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高齢者に多い疾病|脳血管・パーキンソン・心疾患・糖尿病・感染症ほか

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保健医療サービス分野 > 第30講 高齢者に多い疾病|脳血管・パーキンソン・心疾患・糖尿病・感染症ほか/全文

この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。

CH2 SEC5

第30講 高齢者に多い疾病

高齢者によくみられる病気を、からだの系統(部位)ごとに、一つひとつていねいに見ていきます。試験では「その病気が介護保険の特定疾病かどうか」と、症状・数字のひっかけがねらわれます。丸暗記ではなく「なぜそうなるか」から押さえましょう。

第30講を始めましょう。テーマは、高齢者に多い疾病です。

この講では、高齢者によくみられる病気を、からだの系統、つまり部位ごとに、一つひとつていねいに見ていきます。数が多い単元ですが、系統で整理すれば必ず覚えられます。

試験で問われるのは2つ。1つは、その病気が介護保険の特定疾病かどうか。もう1つは、症状や数字のひっかけです。ただ覚えるのではなく、なぜそうなるか、という仕組みから押さえると、ひっかけにも強くなります。

今日の地図です。1つめ、脳と神経の病気。

2つめ、骨と関節の病気。

3つめ、循環器と代謝の病気。

4つめ、消化器、腎臓、呼吸器、皮膚、感覚器。

そして最後に、全体を通して問われる特定疾病と、高齢者ならではのひっかけを整理します。それでは始めましょう。

脳・神経の疾患

脳血管疾患①(種類と原因)

脳は、酸素や栄養を運ぶ血液が少し止まるだけでも障害を受けます。その脳の血管が「詰まる」か「破れる」かで起こるのが脳血管疾患(脳卒中)。介護保険の特定疾病です。

特定疾病脳血管疾患は、40〜64歳の第2号被保険者でも給付対象になる特定疾病。だから「何歳で発症したか」が問われやすい。

まずは脳と神経の病気から。最初は、脳血管疾患、いわゆる脳卒中です。

大前提として、脳は血液が少し止まるだけでも、すぐに障害を受けます。その脳の血管が、詰まるか、破れるか。この2つで大きく分かれる、と覚えてください。

詰まるほうが、脳梗塞。さらに2つに分かれます。その場の血管に血栓が詰まるのが脳血栓。心臓などでできた血栓が、流れてきて詰まるのが脳塞栓です。

破れるほうが、脳出血。これも2つ。脳の中で血管が破れるのが脳内出血。脳の動脈にできたコブ、脳動脈瘤が破れるのが、くも膜下出血です。

そして、これらすべての最大の原因が動脈硬化。血管が硬く、もろくなる状態です。それを進めるのが、高血圧、高血糖、喫煙、多量の飲酒。この4つが危険因子で、よく問われます。

血管が硬くもろくなれば、詰まりやすく、破れやすくなる。だから危険因子を減らすことが予防になる、という理屈です。

なお脳血管疾患は、40歳から64歳の第2号被保険者でも給付対象になる、特定疾病です。だからこそ、何歳で発症したか、が問われやすい点も押さえましょう。

脳・神経の疾患

脳血管疾患②(後遺症と再発予防)

脳のどこがやられるかで、残る障害が変わります。主な後遺症と、なぜ再発予防が大切かを押さえます。

数字とつながり発症から3年以内に1〜2割が再発し、再発すると後遺症が重くなり、血管性認知症の原因にもなる。だから初回の後の予防が勝負。

脳血管疾患の後遺症を見ます。脳のどこがやられるかで、残る障害が変わります。

主な症状は、意識障害、神経障害、感情障害の3本柱です。

このうち神経障害が幅広い。運動障害では、半身が動きにくくなる片麻痺が多くみられます。ほかに、言語障害、感覚障害、視野障害、排せつの障害、そして飲み込みの障害である嚥下障害。嚥下障害は、誤嚥性肺炎にもつながるので大切です。

さらに、失語などの高次脳機能障害も後遺症として残ることがあります。これは次のスライドで詳しく扱います。

ここで強調したいのが、再発予防です。脳血管疾患は、発症から3年以内に、およそ1割から2割が再発します。そして再発すると、後遺症が重くなり、血管性認知症の原因にもなります。

だから、初回のあとの予防が勝負。早めのリハビリ、高血圧や糖尿病など基礎疾患の管理、生活習慣の改善、そして医師の指示による抗凝固薬の服用で、再発を防ぎます。

脳・神経の疾患

高次脳機能障害

脳の損傷で、記憶・注意・判断・言葉といった「高度な働き」に障害が出るもの。外見ではわかりにくく、本人にも自覚がないことがあるのが、対応の難しさです。

ケアと出題見た目で分からないため、本人・家族・周囲が「症状を正しく理解する」ことが支援の出発点。脳血管疾患の後遺症として問われやすい。

脳血管疾患の後遺症として、とくに大切なのが、高次脳機能障害です。

これは、脳の損傷で、記憶、注意、判断、言葉といった、高度な働きに障害が出るもの。やっかいなのは、外見ではわかりにくく、本人にも自覚がないことがある点です。だから周囲が気づきにくい。

まず三大症状。話すことや理解が難しい失語、着替えなどの動作ができない失行、見たり聞いたりしてもわからない失認。失語、失行、失認、とセットで覚えます。

次に半側空間無視。これは、障害された脳の反対側を、見落としてしまう症状です。お皿の片側だけ食べ残す、といった形で現れます。

ほかに、集中が続かず、同時に2つのことをすると混乱する注意障害。新しいことを覚えられない記憶障害。

そして、自分から動かず、会話も続かない発動性の低下や、興奮しやすく不適切な言動が出る社会的行動障害もあります。

見た目で分からないからこそ、本人や家族、周囲の人が、症状を正しく理解することが、支援の出発点になります。

脳・神経の疾患

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

体を動かす命令は、脳から「運動ニューロン」という神経を通って筋肉に伝わります。この運動ニューロンが壊れていくのがALS。全身の筋肉がやせ、力が入らなくなる、原因不明の難病で、特定疾病・指定難病です。

使える制度難病法の医療費助成(指定難病)、障害者総合支援法のサービス、在宅人工呼吸器使用患者支援事業などで、本人・家族の負担をやわらげる。

次は、筋萎縮性側索硬化症、エーエルエスです。

まず仕組みから。体を動かす命令は、脳から運動ニューロンという神経を通って、筋肉に伝わります。ALSは、この運動ニューロンが壊れていく病気。命令が届かなくなるので、全身の筋肉がやせ、力が入らなくなります。原因は不明で、特定疾病であり、指定難病でもあります。

