保健医療サービス分野 > 第26講 高齢者の特徴|老化・疾患の特徴・老年症候群/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
CH2 SEC1
第26講 高齢者の特徴
第2章に入ります。最初のテーマは「高齢者の特徴」。加齢で心身がどう変わり、病気がどう現れ、どんな症状群が出るかを学びます。
- ①身体的・心理的な特徴(老化)
- ②高齢者の疾患の特徴
- ③老年症候群(フレイル・サルコペニア・せん妄・誤嚥・失禁ほか)
- ④よく出る数字とひっかけ
第26講を始めましょう。ここから第2章、保健医療サービス分野です。最初のテーマは、高齢者の特徴です。
加齢で心と体がどう変わるか、病気がどう現れるか、そしてどんな症状のまとまりが出るかを学びます。
今日のゴールは4つです。
1つめ、身体的・心理的な特徴。老化のことです。
2つめ、高齢者の疾患の特徴。
3つめ、老年症候群。フレイルやサルコペニア、せん妄、誤嚥、失禁などのまとまりです。
4つめ、よく出る数字とひっかけです。
身体・心理の特徴
老化とは
加齢に伴う心身機能の低下を老化といいます。老化は、すべての人に起こる不可逆的な変化です。
- 生理的老化=加齢による自然な老化
- 病的老化=病気などが原因で生理的老化が加速し、病的状態を引き起こす
まず老化です。加齢に伴って心と体の働きが落ちることを、老化といいます。これは、すべての人に必ず起こる、元には戻らない変化です。
老化には2種類あります。1つは生理的老化。加齢による、自然な老化です。
もう1つは病的老化。病気などが原因で、生理的老化が加速して、病的な状態を引き起こすことです。生理的と病的、この2つの区別が問われます。
皮膚・運動・骨
身体的機能の特徴①
老化による身体的機能の特徴です。
- 皮膚の乾燥・脱水…体内の水分貯蔵量が少なく、乾燥や脱水をまねきやすい
- 運動機能の低下…関節液の減少・関節可動域の縮小で、負荷による炎症や変形
- 骨折しやすい…骨量・筋肉量の減少、骨密度の低下
老化で体の働きはこう変わります。
まず皮膚の乾燥や脱水。若い人に比べて体の中にためておける水分が少なく、乾燥したり脱水になりやすくなります。
運動機能も落ちます。関節の液が減り、動かせる範囲が狭くなって、負荷による炎症や変形が起きやすくなります。
そして骨折しやすくなります。骨や筋肉の量が減り、骨密度が下がるためです。
視力・聴力・皮膚感覚
身体的機能の特徴②
- 視力・聴力の低下…近くが見えにくい(老眼)、高音域が聞き取りにくい、感音性難聴が多い(とくに男性)
- 皮膚感覚の低下…触覚・痛覚・温度感覚が鈍くなる
感覚も鈍くなります。視力と聴力では、近くが見えにくくなる老眼、それと高い音が聞き取りにくくなります。感音性の難聴が多く、とくに男性に多くみられます。
皮膚の感覚も低下します。触った感じ、痛み、温度の感覚などが鈍くなります。
循環・呼吸・消化・排せつ・防衛
生理的機能の特徴
体の中の働き、生理的機能の特徴です。
- 血圧上昇…動脈硬化で血圧が上がり、負荷で心臓が肥大
- 肺活量低下…肺の萎縮・弾力性低下で息切れしやすい
- 消化機能低下…消化液の減少、胃腸の運動低下、咀嚼・嚥下反射の低下で、むせ・便秘
- 排せつ機能低下…尿の濃縮機能低下、膀胱萎縮で排尿間隔が短くなる
- 防衛機能低下…抵抗力が衰え感染しやすく、復元力も衰え回復しにくい
体の中の働き、生理的機能も変わります。
血圧は上がりやすくなります。動脈硬化で血圧が上がり、その負荷で心臓が大きくなります。
