福祉用具貸与・特定福祉用具販売をわかりやすく|13種目と9種目・10万円・選択制
福祉サービス分野/第60講の解説記事 | 更新:2026年
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福祉用具とは、高齢者や障害者などが使用する、日常生活上の便宜を図るための用具や、機能訓練のための用具・補助具のことです。介護保険では、居宅サービスのなかに福祉用具貸与(借りる・13種目)と特定福祉用具販売(買う・9種目)の2本立てで含まれています。試験では「その用具は借りるのか、買うのか」の区別が繰り返し問われる、重要度Aの頻出単元です。
ここだけ覚える
- 貸与=13種目(車いす・特殊寝台・床ずれ防止用具・体位変換器・手すり・スロープ・歩行器・歩行補助杖・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフト・自動排泄処理装置など)。現物給付で、介護報酬は1か月あたりの実費。
- 販売=9種目(腰掛便座・自動排泄処理装置の交換可能部品・排泄予測支援機器・入浴補助用具・簡易浴槽・移動用リフトのつり具部分・スロープ・歩行器・歩行補助杖)。償還払い・年間(4月1日から12か月間)10万円上限・同一年度1品目1回が原則。
- 見分け方は「本体は貸与・パーツは販売」(自動排泄処理装置・移動用リフト)と「入浴・排せつに使うものは販売」。手すり・スロープは取付工事を伴わないものだけが貸与(工事するなら住宅改修)。
- 事業者は都道府県知事の指定が必要。福祉用具専門相談員を2人以上(常勤換算)、管理者は専従・常勤1人(兼務可)。
- 介護予防福祉用具貸与(要支援者)の対象は手すり・スロープ・歩行器・歩行補助杖の4種目。例外給付は医師の医学的な所見+適切なケアマネジメント+市町村の確認。
福祉用具貸与の13種目と軽度者への制限
貸与の対象は13種目です。①車いす(自走用標準型・普通型電動・介助用標準型・介助用電動)、②車いす付属品、③特殊寝台、④特殊寝台付属品(スライディングボード・介助用ベルトなど)、⑤床ずれ防止用具(エアマットなど)、⑥体位変換器、⑦手すり(取り付け工事を伴わないもの)、⑧スロープ(取り付け工事を伴わない、持ち運びの容易なもの)、⑨歩行器、⑩歩行補助杖(松葉杖・多点杖など)、⑪認知症老人徘徊感知機器(外部との通信機能を除いた部分)、⑫移動用リフト(つり具の部分を除く)、⑬自動排泄処理装置です。
- 軽度者への貸与制限:⑦手すり・⑧スロープ・⑨歩行器・⑩歩行補助杖・⑬自動排泄処理装置以外の種目は、要介護2以上が対象。
- 排便機能を有する自動排泄処理装置は、要介護4以上が対象。
- 障害者用の補装具は障害者総合支援法で支給されるが、介護保険と重なるもの(車いす・歩行器・杖)は介護保険での給付が優先。
過去問(第25回-問54):「取付工事の有無にかかわらず、手すりは福祉用具貸与の対象となる」=×。貸与の支給対象となる手すりは、取付工事が不要なものに限ります。工事を伴うものは住宅改修の対象です。
特定福祉用具販売の9種目と「貸与か販売か」の見分け方
福祉用具のうち、入浴や排せつに使用する貸与になじまないものは購入します。対象は9種目:①腰掛便座(水洗ポータブルトイレ含む)、②自動排泄処理装置の交換可能部品(チューブなど)、③排泄予測支援機器、④入浴補助用具(入浴用いす・浴槽内いす・浴槽内すのこなど)、⑤簡易浴槽(取水・排水の工事を伴わないもの)、⑥移動用リフトのつり具部分、⑦スロープ、⑧歩行器、⑨歩行補助杖です。
- 本体は貸与・パーツは販売:自動排泄処理装置は本体が貸与・交換可能部品が販売。移動用リフトは本体が貸与・つり具部分が販売。
- 肌に直接触れる・入浴排せつ系は販売:腰掛便座・入浴補助用具・簡易浴槽など、使い回しがきかないものは購入。
- スロープ・歩行器・歩行補助杖は貸与と販売の両方の種目に載っている(下記の選択制)。
過去問(第22回再-問51):「自動排泄処理装置は、交換可能部品も含め、特定福祉用具販売の対象となる」=×。自動排泄処理装置は、交換可能部品を除き、福祉用具貸与の対象です。
保険給付の違い(現物給付と償還払い・10万円)と選択制
- 貸与:福祉用具は現物給付され、要介護度別の支給限度基準額の範囲内で他のサービスと組み合わせて利用。複数の福祉用具を貸与する場合、あらかじめ都道府県等に届け出ることで通常の貸与価格から減額して貸与できる。介護報酬は1か月あたりの貸与にかかる実費。
- 販売:購入費用は自己負担分を除き償還払いで保険給付。年間(4月1日から12か月間)10万円を上限とし、同一年度で1品目1回の購入が原則(破損などの事情がある場合を除く)。給付を受けるには市町村への申請が必要。
- 選択制(2024〈令和6〉年度〜):スロープ・歩行器・歩行補助杖の3種目は、利用者が貸与か販売のいずれかを選択できる。導入にあたり、利用者への十分な説明と、多職種の意見や利用者の身体状況を踏まえた提案等を行う。
