福祉サービス分野 > 第56講 訪問入浴介護とは|3人体制・減算される場合・介護予防との違いをわかりやすく/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
CH3 SEC5
第56講 訪問入浴介護
訪問入浴介護は、専用浴槽を居宅に持ち込み、ベッドのすぐそばで入浴を提供するサービスです。
- ①概要と目的(自宅に浴室があっても利用できる)
- ②原則3人体制(看護1+介護2)とサービスの流れ
- ③運営基準(頻出)と介護報酬の減算3パターン
- ④介護予防訪問入浴介護との違い(2人体制)
第56講を始めましょう。テーマは訪問入浴介護と、介護予防訪問入浴介護です。
訪問入浴介護は、専用浴槽を居宅に持ち込んで、ベッドのすぐそばで入浴を提供するサービスです。
今日のゴールは4つ。1つめ、概要と目的。自宅に浴室があっても利用できる点がポイントです。
2つめ、原則3人体制、看護職員1人と介護職員2人、そしてサービスの流れ。
3つめ、頻出の運営基準と、介護報酬の減算3パターン。
4つめ、介護予防訪問入浴介護との違い。こちらは2人体制です。
概要
訪問入浴介護の概要
- 入浴介助は訪問介護でも行うが、訪問入浴介護は専用浴槽を使い、ベッドのすぐそばで行えるのが大きな違い
- 対象:家庭浴槽での入浴介助や通所サービスの入浴では困難な人、移動が難しい利用者、ターミナル期の利用者など
- 自宅に浴室があっても利用できる(第27回で○)
入浴の介助は訪問介護などでも行われますが、訪問入浴介護は、専用浴槽を利用して、ベッドのすぐそばで行えることが大きな違いです。
対象は、家庭の浴槽での入浴介助や、通所サービスの入浴では入浴が困難な人。移動が難しい利用者や、ターミナル期の利用者などです。
試験ポイント。自宅に浴室があっても、訪問入浴介護を利用することができます。第27回で正しい肢として出ました。
概要
訪問入浴介護の目的
- ①入浴の機会の保障:設備を持参し、身体負担の少ない方法で、入浴が困難な利用者に機会を保障
- ②身体の清潔保持と生活機能の向上:代謝の促進、褥瘡や感染症の予防。全身状態の観察の機会→異常の早期発見・疾病の予防
- ③精神的な安定:尊重されている安心感、孤立感の解消
目的は3つです。1つめ、入浴の機会の保障。設備を持参し、身体負担の少ない方法で、入浴が困難な利用者に入浴の機会を保障します。
2つめ、身体の清潔保持と生活機能の向上。皮膚の汚れを落とし、代謝を促進し、褥瘡や感染症の予防になります。全身状態を観察する機会にもなり、異常の早期発見と疾病の予防につながります。
3つめ、精神的な安定。自分が尊重され、大事にされているという安心感が生まれ、孤立感の解消につながります。
内容
3人体制とサービスの流れ
サービスは、原則として看護職員1人と介護職員2人の、3人体制で行います。看護職員1人と介護職員1人、という肢は誤り。第22回で出ました。
流れは4段階。まず訪問して、入浴方法や作業手順、入浴後の留意点など、提供方法を説明します。
次に体調確認。看護職員が血圧、脈拍、体温などをチェックし、浴槽を持ち込んで設置し、脱衣と浴槽への移動を介助します。
入浴では、体調に応じて顔拭き、洗髪、洗身などを行います。最後にもう一度体調を確認し、着衣を介助して、排水と浴槽の洗浄・消毒を行います。
実施上の留意点
留意点①事前訪問・計画
- 事前訪問:あらかじめ利用者の了解を得て訪問。主治医の指示の確認、全身状況・健康状態の観察。介護職は浴槽の搬送方法・設置場所・移動方法を検討
- 必要に応じて主治医や医療機関に連絡し、観察結果・利用者の意見・協力事項を確認
- 事前訪問の結果に基づき訪問入浴介護計画を作成。サービス実施時は入浴記録簿に記載
実施上の留意点です。まず事前訪問。あらかじめ利用者の了解を得て、事前に居宅を訪問します。主治医の指示などを確認し、全身状況や健康状態を観察します。介護職は、浴槽の搬送方法、設置場所、移動方法などを検討します。
必要に応じて、主治医や医療機関などに連絡をとり、観察結果や利用者の意見、協力してもらう事項を確認します。
事前訪問の結果に基づいて、訪問入浴介護計画を作成します。サービスの実施時には、入浴記録簿に記載します。
実施上の留意点
留意点②変更・中止など
- 主治医の指示と状態が異なる・体調の変化→主治医の指示を受け、部分浴や清拭に変更、または中止。変更・中止は利用者に説明し了解を得る
- 経管栄養や留置カテーテルなど医療処置を受けている利用者→主治医から事前に注意事項の説明を受ける
- 感染症に罹患している利用者→感染防止、使用器具等の消毒や廃棄の方法の説明を受ける。事前・事後に医療処置が必要な利用者→往診や訪問看護との調整