特徴的な症状が、球麻痺。延髄にある運動神経の麻痺で、舌やのどが動かしにくくなり、飲み込みの嚥下障害や、発音の構音障害が出ます。

そして、最大のひっかけポイント。四大陰性徴候といって、感覚障害、眼球運動障害、膀胱直腸障害、褥瘡。この4つは、みられにくいのが特徴です。

さらに、痛みなどの知覚や、記憶力も保たれます。つまり、意識や知能は侵されない。筋肉は動かなくても、感じる力や考える力は残っている。ここが、よく問われます。

進行すると、寝たきりになり、呼吸の筋肉もやせて呼吸困難が起こります。そうなると、気管切開や人工呼吸器、痰の吸引である喀痰吸引が必要になっていきます。

支える制度として、難病法による医療費の助成、障害者総合支援法のサービス、在宅で人工呼吸器を使う患者さんを支える事業などがあります。本人と家族の負担をやわらげることが大切です。

脳・神経の疾患

パーキンソン病①(四大運動症状)

脳の奥(黒質)で、スムーズな動きをつくる物質「ドパミン」が減って起こる病気。50〜60歳代に多く、認知症を合併することも少なくありません。特定疾病です。まずは覚えるべき四大運動症状から。

仕組みで覚えるドパミンは「動きの潤滑油」。減ると、動き出し・止まり・バランスがうまくいかなくなる、と考えると4症状がつながる。

次はパーキンソン病。受験でも頻出の重要疾患です。2枚に分けて、まずは症状から。

仕組みはこうです。脳の奥にある黒質という場所で、スムーズな動きをつくる物質、ドパミンが減ることで起こります。50歳から60歳代に多く、認知症を合併することも、少なくありません。これも特定疾病です。

覚えるべきは、四大運動症状。安静時振戦、筋固縮、無動つまり寡動、そして姿勢反射障害の4つです。

1つめ、安静時振戦。じっとしているときに手足が震え、動かすと止まるのが特徴。動作時に強くなる、は逆なので注意です。

2つめ、筋固縮。筋肉がこわばって、他人が手足を動かすと、ガクガクと規則的な抵抗、歯車現象が感じられます。

3つめの無動は、動作に時間がかかり、表情も乏しくなる仮面様顔貌。4つめの姿勢反射障害が出ると、バランスを崩して転びやすく、前のめりで止まれない突進現象、歩幅の狭い小刻み歩行、一歩目が出ないすくみ足がみられます。

ドパミンは、動きの潤滑油だとイメージしてください。それが減ると、動き出し、止まり、バランスがうまくいかなくなる。そう考えると、4つの症状がつながって覚えやすくなります。

脳・神経の疾患

パーキンソン病②(重症度と注意点)

進行すると、自律神経症状や幻覚・妄想などの精神症状が現れ、自立が難しくなります。重症度の分類と、見落としやすい誤嚥が出題ポイントです。

治療基本は薬物療法(不足したドパミンを補う等)。あわせて手足を動かす運動療法・リハビリでADLを保つ。

パーキンソン病の2枚目。重症度と、注意点です。

進行すると、自律神経の症状や、幻覚・妄想などの精神症状が現れ、自立した生活が難しくなっていきます。

重症度は、ホーエン・ヤールの分類で5段階に分けます。ステージ1は体の片側だけ。2で両側に。3で姿勢反射障害が出るが、まだ独立した生活は可能。4は介助があれば辛うじて歩ける。5は、介助なしでは寝たきりか車いす、です。

あわせて、厚生労働省の生活機能障害度、1度から3度でも評価します。

ここが大事。重症度がステージ3以上で、かつ、生活機能障害が2度以上のものが、介護保険の特定疾病、パーキンソン病関連疾患になります。数字の組み合わせで問われます。

もう一つの注意点が、不顕性誤嚥。パーキンソン病では、誤嚥しても、むせないことが多いのです。むせないから気づかれにくく、誤嚥性肺炎につながる。だから注意が必要です。

治療は、不足したドパミンを補うなどの薬物療法が基本。あわせて、手足を動かす運動療法やリハビリで、日常生活動作を保ちます。

脳・神経の疾患

その他の神経難病(特定疾病)

パーキンソン病以外にも、特定疾病に指定された進行性の神経難病があります。それぞれの「ひと言の特徴」で区別できるようにします。

共通点いずれも根治は難しく、リハビリと環境整備でADLを保つ・対症療法が中心。すべて第2号被保険者でも給付対象の特定疾病。

脳・神経の最後に、その他の神経難病をまとめます。いずれも特定疾病。ひと言の特徴で区別できるようにしましょう。

まず、進行性核上性麻痺。これは、思考の遅れや、無感情といった、認知機能の低下を、早い段階から認めやすいのが特徴です。過去問でも問われました。

次に、脊髄小脳変性症と、多系統萎縮症。脊髄や小脳の神経細胞が変性して、ふらつく失調性歩行、手のふるえ、言葉の不明瞭さといった、運動失調を主な症状とします。運動失調、がキーワードです。

とくに多系統萎縮症は、睡眠時無呼吸などを起こし、突然死の可能性もあるので、注意が必要です。

そして早老症。老化が、全身や特定の臓器に急速に進む病気で、糖尿病、骨粗鬆症、白内障などが、若いうちから出やすくなります。ただし、知能の低下はみられません。ここがポイントです。

これらは共通して、根治が難しく、リハビリと環境整備でADLを保ち、対症療法を行います。すべて、第2号被保険者でも給付対象になる、特定疾病です。

骨・関節の疾患

変形性関節症

関節は、骨の端を「軟骨」がおおってクッションになっています。この軟骨がすり減り、骨どうしが直接ぶつかって痛むのが変形性関節症。関節の病気でもっとも多く、高齢者の大多数に起こります。

特定疾病の条件に注意「変形性関節症はすべて特定疾病」ではない。両側の膝/股関節+著しい変形という条件付き、が出題ポイント。

ここから骨と関節の病気です。まずは変形性関節症。

仕組みから。関節は、骨の端を軟骨がおおって、クッションの役目をしています。この軟骨がすり減って、骨どうしが直接ぶつかると、痛みが出る。これが変形性関節症です。関節の病気でいちばん多く、高齢者の大多数に起こります。