肺活量は低下します。肺が縮んで弾力が落ち、息切れしやすくなります。
消化機能も低下します。消化液が減り、胃腸の動きや、噛む・飲み込む反射が落ちて、むせやすく、便秘になりやすくなります。
排せつの機能も落ちます。尿を濃くする力が落ち、膀胱が縮んで、排尿の間隔が短くなります。
そして防衛機能の低下。抵抗力が衰えて感染しやすく、回復する力も衰えて、治りにくくなります。
学習・記銘・適応・意欲
精神的機能の特徴
- 学習効率の低下/記銘力・想起力の低下
- 適応力の低下
- 活動意欲の低下
心の働き、精神的機能も変わります。新しいことを覚える効率が落ち、覚える力や思い出す力も低下します。
環境の変化に合わせる適応力も低下します。
そして、活動への意欲も低下します。
ただし、これらは老化に伴う変化です。認知症のような病気とは分けて考えます。
複数化・個人差・慢性化
高齢者の疾患の特徴①
ここから高齢者の疾患の特徴です。心身機能が落ちると、病気の現れ方も変わります。
- 複数化…一人で多くの疾患を併せもつ(腎臓も肝臓も、など)
- 個人差…症状や経過の個人差が大きい
- 慢性化…治療が長引き慢性化、後遺症も残りやすい
ここから、高齢者の疾患の特徴です。心と体の働きが落ちると、病気の現れ方も変わってきます。
1つめ、複数化。腎臓も肝臓も悪い、というように、一人でいくつもの病気を併せもちます。
2つめ、個人差。症状や経過の個人差が大きくなります。
3つめ、慢性化。同じ病気でも治療が長引いて慢性化し、後遺症も残りやすくなります。
症状・反応が異なる
高齢者の疾患の特徴②
- 症状が非定型的(診断基準どおりに出ない)
- 薬に対する反応が特徴的で、成人と異なる
- 防御機能の低下により、治りにくい
もう一つの特徴は、症状と反応が成人と違うこと。まず、症状が非定型的、つまり診断基準どおりにはっきり出ないことがあります。
薬に対する反応も特徴的で、成人とは異なります。
そして防御機能が落ちているため、治りにくくなります。
75歳以上で顕著
「非定型的」な症状
「非定型的」とは、徴候がはっきりしないこと。とくに75歳以上の後期高齢者で顕著です。
- 例:心不全でも呼吸音などの徴候が出ず、食欲低下や元気のなさが目立つ
- 例:肺炎でも発熱・せき・痰が出ないことがある
- ふだんと違うようす(食欲不振・失禁・倦怠感)→ 背後に病気が隠れている可能性を考える
非定型的、という言葉を押さえましょう。これは、病気の徴候がはっきりしないこと。とくに75歳以上の後期高齢者で目立ちます。
たとえば、心不全なのに呼吸の音などの徴候が出ず、食欲が落ちる、元気がない、といったことが前面に出ます。
肺炎なのに、発熱やせき、痰が出ないこともあります。
ですから、ふだんと違うようす、食欲不振や失禁、だるさなどがあれば、背後に何か病気が隠れていないかを考えることが大切です。
多剤併用/予後
薬への反応・予後
- 薬の副作用が出やすい…慢性疾患や複数の疾患で多剤併用になりやすいため
- 老年症候群があり、典型的な症状がわかりにくく発見が遅れやすい
- 予後が社会的・環境的要因に左右されることが多い
薬についても特徴があります。高齢者は薬の副作用が出やすくなります。慢性の病気や複数の病気で、飲む薬が多くなる、多剤併用が原因です。
また、あとで学ぶ老年症候群があるため、典型的な症状がわかりにくく、発見が遅れがちです。
そして予後、つまり病気のこの先の経過は、社会的な要因や環境的な要因に左右されることが多くなります。
