢者。医療や介護が必要になってくる層ですね。
ここが大事。今は、後期高齢者のほうが人数が多いんです。
スピードの問題
日本の高齢化は「速い」
日本の高齢化は、割合の高さだけでなく 進む速さ も世界トップクラスでした。
- 1970年:7%を超える(高齢化社会へ)
- 1994年:14%を超える(高齢社会へ)
- 7%→14%まで わずか24年
- 2007年:21%を超える(超高齢社会へ)
日本の高齢化は、割合だけでなく、進むスピードも世界トップクラスでした。
1970年に、7パーセントを超えて高齢化社会に入りました。
そして1994年に、14パーセントを超えて高齢社会へ。
7から14まで、たった24年。倍になるのがとても速かったんです。
さらに2007年には21パーセントを超え、超高齢社会になりました。
これからを読む①
2025年問題
これから何が起こるのか。まず押さえるのが 2025年問題 です。
- 団塊の世代が、2025年に全員75歳以上になる
- 後期高齢者が一気に増え、医療・介護の需要が急拡大
これからの話に入ります。まずは2025年問題。
戦後すぐに生まれた、人口の多い団塊の世代が、2025年に全員75歳以上になります。
すると後期高齢者が一気に増え、介護の必要な人も増えるんですね。
団塊の世代、2025年問題。この2つの言葉は、そのまま試験に出ます。
これからを読む②
さらに先:ピークは2043年
高齢者の数と割合は、この先どう動くのでしょうか。
- 65歳以上の 人数 は 2043年ごろ約3,953万人でピーク、その後は減少
- でも総人口も減るので、高齢化率(割合)は上がり続ける
- 2070年には高齢化率 38.7%(約2.6人に1人)
もっと先も見ておきましょう。
高齢者の人数は、2043年ごろにピークを迎えて、その後は減っていきます。
ところが、総人口も一緒に減るので、割合である高齢化率は上がり続けます。
2070年には38.7パーセント。2.6人に1人が高齢者になる見込みです。
ここはひっかけ注意。人数と割合は別の動きをします。
社会保障への影響
支える人が減っていく
高齢者を支えるのは、働く世代です。その比率が変わってきています。
2024年
現役世代およそ2人で高齢者1人を支える。
2070年(推計)
1人を支える人数がさらに減る。
高齢者を支えるのは、働く現役世代です。
2024年は、現役世代およそ2人で、高齢者1人を支えていました。
ところが2070年には、1.3人で1人を支える計算になります。
支え手が減ると、年金や医療、介護のお金が厳しくなる。だから制度の見直しが必要なんです。
暮らしの動向①
長生きと「健康寿命」
日本人は世界トップクラスの長寿です。ここで大事な言葉が出てきます。
- 平均寿命(2022年):男性 約81歳・女性 約87歳
- 健康寿命=介護を必要とせず自立して暮らせる期間
- 平均寿命と健康寿命の 差=支援や介護が必要な期間
日本人は世界でもトップクラスの長寿です。
平均寿命は、男性が約81歳、女性が約87歳。
ここで大事なのが、健康寿命。介護を必要とせず、自分で元気に暮らせる期間のことです。
平均寿命と健康寿命の差が、支援や介護が必要な期間にあたります。
この差を縮めること、つまり介護予防が、介護保険の大きなねらいの一つなんです。
暮らしの動向②
高齢者の世帯と「老老介護」
誰と暮らしているか、も大きく変わりました。昔のような大家族は減っています。
- 一人暮らし(単独世帯)の高齢者が増加
- 高齢者夫婦のみの世帯も増加
- 高齢者が高齢者を介護する 「老老介護」 が広がる
誰と暮らしているか、も大きく変わりました。
高齢者の一人暮らし、単独世帯が増えています。
高齢者夫婦だけ、という世帯も増えました。
その結果、高齢者が高齢者を介護する、老老介護が広がっています。
家族だけで介護を抱えるのが、難しくなってきた。ここが次の話につながります。
この講の核心
だから「介護の社会化」へ
ここまでの流れを1本の線でつなぎます。これが介護保険誕生の理由です。
- 高齢者が急増(とくに後期高齢者)
- 介護が必要な人が増える
- 核家族化・共働き・老老介護で 家族だけでは限界
- そこで 社会全体で介護を支える=「介護の社会化」
ここまでを、1本の線でつなぎます。
高齢者が急増し、とくに後期高齢者が増えました。
当然、介護が必要な人も増えます。
でも、核家族化や共働き、老老介護で、家族だけでは支えきれない。
