福祉サービス分野 > 第77講 老人福祉法とは|措置は市町村・老人福祉施設7つ・有料老人ホームは対象外をわかりやすく/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
CHAPTER 3 | SEC26 | 重要度C
老人福祉法とは何か
老人福祉法は、老人の心身の健康の保持と生活の安定のために必要な措置を講じ、老人の福祉を図ることを目的(第1条)として、1963(昭和38)年に制定された法律です。
- 介護保険法(1997年制定)より30年以上前からある、高齢者福祉の土台となる法律
- 法の第2、3条には、次のスライドで見る基本的理念が掲げられている
第77講、老人福祉法を始めましょう。
老人福祉法は、老人の心身の健康の保持と、生活の安定のために必要な措置を講じ、老人の福祉を図ることを目的として、1963年、昭和38年に制定された法律です。目的は第1条に書かれています。
介護保険法ができる30年以上前からある、高齢者福祉の土台となる法律です。
法の第2条と第3条には、基本的理念が掲げられています。次のスライドで見ていきましょう。
第2・3条の3つ
老人福祉法の基本的理念
- 老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障される
- 老人は、老齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して、常に心身の健康を保持し、又は、その知識と経験を活用して社会的活動に参加するように努める
- 老人は、その希望と能力とに応じ、適当な仕事に従事する機会その他社会的活動に参加する機会を与えられる
基本的理念は3つです。1つめ。老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。
2つめ。老人は、老齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して、常に心身の健康を保持し、又は、その知識と経験を活用して、社会的活動に参加するように努めるものとする。
3つめ。老人は、その希望と能力とに応じ、適当な仕事に従事する機会、その他社会的活動に参加する機会を与えられるものとする。
敬愛と生きがい、健康保持と参加への努力、そして参加の機会。この3つのキーワードでおさえておきましょう。
居住地→現在地の順
福祉の措置の実施者は市町村
老人福祉法では、市町村による福祉の措置によって、居宅における介護などの提供や、老人ホームなどへの入所などを定めています。
- 対象は65歳以上の者(65歳未満で特に必要があると認められる者も含む)またはその者を養護する者
- 65歳以上の者が居住地を有するときは居住地の市町村が、居住地を有しない・居住地が明らかでないときは現在地の市町村が措置を行う
老人福祉法では、市町村による福祉の措置によって、居宅における介護などの提供や、老人ホームなどへの入所などを定めています。
措置の対象は、65歳以上の者、またはその者を養護する者です。65歳未満でも、特に必要があると認められる者は含まれます。
どこの市町村が措置を行うか。65歳以上の者が居住地を有するときは、その居住地の市町村。居住地を有しない、またはその居住地が明らかでないときは、その現在地の市町村が措置を行います。
ひっかけに注意。措置の実施者は都道府県、と出たらバツです。市町村が行います。
把握・相談・調査
措置にあたって市町村が行う3つの業務
市町村は、措置にあたって、3つの業務を行うことになっています。
1つめ、必要な実情の把握。
2つめ、必要な情報の提供、および相談。
3つめ、必要な調査、および指導です。把握、相談、調査のセットで覚えましょう。
事業と施設 その1
老人居宅生活支援事業(6つ)
- ❶老人居宅介護等事業 ❷老人デイサービス事業
- ❸老人短期入所事業 ❹小規模多機能型居宅介護事業
- ❺認知症対応型老人共同生活援助事業 ❻複合型サービス福祉事業
老人福祉法では、6つの事業が、老人居宅生活支援事業として規定されています。
1つめが老人居宅介護等事業、いわゆるホームヘルプです。2つめが老人デイサービス事業。
3つめが老人短期入所事業、ショートステイですね。4つめが小規模多機能型居宅介護事業。
