介護支援分野 > 第9講 要介護認定|申請から認定まで/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
第9講 はじめに
この講のゴール
介護保険のサービスを使うには、まず「あなたは介護が必要です」というお墨付き=要介護認定が要ります。この講では、申請から認定までの流れを順番に追います。
- 要介護状態・要支援状態とは何か(定義)
- 申請から認定までの全体の流れ
- 申請の代行・却下と、30日以内のルール
- 認定調査は誰が行い、何を調べるのか
第9講を始めましょう。要介護認定、サービスを使うための入口です。
介護保険のサービスを使うには、まず介護が必要だというお墨付き、要介護認定が要ります。
まず、要介護状態と要支援状態とは何かを押さえます。
次に、申請から認定までの全体の流れ。
申請の代行や却下、そして30日以内のルール。
最後に、認定調査は誰が行い、何を調べるのか。順番に見ていきましょう。
まず2つの状態の定義
要介護状態・要支援状態とは
介護保険の給付は、要介護状態または要支援状態になったときに行われます。2つの定義を分けて覚えましょう。
要介護状態
身体上・精神上の障害で、日常生活の基本動作の全部または一部に、6か月以上継続して常時介護を要すると見込まれる状態
要支援状態
要介護状態の軽減・悪化防止に特に支援を要する、または6か月以上継続して日常生活に支障があると見込まれる状態
介護保険の給付は、要介護状態か要支援状態になったときに行われます。
要介護状態は、障害のために日常生活の基本動作に、6か月以上継続して常時介護を要すると見込まれる状態。
要支援状態は、悪化防止に特に支援を要する、または6か月以上継続して日常生活に支障があると見込まれる状態です。
共通のキーワードは6か月以上。要介護は常時介護、要支援は支援を要する、と区別しましょう。
申請先は市町村(保険者)
認定がないと給付なし
サービスを使いたいと思っても、いきなり使えるわけではありません。あらかじめ認定を受ける必要があります。
サービスは、いきなり使えるわけではありません。あらかじめ認定を受ける必要があります。
申請先は、居住地の市町村。保険者である市町村に申請します。
市町村から、要介護・要支援に該当するという認定を受けて、はじめて給付が受けられます。認定が給付の前提です。
申請→調査→判定→通知
認定の流れ・全体図
申請から認定までは、次の順番で進みます。まず全体像をつかみましょう。
(市町村へ)
+主治医意見書
(コンピュータ)
(認定審査会)
(30日以内)
申請から認定までの全体像です。まず流れをつかみましょう。
①申請、②認定調査と主治医意見書、③一次判定。
④二次判定、⑤通知。通知は申請後30日以内です。
判定は2回あります。一次判定はコンピュータ、二次判定は介護認定審査会という人の会議。判定の中身は次の講で詳しく扱います。
本人以外も代行できる
申請と「申請代行」
申請は本人が行うのが基本ですが、代行(または代理)も認められています。誰が代行できるかは頻出です。
- 指定居宅介護支援事業者/地域密着型介護老人福祉施設
- 地域包括支援センター
- 成年後見人/民生委員/社会保険労務士
- 家族・親族等(代理申請)
申請は本人が基本ですが、代行や代理も認められています。誰ができるかは頻出です。
指定居宅介護支援事業者と、地域密着型介護老人福祉施設。
地域包括支援センター。
成年後見人、民生委員、社会保険労務士。
そして家族・親族等による代理申請です。
申請には介護保険被保険者証を添えます。証の交付がない第2号被保険者は、医療保険の被保険者証を添えます。
応じないと却下/延長もある
申請の却下と処理期間30日
申請すれば必ず通る、わけではありません。協力しないと却下されることもあります。
- 却下できる場合:正当な理由なく認定調査に応じないとき、または市町村が指定する医師等の診断を受けないとき
- 処理期間:原則申請から30日以内に認定する
- 延長:特別の理由があれば、30日以内に理由と見込み期間を通知したうえで延期できる
申請すれば必ず通るわけではありません。協力しないと却下されることもあります。
正当な理由なく認定調査に応じない、または市町村が指定する医師等の診断を受けないとき、申請を却下できます。
処理期間は、原則として申請から30日以内です。
ただし特別の理由があれば、30日以内に理由と見込み期間を通知したうえで、延期できます。
30日というキーワード。認定の期限であり、延長を知らせる期限でもあります。しっかり覚えましょう。
新規は原則市町村/更新は委託OK
認定調査は誰がやる?
