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成年後見制度とは|後見・保佐・補助の3類型・任意後見・市町村長申立てをわかりやすく

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福祉サービス分野 > 第81講 成年後見制度とは|後見・保佐・補助の3類型・任意後見・市町村長申立てをわかりやすく/全文

この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。

CHAPTER 3 | SEC30 | 重要度A

成年後見制度とは何か

成年後見制度とは、認知症・知的障害・精神障害等により判断能力が不十分意思決定が困難な人に後見人等を立て、その判断能力を補っていく制度です。

成年後見制度の利用の促進に関する法律第4条:「は、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する」。

第81講、成年後見制度を始めましょう。

成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害等により判断能力が不十分で、意思決定が困難な人に後見人等を立て、その判断能力を補っていく制度です。

本人の保護に加えて、3つの理念があります。1つめ、自己決定の尊重。2つめ、残存能力の活用。3つめ、ノーマライゼーションです。

また、成年後見制度の利用の促進に関する法律の第4条には、国は、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する、と規定されています。

家裁が選ぶ?自分で決める?

2つの後見:法定後見と任意後見

イメージすでに判断能力が落ちてきた→法定後見/元気なうちに将来へ備える→任意後見

成年後見制度には、法定後見と任意後見の2つがあります。法定後見制度は、民法に定められた後見制度で、本人や家族などの申立てにより、家庭裁判所が職権で後見人などを選定するものです。

任意後見制度は、判断能力の低下に備えて、本人があらかじめ後見人を定めておくものです。

すでに判断能力が落ちてきたら法定後見、元気なうちに将来へ備えるのが任意後見。このイメージで区別しましょう。

判断能力の程度で分かれる

法定後見の3類型:後見・保佐・補助

法定後見制度には、本人の判断力の程度により、後見、保佐、補助の3つの類型があります。まず後見。判断能力が欠けている人が対象で、支援者は成年後見人です。

保佐。判断能力が著しく不十分な人が対象で、支援者は保佐人です。

補助。判断能力が不十分な人が対象で、支援者は補助人です。重い順に、欠けている、著しく不十分、不十分、と覚えましょう。

監督人等については、家庭裁判所のもと、成年後見監督人、保佐監督人、補助監督人が置かれます。

誰が申し立てられる?

手続き:家庭裁判所への申立て

過去問(第25回-問59):「都道府県知事は…後見開始の審判の請求をすることができる」=×。請求できるのは市町村長です。

手続きの流れです。法定後見を開始するには、家庭裁判所への申立てを行います。申立てができるのは、本人、配偶者、4親等内の親族、成年後見人等、任意後見人、成年後見監督人等、検察官などです。

補助の申立てをする場合は、本人の同意が必要です。

また、65歳以上の者につき、その福祉を図るためとくに必要と認めるときは、市町村長は、法定後見審判の請求をすることができます。

過去問です。第25回、問59。都道府県知事は、65歳以上の者につき、後見開始の審判の請求をすることができる。答えはバツ。請求できるのは市町村長です。

親族17.1%・第三者82.9%

後見人等の選任:第三者後見人が8割超

申立てを受けて、家庭裁判所は本人の判断能力を判定し、後見人等を選任します。専門家などが必要な場合は、複数選任も可能です。後見人等の監督は家庭裁判所が行いますが、必要に応じて監督人等を選任します。

後見人等には、親族後見人と、親族以外の第三者後見人があり、近年は第三者後見人として、司法書士、弁護士、社会福祉士などの専門職が選任されることが増えています。社会福祉協議会や福祉関係の法人のほか、NPO法人等も選任されることができます。

最高裁判所の調査によると、2024年、令和6年の1年間において、親族が成年後見人等に選任された割合は全体の約17.1パーセント。親族以外の第三者は約82.9パーセントで、親族の割合を上回っています。

今後さらに利用者の増加が見込まれることから、専門職以外の市民後見人の養成と供給の必要性がいわれています。このため市町村は、人材の育成・活用を図るため、研修の実施、家庭裁判所への推薦、その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされています。

医療同意は職務外

後見事務:財産管理と身上保護

後見事務の内容は2つです。1つめ、財産管理。預貯金や不動産、相続、贈与などの管理です。

2つめ、身上保護。衣食住などの生活上の手配、療養や介護の手配です。

類型により、後見人等の事務の範囲が決められています。なお、医療行為への同意や、手術方法の決定などは、職務に入りません。ここは頻出のひっかけです。

すべての法律行為+家裁の許可

成年後見人の権限

行為の取り消しについて、日常生活に関する行為一身専属的行為婚姻、遺言など)は取り消すことができません

後見人等の事務の範囲を見ていきます。まず成年後見人。代理権は、財産に関するすべての法律行為に及びます。ただし、本人居住の不動産の処分については、家庭裁判所の許可が必要です。