ひっかけです。高齢者の疾患の特徴として、予後は社会的要因に影響されない。これはバツ。社会や環境の要因に影響されることが多い、が正解です。第22回で出ました。
老年症候群
老年症候群とは
老年症候群とは、加齢による心身機能の低下によって引き起こされる、さまざまな症状・病態のことです。
- 例:フレイル・サルコペニア/せん妄・意識障害/認知機能障害/低栄養・食欲不振/脱水/起立性低血圧/めまい・ふらつき/廃用症候群/尿失禁/誤嚥・嚥下障害/転倒・転落/便秘/骨折・骨粗鬆症 など
- 原因が多様ではっきりせず、治療よりも予防と適切な対応が重要
ここから老年症候群です。老年症候群とは、加齢による心と体の働きの低下によって引き起こされる、さまざまな症状や病態のまとまりをいいます。
含まれるものは幅広く、フレイルやサルコペニア、せん妄、認知機能障害、低栄養、脱水、起立性低血圧、めまい・ふらつき、廃用症候群、尿失禁、誤嚥、転倒・転落、便秘、骨折、骨粗鬆症など、多数あります。
これらは原因が多様ではっきりせず、治療よりも予防と適切な対応が重要になります。ここがポイントです。
改訂J-CHS基準
①フレイル
①フレイル(虚弱)…筋力や活動が低下した状態。健康と要介護の中間。進行すると寝たきりや廃用症候群のおそれ。
- 改訂J-CHS基準(5項目):体重減少(6か月で2kg以上)/筋力低下(握力 男<28kg・女<18kg)/疲労感/歩行速度(<1.0m/秒)/身体活動
- 3項目以上でフレイル、1〜2項目でプレフレイル
- 対応:適度な運動・適切な食事・社会活動。健康な状態に戻ることも可能(後期高齢者の健診でチェック)
1つめ、フレイル。日本語で虚弱です。筋力や活動が落ちた状態で、健康と要介護の中間にあたります。進行すると寝たきりや廃用症候群になるおそれがあります。
判定には改訂日本版CHS基準、改訂ジェイチェイチエス基準という5項目を使います。体重減少、6か月で2キロ以上。筋力低下、握力が男性28キロ未満、女性18キロ未満。疲労感。歩行速度、毎秒1.0メートル未満。そして身体活動の5つです。
このうち3項目以上あればフレイル、1から2項目であればプレフレイルとみなされます。
対応は、適度な運動、適切な食事、社会活動への参加です。フレイルになっても、健康な状態に戻ることは十分可能です。だから後期高齢者の健診で、フレイルのチェックが重要になります。
筋肉減弱症/ロコモ
②サルコペニア
②サルコペニア(筋肉減弱症)…加齢による骨格筋量の減少。
- 診断:筋肉量の減少が必須+筋力低下または身体能力低下のいずれか
- ロコモティブシンドローム(運動器の障害で移動機能低下)もフレイルの一部
- 対応:筋力トレ・適切な食事。肥満や極端なやせも筋肉低下を招くため体重管理
2つめ、サルコペニア。筋肉減弱症ともいい、加齢に伴って骨格の筋肉量が減ることです。
診断は、筋肉量の減少が必須で、これに筋力の低下、または身体能力の低下のどちらかが加わった場合です。
また、骨や関節など運動器の障害で移動機能が落ちた状態をロコモティブシンドロームといい、これもフレイルの一部とされています。
対応は、筋力トレーニングと適切な食事。肥満でも極端なやせでも筋肉は低下するので、体重管理も大切です。
夜間・薬剤が最多原因
③せん妄
③せん妄…夜間に多く、意識混濁や幻覚(幻視が多い)、妄想や興奮。認知症と合併・混同されやすい。
- 原因:薬剤の影響が最も多い。脳疾患・全身疾患・脱水・不眠・環境変化など