とくに多いのが、膝関節。肥満があると、関節にかかる負担が大きくなり、悪化しやすくなります。

症状は、関節の痛み、こわばり、そして腫れ、腫脹です。

ここが出題ポイント。両側の膝関節、または股関節に、著しい変形を伴うものが、介護保険の特定疾病になります。

治療は、根治は難しいので、鎮痛薬で痛みを抑えながら、運動による筋力強化や減量で関節への負担を軽くし、進行を遅らせます。進んだ場合は、人工関節に置き換える手術も行います。

注意したいのは、変形性関節症がすべて特定疾病ではない、という点。両側の膝か股関節で、著しい変形を伴う、という条件付きです。ここがひっかけられます。

骨・関節の疾患

関節リウマチ

本来は外敵を攻撃する免疫が、誤って自分の関節を攻撃してしまう(原因不明の全身性の免疫異常)。関節の炎症が主症状で、特定疾病です。変形性関節症との区別が問われます。

治療とケア薬物療法のほか手術・リハビリ。歩行には適切な装具、日常動作には自助具、転倒予防や負担軽減の環境整備が大切。

次は、関節リウマチ。これも特定疾病で、変形性関節症との区別が問われます。

仕組みを押さえましょう。本来、免疫は、ウイルスなどの外敵を攻撃する仕組みです。それが誤って、自分の関節を攻撃してしまう。これが、原因不明の全身性の免疫異常で、関節の炎症が主な症状です。

特徴の1つめ。からだの左右対称に、指などの小さな関節から始まり、膝や股、肩へと広がっていきます。

2つめ、日内変動。とくに、起床時に1時間以上続く、朝のこわばりが有名です。あわせて痛み、熱感、はれを伴います。ここがよく問われます。

進行すると、関節が不安定になり、変形します。さらに、関節以外にも、発熱、体重減少、易疲労感といった全身症状が出ます。

皮下のしこりである皮下結節や、間質性肺炎、血管の炎症などを起こすこともあります。

治療は、薬物療法のほか、手術やリハビリ。歩行には適切な装具、日常の動作には自助具を使い、転倒予防や負担軽減のための環境整備が大切です。

骨・関節の疾患

脊柱管狭窄症・後縦靱帯骨化症

背骨の中には、神経の通り道「脊柱管」があります。ここが狭くなって神経が圧迫される2つの病気。どちらも特定疾病で、キーワードは間欠性跛行です。

後で再登場間欠性跛行は、のちに出てくる下肢閉塞性動脈疾患(LEAD)でもみられる。「血管が原因か、神経が原因か」で区別する。

次は、背骨まわりで神経が圧迫される、2つの病気です。

前提として、背骨の中には、神経の通り道である脊柱管があります。ここが狭くなって神経が圧迫されるのが、これから話す病気。どちらも特定疾病で、共通のキーワードが間欠性跛行です。

1つめ、脊柱管狭窄症。脊柱管が狭くなって神経が圧迫される症候群で、原因となる病気は、変形性脊椎症がもっとも多くなります。

症状は、腰痛、下肢の痛み、しびれ、そして間欠性跛行。圧迫が強いと、膀胱直腸障害が出ることもあります。

間欠性跛行とは、しばらく歩くと足に痛みやしびれが出て、休むと回復し、また歩けるけれど、また休む、これを繰り返すものです。

2つめ、後縦靱帯骨化症。背骨の中を縦に走る後縦靱帯が、骨のように硬くなって、脊髄を圧迫します。手足のしびれが出て、進行すると歩行困難や排尿障害に。首を強く後ろに反らすと症状が悪化するので、その動作は避けます。

なお、この間欠性跛行は、あとで出てくる、下肢閉塞性動脈疾患、LEADでもみられます。血管が原因か、神経が原因か、で区別する。あとでまた触れます。

骨・関節の疾患

骨粗鬆症

骨がすかすかにもろくなり、骨折しやすくなる病気。骨折は寝たきりの主要な原因のひとつです。高齢者の骨粗鬆症は、ほとんどが老化によるもの。

なぜ女性に多い?女性ホルモンには骨を守る働きがある。閉経でそれが減るため、骨量が急に落ちる。だから閉経後の女性に多い、と理解する。

次は、骨そのものの病気、骨粗鬆症です。

骨が、すかすかにもろくなって、骨折しやすくなる病気です。そして、この骨折が、寝たきりになる主要な原因のひとつ。高齢者の骨粗鬆症は、ほとんどが老化によるものです。

最大の特徴。圧倒的に女性に多い。閉経後に、女性ホルモンが低下することで、急激に進みます。男性では、カルシウムの吸収が落ちてくる70歳以上で、患者数が増えます。

症状は、腰や背中の痛み、背中が丸くなる円背、そして身長が縮む身長短縮です。

ここが特定疾病。骨折を伴う骨粗鬆症が、介護保険の特定疾病になります。骨粗鬆症だけでなく、骨折を伴う、がポイントです。

予防は、早めにチェックを受けて、カルシウムの摂取や運動習慣で骨を守ること。

なぜ女性に多いのか。女性ホルモンには、骨を守る働きがあります。閉経でそれが減るので、骨量が急に落ちる。だから閉経後の女性に多い、と理由で覚えると忘れません。

骨・関節の疾患

大腿骨頸部骨折

高齢者は骨密度が下がり、体の機能も落ちるため、転倒による骨折のリスクが高い。なかでも太ももの付け根が折れる大腿骨頸部骨折は、寝たきりに直結するため要注意です。

なぜ早期離床?寝たままだと、筋力低下や肺炎など廃用症候群が進む。だから手術後は早く起こして動かす、が高齢者ケアの鉄則。

骨・関節の最後は、大腿骨頸部骨折です。

高齢者は、骨密度が下がり、体の機能も落ちるため、転倒による骨折のリスクが高くなります。とくに、太ももの付け根が折れる大腿骨頸部骨折は、寝たきりに直結するので、要注意です。

高齢者に多い骨折は、大腿骨頸部、背骨が押しつぶされる胸腰椎圧迫骨折、手首の橈骨遠位端、肋骨。なかでも、大腿骨頸部骨折が要注意です。

症状は、転倒をきっかけに、股関節が痛んで、立つことができなくなります。

治療は、可能であれば、人工の骨頭に置き換える人工骨頭置換術。そして、リハビリで早期離床を目指します。ただし、歩く力は、骨折する前より落ちることが多くなります。

予防は、骨粗鬆症の早期発見と治療、転倒防止。そして、転んでも骨折しにくいよう、床材を工夫したり、腰を守るヒッププロテクターを着けたりします。

なぜ早期離床が大切か。寝たままだと、筋力の低下や肺炎など、廃用症候群が進んでしまうからです。だから手術のあとは、早く起こして動かす。これが高齢者ケアの鉄則です。

循環器の疾患

高血圧

血圧は、血液が血管の壁を押す力。これが慢性的に高いのが高血圧です。原因のはっきりしない本態性高血圧が大半。初期は自覚症状が乏しく、放っておくと動脈硬化を進めます。

