介護支援分野 > 第6講 保険者・国・都道府県の役割の違い/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
第6講 はじめに
この講のゴール
前の講で「保険者は市町村」「国・都道府県は支援する立場」と学びました。この講ではその役割の違いを、試験のひっかけ対策まで踏み込んで整理します。
- 市町村(保険者)が何をするか
- 都道府県が何をするか
- 国が何をするか
- 「誰がやる?」のひっかけパターン
第6講を始めましょう。今回のゴールです。
前の講で、保険者は市町村、国と都道府県は支援する立場だと学びました。今回はその役割の違いを深掘りします。
まず市町村、つまり保険者の仕事です。
次に都道府県の仕事。
そして国の仕事です。
最後に、試験で狙われる「誰がやるか」のひっかけパターンを押さえます。
いちばん現場に近い
市町村(保険者)の仕事
市町村・特別区は保険者として、制度運営の中心を担います。
- 要介護認定の実施
- 保険料の賦課・徴収(第1号被保険者)
- 保険給付(サービス費の支給)
- 特別会計の設置・市町村介護保険事業計画の策定
- 地域支援事業・地域包括支援センターの設置
市町村、つまり保険者の仕事です。住民にいちばん近い実務を担います。
まず要介護認定の実施。介護が必要かどうかを判定します。
次に第1号被保険者の保険料の賦課と徴収。
そして保険給付。サービス費を支給します。
さらに特別会計の設置と、市町村介護保険事業計画の策定。
地域支援事業や地域包括支援センターの設置も市町村です。
覚え方は、お金を集める・認定する・給付するという現場の実務はすべて市町村、です。
広域で支える役割
都道府県の仕事
都道府県は保険者ではなく、市町村を広域的に支援する立場です。
- 居宅サービス・施設・介護予防サービス事業者の指定・指導監督
- 介護サービス情報の公表制度の事務
- 介護支援専門員の登録・介護支援専門員証の交付
- 介護保険審査会の設置(不服申立ての審理)
- 都道府県介護保険事業支援計画の策定
都道府県の仕事です。保険者ではなく、市町村を広域的に支援します。
まず居宅サービス・施設・介護予防サービス事業者の指定と指導監督。
次に介護サービス情報の公表制度の事務。
そして介護支援専門員の登録と、介護支援専門員証の交付です。
さらに介護保険審査会の設置。不服申立ての審理を行う場です。
都道府県介護保険事業支援計画の策定も担います。
試験の引っかけ:公表制度、ケアマネの登録、介護保険審査会はいずれも都道府県です。市町村と取り違えやすいので注意です。
制度の枠組みをつくる
国の仕事
国は個別のサービスを動かすのではなく、制度の大きな枠組みをつくります。
- 制度の企画・立案(介護保険法の制定・改正)
- 基本指針の策定(事業計画のもとになる方針)
- 要介護認定基準・区分支給限度基準額などの基準設定
- 介護報酬の算定基準の設定
- 財政的・技術的な支援(負担金・調整交付金など)
国の仕事です。個別のサービスではなく、制度の大きな枠組みをつくります。
まず制度の企画・立案。介護保険法の制定や改正です。
次に基本指針の策定。事業計画のもとになる方針を示します。
そして要介護認定基準や区分支給限度基準額などの基準設定。
介護報酬の算定基準も国が定めます。
さらに負担金や調整交付金による財政的・技術的な支援です。
イメージは、国はルールと基準をつくる人。実際の認定や給付はしません。
国・都道府県・市町村
3者の役割を一枚で
3者の関係を一枚で整理します。下にいくほど現場に近づきます。
国
法律・基本指針・各種基準・介護報酬を定める
都道府県
事業者指定・情報公表・ケアマネ登録・審査会
市町村
認定・保険料・給付・事業計画・地域支援事業
3者の役割を一枚で整理します。
国は枠組み。法律・基本指針・基準・介護報酬を定めます。
都道府県は広域支援。事業者の指定、情報公表、ケアマネ登録、審査会です。
市町村は保険者。認定・保険料・給付・事業計画・地域支援事業を動かします。
覚え方は、国はつくる、都道府県は支える、市町村は動かす、です。
サービス種別で分かれる
事業者の指定は誰がやる?
