介護支援分野 > 第8講 介護保険財政|公費と保険料/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
第8講 はじめに
この講のゴール
介護サービスのお金は、どこから出ているのでしょうか。この講では介護保険のお財布の仕組みを、数字とともに整理します。
- 公費50%+保険料50%という大きな枠
- 公費の内訳(国・都道府県・市町村)と居宅・施設の違い
- 第1号・第2号保険料の割合と集め方
- 財政安定化基金など、支える仕組み
第8講を始めましょう。介護保険のお金の仕組み、財政の回です。
介護サービスのお金がどこから出ているのか。そのお財布の中身を数字で整理します。
まず大きな枠。公費が半分、保険料が半分です。
次に公費の内訳。国・都道府県・市町村の分担と、居宅と施設の違いです。
そして第1号と第2号、それぞれの保険料の割合と集め方。
最後に、財政安定化基金など制度を支える仕組みです。
まずこの半々を覚える
財源は公費50%+保険料50%
介護給付(サービス)の費用は、利用者負担を除いた部分を、公費と保険料で半分ずつまかないます。
まず一番大きな枠です。介護給付の費用は、公費と保険料で半分ずつまかないます。
公費、つまり税金が50%。保険料が50%です。
大前提として、これは利用者が払う1から3割を除いた、残りの給付費の話です。
まずは、公費半分・保険料半分。これを体に入れましょう。
国25%・都道府県12.5%・市町村12.5%
公費の内訳(居宅給付費)
公費50%の中身を見ます。在宅サービス(居宅給付費)の場合の内訳です。
公費50%の中身を見ましょう。まずは在宅サービス、居宅給付費の場合です。
国が25%、都道府県が12.5%、市町村が12.5%。合わせて50%です。
国の25%には、全市町村に一律で配る分と、財政力の差を埋める調整交付金5%分が含まれています。
国20%・都道府県17.5%
施設等給付費は割合が違う
特養や老健などの施設等給付費になると、国と都道府県の割合が変わります。ここは頻出です。
居宅給付費
都道府県12.5% / 市町村12.5%
施設等給付費
都道府県17.5% / 市町村12.5%
特養や老健などの施設等給付費になると、国と都道府県の割合が変わります。ここは頻出です。
居宅は国25%、都道府県12.5%。
施設等は国20%、都道府県17.5%です。
覚え方は、施設になると国が5%下がって、都道府県が5%上がる。市町村の12.5%はどちらも同じです。
第1号23%・第2号27%
保険料の内訳(第9期)
保険料50%の中身です。第1号と第2号で割合が分かれ、3年ごとに人口比で見直されます。
第1号保険料
65歳以上が負担(第9期・2024〜2026年度)
第2号保険料
40〜64歳が負担。人数が多いので割合も大きい
保険料50%の中身です。第1号と第2号で割合が分かれます。
第1号、65歳以上の保険料が23%。第9期、2024年から2026年度の数字です。
第2号、40から64歳の保険料が27%。人数が多いので割合も大きくなります。
この割合は3年ごとに人口比で見直されます。1人あたりの負担が公平になるようにするためです。
特別徴収と普通徴収
第1号保険料の集め方
第1号(65歳以上)の保険料は、年金額によって集め方が2通りに分かれます。
特別徴収
年金が年18万円以上の人。年金から自動で天引き
普通徴収
年金が年18万円未満の人。納付書で自分で納める
第1号、65歳以上の保険料の集め方です。年金額によって2通りに分かれます。
特別徴収は年金天引き。年金が年18万円以上の人が対象です。
普通徴収は納付書で自分で納める方法。年金が年18万円未満の人です。
第1号保険料は所得に応じた段階制で、原則13段階。市町村は条例でさらに細かく分けられます。
なお、本人が特別徴収か普通徴収かを選ぶことはできません。年金額で決まります。
医療保険とセットで
第2号保険料の集め方
第2号(40〜64歳)の保険料は、医療保険料と一緒に集められます。本人が単独で介護保険料を払う窓口はありません。
一体で徴収
納付
交付
第2号、40から64歳の保険料は、医療保険料と一緒に集められます。
まず医療保険料と一体で徴収され、社会保険診療報酬支払基金に納付されます。
そして支払基金から、各市町村へ交付されます。
引っかけ注意。第2号保険料は、医療保険者から直接市町村へ渡るのではなく、いったん支払基金に集められてから交付されます。
滞納と減免のルール
保険料の徴収できないとき
保険料を滞納したり、災害で払えないときのルールも問われます。
- 滞納:1年以上で支払方法の変更(償還払い化)、1年6か月以上で給付の一時差し止めなど
- 時効:徴収権は2年で消滅。時効消滅分があると、後で給付割合が減額される
- 減免:災害など特別な理由があれば、市町村が条例で減免・猶予できる
保険料を滞納したときや、払えないときのルールです。
滞納が1年以上で支払方法の変更、1年6か月以上で給付の一時差し止めなどがあります。
保険料を集める権利、徴収権は2年で時効消滅します。消滅分があると、後で給付割合が減らされます。
一方、災害など特別な理由があれば、市町村は条例で減免や猶予ができます。
ただしやってはいけない3原則。全額免除、一律減免、一般財源での穴埋め。減免はするが、この3つはダメです。
都道府県が設置する安全網
財政安定化基金
保険料が予定どおり集まらなかったり、給付費が増えすぎたとき、市町村を支えるのが財政安定化基金です。
- 交付:保険料の収納不足の一部を交付(返さなくてよい)
- 貸付:給付費増などの不足分を貸付(返す必要あり)
- 借りた市町村は、次の事業計画期間に3年で分割返済
