保健医療サービス分野 > 第40講 褥瘡(床ずれ)への対応|程度の分類・好発部位と予防のポイント/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
CH2 SEC15
第40講 褥瘡への対応
褥瘡(じょくそう)は「床ずれ」ともいい、寝たきりの高齢者によくみられます。この講では「褥瘡とは」「発生要因」「好発部位」「予防と対応」を学びます。
- ①褥瘡とは・程度の分類(Ⅰ〜Ⅳ度)
- ②発生要因(直接的=圧迫/間接的=全身・局所・社会)
- ③好発部位(仰臥位・側臥位・座位)
- ④予防と対応(体圧分散・清潔・栄養・連携)
第40講を始めましょう。テーマは、褥瘡への対応です。
褥瘡、じょくそうは、床ずれともいい、寝たきりの高齢者によくみられます。この講では、褥瘡とは何か、発生要因、好発部位、そして予防と対応を学びます。
今日のゴールは4つです。
1つめ、褥瘡とはと、程度の分類。Ⅰ度からⅣ度です。
2つめ、発生要因。直接的な圧迫と、間接的な全身・局所・社会の3要因です。
3つめ、好発部位。仰臥位、側臥位、座位それぞれで押さえます。
4つめ、予防と対応。体圧分散、清潔保持、栄養管理、多職種連携です。
褥瘡とは
褥瘡とは
褥瘡は、皮膚に長時間圧力がかかり、血流が阻害されて皮膚や皮下組織が壊死するものです。
- 圧力がかかった部位の発赤から始まり→ただれ・水疱・びらん→皮膚潰瘍へ進行
- 細菌感染で敗血症、創面からたんぱく質が漏れ低栄養に。生命にかかわることも
まず、褥瘡とは何か。
褥瘡は、皮膚に長時間、圧力がかかることで血流が阻害され、皮膚や皮下組織が壊死するものです。
圧力がかかった部位の発赤から始まり、進行すると、ただれ、水疱、びらんがみられ、やがて皮膚潰瘍を形成します。
細菌感染を起こすと敗血症になったり、褥瘡の部位からたんぱく質が漏れ出て低栄養になることもあり、生命にかかわることもあります。
Ⅰ〜Ⅳ度
褥瘡の程度による分類
褥瘡は、壊死の深さによって、4段階に分けられます。数字が大きいほど重くなります。
Ⅰ度は、表皮の剥離。局所充血で、表皮のみにとどまります。いちばん軽い段階です。
Ⅱ度は、浅い潰瘍。小水疱やびらんで、表皮から真皮にまで及びます。
Ⅲ度は、深い潰瘍で、脂肪組織にまで及びます。
そしてⅣ度は、深い潰瘍が、筋肉や骨組織などにまで及んだ、いちばん重い段階です。
発生要因
褥瘡の発生要因(全体像)
褥瘡の直接的要因は、寝たきりによる皮膚への持続的な圧迫。これに3つの間接的要因が相互に影響します。
- 全身的要因(低栄養・骨突出など)
- 局所的要因(皮膚の脆弱・摩擦/ずれ・湿潤汚染など)
- 社会的要因(介護力不足・知識不足など)
次に、褥瘡の発生要因です。
褥瘡の直接的な要因は、寝たきりなどによる、皮膚への持続的な圧迫、つまり圧力です。
これに加えて、間接的な要因が3つあります。全身的要因、局所的要因、社会的要因。これらが相互に影響して、褥瘡をつくります。
次のスライドから、3つの要因を一つずつ見ていきます。
発生要因
発生要因①全身的要因
- 低栄養・脱水・浮腫/骨の突出/やせ・骨粗鬆症/薬剤投与/糖尿病・認知症 など
1つめ、全身的要因です。
低栄養や脱水、浮腫、骨の突出、やせや骨粗鬆症、薬剤の投与、糖尿病や認知症などが挙げられます。
とくに低栄養は、褥瘡発生の重要な要因の一つです。血清アルブミンが3.0g/dL以下、あるいは血中ヘモグロビンが11.0g/dL以下になると、褥瘡発生のリスクが高まります。この数字は試験に出ます。
発生要因
発生要因②局所的・社会的要因
2つめ、局所的要因。加齢による皮膚の脆弱、摩擦やずれ、失禁や発汗による皮膚の湿潤や汚染、局所の皮膚疾患などです。
3つめ、社会的要因。介護力、マンパワーの不足、情報や知識の不足、管理体制の不足、経済力の不足などです。褥瘡は、本人の体の問題だけでなく、介護の体制も関わるということです。
好発部位
好発部位①仰臥位
褥瘡の好発部位は仙骨部が最も多く、半数以上を占めます。体位ごとに押さえましょう。
- 仰臥位(あおむけ):仙骨部・後頭部・肩甲骨部・肘関節部・踵骨部(かかと)
ここから好発部位、褥瘡ができやすい場所です。
いちばん多いのは、仙骨部。骨盤の後ろ、中央にある骨で、なんと褥瘡全体の半数以上を占めます。
まず、あおむけ、仰臥位の好発部位。仙骨部、後頭部、肩甲骨部、肘関節部、そして踵骨部、かかとです。
好発部位
