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急変時の対応|止血・誤嚥(窒息)・心肺蘇生(CPR)・AED・体位のまとめ

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保健医療サービス分野 > 第31講 急変時の対応|止血・誤嚥(窒息)・心肺蘇生(CPR)・AED・体位のまとめ/全文

この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。

CH2 SEC6

第31講 急変時の対応

高齢者は、病状が急に変わったり、転倒・窒息・溺水などの事故が起こりやすい。この講では、いざというときの正しい初期対応を学びます。初期対応が、その後の経過(予後)を左右します

第31講を始めましょう。テーマは、急変時の対応です。

高齢者は、病状が急に変わったり、転倒、窒息、溺水などの事故が起こりやすい。この講では、いざというときの正しい初期対応を学びます。大事なのは、この初期対応が、その後の経過、予後を左右する、ということです。

前提として、高齢者の急変には特徴があります。症状が典型的でなく、自覚症状や訴えも少ない。だから、気づかないうちに重症化しやすいのです。

内容は大きく2本立て。1つめが、事故への対応。転倒、誤嚥、誤薬、やけど、溺水、そして心停止です。

2つめが、身体変化への対応。意識、腹痛や嘔吐、吐血・下血・喀血、そして呼吸の変化です。

そして、全体を貫く合言葉が、医療と介護の連携。あらかじめ、予想される急変への対応方法、受診先、連絡方法を決めておくこと。これが、いざというときの初期対応を支えます。それでは始めましょう。

事故への対応

転倒(発見したときの対応)

高齢者は、運動器の衰え・平衡機能や視力の低下・認知機能の低下で転倒しやすい。さらに骨密度の低下で骨折もしやすい。発見時の流れを押さえます。

考え方転倒対応のゴールは「悪化させずに、医療につなぐ」。むやみに動かさず、状態を把握して連絡、が基本姿勢。

まず、事故への対応から。最初は転倒です。

高齢者は、なぜ転びやすいのか。運動器官が不安定になることに加え、平衡機能や視力の衰え、認知機能の低下が重なるからです。そして、骨密度の低下で、転ぶと骨折もしやすい。

転倒を発見したら、まず何をするか。転倒の状況、意識の有無、そして身体の状況を、把握することから始めます。

そのうえで、それぞれの病態に対応しますが、どの場合も共通して、速やかに医療機関に連絡します。これが大原則です。

次のスライドから、転倒に伴う、打撲・出血への対応と、骨折への対応を、具体的に見ていきます。

転倒対応のゴールは、悪化させずに、医療につなぐこと。むやみに動かさず、状態を把握して連絡する。この基本姿勢を覚えておきましょう。

事故への対応

打撲・出血(止血と危険サイン)

出血を止めるには「押さえる場所」と「高さ」がポイント。さらに、頭や腹を打ったときの危険なサインを見逃さないことが大切です。

なぜ心臓に近い側?血液は心臓から手足の先へ流れる。出血点より「心臓側」で押さえれば、流れの上流を止められる。高く上げるのは重力で血流を弱めるため。

転倒に伴う、打撲と出血への対応です。

まず、傷からの出血。清潔なガーゼやタオルで、傷口を圧迫して止血します。

ここが頻出。激しく出血している、あるいは清潔な布がないときは、出血部位よりも、心臓に近い側を圧迫します。そして、出血部位を心臓より高く上げます。遠い側ではありません。

次に、危険なサイン。頭を打って、記憶障害、頭痛、嘔吐がみられたら、頭蓋内の出血が疑われ、検査が必要です。両手足の脱力やしびれがあれば、頸椎損傷の疑い。動かすと悪化するので、極力動かしません。

おなかを打って、下腹部がふくらんでくる場合は、肝臓や脾臓からの出血が疑われます。

なぜ心臓に近い側なのか。血液は、心臓から手足の先へ流れます。だから、出血点より心臓側、つまり流れの上流で押さえれば、出血を止められる。高く上げるのは、重力で血流を弱めるためです。理由で覚えましょう。

事故への対応

骨折(好発部位と固定)

