介護支援分野 > 第13講 介護報酬と支給限度基準額|お金のルール/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
第13講 はじめに
お金のルール:報酬・時効・限度額
第13講は、介護保険のお金まわりのルールを3つまとめて学びます。数字が主役の回です。
- 介護報酬=サービスの「価格」。どう決まる?
- 消滅時効=請求できる期限は「何年」?
- 支給限度基準額=使える上限。超えたらどうなる?
第13講は、介護保険のお金まわりのルールを3つまとめて学びます。数字が主役の回です。
1つ目は介護報酬。サービスの価格がどう決まるか。
2つ目は消滅時効。請求できる期限が何年か。
3つ目は支給限度基準額。使える上限と、それを超えたらどうなるか。
この回は数字を正確に覚えることがすべて。10円・3年・2年・5年・10万・20万。出てくる数字を1つずつ押さえましょう。
サービスの価格
介護報酬ってなに?
介護報酬は、介護サービスの価格のこと。誰がいくら払うかというと——
保険給付分
9割(など)
市町村(保険者)が事業者に支払う
利用者負担分
1割(など)
利用者が事業者に支払う
介護報酬は、介護サービスの価格のことです。誰がいくら払うかというと。
価格は、保険給付分と利用者負担分に分かれます。保険給付分は市町村が、利用者負担分は利用者が払います。
事業者は、保険給付分を保険者に、利用者負担分を利用者に、それぞれ請求して受け取ります。第11講の9割・1割とつながる話です。
報酬の数え方
単位と単価(1単位10円)
介護報酬は「円」ではなく、まず「単位」で表されます。これを介護給付費単位数表で求めます。
- サービスごとに「単位」が決まっている(単位数表)
- 1単位=10円を基本に、地域・種類で単価が変わる
介護報酬は円ではなく、まず単位で表されます。これを介護給付費単位数表で求めます。
1単位は10円が基本。これに所在地とサービスの種類で一定割合を乗じて調整します。
サービスごとに単位が決まっていて、それを単位数表で求めます。
1単位10円を基本に、地域やサービスの種類で単価が変わります。
覚え方は、まず単位、1単位10円。都市部など人件費の高い地域は単価が少し上がる、とイメージしましょう。
報酬の改定
誰が・いつ決める?
介護報酬の基準を決めるのは厚生労働大臣。そして定期的に見直されます。
- 基準を定めるのは厚生労働大臣
- 3年ごとに改定される
- 改定時は、あらかじめ社会保障審議会の意見を聴く
介護報酬の基準を決めるのは厚生労働大臣。そして定期的に見直されます。
基準を定めるのは、厚生労働大臣です。
そして、3年ごとに改定されます。
改定のときは、あらかじめ社会保障審議会の意見を聴くことになっています。
例題。意見を聴くのは介護給付費等審査委員会、はバツ。正しくは社会保障審議会です。審査委員会は国保連の中で請求を審査する別組織なので混同しないように。
ひっかけ対策
診療報酬との違い
医療の診療報酬と数字を取り違えさせる問題が出ます。セットで区別しましょう。
介護報酬
3年ごと改定
1単位=10円/社会保障審議会の意見
診療報酬(医療)
2年ごと改定
1点=10円/療養の種類ごと
医療の診療報酬と数字を取り違えさせる問題が出ます。セットで区別しましょう。
介護報酬は3年ごと改定、1単位10円、社会保障審議会の意見。診療報酬は2年ごと改定、1点10円、療養の種類ごとです。
覚え方は、介護は3年、医療は2年。単価はどちらも10円ですが、介護は単位、医療は点と呼びます。
消滅時効①
受給権は守られている
保険給付を受ける権利を受給権といいます。これは強く保護されています。
- 譲渡できない(他人に渡せない)
- 担保にできない(借金のカタにできない)
- 差押えできない
保険給付を受ける権利を受給権といいます。これは強く保護されています。
まず、譲渡できません。他人に渡せない。
担保にもできません。借金のカタにできない。
そして、差押えもできません。
受給権は生活を支えるための権利なので、取り上げられたり売り買いされたりしないよう守られています。ただし、請求できる期限である時効はあります。
消滅時効②
時効は何年?(請求は2年)
請求できる権利には時効があり、過ぎると消滅します。請求まわりはすべて2年です。
- 被保険者の償還払い請求:費用を払った翌日から2年