好発部位②側臥位
- 側臥位(横向き):大転子部・耳介部・肩峰突起部・膝関節顆部・外踝部(くるぶし)
次に、横向き、側臥位の好発部位。
大転子部、耳介部、肩峰突起部、膝関節顆部、そして外踝部、くるぶしです。
横向きで覚えるべきは、大転子部。太もものつけ根の外側にある骨です。
好発部位
好発部位③座位・車いす座位
- 座位:殿部(坐骨部)・後頭部・肩甲骨部・仙骨部・踵骨部
- 車いす座位でできやすいのは:肩甲骨部・肘関節部・殿部
そして、座った姿勢、座位の好発部位。
殿部、坐骨部、後頭部、肩甲骨部、仙骨部、踵骨部です。
なお、車いすに座っているときにできやすいのは、肩甲骨部、肘関節部、そして殿部です。
予防と対応
予防①体圧の分散
予防はまず、本人の状態と発生要因を分析してリスクを予測し、皮膚の観察を怠らないことから。
- エアーマットなど体圧分散寝具を活用
- 自力で体位変換できない場合、基本は2時間ごと。体圧分散寝具を使う場合は4時間程度ごとに体位変換
ここから予防と対応です。まず予防。
予防では、本人の状態と発生要因を比べて分析し、発生リスクを予測します。状態が悪いと1日でも褥瘡ができることがあるので、常に皮膚の観察を怠らないようにします。
1つめの予防策は、体圧の分散。エアーマットなどの体圧分散寝具を活用します。
自力で体位変換ができない場合は、基本的には2時間ごとに体位変換を行います。体圧分散寝具を使う場合は、4時間程度ごとでよいとされます。この2時間と4時間は、よく出ます。
予防と対応
予防②清潔保持・栄養管理
- 清潔保持:尿・便失禁は仙骨部褥瘡の感染リスクを高める→汚染時の清潔ケア。浮腫のある皮膚は低刺激性の石けんで清潔に
- 栄養管理:低栄養が続くと筋肉・脂肪が減り骨が突出→褥瘡ができやすい。栄養管理を徹底
2つめの予防策は、清潔保持です。
尿失禁や便失禁は、仙骨部の褥瘡の感染リスクを高め、治癒を妨げます。汚染したら清潔ケアを欠かさず行います。浮腫のある皮膚はリスクが高いので、低刺激性の石けんで清潔を保ちます。
3つめは、栄養管理。低栄養の状態が長く続くと、筋肉や脂肪組織が減って骨が突出し、褥瘡ができやすくなります。だから栄養管理を徹底します。
予防と対応
対応①栄養補給・家族介護者支援
- 栄養補給:褥瘡ができたら創面から滲出液で栄養が失われる→高タンパク質・高カロリーの補給
- 家族・介護者への支援:介護の知識・スキルの指導、必要なサービス・資源の導入
ここからは、褥瘡ができてしまった場合の対応です。まず栄養補給。
褥瘡ができると、創面から滲出液などとして栄養分が失われます。そのため、高タンパク質、高カロリーの栄養補給を行います。
また、褥瘡ケアを行う家族や介護者に対して、介護の知識やスキルを指導し、必要なサービスや資源を導入する支援も行います。
予防と対応
対応②連携と注意点
- 保健医療サービスとの連携:医療職・看護職・介護福祉職・薬剤師・栄養士などが連携し情報共有。発赤がみられたら医療職と連携して進行阻止
- マッサージは発赤部位を避け、周辺の健康な部分に。円座は現在は使わない(局所を圧迫し悪化させるため)
対応では、保健医療サービスとの連携も重要です。
医療職や看護職、介護福祉職、薬剤師や栄養士などの多職種が連携し、情報を共有して、褥瘡の予防・早期発見・管理を行います。発赤がみられたら、医療職と連携して進行を阻止することに最善を尽くします。
注意点。マッサージは血行を促して予防に効果的ですが、発赤の部位をマッサージすると悪化させるので、発赤部位は避け、その周辺の健康な部分をマッサージします。また、昔使われた円座は、局所を圧迫してかえって褥瘡を悪化させるため、現在は使いません。
なお、褥瘡ができた直後から1、2週間を急性期、それ以降を慢性期と呼びます。治療は、塗り薬などの保存的治療、物理療法、手術などの外科的治療を、状態に応じて行います。
おつかれさまでした
第40講 まとめ
- 褥瘡=圧迫で血流阻害→壊死。程度はⅠ〜Ⅳ度(Ⅳ度は筋肉・骨まで)
- 好発部位=仙骨部が最多(半数超)/側臥位は大転子部/車いすは肩甲骨・肘・殿部
- 予防=体位変換2時間(寝具使用4時間)・低栄養はアルブミン3.0/Hb11.0以下でリスク↑/発赤はマッサージしない・円座は使わない
第40講のまとめです。
褥瘡は、圧迫で血流が阻害されて壊死するもの。程度はⅠ度からⅣ度で、Ⅳ度は筋肉や骨にまで及びます。