申請者が要介護・要支援に当たるかを調べるのが認定調査。原則は市町村ですが、新規と更新で委託のルールが違います。
新規認定
市町村の職員が居宅を訪問・面接。例外として指定市町村事務受託法人に委託できる
更新認定
事務受託法人・指定居宅介護支援事業者・地域密着型介護老人福祉施設・介護保険施設・地域包括支援センター・介護支援専門員に委託できる
申請者が要介護・要支援に当たるかを調べるのが認定調査です。原則は市町村ですが、新規と更新で違います。
新規認定は、原則として市町村が行います。例外として、指定市町村事務受託法人に委託できます。
更新認定は委託の幅が広く、事務受託法人や居宅介護支援事業者、地域包括支援センター、介護支援専門員などに委託できます。
調査は、市町村の職員、たとえばケースワーカーや保健師が、申請者の居宅を訪問して面接して行います。
医学的な側面はお医者さんから
主治医意見書
認定調査とあわせて、もう一つの大事な材料が主治医意見書です。本人の状態を医学的な面から確認します。
- 全国一律の様式で、市町村が主治医に作成を求める
- 傷病・特定疾病の治療内容、心身の状態、認知症の状態、サービス提供時の医学的な留意点などを記載
- 主治医がいない場合は、市町村が指定する医師などの診断を受ける
認定調査とあわせて、もう一つの材料が主治医意見書です。状態を医学的な面から確認します。
全国一律の様式で、市町村が主治医に作成を求めます。
傷病や治療内容、心身の状態、認知症の状態、サービス提供時の医学的な留意点などを書きます。
主治医がいない場合は、市町村が指定する医師などの診断を受けます。
認定調査と主治医意見書。この2つが、このあとの判定の材料になります。
認定調査票で調べること(前半)
基本調査項目 ①〜④
認定調査では、決まった基本調査項目に沿って心身の状態を調べます。大きく7グループ。まず前半の4つです。
- ①身体機能・起居動作:寝返り、起き上がり、立ち上がり、歩行、視力、聴力 など
- ②生活機能:移乗、移動、食事摂取、排尿・排便、口腔清潔、着脱 など
- ③認知機能:意思の伝達、短期記憶、場所の理解、徘徊 など
- ④精神・行動障害:感情が不安定、昼夜逆転、介護への抵抗、ひどい物忘れ など
認定調査では、決まった基本調査項目に沿って状態を調べます。大きく7グループ、まず前半4つです。
①身体機能・起居動作。寝返り、起き上がり、立ち上がり、歩行、視力、聴力など。
②生活機能。移乗、移動、食事摂取、排尿・排便、口腔清潔、着脱など。
③認知機能。意思の伝達、短期記憶、場所の理解、徘徊など。
④精神・行動障害。感情が不安定、昼夜逆転、介護への抵抗、ひどい物忘れなど。
どの項目がどのグループか、がよく問われます。体の動き、頭のはたらき、精神面、とイメージで分けましょう。
認定調査票で調べること(後半)
基本調査項目 ⑤〜⑦と特別な医療
後半の3グループと、別枠の「特別な医療」です。
- ⑤社会生活への適応:薬の内服、金銭管理、日常の意思決定、買い物、簡単な調理 など
- ⑥特別な医療:過去14日間に受けた特別な医療
- ⑦日常生活自立度:障害高齢者・認知症高齢者の日常生活自立度
後半の3グループと、別枠の特別な医療です。
⑤社会生活への適応。薬の内服、金銭管理、日常の意思決定、買い物、簡単な調理など。
⑥特別な医療。過去14日間に受けた特別な医療です。
⑦日常生活自立度。障害高齢者と認知症高齢者の日常生活自立度を見ます。
特別な医療は、点滴の管理や透析、経管栄養、褥瘡処置などの12項目。過去14日間に看護職員等が行った診療補助行為が対象です。
ここまでが認定までの道のり
一次→二次→通知、そして有効期間
調査と意見書がそろうと、いよいよ判定です。流れの後半を整理します。
判定
審査会
30日以内
調査と意見書がそろうと、いよいよ判定です。後半を整理します。
一次判定はコンピュータ、二次判定は介護認定審査会。そして申請後30日以内に通知されます。
認定には有効期間があり、効力は申請日にさかのぼって生じます。切れる前に更新の手続きをします。流れは新規とほぼ同じです。
一次判定と二次判定の中身、どうやって要介護度が決まるのかは、次の第10講でじっくり扱います。
第9講 おつかれさまでした
まとめ & 次の講へ
第9講の要点です。「流れ」と「登場人物」をセットで覚えましょう。
- 2つの状態:要介護=6か月以上の常時介護/要支援=支援を要する
- 流れ:申請→認定調査+主治医意見書→一次判定→二次判定→通知(30日以内)
- 調査:新規は原則市町村、更新は委託OK。基本調査は7グループ
- 却下:調査・診断に応じないとき。30日がキーワード
第9講はこれで完了です。おつかれさまでした!
