保健医療サービス分野 > 第42講 入浴・清潔保持、整容の介護|清潔の意義と介護の方法/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
CH2 SEC17
第42講 入浴・清潔保持、整容の介護
身体を清潔に保つことは、汚れをとるだけでなく心理的・社会的にも効果があり、全身状態を観察して異常の早期発見にもつながります。この講では「清潔の意義」「清潔介護の方法」「整容の介護」を学びます。
- ①清潔の意義(身体的・心理的・社会的、観察→早期発見)
- ②清潔介護の方法(入浴・清拭・手浴足浴・洗髪・陰部清拭)
- ③整容の介護(整髪・洗顔・爪切り・ひげ剃り)
第42講を始めましょう。テーマは、入浴・清潔保持、そして整容の介護です。
身体を清潔に保つことは、単に汚れをとるだけでなく、心理的・社会的にも効果があります。また、全身状態を観察する機会となり、異常の早期発見にもつながります。
今日のゴールは3つです。
1つめ、清潔の意義。身体的・心理的・社会的な意義と効果です。
2つめ、清潔介護の方法。入浴、清拭、手浴・足浴、洗髪、陰部清拭です。
3つめ、整容の介護。整髪、洗顔、爪切り、ひげ剃りです。
身体的・心理的・社会的
清潔の意義
まず、清潔の意義です。3つの面があります。
1つめ、身体的な意義。皮膚の機能を健康に保ち、血液循環や新陳代謝を促進します。リハビリの効果もあります。
2つめ、心理的な意義。爽快感で気分をリフレッシュし、リラックス感をもたせます。
3つめ、社会的な意義。他者へ清潔感を与え、社会性を高めます。
そしてもう一つ大切なのが、清潔ケアは利用者の全身状態を観察する機会になるということ。異常の早期発見につながります。
清潔介護の方法
清潔介護①入浴(留意点)
- 身体負担が大きいため、入浴前後の体調確認を行う
- 転倒・溺水・ヒートショックなどの事故予防に留意する
- 入浴補助具や浴槽を選択・活用/入浴習慣を尊重しプライバシーに配慮
ここから清潔介護の方法です。まず入浴。
入浴は身体への負担が大きいため、入浴の前後に体調確認を行います。
また、転倒、溺水、そしてヒートショックなどの事故予防に留意します。ヒートショックは次のスライドで説明します。
適切な入浴補助具や浴槽を選んで活用し、利用者の入浴習慣を尊重して、プライバシーに配慮します。
清潔介護の方法
清潔介護①入浴(湯温・時間)
- 入浴前後に水分を補給し、脱水を予防する
- ヒートショック=急激な温度変化による悪影響。脱衣室と浴室などの温度差で血圧が大きく変動→心筋梗塞・脳梗塞のリスク
入浴の続きです。数字を押さえましょう。
湯温は38度から40度程度、入浴時間は10分から15分をめやすとします。
入浴の前後には水分を補給し、脱水を予防します。
ヒートショックとは、急激な温度変化がもたらす身体への悪影響のことです。居室と廊下、脱衣室と浴室など、温度差が大きい場所への移動で血圧が大きく変動し、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。高温浴では、入湯時の血圧上昇と、温まってからの血圧降下で、めまいや意識消失の危険もあります。
清潔介護の方法
清潔介護②清拭
- 室温を適切に保つ
- プライバシーに配慮し、露出は最小限とする
- 基本は末端から中枢へ向かって拭く。腹部は大腸の走行に沿って「の」の字に拭く
2つめは、清拭。身体を拭いて清潔にすることです。
室温を適切に保ち、プライバシーに配慮して、露出は最小限にします。
拭く方向の基本は、末端から中枢へ。つまり手足の先から体の中心に向かって拭きます。おなか、腹部は、大腸の走行に沿って、の の字を描くように拭きます。
清潔介護の方法
清潔介護③手浴・足浴
- 湯温に注意し、熱傷(やけど)を予防して適温を保つ
- 拘縮などがある場合、温めながら無理のないように伸ばして洗う
- 拘縮が強い場合は、関節に負担をかけない良肢位を保つ
3つめは、手浴・足浴。手や足だけをお湯で洗うことです。
湯温に注意し、やけど、熱傷を予防して、適温を保ちます。