サイレント・キラー自覚症状が乏しいまま血管を傷めるのが怖いところ。「症状がない=軽い」ではない、と理解する。

ここから循環器、心臓と血管の病気です。まずは高血圧。

血圧とは、血液が血管の壁を押す力のこと。これが慢性的に高いのが高血圧です。多くは、原因のはっきりしない本態性高血圧。初期は自覚症状が乏しく、放っておくと、動脈硬化を進めます。

高血圧には、原因がはっきりする二次性と、大半を占める原因不明の本態性があります。70歳以上では、およそ7割が高血圧といわれます。

高血圧が続くと、動脈硬化を進め、脳血管疾患や心不全などの要因になります。

高齢者の高血圧の特徴。収縮期、つまり上が上がり、拡張期、下は低めになって、上と下の差、脈圧が大きくなります。また、血圧が動揺しやすく、起立性低血圧や、食後の血圧低下も起こりやすくなります。

治療は、塩分の摂取や肥満の改善など、生活習慣の見直しが基本で、必要に応じて薬を使います。

高血圧は、サイレント・キラーとも呼ばれます。自覚症状が乏しいまま、血管を傷めていくのが怖いところ。症状がないから軽い、ではない、と理解してください。

循環器の疾患

虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)

心臓を動かす筋肉にも、冠動脈という血管が酸素を送っています。この冠動脈の血流が悪くなるのが虚血性心疾患。狭心症心筋梗塞の2つを区別します。

なぜニトロは梗塞に効かない?ニトロは血管を広げる薬。狭心症は「狭い」ので広げれば改善。心筋梗塞は「詰まって壊死」なので、広げても間に合わない、と理解する。

次は、虚血性心疾患。狭心症と心筋梗塞です。

心臓を動かす筋肉にも、冠動脈という血管が酸素を送っています。この冠動脈の血流が悪くなるのが、虚血性心疾患。2つを区別しましょう。

狭心症は、冠動脈が狭くなって、血流が減るもの。心筋梗塞は、冠動脈が詰まって、心臓の筋肉が壊死してしまうものです。狭くなるか、詰まるか、の違いです。

危険因子は、喫煙、肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症。いずれも動脈硬化の因子ですね。

発作のとき、狭心症には、ニトログリセリンの舌下投与が有効です。しかし、心筋梗塞には、有効ではありません。ここが大事なひっかけです。

心筋梗塞では、激しい胸痛、締めつけ感、左肩から頸部の痛みが生じます。ただし、高齢者では、胸の痛みが少ない無痛性心筋梗塞もあるので、注意が必要です。

なぜニトロが梗塞に効かないのか。ニトロは血管を広げる薬です。狭心症は、狭いだけなので、広げれば改善する。でも心筋梗塞は、詰まって壊死しているので、広げても間に合わない。そう理解すると納得できます。

循環器の疾患

不整脈

心臓は規則正しく拍動していますが、そのリズムが乱れるのが不整脈。脈が遅くなる徐脈性と、速くなる頻脈性があります。高齢者では、必ずしも全部が治療対象ではない点が大切です。

なぜ心房細動で抗凝固薬?心房がうまく動かないと、心臓の中で血液がよどみ、血栓ができやすい。それが脳へ飛ぶと脳塞栓に。だから血栓を防ぐ薬を使う。

次は、不整脈です。

心臓は、規則正しく拍動していますが、そのリズムが乱れるのが不整脈。脈が遅くなる徐脈性と、速くなる頻脈性があります。高齢者では、全部が治療対象とは限らない、という点が大切です。

原因は、心臓自体の異常のほか、ストレス、喫煙、睡眠不足、飲酒でも起こります。

高齢者では、生理的に不整脈が増えます。でも、すべてが治療対象になるわけではありません。

たとえば、拍動が欠ける結滞は、健康な高齢者でも、よくみられます。

ただし、血圧低下、意識障害、心不全を伴う場合は、速やかな治療が必要です。脈が遅い場合はペースメーカー、心房細動による不整脈には、血栓を防ぐワルファリンなどの抗凝固薬が使われます。

なぜ心房細動で抗凝固薬を使うのか。心房がうまく動かないと、心臓の中で血液がよどんで、血栓ができやすくなります。それが脳へ飛ぶと、脳塞栓になる。だから、血栓を防ぐ薬を使うのです。

循環器の疾患

心不全

心臓は、全身に血液を送り出すポンプ。そのポンプ機能が低下して、全身に血液を十分送れなくなった状態が心不全です。加齢とともに増えます。

なぜ起座位で楽?横になると、肺に血液が戻って水がたまりやすい。起き上がると重力で下に下がり、肺がらくになる。だから苦しいときは座る。

次は、心不全です。

心臓は、全身に血液を送り出すポンプです。そのポンプの機能が低下して、全身に血液を十分送れなくなった状態が、心不全。加齢とともに増えていきます。

原因は、心筋梗塞や不整脈、高血圧による心臓の肥大などです。

左右で症状が違います。左心不全では、肺に水がたまり、呼吸困難やチアノーゼ。右心不全では、全身に水がたまり、むくみや食欲不振が出ます。左は呼吸、右はむくみ、と覚えます。

高齢者では、活動性の低下や、食欲不振として現れることがあり、見過ごされやすいので注意です。

呼吸が苦しいときは、横にするのではなく、起き上がった起座位や、半分起こした半座位にすると、楽になります。治療は、運動制限、塩分制限、薬。重症度は、ニーハ分類、I度からIV度で評価します。

なぜ起座位で楽になるのか。横になると、肺に血液が戻って水がたまりやすい。起き上がると、重力で下に下がって、肺がらくになる。だから苦しいときは座る、と理由で覚えましょう。

循環器の疾患

下肢閉塞性動脈疾患(LEAD)