同意権・取消権は、日常生活の行為以外の行為が対象です。

なお、行為の取り消しについては、日常生活に関する行為と、婚姻や遺言などの一身専属的行為は、取り消すことができません。

申立ての範囲内+本人の同意

保佐人・補助人の権限

整理後見人=全部/保佐・補助=申立ての範囲内+本人の同意。軽い類型ほど本人の意思が尊重される仕組みです。

保佐人と補助人です。代理権は、どちらも申立ての範囲内の特定の法律行為で、付与には本人の同意が必要です。

保佐人の同意権・取消権は、民法が定める一定の行為。不動産や動産の売買、訴訟、借金などです。

補助人の同意権・取消権は、申立ての範囲内の特定の法律行為で、本人の同意が必要です。

整理すると、成年後見人は全部、保佐・補助は申立ての範囲内プラス本人の同意。軽い類型ほど、本人の意思が尊重される仕組みです。

監督人の選任で開始

任意後見制度:公正証書で契約

任意後見制度です。後見人となる人、任意後見受任者を指定し、あらかじめ後見事務の内容を契約で定めておく制度です。契約は、公正証書で行います。

家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、監督人が選任されることで、任意後見が開始されます。契約しただけでは始まらない、という点がポイントです。

監督人選任の申立てができるのは、本人、配偶者、4親等内の親族、任意後見受任者です。

配偶者は監督人になれない

任意後見監督人の欠格と契約の終了

過去問(第28回-問59):「任意後見人の配偶者は、任意後見監督人となることができる」=×。配偶者・直系血族・兄弟姉妹・任意後見受任者は欠格事由に該当します。

任意後見受任者本人や、その配偶者、直系血族および兄弟姉妹は、任意後見監督人となることができません。

裁判所は任意後見監督人から定期的な報告を受け、任意後見人に不正があった場合は、監督人の請求を受けて、任意後見人を解任することができます。

本人が死亡、または任意後見人が死亡・破産をした場合、任意後見契約は終了します。

過去問です。第28回、問59。任意後見人の配偶者は、任意後見監督人となることができる。答えはバツ。配偶者、直系血族、兄弟姉妹、および任意後見受任者は、任意後見監督人の欠格事由に該当します。

必須と任意の違いに注意

成年後見制度利用支援事業:費用の助成

成年後見制度利用支援事業です。成年後見制度の利用にあたっては、申立て費用、後見人等の報酬などの費用がかかりますが、これは本人の負担となります。その費用負担が困難な人に対して、費用を助成するのが、成年後見制度利用支援事業です。

現在、介護保険の地域支援事業、障害者総合支援法の地域生活支援事業の一つとして実施されています。

障害者総合支援法の地域生活支援事業では必須事業ですが、介護保険の地域支援事業では任意事業とされています。実施市町村は増加傾向で、おおむね8割程度の市町村が実施していますが、対象者や助成の範囲は市町村によってさまざまです。

第81講のゴール

まとめ:3類型と2つの後見

まとめです。成年後見制度の理念は、自己決定の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーション。法定後見は、後見、保佐、補助の3類型で、判断能力が、欠けている、著しく不十分、不十分、に対応します。申立ては家庭裁判所へ。市町村長も請求できます。

成年後見人は、財産に関するすべての法律行為を代理できますが、本人居住の不動産の処分には家庭裁判所の許可が必要です。医療行為への同意は職務外。日常生活に関する行為と、婚姻や遺言などの一身専属的行為は取り消せません。

任意後見は、公正証書で契約し、任意後見監督人の選任で開始されます。配偶者、直系血族、兄弟姉妹は監督人になれません。成年後見制度利用支援事業は、地域生活支援事業では必須、介護保険の地域支援事業では任意です。

第81講はここまでです。第25回と第28回の過去問論点を、一問一答で確かめておきましょう。おつかれさまでした。

この講の一問一答(◯×12問・五肢複択2問)

すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →

  1. 成年後見制度は、自己決定の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーションの3つを理念とする。

