福祉サービス分野 > 第73講 生活困窮者自立支援法とは|必須事業2つ・住居確保給付金は原則3か月をわかりやすく/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
第2のセーフティネット
第73講 生活困窮者自立支援法
第3章 SEC22。生活保護の一歩手前で受け止める制度。必須事業2つが最頻出です。
- 法の目的と生活困窮者の定義を言える
- 必須事業2つを即答できる
- 各事業の中身と期間の数字をおさえる
第73講を始めましょう。今回は、生活困窮者自立支援法です。
今日のゴールは3つです。
1つ目、法の目的と、生活困窮者の定義を言える。
2つ目、必須事業2つを、即答できる。
3つ目、各事業の中身と、期間の数字をおさえる。
保護に至る前の段階を支える
概要と生活困窮者の定義
- 生活保護に至る前の段階の自立支援策を強化するため、2013(平成25)年制定・2015(平成27)年施行
- 生活困窮者=就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性その他の事情により、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者
- 2018(平成30)年改正で「地域社会との関係性」等が定義に追加
生活困窮者自立支援法は、生活保護受給者や、生活困窮に至るリスクの高い人々が増加してきた、という社会的背景を踏まえ、生活保護に至る前の段階の、自立支援策を強化するために、2013年、平成25年に制定され、2015年、平成27年に施行されました。
前講の生活保護が、最後のセーフティネットなら、こちらは、その一歩手前で受け止める、第2のセーフティネットです。
生活困窮者とは、就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性、その他の事情により、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなる、おそれのある者、とされています。
2018年の改正で、地域社会との関係性、などの定義が追加されました。
必須・努力義務・任意の3層
実施主体と事業の分類
- 実施主体=福祉事務所を設置する自治体(都道府県・市・福祉事務所設置町村)
- 事業は社会福祉協議会・社会福祉法人・NPO法人などへ委託可(住居確保給付金の支給は除く)
- 事業は必須事業/努力義務/任意事業の3層
実施主体は、福祉事務所を設置する自治体。都道府県、市、福祉事務所を設置する町村です。
事業は、社会福祉協議会や、社会福祉法人、NPO法人などへ、委託することもできます。ただし、住居確保給付金の支給は、除きます。
事業は、必ず行う必須事業と、努力義務の事業、そして、任意事業に分かれます。
必須は2つ。自立相談支援事業と、住居確保給付金です。まず、これを固めましょう。
制度の中核・計画を作る
★自立相談支援事業(必須)
必須事業①。この制度の中核的な事業。
自立相談支援事業。必須事業で、この制度の、中核的な事業です。
生活困窮者からの相談を受け、抱えている課題を評価・分析して、ニーズを把握したうえで、自立支援計画を作成し、関係機関と連携して、自立に向けた支援を行います。
自立相談支援機関には、主任相談支援員、相談支援員、就労支援員が、配置されることが基本となっています。
包括的なアセスメント、プランの作成、評価と見直し。ケアマネジメントと、そっくりの流れです。
家賃相当額・原則3か月/最長9か月
★住居確保給付金(必須)
必須事業②。ここが本講いちばんの狙われポイント。
- 離職により住居を失った、または失うおそれが高い生活困窮者に、家賃相当額を支給
- 期間=原則3か月間(就職活動を誠実に行っている場合は延長可・最長9か月)
住居確保給付金。もう1つの必須事業です。
離職により、住居を失った、または失うおそれが高い生活困窮者に対して、安定した住居の確保と、就労自立を図るため、家賃相当額の、住居確保給付金を支給します。
期間は、原則3か月間。就職活動を誠実に行っている場合は、延長可能で、最長9か月まで、とされています。
過去問、第22回。生活困窮者住居確保給付金の支給は、任意事業である。答えは、バツ。必須事業です。
金銭の給付なので、委託になじまない。だから、委託の例外、というつながりも、押さえましょう。
6か月〜1年・中間的就労