主治医の指示と状態が異なる場合や、体調の変化があった場合は、主治医の指示を受けて、部分浴や清拭に変更、または入浴を中止します。変更や中止については、利用者に説明し、了解を得なければなりません。
経管栄養や留置カテーテルなどの医療処置を受けている利用者の場合は、主治医から事前に注意事項の説明を十分に受けておきます。
感染症に罹患している利用者の場合は、介護者の感染防止や、使用器具等の消毒・廃棄の方法について説明を受けます。事前や事後に医療処置が必要な利用者については、医師の往診や訪問看護との調整が必要です。
事業の基準
人員・設備基準
- 管理者:常勤専従1人。資格要件はなし(支障がなければ兼務可)
- 看護師または准看護師1人以上・介護職員2人以上。看護職員・介護職員のうち1人以上は常勤
- 提供を行う3人のうち1人がサービス提供の責任者(入浴介護の知識・技術を有した者)。看護職員でなければならない規定はない(第26回で×)
- 設備:専用区画、浴槽と備品の設置
事業の基準です。管理者は常勤専従で1人。資格要件はなく、支障がなければ兼務もできます。
看護師または准看護師が1人以上、介護職員が2人以上。看護職員と介護職員のうち、1人以上は常勤とされています。
サービス提供を行う3人のうち1人が、サービス提供の責任者を務めます。入浴介護に関する知識や技術を有した者であればよく、看護職員でなければならないという規定はありません。第26回で誤り肢として出ました。
設備は、専用の区画と、浴槽および備品の設置が定められています。
事業の基準
運営基準(頻出)
- 利用者の選定による特別な浴槽水等(温泉水等)の費用は、通常の利用料以外の料金として受け取れる
- 人員配置は看護1+介護2が原則。利用者の状態が安定している場合、主治医の意見を確認したうえで介護職員3人で実施してもよい
- 器具の安全確認と清潔保持:身体に直接触れるものは利用者1人ごとに消毒。タオル等は1人ごとに取り替えるか個人専用
- 症状の急変→速やかに主治医・協力医療機関に連絡。※2021年度改定で全事業者にハラスメント防止措置が義務化
運営基準です。利用者の選定により提供される、温泉水などの特別な浴槽水等の費用は、通常の利用料以外の料金として受け取ることができます。
人員配置は看護職員1人と介護職員2人が原則ですが、利用者の状態が安定している場合には、主治医の意見を確認したうえで、介護職員3人で実施してもかまいません。
浴槽など利用者の身体に直接触れるものは、利用者1人ごとに消毒します。皮膚に直に接するタオル等は、1人ごとに取り替えるか、個人専用のものを使用します。
症状の急変などが生じた場合は、速やかに主治医や協力医療機関に連絡するなど、必要な措置をとります。なお、2021年度の改定で、すべての介護サービス事業者に、セクハラ・パワハラを防止するための措置が義務づけられました。
介護報酬
介護報酬(減算3パターン)
基本サービス費は1回ごとの定額制。次の3つの場合に減算されます。
- ①介護職員のみで提供/②部分浴または清拭に変更(清拭のみで全身入浴と同じ単位数=×・第24回)/③同一建物居住者への提供
- 入浴を中止した場合は算定不可。短期入所系・入所系サービス利用中も算定不可
- 同一時間帯に別の訪問介護員等が入浴介助を行っても、訪問介護費を別に算定できない
介護報酬です。基本サービス費は、1回ごとの定額制です。減算されるのは3つの場合。
介護職員のみでサービスを提供した場合。部分浴または清拭に変更した場合。そして、同一建物居住者へのサービス提供の場合です。清拭のみを実施して全身入浴と同じ単位数を算定できる、という肢は誤り。第24回で出ました。
入浴を中止した場合は、費用を算定できません。利用者が短期入所系や入所系のサービスを受けている間も、訪問入浴介護費は算定できません。
また、訪問入浴介護の従業者とは別の訪問介護員等が、同一時間帯に同じ利用者に入浴などの介助を行っても、訪問介護費を別に算定することはできません。
まとめ
介護予防訪問入浴介護
- 対象は要支援者。介護予防を目的として提供
- 状態が安定している場合、主治医の意見を確認したうえで介護職員2人での提供が可能(第16回で○)
- 基本サービス費は訪問入浴介護より低い。加算・減算は訪問入浴介護に準じる。人員基準の介護職員は1人以上
最後に、介護予防訪問入浴介護です。介護予防を目的として、要支援者に提供されるサービスです。
訪問入浴介護との最大の違いは人数。看護職員1人と介護職員1人の、2人でサービスを提供します。
さらに、利用者の状態が安定している場合は、主治医の意見を確認したうえで、介護職員2人での提供が可能です。第16回で正しい肢として出ました。
基本サービス費は訪問入浴介護より低く設定され、加算・減算は訪問入浴介護に準じます。人員基準では、介護職員は1人以上とされています。第56講は以上です。おつかれさまでした。