動脈硬化が足の血管で進み、血管が狭くなったり詰まったりして、足に血液が十分届かなくなる病気。旧称は閉塞性動脈硬化症(ASO)。特定疾病です。

間欠性跛行のひっかけ間欠性跛行は脊柱管狭窄症(神経が原因)LEAD(血管が原因)の両方でみられる。どちらか一方、と決めつけると誤り。

循環器の最後は、下肢閉塞性動脈疾患、LEADです。

これは、動脈硬化が、足の血管で進んで、血管が狭くなったり詰まったりして、足に血液が十分届かなくなる病気です。昔は閉塞性動脈硬化症、エーエスオーと呼ばれました。特定疾病です。

原因は動脈硬化。足の血流が悪くなって、足の冷えやしびれが出ます。

自覚症状は、間欠性跛行。歩くと下肢が痛み、立ち止まると痛みがひく、というものです。

進行すると、安静にしていても痛む安静時痛や、組織が死んでしまう壊死に至ります。

また、狭心症など、ほかの動脈の病気を合併することがあるので、注意が必要です。

ここで、間欠性跛行のひっかけ。間欠性跛行は、神経が原因の脊柱管狭窄症と、血管が原因のLEADの、両方でみられます。どちらか一方、と決めつけると誤りです。原因が神経か血管か、で区別しましょう。

消化器の疾患

胃・十二指腸潰瘍/潰瘍性大腸炎

ここから消化器。胃や腸の粘膜が、自分の消化液などで傷つく病気です。痛むタイミングと原因菌が、試験の決め手になります。

食後か空腹時か胃にものが入る食後に痛むのが胃潰瘍、胃が空っぽの空腹時に痛むのが十二指腸潰瘍。逆に覚えないよう注意。

ここから消化器の病気です。まずは潰瘍と、潰瘍性大腸炎。

胃や腸の粘膜が、自分の消化液などで傷つくのが潰瘍です。痛むタイミングと、原因菌が試験の決め手になります。

胃・十二指腸潰瘍は、消化液で粘膜に潰瘍ができる病気。ヘリコバクター・ピロリ菌の感染も原因になります。

ここが大事。痛むタイミングが違います。胃潰瘍は食後、十二指腸潰瘍は空腹時に、痛みが増します。

悪化すると、口から血を吐く吐血や、便に血が混じる下血。さらに、潰瘍で穴があく穿孔が起こると、生命にかかわることもあります。

もう一つ、潰瘍性大腸炎。これは、大腸の粘膜に炎症が起こる、原因不明の病気。持続して繰り返す、血性の下痢や、粘血便が特徴です。重症の場合は、入院して、大腸を切除することもあります。

覚え方。胃にものが入る食後に痛むのが胃潰瘍、胃が空っぽの空腹時に痛むのが十二指腸潰瘍。逆に覚えないよう、注意してください。

消化器の疾患

胆石症・胆嚢炎・胆管炎/肝炎・肝硬変

消化を助ける胆汁と、その工場である肝臓の病気です。胆汁が固まる胆石、肝臓の炎症から進む肝硬変を押さえます。

流れで理解肝炎(炎症)→慢性化→肝臓が硬く線維化する肝硬変、という一本道。だから慢性肝炎のうちに進行を食い止めるのが大切。

次は、胆汁と肝臓の病気です。

胆汁は、消化を助ける液体。その胆汁が固まってできた石による病気が、胆石症です。胆嚢の中にできるのが胆嚢結石、胆管の中にできるのが胆管結石。胆嚢結石は、無症状のこともあります。

症状が出ると、急性胆嚢炎では、発熱と、右の上腹部の痛み、右季肋部痛。胆管炎では、発熱、悪寒、そして黄疸が出て、悪化すると敗血症やショックになることもあります。

次に肝臓。肝炎は、肝臓の炎症です。急性肝炎は、安静で多くは予後が良好。一方、慢性肝炎は、B型・C型のウイルスが最も多く、初期には無症状です。

ここがポイント。慢性肝炎が進行すると、肝臓が硬くなる肝硬変になります。そして、肝硬変まで進むと、根本的な治療は、肝移植のみになってしまいます。

流れで理解しましょう。肝炎、つまり炎症から、慢性化して、肝臓が硬く線維化する肝硬変へ。一本道です。だから、慢性肝炎のうちに、進行を食い止めることが大切なのです。

腎・尿路の疾患

腎不全・前立腺肥大症

腎臓は、血液をろ過して老廃物を尿として捨てる臓器。その働きが落ちるのが腎不全です。あわせて、男性に多い前立腺肥大症も見ます。

つながりのちに出る糖尿病の合併症「糖尿病性腎症」が、慢性腎不全→人工透析の最大の原因。疾患どうしがつながっている。

次は、腎臓と泌尿器の病気です。

腎臓は、血液をろ過して、老廃物を尿として捨てる臓器。その働きが落ちるのが、腎不全です。

腎不全は、急性と慢性に分かれます。急性腎不全は、脱水や薬剤、尿の通り道がふさがる尿路閉塞などで起こり、尿が減る乏尿や、むくみが出ます。

慢性腎不全の原因は、糖尿病性腎症や、慢性糸球体腎炎など。尿が減る乏尿も、増える多尿も、どちらも起こりえます。

治療のポイント。慢性腎不全では、たんぱく質、カリウム、塩分、水分を制限する食事療法を中心に行い、人工透析を始める時期を、できるだけ遅らせます。

もう一つ、前立腺肥大症。男性の前立腺が大きくなって、尿道を圧迫し、排尿の症状が出ます。多くは薬で改善しますが、ひどければ手術をします。

つながりを意識しましょう。あとで出てくる糖尿病の合併症、糖尿病性腎症が、慢性腎不全から人工透析に至る、最大の原因です。病気どうしはつながっています。

がん

がん(悪性腫瘍)

細胞が無秩序に増え、周囲の正常な組織を壊しながら広がるのが、がん(悪性腫瘍・悪性新生物)。日本人の死因第1位で、高齢になるほど増えます。

ケアの視点高齢のがんは「治す」より「苦痛をやわらげ、その人らしく過ごす」緩和ケアが重要になる場面が多い。介護でも大切な考え方。

次は、がんです。

がんは、細胞が無秩序に増えて、周囲の正常な組織を壊しながら広がる病気。悪性腫瘍、悪性新生物とも呼ばれます。日本人の死因の第1位で、高齢になるほど増えます。

覚えどころ。日本人の死因第1位。そして、男性では肺がん、女性では大腸がんが、それぞれトップです。

高齢者のがんは、若い人と質的な差はありませんが、発症する頻度と、複数の臓器に同時に生じる多発がんが、増えるのが特徴です。

症状は臓器によって異なりますが、終末期には、どのがんでも、全身倦怠感、食欲不振、痛みがみられます。

治療は、手術、化学療法、放射線療法など。末期の場合は、積極的な延命治療に代えて、痛みなどの苦痛を除く緩和ケアが、選択されることもあります。

ケアの視点として、高齢のがんでは、治すことより、苦痛をやわらげ、その人らしく過ごす緩和ケアが、重要になる場面が多くなります。介護でも大切な考え方です。

代謝の疾患

糖尿病①(病態・分類・症状)