財政安定化基金です。保険料が集まらなかったり、給付費が増えすぎたときに市町村を支える安全網です。
設置するのは都道府県。財源は国・都道府県・市町村が3分の1ずつ負担します。
保険料の収納不足には、一部を交付します。これは返さなくてよいお金です。
給付費の増加などには、貸付を行います。こちらは返す必要があります。
借りた市町村は、次の事業計画期間に3年で分割返済します。
覚え方は、都道府県に設置・3者で3分の1ずつ・返済3年。3がキーワードです。
市町村どうしで助け合う
市町村相互財政安定化事業
複数の市町村が共同で財政を安定させる、もう一つの仕組みです。
- 市町村どうしが共同で調整保険料率を定め、全体で財政を安定させる
- ある市町村の不足を、他の市町村の収入でカバーし合う
- ただし保険者は各市町村のまま。1つに統合されるわけではない
もう一つ、複数の市町村が共同で財政を安定させる仕組みです。
市町村どうしが共同で調整保険料率を定め、全体で財政を安定させます。
ある市町村の不足を、他の市町村の収入でカバーし合うイメージです。
ただし保険者は各市町村のまま。1つに統合されるわけではありません。
この事業を行う市町村を特定市町村といいます。都道府県は調整や助言ができます。
第1号と第2号で違う
保険料の使いみち
第1号と第2号の保険料は、使えるお金の範囲が少し違います。
第1号保険料
介護給付費・地域支援事業・保健福祉事業・市町村特別給付・財政安定化基金拠出金など
第2号保険料
介護給付費・地域支援事業のうちの介護予防/日常生活支援総合事業
第1号と第2号の保険料は、使えるお金の範囲が少し違います。
第1号保険料は広く使えます。介護給付費のほか、地域支援事業、保健福祉事業、市町村特別給付などです。
第2号保険料は範囲が限定されます。介護給付費と、地域支援事業のうちの総合事業などに限られます。
ポイントは、市町村特別給付や保健福祉事業、財政安定化基金への拠出は第1号保険料から、という点です。
第8講 おつかれさまでした
まとめ & 次の講へ
第8講の要点です。数字は「半分・半分」から枝分かれさせて覚えましょう。
- 公費50%+保険料50%が大前提
- 公費:居宅は国25・県12.5・市12.5、施設は国20・県17.5・市12.5
- 保険料:第1号23%・第2号27%(第9期)。3年ごとに見直し
- 財政安定化基金は都道府県設置・3者で3分の1ずつ・返済3年
第8講はこれで完了です。おつかれさまでした!
大前提は、公費50%と保険料50%。
公費は、居宅が国25・県12.5・市12.5。施設は国20・県17.5・市12.5でした。
保険料は第1号23%・第2号27%。3年ごとに見直されます。
財政安定化基金は、都道府県設置・3者で3分の1ずつ・返済3年。次の講も頑張りましょう。
この講の一問一答(◯×8問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
介護給付費は、公費と保険料がそれぞれ50%で賄われる。
答えと解説
◯ 利用者負担を除いた給付費を公費50%+保険料50%で賄う。
施設等給付費の公費負担割合は、国20%・都道府県17.5%・市町村12.5%である。
答えと解説
◯ 施設等は居宅より国が5%低く、都道府県が5%高い(市町村は同じ12.5%)。頻出。
居宅給付費の国の負担割合は20%である。
答えと解説
✕ 居宅は国25%。20%は施設等給付費の方。
第1号被保険者で年額18万円以上の年金を受給している人は、年金からの天引き(特別徴収)となる。
答えと解説
◯ 18万円未満は普通徴収(納付書)。本人は徴収方法を選べない。
第2号被保険者の保険料は、医療保険者が市町村へ直接納付する。
答えと解説
✕ 医療保険料と一体で集め、社会保険診療報酬支払基金を経由して市町村へ交付。“直接”は誤り。
財政安定化基金は都道府県に設置され、国・都道府県・市町村が3分の1ずつ負担する。
答えと解説
◯ 収納不足は交付(返済不要)、給付増等は貸付(返済要・次期計画の3年で分割)。
第1号被保険者は、保険料の徴収方法(特別徴収・普通徴収)を自分で選ぶことができる。
答えと解説
✕ 年金額により自動的に決まり、本人は選べない。
保険料の徴収権の消滅時効は2年である。
答えと解説
◯ 時効消滅した期間分は、後にサービスを受ける際の給付割合が減額される。
五肢複択
介護保険の公費負担について正しいものを2つ選べ。
- 居宅給付費の公費は、国25%・都道府県12.5%・市町村12.5%である。
- 施設等給付費では、居宅に比べ国の割合が高くなる。
- 施設等給付費の都道府県の割合は17.5%である。
- 公費負担は給付費の70%である。
- 国の負担分に調整交付金は含まれない。
答えと解説
正解:1・3
1 正しい。居宅は国25・都12.5・市12.5。
2 誤り。施設等は国20%で、居宅25%より低い。
3 正しい。施設等は都道府県17.5%。
4 誤り。公費は50%。
5 誤り。国25%には調整交付金5%分が含まれる。
介護保険料について正しいものを2つ選べ。
- 第1号被保険者の保険料負担割合は23%である。
- 第2号被保険者の保険料は、社会保険診療報酬支払基金を通じて市町村に交付される。
- 第1号被保険者の保険料は、すべて普通徴収で納付する。
- 第2号被保険者の保険料負担割合は40%である。
- 保険料の負担割合は5年ごとに見直される。
答えと解説
正解:1・2
1 正しい。第9期は第1号23%。
2 正しい。医療保険料と一体徴収→支払基金→市町村へ交付。
3 誤り。年金18万円以上は特別徴収(天引き)。
4 誤り。第2号は27%。
5 誤り。3年ごとに見直される。