事業者の「指定」は、サービスの種類によって担当が分かれます。ここは頻出です。
都道府県が指定
居宅サービス、介護保険施設、介護予防サービスの事業者
市町村が指定
地域密着型サービス、居宅介護支援、介護予防支援など
事業者の指定は誰がやるか。サービスの種類で分かれます。ここは頻出です。
居宅サービス、介護保険施設、介護予防サービスの事業者は都道府県が指定します。
一方、地域密着型サービスと居宅介護支援、介護予防支援は市町村が指定します。
引っかけ注意。地域密着型と居宅介護支援は市町村です。全部都道府県だと思い込むと失点します。
お金を正しく流す中間機関
国保連の役割
国保連(国民健康保険団体連合会)は、市町村から委託を受けてお金の流れを支えます。
- 介護報酬の審査・支払い(市町村からの委託)
- 苦情処理(事業者への調査・指導・助言)
- 第三者行為求償などの事務
国保連、国民健康保険団体連合会の役割です。お金の流れを支える中間機関です。
まず介護報酬の審査と支払い。市町村から委託を受けて行います。
次に苦情処理。事業者への調査・指導・助言です。
第三者行為求償などの事務も担います。
設置は都道府県ごとです。
イメージは、お金を正しく流す中間機関。ケアマネが作る給付管理票の審査もここが行います。
不服申立ての受け皿
介護保険審査会
要介護認定などに不服があるときの審理を行うのが、介護保険審査会です。
- 要介護認定の結果などに不服があるとき、審査請求ができる
- 審理するのは都道府県の介護保険審査会
介護保険審査会です。要介護認定などに不服があるときの審理を行います。
設置は都道府県です。
要介護認定の結果などに不服があるとき、審査請求ができます。
その審理をするのが、都道府県の介護保険審査会です。
国保連と混同しないこと。国保連はお金の審査、介護保険審査会は認定などへの不服審理です。役割がまったく別です。
ケアマネ自身の手続き
介護支援専門員の登録は都道府県
ケアマネジャー自身の登録や資格証も、試験で問われます。担当は都道府県です。
- 登録:都道府県知事に登録する
- 介護支援専門員証:交付も都道府県知事
- 有効期間は5年(更新研修を受けて更新)
- 登録の移転:他の都道府県で働くとき申請できる
ケアマネジャー自身の登録や資格証も試験に出ます。担当は都道府県です。
まず登録。都道府県知事に登録します。
介護支援専門員証の交付も都道府県知事です。
有効期間は5年。更新研修を受けて更新します。
他の都道府県で働くときは、登録の移転を申請できます。
試験ポイント。証の有効期間を10年とするのは誤りで、正しくは5年です。数字のひっかけに注意です。
ひっかけ対策の決定版
「誰がやる?」総まとめ表
迷いやすい事務を「誰がやるか」で並べます。声に出して確認しましょう。
- 要介護認定 → 市町村
- 居宅・施設サービス事業者の指定 → 都道府県
- 地域密着型・居宅介護支援の指定 → 市町村
- 介護サービス情報の公表 → 都道府県
- ケアマネの登録・証の交付 → 都道府県
- 介護報酬の審査・支払い → 国保連(市町村の委託)
- 不服申立ての審理 → 都道府県(介護保険審査会)
迷いやすい事務を、誰がやるかで並べます。声に出して確認しましょう。
要介護認定は市町村。
居宅・施設サービス事業者の指定は都道府県。
地域密着型と居宅介護支援の指定は市町村。
介護サービス情報の公表は都道府県。
ケアマネの登録と証の交付は都道府県。
介護報酬の審査・支払いは国保連。市町村の委託です。
不服申立ての審理は都道府県の介護保険審査会です。
勉強法は、主体ごとにグループ分けして覚えること。取り違えが激減します。
○か×か考えてみよう
よく出る正誤チェック
過去問でよく問われる正誤パターンです。頭の中で○×を考えてみましょう。
- 介護サービス情報の公表は市町村長に報告する → ×(正しくは都道府県)
- 指定市町村事務受託法人の指定は都道府県が行う → ○
- 介護支援専門員証の有効期間は10年 → ×(正しくは5年)
- 地域密着型サービスの指定は市町村が行う → ○
過去問でよく出る正誤パターンです。頭の中で○×を考えてみましょう。
1つめ。介護サービス情報の公表を市町村長に報告する。これは誤り。正しくは都道府県です。
2つめ。指定市町村事務受託法人の指定は都道府県が行う。これは正しいです。
3つめ。介護支援専門員証の有効期間は10年。これは誤り。正しくは5年です。
4つめ。地域密着型サービスの指定は市町村が行う。これは正しいです。
解くコツは、主語の誰がと、動詞の何をするをセットで確認すること。市町村か都道府県かの入れ替えが最も多い誤りです。
第6講 おつかれさまでした
まとめ & 次の講へ
第6講の内容を確認しましょう。役割の方向性を3語で押さえれば、ひっかけに強くなります。
- 国=つくる:法律・基本指針・基準・介護報酬
- 都道府県=支える:事業者指定・情報公表・ケアマネ登録・審査会
- 市町村=動かす:認定・保険料・給付・事業計画・地域支援事業
- 国保連=お金を流す:介護報酬の審査・支払い・苦情処理
第6講はこれで完了です。おつかれさまでした!