5つめが認知症対応型老人共同生活援助事業、グループホームのことです。6つめが複合型サービス福祉事業です。
これらの事業は、介護保険制度においても、介護保険給付として位置づけられています。
措置・契約・利用
老人福祉施設(7つ)と「入り方」の区分
- 老人福祉施設は7つ:老人デイサービスセンター・老人短期入所施設・養護老人ホーム・特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム・老人福祉センター・老人介護支援センター
- 措置施設=養護老人ホーム・特別養護老人ホーム/契約施設=軽費老人ホーム/利用施設=老人福祉センター・老人介護支援センター
次に施設です。老人福祉施設として、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センター、および老人介護支援センターの7つがあげられています。
入り方で区分すると、養護老人ホームと特別養護老人ホームは措置施設。軽費老人ホームは契約施設。老人福祉センターと老人介護支援センターは利用施設です。
覚え方です。養護と名の付く2つのホームは措置。センターは利用。軽費は契約、と整理しておきましょう。
施設の定義 その1
措置施設の定義:養護と特養
- 養護老人ホーム(措置):65歳以上で、環境上の理由や経済的理由により居宅で養護を受けることが困難な者を入所させ、心身の状況などに応じて、社会復帰の促進および自立のために必要な指導や訓練などを行う
- 特別養護老人ホーム(措置):65歳以上の、常時介護が必要で、居宅での生活が困難な者を入所させて養護する
措置施設の定義です。養護老人ホームは、65歳以上で、環境上の理由や経済的理由により、居宅で養護を受けることが困難な者を入所させ、入所者の心身の状況などに応じて、社会復帰の促進、および自立のために必要な指導や訓練などを行う施設です。
特別養護老人ホームは、65歳以上の、常時介護が必要で、居宅での生活が困難な者を、入所させて養護する施設です。
対比で覚えます。養護老人ホームは環境とおカネの理由。特別養護老人ホームは常時介護。この2つを入れ替えるひっかけが定番です。
施設の定義 その2
軽費・老人福祉センター・老人介護支援センター
- 軽費老人ホーム(契約):無料または低額な料金で入所させ、食事の提供や日常生活上必要な便宜を供与する
- 老人福祉センター(利用):無料または低額な料金で各種相談に応じるとともに、健康の増進や教養の向上及びレクリエーションなどのための便宜を供与する
- 老人介護支援センター(利用):高齢者や養護者、地域住民などからの相談に応じ、必要な助言を行うとともに、居宅で介護を受ける高齢者や養護者と、市町村や老人居宅生活支援事業を行う者などとの連絡調整などを行う
契約施設と利用施設の定義です。軽費老人ホームは、無料または低額な料金で入所させ、食事の提供や、日常生活上必要な便宜を供与する契約施設です。
老人福祉センターは、無料または低額な料金で各種相談に応じるとともに、健康の増進や教養の向上、およびレクリエーションなどのための便宜を供与する利用施設です。
老人介護支援センターは、高齢者や養護者、地域住民などからの相談に応じ、必要な助言を行うとともに、居宅で介護を受ける高齢者や養護者と、市町村や、老人居宅生活支援事業を行う者などとの連絡調整などを行う利用施設です。
相談とレクリエーションなら老人福祉センター。相談と連絡調整なら老人介護支援センター。役割の違いをおさえましょう。
ここが試験に出る
有料老人ホームは「老人福祉施設ではない」
- 有料老人ホーム(契約):高齢者を入居させ、入浴・食事・排せつなどの介護や食事の提供などを行う施設であって、老人福祉施設や認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居などでないもの
- 定義に「老人福祉施設でないもの」とあるとおり、有料老人ホームは老人福祉施設には含まれない
有料老人ホームです。高齢者を入居させ、入浴、食事、排せつなどの介護や、食事の提供などを行う施設であって、老人福祉施設や、認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居などの施設でないもの、と定義されています。