この講の一問一答(◯×12問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
利用者の自宅に浴室があっても、訪問入浴介護を利用することができる。
答えと解説
◯ ○。家庭用浴槽での入浴が困難な利用者などを対象に、専用浴槽を提供して行われるサービスである(第27回問52)。
訪問入浴介護のサービス提供は、1回の訪問につき、看護職員1名と介護職員1名で行う。
答えと解説
✕ ×(原則として、看護職員1名、介護職員2名の3名で行う。第22回問52)。
訪問入浴介護は、全身状態の観察の機会となり、異常などの早期発見や疾病の予防につながる。
答えと解説
◯ ○。皮膚の汚れを落とし代謝を促進するほか、褥瘡や感染症の予防、異常の早期発見にもつながる。
事前訪問は、利用者の了解を得ることなく行うことができる。
答えと解説
✕ ×(事前訪問は、あらかじめ利用者の了解を得て行い、主治医の指示などの確認や全身状況・健康状態の観察を行う)。
利用者の体調に変化があった場合は、主治医の指示を受け、部分浴や清拭への変更または入浴の中止を行う。
答えと解説
◯ ○。変更・中止については、利用者に説明し、了解を得なければならない。
訪問入浴介護サービスの提供の責任者は、看護職員でなければならない。
答えと解説
✕ ×(提供を行う3人のうち1人が、入浴介護に関する知識や技術を有した者として責任者を務める。看護職員に限る規定はない。第26回問51)。
利用者の選定により提供される温泉水等の特別な浴槽水に係る費用は、通常の利用料以外の料金として受け取ることができる。
答えと解説
◯ ○。運営基準で、特別な浴槽水等に係る費用の受領が認められている。
利用者の状態が安定している場合は、主治医の意見を確認したうえで、介護職員3人で訪問入浴介護を行うことができる。
答えと解説
◯ ○。看護職員1人+介護職員2人が原則だが、状態が安定していれば介護職員3人での実施が認められる。
浴槽など利用者の身体に直接触れる器具は、1日の業務の終了時にまとめて消毒すればよい。
答えと解説
✕ ×(身体に直接触れるものは利用者1人ごとに消毒し、タオル等は1人ごとに取り替えるか個人専用のものを使用する)。
利用者の希望により清拭のみを実施した場合には、全身入浴と同じ単位数を算定することができる。
答えと解説
✕ ×(部分浴または清拭に変更した場合は減算される。第24回問52)。
利用者が短期入所系や入所系のサービスを受けている間は、訪問入浴介護費を算定できない。
答えと解説
◯ ○。入浴を中止した場合も費用を算定できない。
介護予防訪問入浴介護では、利用者の体調が安定している場合、主治医の意見を確認したうえで、介護職員2人でサービスを提供することができる。
答えと解説
◯ ○。介護予防訪問入浴介護は原則、看護職員1人+介護職員1人の2人で提供する(第16回問56)。
五肢複択
訪問入浴介護について正しいものはどれか。3つ選べ。
- 訪問入浴介護は、専用浴槽を利用し、ベッドのすぐそばで入浴を行うことができる。
- ターミナル期の利用者は、訪問入浴介護の対象とならない。
- サービス提供時には、看護職員が血圧・脈拍・体温などの体調確認を行う。
- 事前訪問の結果に基づき、訪問入浴介護計画を作成する。
- 経管栄養を受けている利用者の場合、主治医への確認は不要である。
答えと解説
正解:1・3・4
1 正しい。訪問介護の入浴介助との大きな違いは、専用浴槽によりベッドのすぐそばで行える点である。
2 誤り。移動が難しい利用者やターミナル期の利用者なども対象となる。
3 正しい。入浴の前に体調を確認し、入浴後にも体調の再確認を行う。
4 正しい。サービス実施時には入浴記録簿に記載する。
5 誤り。経管栄養や留置カテーテルなどの医療処置を受けている利用者の場合、主治医から事前に注意事項の説明を十分に受けておく必要がある。
訪問入浴介護の介護報酬について正しいものはどれか。2つ選べ。
- 基本サービス費は、1回ごとの定額制である。
- 介護職員のみでサービスを提供した場合でも、減算されない。
- 同一建物居住者へのサービス提供の場合は、減算される。
- 入浴を中止した場合でも、訪問した以上は所定単位数を算定できる。
- 訪問入浴介護の従業者とは別の訪問介護員が同一時間帯に入浴介助を行った場合、訪問介護費を別に算定できる。
答えと解説
正解:1・3
1 正しい。訪問入浴介護の基本サービス費は1回ごとの定額制である。
2 誤り。介護職員のみで提供した場合は減算される。
3 正しい。減算されるのは、介護職員のみの提供・部分浴または清拭への変更・同一建物居住者への提供の3つの場合である。
4 誤り。入浴を中止した場合は、費用を算定できない。
5 誤り。同一時間帯に同一利用者へ別の訪問介護員等が入浴等の介助を行っても、訪問介護費を別に算定することはできない。