- 事業者の介護報酬請求:サービス提供月の翌々々月の1日から2年
請求できる権利には時効があり、過ぎると消滅します。請求まわりはすべて2年です。
請求の時効は2年。被保険者の償還払い請求も、事業者の介護報酬請求も、どちらも2年です。
被保険者の償還払い請求は、費用を払った翌日から2年です。
事業者の介護報酬請求は、サービス提供月の翌々々月の1日から2年です。
引っかけ。償還払いの請求権の時効は10年、は誤りで、正しくは2年。起算日が翌日か翌々々月1日かの違いも問われます。
消滅時効③
過払いの返還は5年(不正は2年)
逆に、市町村が払いすぎたお金を取り戻す権利(返還請求権)は、年数が違います。
通常の過払い返還
5年
市町村の返還請求権の時効
不正請求が原因
2年
原因が不正なら2年に短縮
逆に、市町村が払いすぎたお金を取り戻す権利、返還請求権は、年数が違います。
通常の過払い返還の時効は5年。ただし、原因が不正請求だった場合は2年に短縮されます。
数字まとめ。請求は2年、過払い返還は5年、ただし不正は2年。請求は短く、返還は長め、でも不正なら短くなる、と整理しましょう。
使える上限
支給限度基準額とは
介護サービスは無限には使えません。使える上限が支給限度基準額です。
- 限度額の範囲内なら、原則どおり9割(〜7割)給付
- 限度額を超えた部分は全額自己負担(保険給付の対象外)
介護サービスは無限には使えません。使える上限が支給限度基準額です。
例題。限度額を超えた部分は3割負担になる、はバツ。正しくは全額が自己負担です。
限度額の範囲内なら、原則どおり9割から7割が給付されます。
でも限度額を超えた部分は、全額自己負担。保険給付の対象外になります。
最頻出の引っかけ。超過分は1割でも3割でもなく、全額、つまり10割自己負担です。ここを必ず押さえましょう。
いちばん基本の限度額
区分支給限度基準額
いちばん基本になるのが区分支給限度基準額。複数サービスを組み合わせた合計の上限です。
- 要介護・要支援の状態区分ごとに設定(重いほど上限が大きい)
- 1か月単位で管理(限度額管理期間)
- 月の途中で要介護度が変わったら、重い方の区分の額を適用
いちばん基本になるのが区分支給限度基準額。複数サービスを組み合わせた合計の上限です。
要介護・要支援の状態区分ごとに設定されます。重い区分ほど上限が大きくなります。
管理は1か月単位。これを限度額管理期間といいます。
月の途中で要介護度が変わったら、重い方の区分の額が適用されます。
覚え方は、区分は月ごと・区分ごと・変わったら重い方。1か月単位で、その月の区分の上限まで使える、と理解しましょう。
別枠の限度額
福祉用具10万・住宅改修20万
福祉用具購入と住宅改修は、区分とは別枠で限度額が決まっています。厚生労働大臣が定めます。
福祉用具購入費
同一年度 10万円
介護予防分を含む
住宅改修費
同一住宅 20万円
介護予防分を含む
福祉用具購入と住宅改修は、区分とは別枠で限度額が決まっています。厚生労働大臣が定めます。
福祉用具購入費は同一年度で10万円、住宅改修費は同一住宅で20万円。どちらも介護予防分を含みます。
覚え方は、用具は1年で10万、改修は1軒で20万。用具は年度ごと、改修は住まいごと、という単位の違いも一緒に覚えましょう。
上限がないグループ
限度額が設定されないサービス
一方で、区分支給限度基準額が設定されないサービスもあります(全国一律・国が定める)。
- 居宅療養管理指導/特定施設入居者生活介護(短期利用除く)
- 認知症対応型共同生活介護(短期利用除く)/地域密着型の特定施設・介護老人福祉施設
- 居宅介護支援・介護予防支援(ケアマネジメント)/施設サービス
一方で、区分支給限度基準額が設定されないサービスもあります。全国一律で国が定めます。
居宅療養管理指導や、特定施設入居者生活介護の短期利用を除くもの。
認知症対応型共同生活介護の短期利用を除くもの、地域密着型の特定施設や介護老人福祉施設。
そして居宅介護支援・介護予防支援といったケアマネジメント、施設サービスも設定されません。
理解のコツ。住まいが決まっている、定額で回るサービス、たとえば施設入所や特定施設、ケアプラン作成などは、区分限度額になじまないので設定されない、と理解しましょう。なぜ無いかで覚えると忘れません。
市町村が決められるもの