高齢者の転倒では骨折がつきもの。折れやすい場所と、動かさず固定するという対応を押さえます。

つながり第30講の骨折と同じく、ゴールは「廃用(寝たきり)を防ぐ」。だから現場では悪化させず固定し、医療につなぐ。

続いて、骨折への対応です。

高齢者が転倒で折れやすい部位は、太ももの付け根の大腿骨頸部、手首の橈骨遠位端、そして肩に近い上腕骨頸部です。この3つを覚えましょう。

骨折が疑われたら、動かないように固定します。むやみに動かさないことが大切です。

とくに注意。骨が皮膚から飛び出している開放骨折は、感染のおそれがあるので、触れないようにします。

なかでも大腿骨頸部骨折は、第30講でも学んだとおり、寝たきりに直結します。早期の手術と離床が鍵になります。

考え方は、第30講の骨折と同じ。ゴールは、廃用、つまり寝たきりを防ぐこと。だから現場では、悪化させずに固定して、医療につなぐのです。

事故への対応

誤嚥・窒息①(特徴とサイン)

高齢者は嚥下機能の低下で、食べ物や唾液が気道に入る誤嚥・窒息が起こりやすい。まず気づくことが命を分けます。

高齢者の落とし穴「苦しそうでなければ大丈夫」は誤り。高齢者は窒息でも静かなことがある。様子の変化に早く気づくことが重要。

次は、誤嚥と窒息です。2枚に分けます。まずは、特徴とサインから。

高齢者は、飲み込む力、嚥下機能の低下で、食べ物や唾液が気道に入る誤嚥や窒息が起こりやすくなります。まず気づくことが、命を分けます。

のどに詰まると、苦しくて、のどを手でつかむしぐさが出ます。これをチョークサインといいます。

ただし、ここが落とし穴。高齢者は、窒息していても、苦しがらずに、じっとしていることがあるのです。だから、注意深く見ることが必要です。

対応です。まずは、せきを出させてみる。これで、異物が出てくることもあります。

出ないときは、詰まった異物が奥に行かないよう、横向きの側臥位にして、口の中の異物を確認し、指でかき出します。それでも取れない場合は、次のスライドの手技に移ります。

事故への対応

誤嚥・窒息②(異物除去の手技)

口からかき出せないときの2つの手技。背部叩打法腹部突き上げ法(ハイムリック法)。同時に医療機関へ連絡します。

過去問(第22回)「食物で窒息したとき、腹部突き上げ法を行うこともある」は正しい。ただし臓器損傷の可能性があるので、実施したことを医療機関に伝える。

誤嚥・窒息の2枚目。口からかき出せないときの手技です。

2つあります。1つめが、背部叩打法。背中の、肩甲骨の間あたりを強くたたいて、異物を出す方法です。

2つめが、腹部突き上げ法。別名、ハイムリック法。後ろから両手を回して、みぞおちを、ぐっと突き上げます。

ここが大事な注意点。腹部突き上げ法は、内臓を傷つけることがあります。だから、行った場合は、その旨を必ず医療機関に伝えます。

そして、これらの手技と同時に、医療機関や救急に連絡することを忘れないでください。

過去問です。食物で窒息したとき、腹部突き上げ法を行うこともある、は正しい。ただし、臓器損傷の可能性があるので、実施したことを医療機関に伝える、までセットで覚えましょう。

事故への対応

誤薬(飲み間違いへの対応)

誤薬とは、誤った種類・量・時間・方法で薬を飲んでしまうこと。種類や量によっては生命に関わるため、落ち着いて対応します。

低血糖は甘いもの糖を下げる薬の入れすぎは、血糖が下がりすぎる。だから「糖を補う」=ブドウ糖や砂糖で対応、と結びつけて覚える。

次は、誤薬。薬の飲み間違いへの対応です。

誤薬とは、誤った種類、量、時間、または方法で、薬を飲んでしまうこと。種類や量によっては、生命に関わります。

対応です。危険な薬や量のときは、気づいたら、胃の内容物を吐かせます。

とくに注意したいのが、糖尿病の薬。血糖を下げる薬の多用や、インスリンの打ちすぎは、低血糖を起こす危険があります。このときは、ブドウ糖や砂糖、ジュースを飲ませて、血糖を上げます。