定義に、老人福祉施設でないもの、とあるとおり、有料老人ホームは老人福祉施設には含まれません。ここが一番のひっかけどころです。
ひとことです。老人福祉法では、毎年9月15日を老人の日、同日から9月21日までを老人週間としています。
市町村と都道府県
老人福祉計画:介護保険の計画と一体で作成
- 市町村は、老人福祉事業(老人居宅生活支援事業および老人福祉施設による事業)の供給体制の確保に関する計画=市町村老人福祉計画の策定が義務。市町村介護保険事業計画と一体のものとして作成
- 都道府県は、市町村老人福祉計画の達成に資するため、広域的な見地から都道府県老人福祉計画の策定が義務。都道府県介護保険事業支援計画と一体のものとして作成
老人福祉計画です。市町村は、老人居宅生活支援事業および老人福祉施設による事業、あわせて老人福祉事業の供給体制の確保に関する計画、市町村老人福祉計画を策定することが義務づけられています。この計画は、市町村介護保険事業計画と一体のものとして作成されます。
都道府県は、市町村老人福祉計画の達成に資するため、各市町村を通ずる広域的な見地から、都道府県老人福祉計画を策定することが義務づけられています。こちらは、都道府県介護保険事業支援計画と一体のものとして作成されます。
どの計画と一体か、の入れ替えに注意しましょう。市町村は介護保険事業計画と、都道府県は介護保険事業支援計画と、それぞれ一体です。
第77講のゴール
まとめ:老人福祉法は「措置は市町村」
- 1963(昭和38)年制定。福祉の措置は市町村(居住地→なければ現在地)。65歳未満で特に必要な者も対象
- 老人居宅生活支援事業は6事業・老人福祉施設は7施設。有料老人ホームは老人福祉施設ではない
- 老人福祉計画は、市町村=介護保険事業計画と一体/都道府県=介護保険事業支援計画と一体で作成
まとめです。老人福祉法は1963年、昭和38年制定。福祉の措置は市町村が行い、居住地がなければ現在地の市町村です。65歳未満で特に必要があると認められる者も対象に含まれます。
老人居宅生活支援事業は6事業。老人福祉施設は7施設で、有料老人ホームは老人福祉施設ではありません。
老人福祉計画は、市町村が介護保険事業計画と一体、都道府県が介護保険事業支援計画と一体で作成します。
第77講はここまでです。措置と契約の区分を、一問一答で確かめておきましょう。おつかれさまでした。
この講の一問一答(◯×12問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
老人福祉法は、1963(昭和38)年に制定された。
答えと解説
◯ ○。老人の心身の健康の保持と生活の安定のために必要な措置を講じ、老人の福祉を図ることを目的(第1条)として、1963(昭和38)年に制定されました。
老人福祉法における福祉の措置は、原則として都道府県が行う。
答えと解説
✕ ×。老人福祉法における福祉の措置は市町村が行います。居宅における介護などの提供や、老人ホームなどへの入所などが措置として定められています。
65歳以上の者が居住地を有しないとき、またはその居住地が明らかでないときは、その現在地の市町村が措置を行う。
答えと解説
◯ ○。居住地を有するときは居住地の市町村が、居住地を有しない・居住地が明らかでないときは現在地の市町村が措置を行います。
老人福祉法における福祉の措置の対象には、65歳未満で特に必要があると認められる者も含まれる。
答えと解説
◯ ○。対象は65歳以上の者またはその者を養護する者ですが、65歳未満で特に必要があると認められる者も含まれます。
小規模多機能型居宅介護事業は、老人福祉法に規定される老人居宅生活支援事業に含まれる。
答えと解説
◯ ○。老人居宅生活支援事業は、老人居宅介護等事業、老人デイサービス事業、老人短期入所事業、小規模多機能型居宅介護事業、認知症対応型老人共同生活援助事業、複合型サービス福祉事業の6事業です。
有料老人ホームは、老人福祉法に規定される老人福祉施設の一つである。
答えと解説
✕ ×。有料老人ホームは「老人福祉施設……でないもの」と定義されており、老人福祉施設には含まれません。老人福祉施設は老人デイサービスセンター・老人短期入所施設・養護老人ホーム・特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム・老人福祉センター・老人介護支援センターの7つです。