国はつくる。法律・基本指針・基準・介護報酬です。
都道府県は支える。事業者指定・情報公表・ケアマネ登録・審査会です。
市町村は動かす。認定・保険料・給付・事業計画・地域支援事業です。
国保連はお金を流す。介護報酬の審査・支払い・苦情処理です。次の講も頑張りましょう。
この講の一問一答(◯×8問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
介護保険の財政運営の責任主体(保険者)は市町村である。
答えと解説
◯ 市町村・特別区が保険者。認定・徴収・給付という現場実務を担う。
介護サービス情報の公表に関する事務は、市町村が行う。
答えと解説
✕ 公表事務は都道府県。市町村と混同しやすい頻出ポイント。
介護支援専門員の登録は、都道府県知事が行う。
答えと解説
◯ ケアマネの登録・証の交付は都道府県知事。
介護支援専門員証の有効期間は10年である。
答えと解説
✕ 有効期間は5年(更新研修で更新)。「10年」は誤り。
地域密着型サービス事業者の指定は、市町村が行う。
答えと解説
◯ 地域密着型・居宅介護支援・介護予防支援の指定は市町村。
居宅サービス事業者や介護保険施設の指定は、都道府県が行う。
答えと解説
◯ 居宅・施設・介護予防サービスの指定は都道府県。地域密着型との分担に注意。
介護報酬の審査・支払いは、市町村から委託を受けた国民健康保険団体連合会(国保連)が行う。
答えと解説
◯ 国保連は報酬の審査支払・苦情処理・第三者行為求償等を担い、都道府県ごとに設置。
要介護認定に対する不服申立て(審査請求)の審理を行うのは、国保連である。
答えと解説
✕ 不服審理は介護保険審査会(都道府県が設置)。国保連=お金の審査、審査会=不服審理で別物。
五肢複択
市町村が行う事務として正しいものを2つ選べ。
- 要介護認定の実施
- 居宅サービス事業者の指定
- 地域密着型サービス事業者の指定
- 介護サービス情報の公表
- 介護支援専門員の登録
答えと解説
正解:1・3
1 正しい。要介護認定の実施は市町村。
2 誤り。居宅サービス事業者の指定は都道府県。
3 正しい。地域密着型・居宅介護支援・介護予防支援の指定は市町村。
4 誤り。情報公表の事務は都道府県。
5 誤り。ケアマネの登録は都道府県。
都道府県の事務として正しいものを2つ選べ。
- 介護保険審査会の設置
- 第1号被保険者の保険料の賦課・徴収
- 介護支援専門員の登録・証の交付
- 地域包括支援センターの設置
- 介護報酬の算定基準の設定
答えと解説
正解:1・3
1 正しい。不服申立てを審理する介護保険審査会は都道府県が設置。
2 誤り。第1号保険料の賦課・徴収は市町村。
3 正しい。ケアマネの登録・証の交付は都道府県知事。
4 誤り。地域包括支援センターの設置は市町村。
5 誤り。介護報酬の算定基準の設定は国。