- 経過:通常3日〜1週間で消失。原因薬剤の除去・疾患治療
- 昼夜逆転時は日中に活動し夜に眠れるよう配慮(=日中は眠らせない)
3つめ、せん妄。夜間に多く起こり、意識が混濁したり、幻覚、とくに幻視が多いのですが、それに基づく妄想や興奮が出ます。認知症と合併しやすく、混同されやすい点に注意です。
原因は、薬剤の影響であることが一番多く、ほかに脳の疾患、全身の疾患、脱水や不眠、環境の変化などがあります。
経過は、通常3日から1週間ほどで症状は消失します。原因となる薬剤を除いたり、もとの病気を治療します。
ひっかけ注意です。昼夜が逆転している場合は、昼間に適度な刺激や散歩などの活動をして、夜に眠れるよう配慮します。つまり、日中は眠らせないようにします。
生活不活発病・悪循環
④廃用症候群
④廃用症候群(生活不活発病)…活動性の低下で生じる身体・精神機能の全般的低下。筋萎縮・関節拘縮・褥瘡・起立性低血圧・認知機能障害・失禁・抑うつなど。
- 悪循環:活動性低下→気力低下→さらに身体活動が減り→機能が崩れていく
- 対応:長期安静時も注意。ベッド上での関節可動域訓練・筋力トレで、できる限り体を動かす
4つめ、廃用症候群。生活不活発病ともいいます。活動性が低下することで生じる、身体と精神の機能の全般的な低下です。筋肉の萎縮、関節の拘縮、褥瘡、起立性低血圧、認知機能障害、失禁、抑うつなどが生じます。
これは悪循環をきたしやすいのが特徴です。何らかの原因で活動性が下がると、気力が失われ、さらに身体活動が減り、徐々に身体機能が崩れていきます。
対応として、骨折や病気で長期間安静が必要なときも注意が必要です。ベッドの上での関節可動域訓練や筋力トレーニングなど、できる限り体を動かすことが重要です。
誤嚥性肺炎に注意
⑤誤嚥
⑤誤嚥…飲食物や分泌物などの異物が気道に入ること。筋力低下、嚥下反射・せき反射の低下が原因。
- 高齢者では自覚のない不顕性誤嚥の繰り返しも。誤嚥性肺炎を招きやすく、発熱の原因・死因にも
- 対応:口腔ケア・栄養改善・食事形態の工夫・食事の姿勢・嚥下訓練
5つめ、誤嚥。飲食物や分泌物などの異物が気道に入ることです。筋力の低下や、飲み込む反射、せきの反射の低下が原因になります。神経の疾患や薬剤、寝たきりの状態も要因です。
むせ、せき、痰、発熱などがみられますが、高齢者では自覚のない不顕性誤嚥が繰り返されることもあります。誤嚥は誤嚥性肺炎を引き起こすことも多く、高齢者の発熱の原因や死因として注意が必要です。
予防は、口腔ケア、栄養状態の改善、食事の形態の工夫、食事の姿勢の調整、そして嚥下訓練などです。
めまいは“生じる”
⑥脱水
⑥脱水…体内水分貯蔵量の減少、口の渇きを感じにくい、利尿薬の服用などでリスク大。
- 症状:めまい・ふらつき(立ちくらみ)・全身倦怠感・頭痛・吐き気・食欲不振、皮膚の緊張低下。進行で意識障害
- 対応:室温・飲食量・尿量に注意し、こまめに水分補給。自分で飲めない人には介助
6つめ、脱水。体の中にためる水分が減ること、口の渇きを感じにくいこと、利尿薬の服用などで、高齢者は脱水のリスクが大きくなります。認知機能やADLの低下で、自分で水を飲めず脱水になることもあります。
脱水が強くなると、めまいやふらつきなどの立ちくらみ、全身のだるさ、頭痛、吐き気、食欲不振が生じます。皮膚をつまむと戻りが遅い、皮膚の緊張の低下もみられ、進行すると意識障害を起こすことがあります。
対応は、居室の温度や飲食量、尿量に注意して、こまめに水分補給をすること。自分で飲むのが難しい人には介助も必要です。
寝酒は中途覚醒の原因
