保健医療サービス分野 > 第27講 医学的診断・医療連携|IC・EBM・NBM/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
CH2 SEC2
第27講 医学的診断の理解、医療との連携
ケアマネ自身が診断や治療をするわけではありませんが、医師がどう診断・治療を進めるかを理解し、利用者の自己決定とケアプランにつなげます。
- ①医学的診断のプロセスとインフォームド・コンセント
- ②EBMとNBM
- ③医療との連携(入院前〜退院時)
第27講を始めます。第2章の2つめ、医学的診断の理解と、医療との連携です。
ケアマネ自身が診断や治療をするわけではありませんが、医師がどう診断・治療を進めるかを理解し、利用者の自己決定とケアプランにつなげます。
ポイントは3つ。
1つめ、医学的診断のプロセスと、インフォームド・コンセント。
2つめ、イービーエムとエヌビーエム。
3つめ、医療との連携。入院や退院のときの動きです。
聴取→検査→診断→治療
医学的診断のプロセス
医師などの医療職が診断を確定し、治療を始めるまでの流れです。
- 主訴(主要な症状)と現病歴(主訴の経過)を聴取
- 既往歴(過去の病歴)・家族歴を確認 → 検査を判断・実施 → 診断確定 → 治療開始
- 診察・検査は身体的負担が小さいものから行うのが原則
まず医学的診断のプロセスです。
医療職は、患者の主訴、つまり主要な症状と、現病歴、その経過を聴き取ることから始めます。
次に既往歴、過去の病歴や家族歴を確認し、必要な検査を判断して検査を行い、診断を確定してから治療を開始します。
診察や検査は、患者の身体的な負担が小さいものから行うのが原則です。
=説明と同意
インフォームド・コンセント
この診断プロセス全体で必要になるのがインフォームド・コンセント=「説明と同意」です。
- 検査の前…必要な検査を説明し同意を得て実施
- 治療の前…結果・予後・治療内容を説明し同意を得て開始
この診断のプロセス全体で必要になるのが、インフォームド・コンセントです。日本語で「説明と同意」のことです。
検査の前には、必要な検査の説明をして、同意を得てから検査を実施します。
そして検査の結果と、予後や治療の内容を説明して、同意を得たうえで、治療を開始します。
検査でも同意が必要
ICはどこで必要?
- プロセス図では「病歴聴取〜検査の説明」と「結果・予後・治療の説明」がICにあたる
診断のプロセス図でいうと、病歴の聴取から検査の説明までと、結果・予後・治療の説明のところが、インフォームド・コンセントにあたります。
ここでひっかけ。検査を行う際には、インフォームド・コンセントは不要である。これはバツ。
検査においても、その必要性を説明し、同意を得て検査をします。第28回で出ました。
本人が決める
治療法の選択と自己決定
どの治療を選ぶかも、説明と同意のうえで本人が決めます。
- 治療には手術・薬物療法のほか運動療法・食事療法などがある
- どの治療を選ぶかは、十分な説明を受けたうえで患者本人が決定
- 認知機能が低下していても、家族など代理人の立会いのもと、本人の理解力に応じたわかりやすい言葉で説明し同意を得る
治療法の選び方も押さえましょう。
治療には、手術や薬物療法のほかに、運動療法や食事療法など、さまざまな方法があります。
どの治療を選ぶかは、十分に説明を受けたうえで、患者本人が決定する必要があります。
認知機能が低下している場合でも、家族など代理人の立会いのもと、本人の理解力に応じたわかりやすい言葉で説明し、同意を得るようにします。
Evidence Based Medicine
EBM(根拠に基づく医療)
診断・治療の考え方として、EBMとNBMがあります。
- EBM=根拠に基づく医療。医師個人の経験だけでなく科学的な根拠に基づいて行う
- EBMは統計学的な確率論であり、すべての患者に有効とは限らない
次に、イービーエムとエヌビーエムです。診断や治療の進め方の考え方です。
イービーエム、エビデンス・ベースド・メディスンは、根拠に基づく医療のこと。医師個人の経験だけに頼るのではなく、科学的な根拠に基づいて行う医療です。
ただしイービーエムは、統計学的な思考に基づく確率論であり、すべての患者に有効とは限りません。
Narrative Based Medicine
NBM(物語りと対話に基づく医療)
NBMは、EBMを補完するアプローチです。
- NBM=物語りと対話に基づく医療。個々の人間の感じ方や考え方に耳を傾け、自己決定を促す
そして、イービーエムを補完するのがエヌビーエムです。
エヌビーエム、ナラティブ・ベースド・メディスンは、物語りと対話に基づく医療。個々の人間の感じ方や考え方に耳を傾けて、自己決定を促します。
ひっかけ。科学的な根拠に基づいた医療をエヌビーエムという。これはバツ。記述はイービーエムのことです。エヌビーエムは、個々の感じ方に耳を傾け自己決定を促す医療。第23回で出ました。
入退院時の連携
医療との連携
近年は、医療と介護の連携にポイントをおいた運営基準等の改正が行われています。
- 利用者の入院・退院時に、ケアマネに求められる医療連携を流れで押さえる
- ICに基づく自己決定支援・生活支援のためのケアプラン作成につなげる
3つめ、医療との連携です。
近年は、医療と介護の連携にポイントをおいた運営基準などの改正が行われています。利用者の入院や退院のときに、ケアマネに求められる医療連携を、流れで見ていきます。