そして、気づいたときに、すでに意識がない場合。このときは、吐かせてはいけません。呼吸しやすい体位にして、救急車を呼びます。

日頃の予防も大切です。薬を一包化したり、服薬カレンダーを使ったりして、飲み間違いそのものを防ぎます。

覚え方。糖を下げる薬の入れすぎは、血糖が下がりすぎる。だから、糖を補う、ブドウ糖や砂糖で対応する。理由とセットで結びつけましょう。

事故への対応

熱傷(やけど)

やけどの基本はとにかく冷やす。ただし衣服の上からか、範囲が広いかで対応が変わります。

なぜ衣服の上から?やけどで皮膚に衣服が貼りつくと、無理に脱がせば皮膚ごとはがれて悪化する。だから上から冷やす、が安全。

次は、熱傷、やけどへの対応です。

基本は、とにかく冷やすこと。やけどの範囲が狭い場合は、水道水などの冷水で、15分から30分間、痛みがなくなるまで冷やします。

ここがポイント。衣服の下をやけどした場合は、衣服を脱がさず、衣服の上から冷やします。脱がすと、痛みが強くなったり、出血を起こしたりするからです。

やけどの面積が広範囲の場合は、速やかに救急車を要請し、シャワーの水で冷やします。

ただし、広範囲では、体が冷えすぎる低体温や、血圧の低下で、意識障害を起こすこともあるので、注意が必要です。

なぜ衣服の上からなのか。やけどで皮膚に衣服が貼りついていると、無理に脱がせば、皮膚ごとはがれて悪化します。だから、上から冷やすのが安全なのです。

事故への対応

溺水(入浴中に注意)

高齢者の溺水は、そのほとんどが入浴中に浴槽で起こります。おぼれる前に、体の中で何が起きているかを理解しましょう。

ヒートショック寒い脱衣所と熱い湯の温度差で血圧が乱高下し、心臓や脳に負担。これが入浴中の急変の正体。だから温度差を減らすのが予防になる。

次は、溺水、おぼれる事故です。

高齢者の溺水は、そのほとんどが、入浴中に、浴槽の中で起こります。

なぜでしょうか。入浴では、血圧の変動が大きくなります。その結果、心筋梗塞や脳血管障害を起こして、意識障害になり、おぼれてしまうのです。だから高齢者は、とくに注意が必要です。

異常を発見したら、ただちに浴槽から出して、心肺蘇生を行います。

予防も押さえましょう。脱衣所と浴室の温度差を小さくする、長湯や高温を避ける、といった対策が有効です。

この温度差による急変を、ヒートショックといいます。寒い脱衣所と、熱い湯の温度差で、血圧が乱高下し、心臓や脳に負担がかかる。これが入浴中の急変の正体です。だから、温度差を減らすことが予防になるのです。

事故への対応

心停止・心肺蘇生①(手順)

心臓が止まったら、1秒でも早く心肺蘇生3分以上続くと重大な脳障害が起こります。心肺蘇生は誰でも行える一次救命処置です。

なぜ急ぐ?脳は酸素が数分途切れるだけで深刻なダメージを受ける。だから「3分」が分かれ目。通報・AED手配は周囲に頼み、自分は胸骨圧迫を続ける。

次は、心停止と、心肺蘇生です。重要なので2枚に分けます。まずは流れから。

心臓が止まったら、1秒でも早く心肺蘇生を始めます。なぜなら、心停止が3分以上続くと、重大な脳障害が生じるからです。

心肺蘇生とは、胸骨圧迫、いわゆる心臓マッサージと、人工呼吸を組み合わせた、一次救命処置です。これは、医療職でなくても、誰でも行うことができます。

手順を順に。1つめ、反応があるかの確認。2つめ、119番通報と、AEDの手配。3つめ、呼吸の確認です。

正常な呼吸がなければ、仰向けの仰臥位にして、4つめの胸骨圧迫、そして5つめの気道確保と人工呼吸へと進みます。

なぜそんなに急ぐのか。脳は、酸素が数分途切れるだけで、深刻なダメージを受けます。だから、3分が分かれ目。通報やAEDの手配は周囲の人に頼み、自分は胸骨圧迫を続けることが大切です。