就労準備支援・就労訓練
- 就労準備支援事業(努力義務):一般就労に従事する準備としての基礎能力の形成を計画的かつ一貫して支援
- 期間=6か月〜1年程度。プログラムに沿った支援
- 就労訓練事業:それでもなお一般就労が困難な人に、支援付きの就労の機会の提供等を行う
- いわゆる中間的就労。都道府県知事等の認定を受けた社会福祉法人等による自主事業
ここからは、努力義務の事業です。まず、就労準備支援事業。
一般就労に従事する準備としての、基礎能力の形成を、計画的かつ一貫して支援する事業です。期間は、6か月から1年程度。プログラムに沿った支援を行います。
それでもなお、一般就労が困難な生活困窮者に対しては、支援付きの就労の機会の提供等を行う、就労訓練事業があります。
いわゆる、中間的就労です。都道府県知事等の認定を受けた、社会福祉法人等による、自主事業です。
就労準備は、6か月から1年。訓練は、認定を受けた自主事業。ここが、区別ポイントです。
貸付けの「あっせん」
家計改善支援事業
- 家計改善支援事業(努力義務)
- 収入や支出などの状況を適切に把握し、家計改善の意欲を高める支援+生活に必要な資金の貸付けのあっせん
家計改善支援事業。こちらも、努力義務です。
生活困窮者に対し、収入や支出などの状況を適切に把握し、家計改善の意欲を高めるよう支援するほか、生活に必要な資金の、貸付けのあっせんを行います。
お金を貸すのではなく、貸付けの、あっせん。ここが、引っかけポイントです。
宿泊場所・衣食=原則3か月以内
居住支援事業
- 住居をもたない生活困窮者に、一定期間(原則3か月以内)、宿泊場所や衣食の提供などを行う
- 住居確保給付金=家賃(お金)の支援/こちら=泊まる場所そのものの支援
居住支援事業。住居をもたない生活困窮者に対して、一定期間、原則として3か月以内、宿泊場所や、衣食の提供などを行う事業です。
住居確保給付金が、家賃というお金の支援なら、こちらは、泊まる場所そのものの支援です。
3か月という数字は、住居確保給付金の、原則3か月と、セットで覚えましょう。
生活保護受給世帯も含む
子どもの学習・生活支援事業
- 任意事業
- 生活保護受給世帯を含む生活困窮世帯の子どもへの学習支援・居場所づくり・養育に関する保護者への助言など
子どもの学習・生活支援事業。任意事業です。
生活保護受給世帯を含む、生活困窮世帯の子どもに対する、学習支援や、居場所づくり、養育に関する保護者への助言などを行う事業です。
生活保護受給世帯の子どもも、含む。ここが、マルバツの題材になります。
2018年改正の目玉
三事業の一体的実施
- 2018(平成30)年改正:自立相談支援事業・就労準備支援事業・家計改善支援事業の一体的実施を促進
- 就労準備支援事業と家計改善支援事業の実施が努力義務とされ、一体的に実施した場合は国庫補助率の引き上げなどの取組
2018年、平成30年の改正で、自立相談支援事業、就労準備支援事業、家計改善支援事業の、一体的実施を促進する仕組みが、設けられました。
就労準備支援事業と、家計改善支援事業の実施が、努力義務とされ、一体的に実施した場合は、国庫補助率の引き上げなどの取組が、講じられています。
相談、就労、家計。3つセットで支える、という方向性です。
必須は「相談とお家」
まとめ
- 保護に至る前の第2のセーフティネット。2013年制定・2015年施行
- 必須事業2つ=自立相談支援事業+住居確保給付金(「相談とお家」)
- 数字=住居確保給付金原則3か月・最長9か月/就労準備6か月〜1年程度/居住支援原則3か月以内
まとめです。
生活困窮者自立支援法は、保護に至る前の、第2のセーフティネット。2013年制定、2015年施行。
必須事業は2つ。自立相談支援事業と、住居確保給付金。相談と、お家、です。
数字は、住居確保給付金が、原則3か月、最長9か月。就労準備は、6か月から1年程度。居住支援は、原則3か月以内。
お疲れさまでした。次は、後期高齢者医療制度です。第73講、終了です。
この講の一問一答(◯×12問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
生活困窮者自立支援法は、生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るため、2013(平成25)年に制定され、2015(平成27)年に施行された。
答えと解説