手足に拘縮などがある場合は、温めながら、無理のないように伸ばして洗います。
拘縮が強い場合は、関節に負担をかけない良肢位を保つようにします。
清潔介護の方法
清潔介護④洗髪
- 頭皮に異常がないことを確認する
- ベッド上で行う場合は、寝具や寝衣を濡らさない工夫をする
- 洗髪後は十分に乾かし、髪・頭皮に水分を残さない
4つめは、洗髪、髪を洗うことです。
まず、頭皮に異常がないことを確認します。
ベッドの上で行う場合は、寝具や寝衣を濡らさない工夫をします。
洗髪のあとは十分に乾かし、髪や頭皮に水分を残さないようにします。
清潔介護の方法
清潔介護⑤陰部清拭
- 汚れやすいため、1日に1回は行うようにする
- 手袋を着用し、感染を予防する
- 女性の場合、尿道への感染防止のため、前から後ろへ向かって拭く
5つめは、陰部清拭です。
陰部は汚れやすいため、1日に1回は行うようにします。放置すると、褥瘡や皮膚炎、尿路感染の原因になります。
介助する人は手袋を着用し、感染を予防します。
女性の場合は、尿道への感染を防ぐため、前から後ろへ向かって拭きます。ここは試験で狙われるポイントです。
整容の介護
整容の介護とは
整容には整髪・洗顔・爪切り・ひげ剃りなどがあり、利用者の社会参加に重要なかかわりがあります。
- 「外出しないから整容をしない」場合と、「整容ができないために外出をしない」場合がある
- この点に配慮しながら介護を行うことが必要
ここから整容の介護です。
整容には、整髪、洗顔、爪切り、ひげ剃りなどがあり、利用者の社会参加に重要なかかわりがあります。
整容には2つの側面があります。外出しないから整容をしない場合と、逆に、整容ができないために外出をしない場合です。
この両面に配慮しながら、介護を行うことが必要です。身だしなみが整うと、外に出るきっかけにもなります。
整容の介護
整容①整髪・洗顔
整容の1つめ、整髪と洗顔です。
整髪は、髪の毛を整えること。カットやパーマなどは自費となりますが、理美容のニーズも考慮します。
洗顔は、顔を洗うだけでなく、汚れのつきやすい目、鼻、耳、口のまわりも、ていねいに拭きます。
整容の介護
整容②爪切り・ひげ剃り
整容の2つめ、爪切りとひげ剃りです。
爪切りでは、とくに足指の爪の状態を観察します。深爪になっていないか注意します。手入れを怠ると、巻き爪や爪白癬が引き起こされるので注意します。
ひげ剃りは、電動シェーバーなどを使用し、できるだけ利用者本人が行います。その際、肌に傷がついていないかを確認します。
ここで差がつく
ひっかけ総整理
- 清拭は末端から中枢へ(中枢から末端、ではない)。腹部は「の」の字
- 陰部清拭(女性)は前から後ろへ(後ろから前、ではない)
- 湯温38〜40℃・入浴時間10〜15分/陰部清拭は1日1回
試験で差がつくポイントを整理します。
1つめ。清拭は、末端から中枢へ拭きます。中枢から末端、は誤り。腹部は の の字でした。
2つめ。女性の陰部清拭は、前から後ろへ。後ろから前、は誤りです。尿道への感染を防ぐためでした。
3つめ。数字。湯温は38度から40度、入浴時間は10分から15分。陰部清拭は1日1回。この数字を押さえましょう。
おつかれさまでした
第42講 まとめ
- 清潔の意義=身体的・心理的・社会的+観察による早期発見
- 入浴=38〜40℃・10〜15分・水分補給・ヒートショック注意/清拭=末端→中枢・腹部「の」の字/陰部(女性)=前→後ろ・1日1回
- 整容=社会参加に重要/爪は足指・深爪注意(巻爪・爪白癬)/ひげは電動シェーバーで本人
第42講のまとめです。
清潔の意義は、身体的・心理的・社会的の3つ。そして全身状態を観察して、異常の早期発見につながることでした。
入浴は湯温38から40度、時間10から15分、水分補給とヒートショック注意。清拭は末端から中枢へ、腹部は の の字。女性の陰部清拭は前から後ろへ、1日1回でした。
整容は社会参加に重要。爪はとくに足指を観察し深爪に注意、巻き爪や爪白癬に気をつけます。ひげは電動シェーバーで本人が行います。
おつかれさまでした。読んで復習したい人は、下の解説記事もどうぞ。