食べた糖を細胞に取り込む鍵が、膵臓から出るインスリン。これが不足・不足ぎみになると、糖が血液にあふれ、慢性的に血糖が高い状態が続きます。これが糖尿病です。

注意飲み薬でも、効きすぎると低血糖を起こすおそれがある。インスリン注射をしていなくても油断しない。

ここから代謝の病気。受験の最重要の一つ、糖尿病です。2枚に分けます。まずは病態から。

仕組みです。食べた糖を、細胞に取り込む鍵が、膵臓から出るインスリン。これが不足したり、効きが悪くなったりすると、糖が血液にあふれ、慢性的に血糖が高い状態が続く。これが糖尿病です。

分類。自己免疫などでインスリンの分泌が障害されるのが1型。遺伝や生活習慣で、インスリンの作用が不足するのが2型。そして、2型がほとんどを占めます。

そのほか、妊娠をきっかけに発症する、妊娠糖尿病などもあります。

症状は、初期には無症状のことが多く、進むと、口の渇き、多飲多尿、倦怠感、体重減少などが現れます。

そして糖尿病は、動脈硬化を進めるので、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞が起こりやすくなります。治療は、食事療法と運動療法を基本に、血糖を下げる薬やインスリン注射です。

注意点。飲み薬でも、効きすぎると低血糖を起こすおそれがあります。インスリン注射をしていなくても、油断しないことが大切です。

代謝の疾患

糖尿病②(三大合併症)/脂質異常症

糖尿病でいちばん問われるのが三大合併症。高い血糖が、細い血管や神経を、じわじわ傷めて起こります。3つともすべて特定疾病です。

頻出ひっかけ「三大合併症=網膜症・腎症・下肢の壊疽」は誤り。正しくは神経障害で、壊疽はその神経障害の結果。

糖尿病の2枚目。いちばん問われる、三大合併症です。

高い血糖が、細い血管や神経を、じわじわ傷めて起こるのが、三大合併症。3つとも、すべて特定疾病です。

1つめ、網膜症。目の網膜の血管が障害され、視力低下や眼底出血を起こします。中途失明の原因の上位です。

2つめ、腎症。腎臓の毛細血管が障害されて、腎機能が低下し、透析が必要になります。これが、人工透析導入の原因の第1位です。とても重要な数字です。

3つめ、神経障害。手足のしびれや痛みが出て、感覚が麻痺すると、足の組織が死ぬ壊疽に至ることもあります。

あわせて、脂質異常症。血液中の脂質が、高すぎたり低すぎたりする状態です。自覚症状はなく、血液検査で見つかります。動脈硬化を進めます。

頻出のひっかけ。三大合併症は、網膜症、腎症、下肢の壊疽、という選択肢は誤り。正しくは神経障害で、壊疽は、その神経障害の結果として生じるもの。ここは確実に。

代謝・環境の疾患

低ナトリウム血症・熱中症

高齢者は、体の水分・塩分の調節がうまくいかず、脱水や熱中症を起こしやすい。命にかかわることもあり、ケアでも重要です。

予防のコツ汗を多くかくときは、水分だけでなく塩分も。水だけ大量に飲むと、かえって低ナトリウム血症になることがある。

代謝の最後に、高齢者に多い、脱水と熱中症を扱います。

高齢者は、体の水分や塩分の調節がうまくいかず、脱水や熱中症を起こしやすいのです。命にかかわることもあり、ケアでも重要です。

まず低ナトリウム血症。血液中のナトリウムが薄くなる状態で、水分が過剰になっても起こります。倦怠感、頭痛、見当識障害から始まり、重度になると痙攣を起こすこともあります。

熱中症は、高温多湿の環境で、体温調節がきかなくなり、体に熱がこもる状態。高齢者は、屋内でも起こしやすく、暑さを自覚しにくいのが特徴です。

注意したいのが、風邪薬。風邪薬に含まれる抗ヒスタミン薬や抗コリン薬は、汗を抑える作用があり、熱中症の要因になることがあります。

熱中症の応急処置。首、わきの下である腋窩、そして太ももの、太い血管を、集中的に冷やすのが効果的です。意識がなければ、すぐに救急車を呼びます。

予防のコツ。汗をたくさんかくときは、水分だけでなく、塩分も補給すること。水だけを大量に飲むと、かえって低ナトリウム血症になることがあるからです。

呼吸器の疾患

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

長年の喫煙などで、気道や肺に炎症が起き、息がうまく吐けなくなる病気。肺気腫慢性気管支炎をまとめてCOPDと呼びます。特定疾病です。

過去問「COPDのある高齢者では禁煙が重要」は正しい(第27回)。原因が喫煙なので、まず禁煙、と理屈で押さえる。

ここから呼吸器の病気です。まずはCOPD、慢性閉塞性肺疾患。

長年の喫煙などで、気道や肺に炎症が起きて、息がうまく吐けなくなる病気です。肺がふくらんで戻らない肺気腫と、慢性気管支炎をまとめて、COPDと呼びます。特定疾病です。