    答えと解説

     ○。本人の保護に加え、この3つの理念に基づいて判断能力を補う制度です。

  2. 法定後見制度では、本人や家族などの申立てにより、市町村長が職権で後見人などを選定する。

    答えと解説

     ×。法定後見制度は民法に定められた後見制度で、後見人などを職権で選定するのは家庭裁判所です。

  3. 法定後見制度には、本人の判断力の程度により、後見、保佐、補助の3つの類型がある。

    答えと解説

     ○。判断能力が「欠けている」=後見、「著しく不十分」=保佐、「不十分」=補助です。

  4. 補助の対象となるのは、判断能力が欠けている者である。

    答えと解説

     ×。補助の対象は判断能力が「不十分」な者です。「欠けている」は後見、「著しく不十分」は保佐の対象です。

  5. 都道府県知事は、65歳以上の者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、後見開始の審判の請求をすることができる。

    答えと解説

     ×(第25回-問59)。この審判の請求をすることができるのは市町村長です。

  6. 補助開始の申立てをする場合は、本人の同意が必要である。

    答えと解説

     ○。申立てができるのは本人、配偶者、4親等内の親族、検察官などですが、補助の申立ての場合は本人の同意が必要です。

  7. 成年後見人が本人居住の不動産を処分するには、家庭裁判所の許可が必要である。

    答えと解説

     ○。成年後見人の代理権は財産に関するすべての法律行為に及びますが、本人居住の不動産の処分には家庭裁判所の許可が必要です。

  8. 医療行為への同意や手術方法の決定は、成年後見人の職務に含まれる。

    答えと解説

     ×。後見事務の内容は財産管理と身上保護の2つで、医療行為への同意や手術方法の決定などは職務に入りません。

  9. 日常生活に関する行為や、婚姻・遺言などの一身専属的行為は、取り消すことができない。

    答えと解説

     ○。行為の取り消しについて、日常生活に関する行為と一身専属的行為(婚姻、遺言など)は取り消すことができません。

  10. 任意後見契約は、公正証書で行う。

    答えと解説

     ○。後見人となる人(任意後見受任者)を指定し、あらかじめ後見事務の内容を契約で定めておく制度で、契約は公正証書で行います。

  11. 任意後見人の配偶者は、任意後見監督人となることができる。

    答えと解説

     ×(第28回-問59)。任意後見人の配偶者、直系血族、兄弟姉妹および任意後見受任者は、任意後見監督人の欠格事由に該当します。

  12. 2024(令和6)年の調査では、親族以外の第三者が成年後見人等に選任された割合が、親族が選任された割合を上回っている。

    答えと解説

     ○。親族が選任された割合は全体の約17.1%、親族以外の第三者は約82.9%で、第三者が親族を上回っています。

五肢複択

  1. 法定後見制度について正しいものはどれか。2つ選べ。

    • 法定後見制度には後見、保佐、補助の3つの類型があり、保佐の対象となるのは判断能力が著しく不十分な者である。
    • 後見開始の審判の申立てができるのは、本人と4親等内の親族に限られる。
    • 成年後見人は財産に関するすべての法律行為の代理権をもつが、本人居住の不動産の処分には家庭裁判所の許可が必要である。
    • 保佐人や補助人に代理権が付与されることはない。
    • 後見人等の監督は、市町村が行う。
    答えと解説

    正解:1・3

    1 正しい。判断能力が「欠けている」=後見、「著しく不十分」=保佐、「不十分」=補助である。

    2 誤り。本人、配偶者、4親等内の親族のほか、成年後見人等、検察官なども申立てでき、市町村長も請求できる。

    3 正しい。同意権・取消権は日常生活の行為以外の行為に及ぶ。

    4 誤り。申立ての範囲内の特定の法律行為について、本人の同意を得て代理権が付与される。

    5 誤り。後見人等の監督は家庭裁判所が行い、必要に応じて監督人等を選任する。

  2. 任意後見制度および成年後見制度利用支援事業について正しいものはどれか。2つ選べ。

    • 任意後見契約は、口頭でも成立する。
    • 家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、監督人が選任されることで任意後見が開始される。
    • 任意後見人の配偶者や直系血族は、任意後見監督人となることができる。
    • 成年後見制度利用支援事業は、障害者総合支援法の地域生活支援事業では必須事業だが、介護保険の地域支援事業では任意事業とされている。
    • 成年後見制度の申立て費用や後見人等の報酬は、市町村が負担する。
    答えと解説

    正解:2・4

    1 誤り。任意後見契約は公正証書で行う。

    2 正しい。契約を結んだだけでは開始されず、監督人の選任が開始の要件である。

    3 誤り(第28回-問59)。配偶者、直系血族、兄弟姉妹および任意後見受任者は欠格事由に該当する。

    4 正しい。おおむね8割程度の市町村が実施しているが、対象者や助成の範囲は市町村によってさまざまである。

    5 誤り。費用は本人の負担であり、負担が困難な人に対して費用を助成するのが成年後見制度利用支援事業である。

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