好発部位は、仙骨部が最も多く半数以上。横向きの側臥位では大転子部、車いす座位では肩甲骨部・肘関節部・殿部でした。
予防は、体位変換が基本2時間、体圧分散寝具を使えば4時間。低栄養はアルブミン3.0、ヘモグロビン11.0以下でリスクが上がります。発赤部位はマッサージせず、円座は使いません。
おつかれさまでした。読んで復習したい人は、下の解説記事もどうぞ。
この講の一問一答(◯×12問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
褥瘡は、皮膚に長時間圧力がかかり血流が阻害されて、皮膚や皮下組織が壊死するものである。
答えと解説
◯ ○。褥瘡(床ずれ)は持続的な圧迫で血流が阻害され、皮膚・皮下組織が壊死する。
褥瘡は、圧力がかかった部位の発赤から始まる。
答えと解説
◯ ○。発赤→ただれ・水疱・びらん→皮膚潰瘍へと進行する。
褥瘡のⅠ度は、筋肉や骨組織にまで及んだ最も重い段階である。
答えと解説
✕ ×(Ⅳ度)。Ⅰ度は表皮のみ。筋肉や骨組織まで及ぶ最も重い段階はⅣ度。
褥瘡の発生における直接的要因は、皮膚への持続的な圧迫である。
答えと解説
◯ ○。直接的要因は持続的な圧迫。間接的要因は全身的・局所的・社会的の3つ。
介護力(マンパワー)の不足は、褥瘡の局所的要因に分類される。
答えと解説
✕ ×(社会的要因)。介護力・情報知識・管理体制・経済力の不足は社会的要因。
褥瘡の好発部位として最も多いのは、仙骨部である。
答えと解説
◯ ○。仙骨部(骨盤の後ろ中央)が最も多く、半数以上を占める。
側臥位では、大転子部に褥瘡ができやすい。
答えと解説
◯ ○。横向き(側臥位)の代表的な好発部位は大転子部。
自力で体位変換できない場合、体圧分散寝具を使用していても2時間ごとの体位変換が必須である。
答えと解説
✕ ×(寝具使用時は4時間程度)。基本は2時間ごと、体圧分散寝具を使う場合は4時間程度ごとでよい。
低栄養状態は褥瘡発生の要因となり、血清アルブミン3.0g/dL以下でリスクが高まる。
答えと解説
◯ ○。血清アルブミン3.0g/dL以下、または血中ヘモグロビン11.0g/dL以下でリスクが高まる。
褥瘡ができた場合の栄養補給は、低タンパク・低カロリーを基本とする。
答えと解説
✕ ×(高タンパク・高カロリー)。創面から栄養が失われるため、高タンパク質・高カロリーで補給する。
褥瘡の発赤がみられた部位は、血行促進のため積極的にマッサージするとよい。
答えと解説
✕ ×(発赤部位は避ける)。発赤部位へのマッサージは重症化させるため、周辺の健康な部分に行う。
褥瘡の予防方法の一つに、栄養管理がある。
答えと解説
◯ ○(第26回問29)。低栄養で骨が突出し、むくみで血液循環が悪化するため、栄養管理が予防になる。
五肢複択
褥瘡の分類と好発部位について、正しいものを2つ選べ。
- 褥瘡のⅡ度は、表皮から真皮に及ぶ浅い潰瘍である。
- 褥瘡の好発部位で最も多いのは、外踝部である。
- 仰臥位の好発部位には、仙骨部や踵骨部が含まれる。
- 褥瘡のⅣ度は、表皮のみにとどまる軽い段階である。
- 車いす座位では、大転子部に最もできやすい。
答えと解説
正解:1・3
1 正しい。Ⅱ度は浅い潰瘍(小水疱・びらん)で、表皮から真皮に及ぶ。
2 誤り。最も多いのは仙骨部で、半数以上を占める。
3 正しい。仰臥位の好発部位は仙骨部・後頭部・肩甲骨部・肘関節部・踵骨部。
4 誤り。Ⅳ度は筋肉や骨組織まで及ぶ最も重い段階。表皮のみはⅠ度。
5 誤り。車いす座位は肩甲骨部・肘関節部・殿部。大転子部は側臥位の好発部位。
褥瘡の予防と対応について、正しいものを2つ選べ。
- 自力で体位変換できない場合、体圧分散寝具を使えば4時間程度ごとの体位変換でよい。
- 発赤部位は、血行を促すため直接マッサージする。
- 褥瘡予防として、円座を積極的に使用する。
- 褥瘡ができた場合は、高タンパク質・高カロリーの栄養補給を行う。
- 低栄養は褥瘡と関係せず、栄養管理は予防に含まれない。
答えと解説
正解:1・4
1 正しい。基本は2時間ごと。体圧分散寝具を使う場合は4時間程度ごとでよい。
2 誤り。発赤部位へのマッサージは重症化させるため避け、周辺の健康な部分に行う。
3 誤り。円座は局所を圧迫してかえって悪化させるため、現在は使わない。
4 正しい。褥瘡ができると創面から栄養が失われるため、高タンパク質・高カロリーで補給する。
5 誤り。低栄養は褥瘡発生の重要な要因で、栄養管理は予防の柱の一つ。