主な原因は喫煙。症状は、動いたときの息切れ、労作時の息切れと、慢性のせき、痰です。

さらに、全身の炎症や、栄養障害、骨格筋の機能障害、骨粗鬆症なども伴います。

予防も治療も、禁煙が基本です。インフルエンザや肺炎球菌のワクチン接種も有効です。

薬は、気管支を広げる気管支拡張薬や、吸入ステロイド。重症になると、酸素療法が必要になります。

過去問。COPDのある高齢者では禁煙が重要、は正しい。原因が喫煙なのだから、まず禁煙。理屈で押さえれば確実です。

呼吸器の疾患

肺炎・誤嚥性肺炎/肺結核・喘息

高齢者の呼吸器で最重要が誤嚥性肺炎。飲み込む力の低下で、食べ物や唾液が気道に入って起こります。肺炎による死亡者の95%以上が高齢者です。

口腔ケアの意味口の中を清潔に保つと、誤嚥しても肺炎になりにくい。だから高齢者の口腔ケアは、肺炎予防として重要。

次は、肺炎を中心に、結核と喘息もまとめます。

高齢者の呼吸器で、いちばん重要なのが誤嚥性肺炎。飲み込む力が落ちて、食べ物や唾液が気道に入って起こります。肺炎で亡くなる人の、95パーセント以上が高齢者です。

誤嚥性肺炎は、唾液や、食べかす、分泌物を、繰り返し誤嚥することで発症します。だからこそ、口腔ケアが予防につながります。

高齢者の肺炎は、せきや高熱といった症状が、はっきり出ないこともあります。なんとなく元気がない、食欲が落ちた、これも肺炎を疑う兆候です。

肺結核は、若い頃にかかった結核が、加齢で免疫が落ちて、再び活動する再燃が起こります。せき、微熱、体重減少に注意。治療は、抗結核薬を6か月以上。空気感染します。

喘息は、気道が狭くなって、ヒューヒュー、ゼーゼーという喘鳴や、呼吸困難が出ます。子どもの病気と思われがちですが、中高年での発症も多く、子どもより治りにくいのが特徴です。

口腔ケアの意味を理解しましょう。口の中を清潔に保てば、たとえ誤嚥しても、肺炎になりにくい。だから高齢者の口腔ケアは、肺炎予防として、とても重要なのです。

皮膚の疾患

皮膚①(疥癬・白癬)

高齢者施設で問題になりやすいのが、うつる皮膚の感染症。疥癬白癬は、感染対策が出題されます。

通常疥癬とノルウェー疥癬同じヒゼンダニでも、数が桁違いに多いノルウェー疥癬は感染力が段違い。だから個室管理など特別な対応が要る。

ここから皮膚の病気です。まずは、うつる感染症から。

高齢者施設で問題になりやすいのが、うつる皮膚の感染症。疥癬と白癬は、感染対策が出題されます。

疥癬は、ヒゼンダニという小さなダニの寄生で起こります。わきの下や外陰部、手などに、発疹とかゆみが出ます。

ここが大事。ダニの数が桁違いに多い、ノルウェー疥癬、角化型疥癬は、感染力が非常に強い。施設で発生すると集団感染の危険があるため、一定期間の個室管理が必要です。寝具やタオルを分け、洗濯も別にします。

白癬は、いわゆる水虫。カビの一種、白癬菌の感染で、手足にかゆみが出ます。爪にうつると、爪が白く濁って厚くなる、爪白癬になります。

白癬は、家庭内で感染するので、スリッパや足拭きマットを共用しないようにします。

通常の疥癬と、ノルウェー疥癬。同じヒゼンダニでも、数が桁違いに多いノルウェー疥癬は、感染力が段違いです。だから、個室管理など、特別な対応が必要になる、と理解しましょう。

皮膚の疾患

皮膚②(帯状疱疹・乾燥・薬疹)

うつらないタイプの皮膚トラブル。帯状疱疹と、加齢による乾燥のかゆみが中心です。

なぜ帯状疱疹が高齢者に?水ぼうそうのウイルスは、治った後も神経に潜む。加齢や疲れで免疫が落ちると再び活動する。だから高齢者に多い。

皮膚の2枚目。うつらないタイプのトラブルです。

中心は、帯状疱疹と、加齢による乾燥のかゆみです。

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化で起こります。昔かかった水ぼうそうのウイルスが、体に潜んでいて、再び暴れ出すのです。

症状は、体の片側に、帯状の水疱と、かなりの痛み。早く治療を始めることが肝心で、治った後も、帯状疱疹後神経痛という痛みが残ることがあります。

次に、皮脂欠乏症と皮膚掻痒症。加齢で皮脂が減って乾燥し、とくに冬にかゆみが出ます。こすりすぎず、石けんはよく泡立てて優しく洗い、保湿を心がけます。

最後に薬疹。薬に対するアレルギーで、すべての薬で起こりえます。原因となった薬剤を、速やかに中止します。

なぜ帯状疱疹が高齢者に多いのか。水ぼうそうのウイルスは、治った後も神経に潜んでいます。加齢や疲れで免疫が落ちると、再び活動する。だから高齢者に多いのです。

感覚器の疾患

目の疾患(白内障・緑内障)

最後は感覚器。まずは目です。加齢でほぼ全員に起こる白内障と、気づきにくく失明につながる緑内障は、必ず区別します。

白内障と緑内障の違い白内障は「水晶体が濁る」=見え方がかすむ。緑内障は「視神経がやられる」=視野が欠ける。原因の場所が違う、と整理。

ここから感覚器、目と耳の病気です。まずは目から。

加齢でほぼ全員に起こる白内障と、気づきにくく失明につながる緑内障。この2つは、必ず区別できるようにしましょう。

白内障は、目の水晶体が濁って、視力が下がる病気。加齢が主な原因で、80歳以上では、ほぼ全員にみられます。ある程度進んだら、濁った水晶体を取って、眼内レンズを入れる手術をします。

緑内障は、眼圧が上がるなどして、視神経が障害される病気。ただし、日本では、眼圧が正常なのに起こる、正常眼圧緑内障が多いのが特徴です。

緑内障の怖いところ。自覚症状に乏しく、進行すると視力が戻りにくい。だから、早期発見、早期治療が重要です。失明原因の上位に入ります。

もう一つ、加齢黄斑変性。網膜の中心にある黄斑が障害され、視野の真ん中がゆがんだり、中心が見えなくなる中心暗点が出ます。これも失明原因の上位です。

白内障と緑内障の違いを整理。白内障は、水晶体が濁るので、見え方がかすむ。緑内障は、視神経がやられるので、視野が欠ける。原因の場所が違う、と覚えましょう。

感覚器の疾患

耳鼻の疾患(難聴・めまい)