事故への対応

心肺蘇生②(胸骨圧迫とAED)

胸骨圧迫は「強く・速く・絶え間なく」が合言葉。そしてAEDが来たら、音声ガイドに従います。数字が頻出です。

過去問(第26回)「胸骨圧迫は1分間に60回を目安」は誤り。正しくは約5cm沈む強さ・1分間に100〜120回。数字をそのまま覚える。

心肺蘇生の2枚目。胸骨圧迫の質と、AEDです。ここは数字が頻出します。

胸骨圧迫は、胸の真ん中、胸骨の下半分を、重ね合わせた両手の付け根で押します。深さは、胸が約5センチ沈むように、強く。

テンポは、1分間に100回から120回。速く、絶え間なく続けます。そして、胸骨圧迫30回と、人工呼吸2回を、交互に繰り返します。

なお、気道確保と人工呼吸は、訓練を受けていない場合は、行わなくてよい、とされています。まずは胸骨圧迫を優先します。

AED、自動体外式除細動器は、心臓に電気ショックを与えて、正しいリズムに戻す機器です。音声ガイドに従って操作でき、2004年から、一般の人も使用できるようになりました。到着したら、指示どおり電気ショックを行い、ただちに心肺蘇生を再開します。

過去問。胸骨圧迫は1分間に60回を目安、は誤り。正しくは、胸が約5センチ沈む強さで、1分間に100回から120回。この数字を、そのまま覚えてください。

身体変化への対応

意識レベルの低下・ADLの低下

ここからは、事故ではない身体変化への対応。まずは意識レベルの低下です。程度を把握して医療者に伝えることが、重症度の判断につながります。

伝える内容が命綱介護職は診断をしない。だが「どのくらいの意識レベルか」を正確に伝えることが、医療側の判断材料になる。観察と伝達が役割。

ここからは、事故ではなく、体の変化、身体変化への対応です。まずは、意識レベルの低下から。

意識レベルの低下は、もとの病気だけでなく、脱水、熱中症、脳の血流不足である脳虚血などでも起こります。急変に伴うことも多いです。

大切なのは、意識レベルの程度を把握して、医療関係者に伝えること。これが、病気の重症度を判別するのに、重要になります。

意識レベルの評価には、第29講で学んだ、ジャパン・コーマ・スケール、JCSがよく使われます。数字が大きいほど重い、でしたね。

在宅の利用者さんに、意識障害がある場合は、救急車を要請します。

ここでの役割を理解しましょう。介護職は、診断はしません。けれど、どのくらいの意識レベルか、を正確に伝えることが、医療側の判断材料になります。観察し、伝えることが、介護職の役割なのです。

身体変化への対応

腹痛・嘔吐

腹痛は多くの病気で起こります。やってはいけない対応(温める・冷やす・鎮痛薬)と、嘔吐時の体位がポイントです。

過去問(第28回)「吐き気を訴える人を、誤嚥予防のため仰向けに寝かせる」は誤り。仰向けだと吐物で窒息のおそれ→横向き(側臥位)が正しい。

次は、腹痛と嘔吐への対応です。

腹痛は、多くの病気で起こります。やってはいけないのが、患部を温めたり冷やしたりすること、そして、安易に鎮痛薬を使うこと。これらは悪化のおそれがあるので避け、速やかに医療機関に連絡します。

嘔吐への対応。のどが詰まらないように、横向きの側臥位に寝かせ、口に残ったものを取り出します。

意識や呼吸の状態が悪いとき、あるいは、吐いたものに血が混じっているときは、速やかに医療機関に連絡します。

あわせて押さえたい鑑別。激しい腹痛と嘔吐を繰り返す場合は、腸が詰まるイレウス、腸閉塞。腹痛に、発熱や下痢が加わる場合は、食中毒やノロウイルス感染を疑います。

過去問。吐き気を訴える人を、誤嚥予防のために仰向けに寝かせる、は誤り。仰向けだと、吐いたもので窒息するおそれがあります。正しくは、横向きの側臥位。窒息防止のための体位、ここはよく問われます。