そこで、社会全体で介護を支えよう。これが介護の社会化です。
この介護の社会化という考え方が、2000年の介護保険につながります。次の第2講の入口ですよ。
得点に直結
試験のツボ
この単元で問われやすいポイントを整理します。数字と定義が中心です。
- 7・14・21%の段階名(最頻出)
- 高齢化率の 定義(65歳以上 ÷ 総人口)
- 前期(65〜74)/ 後期(75〜)の区分
- 2025年問題=団塊世代が75歳以上
試験で問われやすいポイントを整理します。
一番出るのが、7・14・21の段階名。
次に、高齢化率の定義。65歳以上わる総人口、でしたね。
前期と後期の区分も狙われます。
そして2025年問題。団塊世代が75歳以上、です。
細かい数字を丸暗記するより、まず段階名と定義を確実にしましょう。
第1講 おつかれさまでした
まとめ & 次回予告
第1講のまとめです。ここがすべての土台になります。
- 高齢化率=65歳以上 ÷ 総人口
- 段階:7% → 14% → 21%
- 日本は約 29% の超高齢社会、後期高齢者が多い
- 家族だけでは限界 →「介護の社会化」へ
おつかれさまでした。今日のまとめです。
高齢化率は、65歳以上わる総人口。
段階は、7、14、21パーセント。
日本は約29パーセントの超高齢社会で、後期高齢者が多い。
そして、家族だけでは限界だから、介護の社会化へ。
次は第2講、介護保険制度の創設です。今日の流れがそのまま効いてきますよ。よく頑張りました。
おすすめ教材
もっと深く学びたい人へ
この講はここまで。理解を定着させるために、次のアクションへどうぞ。
最後に、もっと学びたい人へのご案内です。
関連記事や一問一答で復習すると、知識が定着します。
独学が不安なら、講座やテキストの比較ものぞいてみてくださいね。
この講の一問一答(◯×8問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
高齢化率とは、総人口に占める65歳以上人口の割合のことである。
答えと解説
◯ そのとおり。分子が65歳以上人口、分母が総人口です。
高齢化率が7%を超えた社会を「高齢社会」という。
答えと解説
✕ 7%超は「高齢化社会」。「高齢社会」は14%超です(21%超で超高齢社会)。
高齢化率が21%を超えた社会を「超高齢社会」という。
答えと解説
◯ 正しい。7→14→21%の順に、高齢化社会・高齢社会・超高齢社会です。
前期高齢者とは、65歳以上74歳以下の者をいう。
答えと解説
◯ 正しい。75歳以上は後期高齢者です。
後期高齢者とは、70歳以上の者をいう。
答えと解説
✕ 後期高齢者は「75歳以上」です。
2024年時点で、日本の高齢化率は約29%である。
答えと解説
◯ 正しい。すでに超高齢社会(21%超)を大きく上回ります。数値は変わるので最新は教科書で確認を。
2025年問題とは、団塊の世代が全員75歳以上になることをさす。
答えと解説
◯ 正しい。後期高齢者が急増し、医療・介護の需要が高まる問題です。
高齢者人口は今後も増え続け、減ることはない。
答えと解説
✕ 人数は2043年ごろにピークを迎え、その後は減少。ただし割合(高齢化率)は上がり続けます。
五肢複択
日本の高齢化について、正しいものを2つ選べ。
- 高齢化率とは、総人口に占める65歳以上人口の割合である。
- 高齢化率が14%を超えた社会を超高齢社会という。
- 2024年の日本の高齢化率は約29%である。
- 後期高齢者とは70歳以上の者をいう。
- 高齢者人口は今後も減少することはない。
答えと解説
正解:1・3
1 正しい。
2 誤り。14%超は高齢社会、21%超が超高齢社会。
3 正しい。
4 誤り。後期高齢者は75歳以上。
5 誤り。2043年ごろピーク後に減少(割合は上昇継続)。
高齢化に関する用語について、正しいものを2つ選べ。
- 前期高齢者は65歳以上74歳以下である。
- 2025年問題とは団塊の世代が全員65歳以上になることである。
- 健康寿命とは、介護を必要とせず自立して暮らせる期間である。
- 高齢化社会とは高齢化率が21%を超えた社会である。
- 日本の高齢化は欧米よりゆるやかに進んだ。
答えと解説
正解:1・3
1 正しい。
2 誤り。全員75歳以上になること。
3 正しい。
4 誤り。21%超は超高齢社会。7%超が高齢化社会。
5 誤り。日本は急速に進んだ。