◯ 正しい。生活保護受給者や生活困窮に至るリスクの高い人々の増加という社会的背景を踏まえたもの。
生活困窮者とは、現に最低限度の生活を維持することができなくなった者に限られる。
答えと解説
✕ 誤り。現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなる「おそれのある者」とされている。2018年改正で「地域社会との関係性」等が定義に追加された。
自立相談支援事業は必須事業であり、生活困窮者の課題を評価・分析したうえで、自立支援計画を作成する。
答えと解説
◯ 正しい。制度の中核的事業。主任相談支援員・相談支援員・就労支援員の配置が基本。
生活困窮者住居確保給付金の支給は、任意事業である。
答えと解説
✕ 誤り(第22回-問58)。住居確保給付金の支給は必須事業。
住居確保給付金は、離職により住居を失った、または失うおそれが高い生活困窮者に対し、家賃相当額を支給するものである。
答えと解説
◯ 正しい。期間は原則3か月間で、就職活動を誠実に行っている場合は延長により最長9か月まで。
就労準備支援事業は、一般就労に従事する準備としての基礎能力の形成を、計画的かつ一貫して支援する事業である。
答えと解説
◯ 正しい。期間は6か月〜1年程度で、プログラムに沿った支援を行う(努力義務の事業)。
就労訓練事業(いわゆる中間的就労)は、市町村が直接実施しなければならない事業である。
答えと解説
✕ 誤り。都道府県知事等の認定を受けた社会福祉法人等による自主事業である。
家計改善支援事業では、家計の状況の把握や家計改善の意欲を高める支援のほか、生活に必要な資金の貸付けのあっせんを行う。
答えと解説
◯ 正しい。資金の貸付けそのものではなく「貸付けのあっせん」である点に注意。
子どもの学習・生活支援事業の対象に、生活保護受給世帯の子どもは含まれない。
答えと解説
✕ 誤り。生活保護受給世帯を含む生活困窮世帯の子どもが対象。学習支援・居場所づくり・保護者への助言などを行う(任意事業)。
居住支援事業では、住居をもたない生活困窮者に対し、一定期間(原則3か月以内)、宿泊場所や衣食の提供などを行う。
答えと解説
◯ 正しい。家賃という金銭を支援する住居確保給付金との違いに注意。
事業の実施主体には、福祉事務所を設置していない町村も含まれる。
答えと解説
✕ 誤り。実施主体は福祉事務所を設置する自治体(都道府県・市・福祉事務所設置町村)である。
2018(平成30)年の改正により、就労準備支援事業と家計改善支援事業の実施が努力義務とされ、自立相談支援事業との一体的実施が促進されている。
答えと解説
◯ 正しい。一体的に実施した場合には国庫補助率の引き上げなどの取組が講じられている。
五肢複択
生活困窮者自立支援法の事業について正しいものはどれか。2つ選べ。
- 自立相談支援事業と住居確保給付金の支給は、必須事業である。
- 事業は、社会福祉協議会や社会福祉法人、NPO法人などに委託することができる(住居確保給付金の支給を除く)。
- 住居確保給付金は、食費に相当する額を支給するものである。
- 就労準備支援事業と家計改善支援事業は、任意事業とされている。
- 子どもの学習・生活支援事業は、必須事業である。
答えと解説
正解:1・2
1 正しい。必須事業はこの2つ。
2 正しい。委託が可能だが、金銭給付である住居確保給付金の支給は除かれる。
3 誤り。家賃相当額を支給する。
4 誤り。2018年改正により、両事業の実施は努力義務とされている。
5 誤り。子どもの学習・生活支援事業は任意事業。
生活困窮者自立支援法の各事業の内容について正しいものはどれか。2つ選べ。
- 住居確保給付金の支給期間は原則3か月間で、延長により最長9か月まで可能である。
- 自立相談支援機関には、主任相談支援員、相談支援員、就労支援員が配置されることが基本とされている。
- 就労準備支援事業の支援期間は、3年程度とされている。
- 家計改善支援事業では、生活に必要な資金の貸付けを事業として直接行う。
- 就労訓練事業は、公共職業安定所(ハローワーク)が実施する事業である。
答えと解説
正解:1・2
1 正しい。就職活動を誠実に行っている場合に延長できる。
2 正しい。3職種の配置が基本。
3 誤り。6か月〜1年程度とされている。
4 誤り。貸付けの「あっせん」を行う。
5 誤り。都道府県知事等の認定を受けた社会福祉法人等による自主事業である。