身体変化への対応

吐血・下血・喀血

血を吐く・血が出る症状は、どこからの出血かで呼び方が変わります。出血源と体位を結びつけて覚えます。

過去問(第18回)「血圧低下+大量の黒色便だが、鮮紅色でないので問題なし」は誤り。黒色のタール便は胃・十二指腸からの相当な出血のサイン→検査が必要。

次は、吐血、下血、喀血です。血が出る症状を整理します。

まず吐血。消化管からの出血で、口から血を吐くこと。胃・十二指腸潰瘍や、胃がんなど、上部消化管の病気で起こります。

下血は、肛門から血が出ること。上部消化管からの出血では、血が黒く変化して、黒色のタール便になります。一方、鮮やかな紅色なら、肛門に近い、下部消化管からの出血です。色で出血源を見分けます。

喀血は、喉頭、気管、肺など、気道系からの出血が、気道を通って口から出ることをいいます。吐血が消化管、喀血が気道、と区別しましょう。

体位の対応。喀血では、出血している側を下にした側臥位にします。健康な側の肺に血が流れ込んで窒息するのを防ぐためです。そして、いずれの場合も、水や薬は飲ませません。

過去問。血圧低下とともに大量の黒色便が出たが、鮮紅色ではないので問題ないと判断した、は誤り。黒色のタール便は、胃や十二指腸からの、かなりの出血のサインです。胃カメラなどの検査が必要です。

身体変化への対応

呼吸不全(呼吸の変化)

呼吸困難や息切れは多くの病気でみられますが、突然起こった・いつもと違うときは緊急性が高い。落ち着いて楽な姿勢を取らせます。

なぜ座位?横になるより座ったほうが、横隔膜が下がり肺が広がって呼吸が楽になる。だから苦しいときは座位・半座位、が基本(心不全の起座呼吸と同じ理屈)。

身体変化への対応の最後は、呼吸不全、呼吸の変化です。

呼吸困難や息切れは、多くの病気でみられる症状です。

ただし、それが突然起こった場合や、ようすがいつもと違う場合は、緊急性が高くなります。人工呼吸や気道確保が必要になることもあります。

緊急性が高くないときは、座った姿勢、座位など、本人が呼吸の楽になる姿勢をとらせます。

ここで、第29講で学んだ、特徴的な呼吸も思い出しましょう。起座呼吸なら左心不全、というように、呼吸の型から原因を推測できます。

なぜ座位が楽なのか。横になるより、座ったほうが、横隔膜が下がって肺が広がり、呼吸が楽になります。だから、苦しいときは座位や半座位が基本。第29講の心不全の起座呼吸と、同じ理屈です。

おつかれさまでした

第31講 まとめ

おつかれさまでした。急変時の対応は、「悪化させず、正しく医療につなぐ」が一貫したテーマ。数字とひっかけで総整理しましょう。

おつかれさまでした。第31講のまとめです。急変時の対応は、悪化させず、正しく医療につなぐ、が一貫したテーマでした。数字とひっかけで、総整理しましょう。

まず、体位と止血。出血は、心臓に近い側を圧迫し、患部を高く上げる。吐き気や嘔吐のときは、窒息を防ぐため、横向きの側臥位。

次に、救命処置。胸骨圧迫は、約5センチ沈む強さで、1分間に100回から120回。窒息には、背部叩打法と、腹部突き上げ法、ハイムリック法です。

そして、各事故のキーワード。やけどは、15分から30分冷やす、衣服の上から。溺水は、入浴中、ヒートショック。黒色のタール便は、上部消化管出血のサインで、検査が必要。

最後に、誤薬。糖尿病の薬による低血糖には、ブドウ糖や砂糖。そして、意識がなければ、吐かせず救急車。これらを確実に押さえましょう。

下の解説記事で、もう一度整理しておきましょう。次回もお楽しみに。

この講の一問一答(◯×12問・五肢複択2問)

すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →

  1. 激しく出血しているときは、出血部位より心臓に近い側を圧迫し、患部を心臓より高くする。

    答えと解説

     ○。血液は心臓から末梢へ流れるため、出血点より心臓に近い側(上流)を圧迫し、患部を高くして血流を弱める。

  2. 頭部を打って記憶障害や嘔吐がみられる場合は、頭蓋内出血が疑われ検査が必要である。

    答えと解説

     ○。両手足の脱力・しびれがあれば頸椎損傷の疑いで、動かさないようにする。

  3. 骨が皮膚から出ている開放骨折では、感染予防のため元の位置に戻してから固定する。

    答えと解説

     ×。感染のおそれがあるので触れない。動かさず固定して医療機関へ。

  4. 高齢者は、窒息していても苦しがらず、じっとしていることがある。

    答えと解説

     ○。チョークサインが出ないこともあり、様子の変化に注意する。

  5. 食物による窒息で、腹部突き上げ法(ハイムリック法)を行うことがある。

    答えと解説

     ○(第22回類問)。臓器を傷つけることがあるため、行った場合は医療機関に伝える。

  6. 薬を誤って多く飲み、意識がない場合は、まず吐かせる。

    答えと解説

     ×。意識がない場合は吐かせず、呼吸しやすい体位にして救急車を呼ぶ。

  7. 衣服の下をやけどした場合は、すぐに衣服を脱がせてから冷やす。

    答えと解説

     ×。脱がすと痛みの増強や出血のおそれがあるため、衣服の上から冷やす。

  8. 高齢者の溺水の多くは、入浴中に浴槽内で発生する。

    答えと解説

     ○。血圧変動(ヒートショック)による心筋梗塞・脳血管障害が背景にある。

  9. 心肺蘇生は、医療職でなければ行ってはならない。

    答えと解説

     ×。胸骨圧迫と人工呼吸による一次救命処置で、誰でも行える。

  10. 心肺蘇生時の胸骨圧迫は、1分間に60回を目安に行う。

    答えと解説

     ×(第26回類問)。胸が約5cm沈む強さで、1分間に100〜120回のテンポで行う。

  11. 吐き気を訴える人は、誤嚥予防のため仰向け(仰臥位)に寝かせる。

    答えと解説

     ×(第28回類問)。仰向けは吐物で窒息のおそれ。横向き(側臥位)にする。

  12. 血圧低下とともに大量の黒色便を認めた場合、鮮紅色でなければ問題ないと判断してよい。

    答えと解説

     ×(第18回類問)。黒色のタール便は上部消化管の相当な出血で、検査が必要。

五肢複択

  1. 急変時の対応として、適切なものを2つ選べ。

    • 激しい出血では、出血部位より心臓から遠い側を圧迫する
    • 嘔吐があるときは、横向き(側臥位)にして窒息を防ぐ
    • 範囲の狭いやけどは、冷水で15〜30分冷やす
    • 誤薬で意識がないときは、ただちに吐かせる
    • 頭部打撲で手足のしびれがあれば、すぐに座らせて動かす
    答えと解説

    正解:2・3

    1 誤り。心臓に近い側を圧迫し、患部を高くする。

    2 正しい。仰向けは吐物で窒息のおそれがあるため側臥位にする。

    3 正しい。衣服の下は脱がさず上から冷やす。広範囲は救急車。

    4 誤り。意識がなければ吐かせず、呼吸しやすい体位にして救急車。

    5 誤り。頸椎損傷の疑いがあり、動かすと悪化するので動かさない。

  2. 心肺蘇生・AEDについて、適切なものを2つ選べ。

    • 胸骨圧迫は、胸が約5cm沈む強さで1分間に100〜120回行う
    • 心停止が3分以上続いても、脳への影響はほとんどない
    • 気道確保・人工呼吸は、訓練を受けていなければ行わなくてよい
    • AEDは、医療従事者しか使用できない
    • AEDが到着しても、心肺蘇生が終わるまでは使用しない
    答えと解説

    正解:1・3

    1 正しい。胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を繰り返す。

    2 誤り。3分以上で重大な脳障害が生じるため、少しでも早く開始する。

    3 正しい。胸骨圧迫を優先する。

    4 誤り。2004年から一般の人も使用できる。

    5 誤り。到着したら指示どおり電気ショックを行い、ただちにCPRを再開する。

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