⑦不眠
⑦不眠…加齢で睡眠時間が短く・浅くなり、中途覚醒・早朝覚醒が増える。睡眠時無呼吸・レストレスレッグス症候群(むずむず脚)も要因。
- 対応:日中に適度な運動、昼寝は短く、生活リズムを整える、快適な入眠環境
- 睡眠薬は習慣的使用・多用に注意。寝酒は中途覚醒の原因・深い睡眠を妨げる
7つめ、不眠。加齢とともに夜の睡眠時間が短くなり、眠りが浅くなって、中途覚醒や早朝覚醒が増えます。睡眠時無呼吸や、むずむず脚症候群、レストレスレッグス症候群なども不眠の原因になります。
対応は、日中に適度な運動をする、昼寝の時間を短くする、昼と夜の生活リズムを整える、照明や温度、寝具で快適な入眠環境を整えることです。
睡眠薬を使う場合は、習慣的な使用や多用に注意します。寝酒は、中途覚醒の原因になったり、深い睡眠を妨げたりすることがあるので注意です。
切迫性・腹圧性・溢流性・機能性
⑧失禁(尿失禁の分類)
⑧失禁…尿失禁は主に4つに分類され、対応が異なります(介助は尊厳に配慮)。
- 切迫性…脳血管障害・尿路感染など。急な強い尿意・頻尿で間に合わず失禁 → 膀胱訓練
- 腹圧性…多産・尿道括約筋不全など。くしゃみ等の腹圧上昇で失禁 → 骨盤底筋訓練
- 溢流性…前立腺肥大・尿路閉塞など。あふれて少しずつ漏れる → 手術・薬物・自己導尿
- 機能性…尿路に異常なく、認知症・ADL低下でトイレが分からず失禁 → 排尿訓練
8つめ、失禁です。自分の意思に反して尿や便をトイレ以外で出してしまうことで、尿失禁と便失禁があります。尿失禁は主に4つに分類され、対応が異なります。介助では尊厳を傷つけない配慮が必要です。
1つめ、切迫性尿失禁。脳血管障害や尿路感染症などが原因で、急な強い尿意と頻尿でトイレに間に合わず失禁します。対応は、排尿をがまんして膀胱の容量を増やす膀胱訓練です。
2つめ、腹圧性尿失禁。多産の女性や、尿道括約筋の不全などで、くしゃみなど急な腹圧の上昇で失禁します。対応は、肛門などを締める骨盤底筋訓練です。
3つめ、溢流性尿失禁。前立腺肥大や尿路の閉塞などで、膀胱から尿があふれて少しずつ漏れます。対応は、手術や薬物療法、自己導尿です。
4つめ、機能性尿失禁。尿路には異常がなく、認知症やADLの低下でトイレの場所が分からず、間に合わずに失禁します。対応は排尿訓練などです。
このほか、脊髄損傷などによる反射性尿失禁もあります。膀胱に尿がたまっても尿意を感じられず、反射的に漏れてしまうものです。
要点とひっかけ総ざらい
第26講 まとめ
高齢者の特徴、おつかれさまでした。最後に要点とひっかけを総ざらいします。
- 老化=生理的(自然)と病的(病気で加速)。疾患は複数化・個人差・慢性化・非定型
- 老年症候群は予防と対応が要。フレイル=健康と要介護の中間(3項目以上)
- ひっかけ:脱水でめまいは生じる(第24回)/強い尿意は切迫性=腹圧性ではない(第24回)/夜間せん妄は日中眠らせない(第27回)
第26講のまとめです。高齢者の特徴、おつかれさまでした。最後に要点とひっかけを総ざらいします。
老化には、生理的老化と病的老化。高齢者の疾患は、複数化・個人差・慢性化、そして非定型でした。
老年症候群は、治療より予防と対応が大切。フレイルは健康と要介護の中間で、改訂ジェイチェイチエス基準の3項目以上で判定でしたね。
ひっかけの確認です。脱水ではめまいやふらつきは生じます。強い尿意とともに漏れるのは切迫性で、腹圧性ではありません。夜間にせん妄が出る人は、日中は眠らせないようにします。いずれも過去問のバツ問題です。