上乗せと種類支給限度基準額
限度額は国が定めますが、市町村が条例で独自に調整できる部分もあります。
- 上乗せサービス:区分・福祉用具・住宅改修の限度額を、市町村が国の額より引き上げる
- 種類支給限度基準額:サービスの種類ごとの上限を、市町村が条例で定める(区分の範囲内で)
限度額は国が定めますが、市町村が条例で独自に調整できる部分もあります。
上乗せサービスは、区分・福祉用具・住宅改修の限度額を、市町村が国の額より引き上げるものです。
種類支給限度基準額は、サービスの種類ごとの上限を、市町村が条例で定めるものです。区分の範囲内で設定します。
第11講の横出し、市町村特別給付はメニュー追加でした。上乗せは金額アップ、横出しはメニュー追加、と区別しましょう。
第13講 おつかれさまでした
まとめ & 次の講へ
第13講のまとめです。数字を一気におさらいします。
- 介護報酬:1単位10円・3年ごと改定・社会保障審議会の意見(医療は2年)
- 時効:請求は2年/過払い返還は5年(不正なら2年)
- 限度額:超過分は全額自己負担。区分は月ごと・重い方。福祉用具10万・住宅改修20万
- 上乗せ=金額アップ/横出し=メニュー追加
第13講のまとめです。数字を一気におさらいします。
介護報酬は、1単位10円、3年ごと改定、社会保障審議会の意見。医療は2年です。
時効は、請求が2年、過払い返還が5年、ただし不正なら2年。
限度額は、超過分は全額自己負担。区分は月ごと・重い方。福祉用具10万、住宅改修20万です。
上乗せは金額アップ、横出しはメニュー追加。
おつかれさまでした。次は第14講、または問題演習で力だめししてみましょう。
この講の一問一答(◯×10問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
介護報酬は、原則1単位10円を基本として計算される。
答えと解説
◯ 正しい。地域やサービス種別で1単位の単価は上乗せされます。
介護報酬は、3年ごとに改定される。
答えと解説
◯ 正しい。介護保険事業計画の期間(3年)に合わせて改定されます。
介護報酬の改定にあたっては、社会保障審議会の意見を聴く。
答えと解説
◯ 正しい。厚生労働大臣が社会保障審議会の意見を聴いて定めます。
介護報酬の請求にかかる時効は、5年である。
答えと解説
✕ 誤り。請求権の時効は2年です。
区分支給限度基準額は、1年単位で管理される。
答えと解説
✕ 誤り。区分支給限度基準額は1か月単位で管理されます。
区分支給限度基準額を超えて利用した分は、全額自己負担となる。
答えと解説
◯ 正しい。限度額を超える部分は保険給付されません。
福祉用具購入費は、同一年度で10万円が支給限度基準額である。
答えと解説
◯ 正しい。住宅改修費は同一住宅で20万円が限度です。
住宅改修費の支給限度基準額は、同一住宅で10万円である。
答えと解説
✕ 誤り。住宅改修費は同一住宅20万円。福祉用具購入費が同一年度10万円です。
区分支給限度基準額が複数のサービスに設定されている場合、重い方が適用される。
答えと解説
◯ 正しい。複数の限度額が関わるときは利用者に有利な(重い)方が適用されます。
医療保険の診療報酬は、3年ごとに改定される。
答えと解説
✕ 誤り。医療(診療報酬)は2年ごと改定で1点10円。介護は3年ごと改定で1単位10円です。
五肢複択
介護報酬について、正しいものを2つ選べ。
- 介護報酬は原則1単位10円を基本に計算される。
- 介護報酬は2年ごとに改定される。
- 介護報酬の改定では社会保障審議会の意見を聴く。
- 介護報酬の請求の時効は5年である。
- 区分支給限度基準額は1年単位で管理される。
答えと解説
正解:1・3
1 正しい。
2 誤り。介護は3年ごと(医療が2年)。
3 正しい。
4 誤り。時効は2年。
5 誤り。1か月単位。
支給限度基準額について、正しいものを2つ選べ。
- 福祉用具購入費は同一年度10万円が限度である。
- 住宅改修費は同一住宅20万円が限度である。
- 区分支給限度基準額を超えた分も9割給付される。
- 住宅改修費の限度は同一住宅10万円である。
- 区分支給限度基準額は重複時に軽い方が適用される。
答えと解説
正解:1・2
1 正しい。
2 正しい。
3 誤り。超過分は全額自己負担。
4 誤り。20万円。
5 誤り。重い方が適用される。