事業の基準と福祉用具専門相談員の仕事
- 指定:貸与・販売とも、指定福祉用具貸与事業者・指定特定福祉用具販売事業者として都道府県知事の指定が必要。
- 人員基準:福祉用具専門相談員を2人以上(常勤換算)。資格要件は保健師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・義肢装具士、または専門講習修了者。管理者は専従・常勤1人(支障がなければ兼務可)。同一事業者が貸与と販売を一体的に運営する場合は、どちらかの事業で人員基準を満たせばよい。
- 福祉用具サービス計画:専門相談員は、居宅サービス計画に沿った福祉用具貸与計画または特定福祉用具販売計画(同時に提供する場合は一体的に作成)を作成し、具体的な利用目標・福祉用具の種類・選定理由などを含める。そのほか相談・点検・使用方法の指導・必要な場合の修理を行う。
- 義務化の流れ:2018(平成30)年4月から、機能や価格帯の異なる複数の商品の提示と、貸与計画書の介護支援専門員への交付。同年10月から、全国平均貸与価格とその事業者の貸与価格の両方の説明が義務化。
過去問(第22回再-問51):「福祉用具貸与事業所には、福祉用具専門相談員を1名以上置かなければならない」=×。2人以上(常勤換算)の配置が必要です。
介護予防福祉用具貸与・特定介護予防福祉用具販売(要支援者)
いずれも介護予防を目的に要支援者に提供されるサービスで、事業所の基準・介護報酬・対象種目・手続きなどは福祉用具貸与・特定福祉用具販売と同じです。ただし、介護予防福祉用具貸与の対象は手すり・スロープ・歩行器・歩行補助杖の4種目に絞られます。それ以外の種目は、要支援者には必要ではないと考えられることから原則対象外ですが、医師の医学的な所見に基づき判断され、サービス担当者会議等を通じた適切なケアマネジメントにより福祉用具が必要と判断された場合は、市町村が確認することで給付が可能になります。
過去問(第9回-問52):「要支援者に対する介護予防福祉用具貸与費の支給対象となるのは、歩行補助つえに限定されている」=×。歩行補助杖のほか、手すり・スロープ・歩行器も対象です。
よくある質問(FAQ)
福祉用具貸与の対象種目には何がありますか?
車いす(付属品含む)、特殊寝台(付属品含む)、床ずれ防止用具、体位変換器、手すり(工事を伴わないもの)、スロープ(工事を伴わない持ち運び容易なもの)、歩行器、歩行補助杖、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト(つり具を除く)、自動排泄処理装置の13種目です。手すり・スロープ・歩行器・歩行補助杖・自動排泄処理装置以外は要介護2以上が対象で、排便機能を有する自動排泄処理装置は要介護4以上が対象です。
特定福祉用具販売の対象と購入費の上限はいくらですか?
腰掛便座(水洗ポータブルトイレ含む)、自動排泄処理装置の交換可能部品、排泄予測支援機器、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具部分、スロープ、歩行器、歩行補助杖の9種目です。購入費用は自己負担分を除き償還払いで保険給付され、年間(4月1日から12か月間)10万円が上限、同一年度で1品目1回の購入が原則です(破損などの事情がある場合を除く)。給付を受けるには市町村への申請が必要です。
貸与と販売の両方に載っている種目はありますか?
スロープ・歩行器・歩行補助杖の3種目は貸与と販売の両方の種目にあり、2024(令和6)年度から利用者が貸与か販売のいずれかを選択できる選択制が導入されています。選択にあたり、事業者は利用者への十分な説明と、多職種の意見や利用者の身体状況を踏まえた提案等を行います。
福祉用具専門相談員は何人必要ですか?
福祉用具貸与・特定福祉用具販売の事業所には、福祉用具専門相談員を常勤換算で2人以上配置する必要があります(1名以上ではありません)。資格要件は保健師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・義肢装具士、または専門講習修了者です。管理者は専従・常勤1人(支障がなければ兼務可)で、貸与と販売を一体的に運営する場合はどちらかの事業で人員基準を満たせばよいとされています。
要支援者は福祉用具を借りられますか?
介護予防福祉用具貸与により、手すり・スロープ・歩行器・歩行補助杖の4種目を借りられます。それ以外の種目は原則対象外ですが、医師の医学的な所見に基づき判断され、サービス担当者会議等を通じた適切なケアマネジメントにより必要と判断された場合は、市町村が確認することで給付が可能になります。
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