養護老人ホームは、65歳以上で、環境上の理由や経済的理由により居宅で養護を受けることが困難な者を入所させる施設である。
答えと解説
◯ ○。入所者の心身の状況などに応じて、社会復帰の促進および自立のために必要な指導や訓練などを行う措置施設です。
老人福祉法における特別養護老人ホームは、契約により入所する施設である。
答えと解説
✕ ×。老人福祉法上の特別養護老人ホームは措置施設です。65歳以上の、常時介護が必要で、居宅での生活が困難な者を入所させて養護します。契約施設は軽費老人ホーム・有料老人ホームです。
老人介護支援センターは、無料または低額な料金で、健康の増進や教養の向上及びレクリエーションなどのための便宜を供与する施設である。
答えと解説
✕ ×。それは老人福祉センターの定義です。老人介護支援センターは、高齢者や養護者などからの相談に応じて助言を行うとともに、市町村や老人居宅生活支援事業を行う者などとの連絡調整などを行う利用施設です。
市町村老人福祉計画は、市町村介護保険事業計画と一体のものとして作成される。
答えと解説
◯ ○。市町村は、老人福祉事業の供給体制の確保に関する計画(市町村老人福祉計画)の策定が義務づけられ、市町村介護保険事業計画と一体のものとして作成されます。
都道府県老人福祉計画は、市町村介護保険事業計画と一体のものとして作成される。
答えと解説
✕ ×。都道府県老人福祉計画は、都道府県介護保険事業支援計画と一体のものとして作成されます。市町村介護保険事業計画と一体なのは市町村老人福祉計画です。
老人福祉法では、毎年9月15日を老人の日とし、同日から9月21日までを老人週間としている。
答えと解説
◯ ○。毎年9月15日が老人の日、9月15日から9月21日までが老人週間と定められています。
五肢複択
老人福祉法について正しいものはどれか。2つ選べ。
- 老人福祉法は、老人の心身の健康の保持と生活の安定のために必要な措置を講じ、老人の福祉を図ることを目的としている。
- 老人福祉法における福祉の措置は、原則として都道府県が行う。
- 市町村は、措置にあたり、必要な実情の把握、必要な情報の提供および相談、必要な調査および指導の業務を行う。
- 福祉の措置の対象となるのは、65歳以上の者に限られる。
- 老人居宅生活支援事業は、介護保険制度における介護保険給付としては位置づけられていない。
答えと解説
正解:1・3
1 正しい。法の目的(第1条)であり、1963(昭和38)年に制定された。
2 誤り。福祉の措置は市町村が行う。居住地の市町村(居住地がない・不明なときは現在地の市町村)が実施する。
3 正しい。措置にあたっての3つの業務(実情の把握/情報の提供および相談/調査および指導)である。
4 誤り。65歳未満で特に必要があると認められる者も含まれる。
5 誤り。老人居宅生活支援事業の6事業は、介護保険制度においても介護保険給付として位置づけられている。
老人福祉法に規定される施設について正しいものはどれか。2つ選べ。
- 養護老人ホームは、65歳以上の、常時介護が必要で、居宅での生活が困難な者を入所させて養護する施設である。
- 特別養護老人ホームは、65歳以上の、常時介護が必要で、居宅での生活が困難な者を入所させて養護する措置施設である。
- 老人福祉センターは、無料または低額な料金で各種相談に応じるとともに、健康の増進や教養の向上及びレクリエーションなどのための便宜を供与する施設である。
- 有料老人ホームは、老人福祉法に規定される老人福祉施設の一つである。
- 軽費老人ホームは、措置により入所する施設である。
答えと解説
正解:2・3
1 誤り。これは特別養護老人ホームの定義。養護老人ホームは、環境上の理由や経済的理由により居宅で養護を受けることが困難な者を入所させる施設である。
2 正しい。老人福祉法上の特別養護老人ホームは措置施設である。
3 正しい。老人福祉センターは利用施設である。
4 誤り。有料老人ホームは「老人福祉施設……でないもの」と定義され、老人福祉施設には含まれない。
5 誤り。軽費老人ホームは契約施設。無料または低額な料金で入所させ、食事の提供や日常生活上必要な便宜を供与する。