感覚器の最後は、耳。聞こえにくくなる難聴と、ふらつくめまいを押さえます。

伝音性と感音性音を「伝える」外耳・中耳の問題が伝音性、音を「感じる」内耳・神経の問題が感音性。加齢で衰えるのは感じる側=感音性。

感覚器の最後は、耳の病気です。難聴と、めまいを押さえます。

難聴は、障害を受けている部位によって、外耳や中耳の問題である伝音性と、内耳や神経の問題である感音性に分かれます。

ここが大事。加齢による難聴は、感音性難聴です。高い音から、聞こえにくくなっていきます。

対応は、正面を向いて、ゆっくり話すこと。そして、補聴器を活用します。

めまいは、内耳など、平衡感覚の障害で起こります。代表は、良性発作性頭位めまい。ほかに、起立性低血圧や、パーキンソン病でも、めまいが起こることがあります。

伝音性と感音性。音を伝える外耳・中耳の問題が伝音性、音を感じる内耳・神経の問題が感音性。加齢で衰えるのは、感じる側、つまり感音性、と理解しましょう。

おつかれさまでした

第30講 まとめ

おつかれさまでした。たくさんの疾患を見てきましたが、系統特定疾病、そして高齢者ならではの注意点で総整理しましょう。

おつかれさまでした。第30講のまとめです。たくさんの疾患を見てきましたが、系統と特定疾病、高齢者ならではの注意点で総整理しましょう。

まず、特定疾病の常連。脳血管疾患、パーキンソン病、ALS、脊柱管狭窄症、後縦靱帯骨化症、骨折を伴う骨粗鬆症、関節リウマチ、LEAD、COPD、そして糖尿病の三大合併症です。

次に、数字とひっかけ。心筋梗塞にニトログリセリンは無効。間欠性跛行は、脊柱管狭窄症とLEADの両方。糖尿病性腎症は、人工透析導入の原因第1位。肺炎で亡くなる人の95パーセント以上が高齢者です。

そして、高齢者で横断的に注意したいのが、むせない誤嚥である不顕性誤嚥、脱水と熱中症、そして症状が出にくいこと。熱中症では、首やわきの下、太ももの太い血管を冷やします。

下の解説記事で、もう一度全体を整理しておきましょう。次回もお楽しみに。

この講の一問一答(◯×11問・五肢複択2問)

すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →

  1. 脳卒中(脳血管疾患)は、再発すると後遺症が重くなることがある。

    答えと解説

     ○(第24回)。再発を繰り返すと重篤な後遺症が生じ、血管性認知症の原因にもなる。詰まる脳梗塞と破れる脳出血に大別。特定疾病。

  2. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、感覚障害・眼球運動障害・膀胱直腸障害・褥瘡が早期から目立つ。

    答えと解説

     ×。これらは四大陰性徴候で、みられにくいのが特徴。痛覚などの知覚や記憶力は保たれる。球麻痺で嚥下・構音障害。特定疾病。

  3. パーキンソン病の安静時振戦は、動作をすると強くなり、安静にすると消える。

    答えと解説

     ×。逆。じっとしていると震え、動作で止まるのが安静時振戦。四大運動症状は振戦・筋固縮・無動・姿勢反射障害。特定疾病。

  4. 進行性核上性麻痺では、早期から認知機能の低下を認めやすい。

    答えと解説

     ○(第20回)。思考の遅延や無感情などが早期から現れやすい。特定疾病。

  5. 関節リウマチでは、症状の日内変動はみられない。

    答えと解説

     ×(第28回)。起床時に1時間以上続く朝のこわばりなど、日内変動がみられる。左右対称・小さい関節から。特定疾病。

  6. 脊柱管狭窄症では、腰痛・下肢痛・しびれはみられない。

    答えと解説

     ×(第20回)。腰痛・下肢痛・しびれのほか間欠性跛行がみられる。原因疾患は変形性脊椎症が最多。特定疾病。

  7. 骨折を伴う骨粗鬆症は、介護保険の特定疾病である。

    答えと解説

     ○。骨粗鬆症は圧倒的に女性に多く、骨折は寝たきりの主要原因の一つ。大腿骨頸部骨折は手術+早期離床で廃用を防ぐ。

  8. 高齢者が心筋梗塞を起こしている場合は、必ず強い胸痛がある。

    答えと解説

     ×(第28回)。高齢者では胸痛がなく、左肩〜頸部の痛みや呼吸困難で現れる無痛性心筋梗塞もある。心筋梗塞にニトロは無効。

  9. 慢性腎不全では、人工透析の開始を遅らせるため、食事療法を中心に行う。

    答えと解説

     ○。たんぱく質・カリウム・塩分・水分などを制限する。慢性腎不全の原因として糖尿病性腎症が多い。

  10. 糖尿病の三大合併症は、網膜症・腎症・下肢の壊疽である。

    答えと解説

     ×(第11回)。神経障害が正しい。下肢の壊疽は神経障害の結果として生じる。三大合併症はいずれも特定疾病。腎症は透析導入の原因第1位。

  11. 誤嚥性肺炎は、口腔内・咽頭の分泌物などを繰り返し誤嚥することにより発症する。

    答えと解説

     ○(第20回)。高齢者で増加し、肺炎による死亡者の95%以上が高齢者。口腔ケアが予防に有効。

五肢複択

  1. 高齢者に多い疾病について正しいものはどれか。3つ選べ。

    • 脳血管疾患は、介護保険の特定疾病ではない
    • パーキンソン病の四大運動症状に、姿勢反射障害が含まれる
    • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の主な原因は喫煙である
    • 関節リウマチは、身体の片側だけに症状が現れる
    • 誤嚥性肺炎の予防には、口腔ケアが有効である
    答えと解説

    正解:2・3・5

    1 誤り。脳血管疾患は特定疾病である。

    2 正しい。四大運動症状は安静時振戦・筋固縮・無動・姿勢反射障害。

    3 正しい。COPDは主に喫煙が原因で、予防・治療とも禁煙が基本。

    4 誤り。関節リウマチは身体の左右対称に現れる。

    5 正しい。唾液減少や分泌物の繰り返す誤嚥で生じ、口腔ケアが予防になる。

  2. 高齢者の疾患の特徴について正しいものはどれか。3つ選べ。

    • 心筋梗塞の発作時には、ニトログリセリンの舌下投与が有効である
    • 間欠性跛行は、脊柱管狭窄症と下肢閉塞性動脈疾患(LEAD)でみられる
    • 糖尿病性腎症は、人工透析導入の原因の第1位である
    • 加齢性難聴は、伝音性難聴である
    • 緑内障は自覚症状が乏しく、進行すると視力回復が困難になる
    答えと解説

    正解:2・3・5

    1 誤り。舌下投与が有効なのは狭心症。心筋梗塞には有効でない。

    2 正しい。どちらも間欠性跛行を呈し、両者の区別が問われる。

    3 正しい。糖尿病性腎症は人工透析導入の原因の第1位。

    4 誤り。加齢性難聴は感音性難聴である。

    5 正しい。日本では正常眼圧緑内障が多く、早期発見・早期治療が重要。

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