2つの状態。要介護は6か月以上の常時介護、要支援は支援を要する状態。
流れは、申請、認定調査と主治医意見書、一次判定、二次判定、通知。通知は30日以内。
調査は新規が原則市町村、更新は委託OK。基本調査は7グループでした。
却下は調査や診断に応じないとき。30日がキーワードです。次の講も頑張りましょう。
この講の一問一答(◯×8問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
要介護状態・要支援状態の判断では、「6か月以上継続して」という見込みが共通の要件となる。
答えと解説
◯ “6か月以上継続”は両者共通のキーワード。
要介護認定の申請先は、被保険者が居住する市町村である。
答えと解説
◯ 認定は給付の前提。申請先は保険者である市町村。
要介護認定は、一次判定(コンピュータ)と二次判定(介護認定審査会)の2段階で行われる。
答えと解説
◯ 客観性のため一次は機械、二次は専門家の審査会で確認・修正。
市町村は、申請に対して原則30日以内に認定結果を通知しなければならない。
答えと解説
◯ 特別な理由で延期するときは、30日以内に理由と見込み期間を通知する。
新規認定の認定調査は、原則として指定居宅介護支援事業者に委託して行う。
答えと解説
✕ 新規は原則市町村職員。委託できるのは指定市町村事務受託法人。居宅介護支援事業者等への委託は更新等。
更新認定の調査は、地域包括支援センターに委託することができる。
答えと解説
◯ 更新等の調査は、事務受託法人・居宅介護支援事業者・地域包括・介護支援専門員等に委託可。
主治医意見書は、市町村ごとに様式が定められている。
答えと解説
✕ 様式は全国一律。市町村が主治医に作成を依頼する。
認定の効力は、申請日にさかのぼって生じる。
答えと解説
◯ 認定までに時間がかかっても、効力は申請日にさかのぼる。
五肢複択
要介護認定の流れについて正しいものを2つ選べ。
- 要介護認定の申請は、被保険者が居住する市町村に行う。
- 一次判定は介護認定審査会が行う。
- 認定結果の通知は、申請から原則30日以内に行われる。
- 主治医意見書は、申請者本人が作成する。
- 認定の効力は認定日からのみ生じ、申請日にはさかのぼらない。
答えと解説
正解:1・3
1 正しい。申請先は保険者である市町村。
2 誤り。一次判定はコンピュータ。審査会が行うのは二次判定。
3 正しい。原則30日以内に通知。
4 誤り。市町村が主治医に作成を依頼する。
5 誤り。効力は申請日にさかのぼる。
認定調査・主治医意見書について正しいものを2つ選べ。
- 新規認定の調査は、原則として市町村の職員が行う。
- 更新認定の調査は、地域包括支援センターに委託できる。
- 主治医意見書の様式は、市町村ごとに定める。
- 認定調査票の「特別な医療」は、過去30日間に受けた医療をみる。
- 申請代行は、家族が行うことはできない。
答えと解説
正解:1・2
1 正しい。新規は原則市町村職員(例外で指定市町村事務受託法人に委託可)。
2 正しい。更新等は地域包括支援センター等に委託できる。
3 誤り。様式は全国一律。
4 誤り。特別な医療は過去14日間。
5 誤り。家族・親族のほか、居宅介護支援事業者・地域包括・成年後見人等も代行できる。