医療職の診断プロセスを理解し、説明と同意に基づく自己決定の支援、生活支援のためのケアプラン作成につなげることが大切です。
情報連携シート
入院前・入院時の連携
- 入院前…サービス提供開始時に、利用者・家族へ、入院した際はケアマネの名前などを病院側に伝えるよう依頼
- 入院時…病院に利用者・家族の情報提供(入院時情報連携シート、本人の思いや希望、生活史、制度の利用状況など)
まず入院前。サービスの提供を始めるときに、利用者や家族に対して、入院した際にはケアマネの名前などを病院側に伝えるよう、依頼しておきます。
入院時は、病院に利用者・家族の情報提供をします。入院時情報連携シートを使い、本人の思いや希望、生活史、制度の利用状況などを伝えます。
退院前カンファレンス
退院前・退院時の連携
- 退院前…病院主催の退院前カンファレンスに出席。打ち合わせ内容を退院・退所情報記録書等にまとめる
- 退院時…退院当日に利用者宅でサービス担当者会議を開く等で情報共有。退院後も利用者の状況を病院に報告
退院前は、病院主催で行われる退院前カンファレンスに出席します。退院準備の進み具合や、医療処置・介護方法、退院時の対応などの打ち合わせ内容を、退院・退所情報記録書などにまとめておきます。
退院時は、退院当日に利用者の家でサービス担当者会議を開くなどして情報を共有します。退院した後も、利用者の状況を病院に報告します。
要点とひっかけ
第27講 まとめ
第27講のまとめです。
- 医学的診断は主訴・現病歴の聴取から。検査も治療も「説明と同意」=ICが必要
- EBM=根拠に基づく医療/NBM=物語りと対話に基づく医療(EBMを補完)。取り違えに注意
- 医療連携は入院前・入院時・退院前・退院時。退院前カンファレンスへの出席がカギ
第27講のまとめです。
医学的診断は、主訴・現病歴の聴き取りから始まり、検査も治療も「説明と同意」、インフォームド・コンセントが必要でした。
イービーエムは根拠に基づく医療、エヌビーエムは物語りと対話に基づく医療で、イービーエムを補完します。取り違えに注意。
医療連携は、入院前・入院時・退院前・退院時の流れ。退院前カンファレンスへの出席がポイントでした。
解説記事で読んで復習したい人は、下のリンクからどうぞ。
この講の一問一答(◯×11問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
インフォームド・コンセントとは、「説明と同意」のことである。
答えと解説
◯ ○。検査も治療も、説明して同意を得てから実施・開始する。
検査を行う際には、インフォームド・コンセントは不要である。
答えと解説
✕ ×(第28回)。検査においても必要性を説明し、同意を得て検査をする。
医学的診断では、診察・検査は身体的負担が小さいものから行うのが原則である。
答えと解説
◯ ○。主訴・現病歴の聴取→既往歴・家族歴の確認→検査→診断確定→治療の流れ。
どの治療法を選択するかは、患者本人ではなく医師が単独で決定する。
答えと解説
✕ ×。十分な説明を受けたうえで患者本人が決定する。
認知機能が低下している患者には、説明や同意の手続きは行わない。
答えと解説
✕ ×。家族など代理人の立会いのもと、本人の理解力に応じて説明し、同意を得る。
EBMとは、医師個人の経験のみに基づいて行う医療のことである。
答えと解説
✕ ×。EBMは科学的な根拠に基づく医療。経験だけに頼らない点がポイント。
EBMは統計学的な確率論であり、すべての患者に有効とは限らない。
答えと解説
◯ ○。だからこそ、個々の感じ方に耳を傾けるNBMが補完として重視される。
科学的な根拠に基づいた医療をNBMという。
答えと解説
✕ ×(第23回)。記述はEBM。NBMは物語りと対話に基づき、自己決定を促す医療。
退院前には、病院主催の退院前カンファレンスに出席する。
答えと解説
◯ ○。打ち合わせ内容を退院・退所情報記録書などにまとめておく。
入院時には、入院時情報連携シートなどで利用者・家族の情報を病院に提供する。
答えと解説
◯ ○。本人の思いや希望、生活史、制度の利用状況などを共有する。
退院時には情報共有は行わず、退院後の病院への報告も不要である。
答えと解説
✕ ×。退院当日に利用者宅でサービス担当者会議を開く等で共有し、退院後も状況を病院に報告する。
五肢複択
医学的診断とインフォームド・コンセントについて正しいものはどれか。3つ選べ。
- インフォームド・コンセントとは「説明と同意」のことである
- 検査を行う際には、インフォームド・コンセントは不要である
- 診察・検査は、身体的負担が小さいものから行うのが原則である
- どの治療を選ぶかは、十分な説明を受けたうえで患者本人が決定する
- 認知機能が低下した患者には、一切説明をしない
答えと解説
正解:1・3・4
1 正しい。
2 誤り。検査でも説明し同意を得る(第28回)。
3 正しい。
4 正しい。
5 誤り。代理人立会いのもと、理解力に応じて説明し同意を得る。
EBM・NBM・医療連携について正しいものはどれか。3つ選べ。
- EBMは、科学的な根拠に基づく医療である
- NBMは、物語りと対話に基づき自己決定を促す医療である
- EBMは、すべての患者に有効な万能の医療である
- 退院前カンファレンスへの出席は、入院前の連携である
- 入院時には、入院時情報連携シートで情報提供する
答えと解説
正解:1・2・5
1 正しい。
2 正しい。
3 誤り。EBMは確率論で、すべての患者に有効とは限らない。
4 誤り。退院前カンファレンスへの出席は「退院前」の連携。
5 正しい。