この講の一問一答(◯×12問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
身体の清潔を保つことは、汚れをとるだけでなく、血液循環や新陳代謝の促進につながる。
答えと解説
◯ ○。皮膚の健康・血液循環や新陳代謝の促進・リハビリ効果は、清潔保持の身体的な意義。
清潔ケアは、利用者の全身状態を観察して異常を早期に発見する機会にもなる。
答えと解説
◯ ○。清潔ケアは全身状態を観察する機会となり、異常の早期発見につながる。
入浴介助では、転倒や溺水、ヒートショックなどの事故予防に留意する。
答えと解説
◯ ○。入浴は身体負担が大きいため、前後の体調確認とこれらの事故予防に留意する。
入浴の湯温は42〜45℃程度、入浴時間は30分程度をめやすとする。
答えと解説
✕ ×(38〜40℃・10〜15分)。湯温は38〜40℃程度、入浴時間は10〜15分がめやす。
清拭は、中枢から末端に向かって拭くのが基本である。
答えと解説
✕ ×(末端から中枢へ)。清拭の基本は末端から中枢へ。腹部は大腸に沿って の の字。
清拭で腹部を拭くときは、大腸の走行に沿って「の」の字に拭く。
答えと解説
◯ ○。腹部は大腸の走行に沿って の の字を描くように拭く。
手足に拘縮がある場合は、温めながら無理のないように伸ばして洗う。
答えと解説
◯ ○。拘縮があれば温めながら無理なく伸ばして洗い、強い場合は良肢位を保つ。
陰部は汚れやすいので、放置すると褥瘡や皮膚炎、尿路感染などの原因となる。
答えと解説
◯ ○(第11回問36)。陰部は湿潤・汚れがつきやすく、褥瘡や皮膚炎を起こしやすい。
女性の陰部清拭は、尿道への感染防止のため、後ろから前へ向かって拭く。
答えと解説
✕ ×(前から後ろへ)。女性は尿道への感染を防ぐため、前から後ろへ向かって拭く。
ひげ剃りは、安全のため必ず介護者が行い、利用者本人には行わせない。
答えと解説
✕ ×(本人が行う)。電動シェーバーなどを使用し、できるだけ利用者本人が行い、肌の傷を確認する。
爪の手入れを怠ると、巻爪や爪白癬が引き起こされることがある。
答えと解説
◯ ○。とくに足指の爪を観察し、深爪に注意する。怠ると巻爪や爪白癬が引き起こされる。
整容の介護は、利用者の社会参加とは関係がないため、外出の有無を考慮する必要はない。
答えと解説
✕ ×(社会参加に重要)。整容ができないために外出をしないこともあり、社会参加の観点から配慮する。
五肢複択
清潔の意義と清潔介護の方法について、正しいものを2つ選べ。
- 身体の清潔を保つことには、爽快感やリラックス感をもたらす心理的な効果がある。
- 入浴の湯温は、45℃以上の高温を保つことが望ましい。
- 清拭では、末端から中枢へ向かって拭くのが基本である。
- 入浴の前後には、水分を控えて脱水を防ぐ。
- 清拭では、プライバシーよりも観察を優先し、全身を大きく露出させる。
答えと解説
正解:1・3
1 正しい。爽快感やリラックス感は、清潔保持の心理的な意義・効果。
2 誤り。入浴の湯温は38〜40℃程度、入浴時間は10〜15分がめやす。
3 正しい。清拭は末端から中枢へ向かって拭くのが基本。腹部は の の字。
4 誤り。入浴の前後には水分を補給して、脱水を予防する。
5 誤り。プライバシーに配慮し、露出は最小限とする。
清潔介護と整容について、正しいものを2つ選べ。
- ベッド上での洗髪では、寝具や寝衣を濡らさない工夫をする。
- 女性の陰部清拭は、尿道への感染防止のため、前から後ろへ向かって拭く。
- 陰部清拭は、汚れがたまってから週に1回程度行えばよい。
- 爪切りでは、深爪にして短く切りそろえるのが望ましい。
- 整容は社会参加と関係がなく、外出しない人には不要である。
答えと解説
正解:1・2
1 正しい。ベッド上での洗髪は、寝具や寝衣を濡らさない工夫をする。
2 正しい。女性の陰部清拭は、尿道への感染を防ぐため前から後ろへ拭く。
3 誤り。陰部は汚れやすいため、1日に1回は行うようにする。
4 誤り。爪切りは深爪に注意する。怠ると巻爪や爪白癬が引き起こされる。
5 誤り。整容は社会参加に重要で、整容ができないために外出をしないこともある。