解説記事で読んで復習したい人は、下のリンクからどうぞ。
この講の一問一答(◯×11問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
老化には生理的老化と病的老化があり、病的老化とは病気などで生理的老化が加速した状態をいう。
答えと解説
◯ ○。生理的老化は加齢による自然な老化。老化自体はすべての人に起こる不可逆的な変化。
高齢者では、体内の水分貯蔵量が多いため口渇が感じられにくい。
答えと解説
✕ ×(第12回)。水分貯蔵量は少なく、口渇中枢の機能低下もあって口渇を感じにくく、脱水のリスクが高い。
加齢に伴い、膀胱の萎縮などによって排尿間隔は短くなる。
答えと解説
◯ ○。尿の濃縮機能の低下や膀胱の萎縮で、排尿間隔が短くなり排尿障害も起こりやすい。
高齢者の疾患の特徴として、予後は社会的要因に影響されない。
答えと解説
✕ ×(第22回)。予後は社会的・環境的要因に影響されることが多い。
フレイルとは、健康な状態と介護を要する状態の中間的な状態である。
答えと解説
◯ ○(第26回)。改訂J-CHS基準(体重減少・筋力低下・疲労感・歩行速度・身体活動)の3項目以上で評価。
サルコペニアとは、加齢に伴う筋力の低下や筋肉量が減少した状態をいう。
答えと解説
◯ ○(第28回)。筋肉量の減少を必須として、筋力低下または身体能力低下のいずれかを併せもつ場合に診断。
夜間にせん妄を起こす高齢者には、日中の睡眠を十分にとらせる。
答えと解説
✕ ×(第27回)。昼夜逆転で夜にせん妄が出やすくなるため、日中は眠らせないようにする。
廃用症候群とは、日常生活での活動性の低下に伴って生じる身体的・精神的機能の全般的低下をいう。
答えと解説
◯ ○(第7回)。改善・予防には、できる限り日常生活を活動的にすることが重要。
誤嚥とは、飲食物や唾液、胃の内容物が気管内に入ることをいう。
答えと解説
◯ ○(第25回)。嚥下反射やせき反射の低下が原因。誤嚥性肺炎を招きやすい。
脱水があっても、めまいやふらつきは生じない。
答えと解説
✕ ×(第24回)。立ちくらみや全身倦怠感などが生じ、進行すると意識障害を引き起こすことがある。
強い尿意とともに尿が漏れることを、腹圧性尿失禁という。
答えと解説
✕ ×(第24回)。記述は切迫性尿失禁の説明。腹圧性はくしゃみなどの急な腹圧上昇によるもの。
五肢複択
高齢者の特徴について正しいものはどれか。3つ選べ。
- 老化は一部の人にのみ起こる変化である
- 病的老化とは、病気などで生理的老化が加速した状態である
- 高齢者は、薬の副作用が出にくい
- 高齢者の疾患は、複数化・慢性化しやすい
- 疾患の予後は、社会的・環境的要因に左右されることが多い
答えと解説
正解:2・4・5
1 誤り。老化はすべての人に起こる不可逆的な変化。
2 正しい。
3 誤り。多剤併用などで副作用が出やすい。
4 正しい。
5 正しい。
老年症候群について正しいものはどれか。3つ選べ。
- フレイルは、改訂J-CHS基準の3項目以上で判定される
- せん妄の原因は、薬剤の影響が最も多い
- 脱水では、めまいやふらつきは生じない
- 切迫性尿失禁は、急な強い尿意により間に合わず失禁する
- 腹圧性尿失禁の対応は、自己導尿が基本である
答えと解説
正解:1・2・4
1 正しい。
2 正しい。
3 誤り。脱水では立ちくらみ・全身倦怠感などが生じる。
4 正しい。
5 誤り。腹圧性は骨盤底筋訓練。自己導尿は溢流性尿失禁の対応。