介護支援分野 > 第15講 サービス提供事業者・施設|指定の仕組み/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
第15講 はじめに
指定・要件・施設のしくみ
第15講は、介護サービスを誰が・どんな条件で提供できるかのルール。「指定」がキーワードです。
- 指定の仕組み:誰が指定する?(都道府県か市町村か)
- 指定の要件:法人・基準・有効期間6年
- 介護保険施設:特養・老健・介護医療院の3つ
第15講は、介護サービスを誰が、どんな条件で提供できるかのルールです。指定がキーワードになります。
1つ目は指定の仕組み。誰が指定するか、都道府県か市町村かです。
2つ目は指定の要件。法人であること、基準を満たすこと、有効期間は6年です。
3つ目は介護保険施設。特養・老健・介護医療院の3つです。
この回は、誰が指定するか、6年・5年・10日・1か月の数字、施設は指定か許可か、が問われます。権限者と数字をセットで押さえましょう。
指定を受けて初めて提供できる
サービス提供事業者とは
介護保険で給付の対象になるのは、原則として指定を受けた事業者・施設のサービスです。
- 事業者は、都道府県知事または市町村長に申請して指定を受ける
- 指定はサービスの種類ごと・事業所ごとに行われる
介護保険で給付の対象になるのは、原則として指定を受けた事業者・施設のサービスです。
事業者は、都道府県知事または市町村長に申請して指定を受けます。
指定は、サービスの種類ごと、そして事業所ごとに行われます。
指定を受けていなければ、原則として保険給付の対象外。まずこの大原則を押さえると、後の話が理解しやすくなります。
広域のサービスは知事
誰が指定する?①都道府県
指定する人(指定権者)は、サービスの性格で都道府県と市町村に分かれます。まず都道府県知事。
- 指定居宅サービス事業者
- 指定介護予防サービス事業者
- 施設サービス事業者(介護保険施設)
指定する人、指定権者は、サービスの性格で都道府県と市町村に分かれます。まず都道府県知事です。
指定居宅サービス事業者。
指定介護予防サービス事業者。
そして施設サービス事業者、つまり介護保険施設です。
理解のコツは、広く使う・規模が大きいものは都道府県。居宅サービス、介護予防サービス、施設は知事が指定、と覚えましょう。
地域・支援は市町村
誰が指定する?②市町村
一方、市町村長が指定するのは、地域に密着するものとケアプランづくり(支援)です。
- 指定地域密着型サービス事業者
- 指定地域密着型介護予防サービス事業者
- 指定居宅介護支援事業者・指定介護予防支援事業者(ケアマネジメント)
一方、市町村長が指定するのは、地域に密着するものと、ケアプランづくり、つまり支援です。
指定地域密着型サービス事業者。
指定地域密着型介護予防サービス事業者。
そして指定居宅介護支援事業者と指定介護予防支援事業者、ケアマネジメントです。
頻出の引っかけ。居宅介護支援は2018年度から市町村長に移行しました。それ以前は都道府県知事だったので、居宅介護支援は都道府県、は今は誤りです。地域密着・支援・予防支援は市町村、とまとめて覚えましょう。
申請しなくても指定とみなす
みなし指定
一部のサービスは、別の許可・指定を受けていれば個別の申請なしで指定とみなされます(みなし指定)。
- 保険指定の病院・診療所:居宅療養管理指導・訪問看護・訪問リハ・通所リハ
- 保険指定の薬局:居宅療養管理指導
- 老健・介護医療院:短期入所療養介護・通所リハ
一部のサービスは、別の許可・指定を受けていれば、個別の申請なしで指定とみなされます。これをみなし指定といいます。
保険指定の病院・診療所は、居宅療養管理指導・訪問看護・訪問リハビリ・通所リハビリ。
保険指定の薬局は、居宅療養管理指導。
老健と介護医療院は、短期入所療養介護と通所リハビリです。
医療系の施設は、もともと医療の指定を受けているので、介護保険の一部サービスも自動で指定扱いになる、というイメージです。
法人・基準・欠格
指定の要件
指定を受けるには、3つの要件があります。
- ①法人であること(※病院等の訪問看護・居宅療養管理指導など一部は非法人でも可)
- ②条例で定める人員・設備・運営基準を満たすこと
- ③申請者が欠格要件に該当しないこと(取消処分から5年・申請前5年以内の不正など)
指定を受けるには、3つの要件があります。
1つ目は、法人であること。ただし病院等の訪問看護や居宅療養管理指導など一部は、非法人でも可能です。
2つ目は、条例で定める人員・設備・運営の基準を満たすこと。
3つ目は、申請者が欠格要件に該当しないこと。取消処分から5年、申請前5年以内の不正などがこれにあたります。
供給量が需要を上回る場合は、知事や市町村長は指定しないことができます。欠格の5年は、有効期間の6年と紛らわしいので区別しましょう。
更新が必要
指定の有効期間は6年
指定は一度受けたら永久ではありません。有効期間は6年で、更新が必要です。
- 有効期間6年、満了日前に更新申請
- 更新の要件は新規申請と同じ
指定は一度受けたら永久ではありません。有効期間は6年で、更新が必要です。
指定の有効期間は6年。満了日の前に更新申請をします。更新後は、前の満了日の翌日から起算されます。
有効期間は6年、満了日前に更新申請をします。
更新の要件は、新規申請と同じです。
数字の整理。指定は6年、欠格は5年。なお、基準該当・相当サービスには指定の更新という仕組みはありません。これは後で出てきます。
従う・標準・参酌
事業の基準(3区分)
事業の基準は地方自治体が条例で定めますが、国の基準への関わり方が3区分あります。
- 従うべき基準:国基準どおり。強化は可だが異なる内容は不可
- 標準とする基準:国基準を標準とする範囲内
- 参酌すべき基準:十分参酌すれば、異なる内容も可
事業の基準は地方自治体が条例で定めますが、国の基準への関わり方が3区分あります。
従うべき基準は、国基準どおり。強化は可能ですが、異なる内容は不可です。
標準とする基準は、国基準を標準とする範囲内で定めます。
参酌すべき基準は、十分参酌すれば、異なる内容も可能です。
覚え方は、従うは絶対、標準はめやす、参酌は参考。縛りの強さが、従う、標準、参酌の順に弱くなる、と理解しましょう。
10日と1か月
届出・取消・公示
指定後の手続きも問われます。変更・廃止の届出、取消、公示をまとめます。
- 変更・再開=10日以内/廃止・休止=1か月前までに届出
- 取消・効力停止:欠格該当・基準違反・虚偽報告などで知事/市町村長が行う
- 公示:①指定したとき②廃止届があったとき③取消/効力停止したとき(知事が公示)
指定後の手続きも問われます。変更・廃止の届出、取消、公示をまとめます。
変更・再開は10日以内、廃止・休止は1か月前までに届出します。
取消・効力停止は、欠格該当・基準違反・虚偽報告などで、知事や市町村長が行います。
公示は、指定したとき、廃止届があったとき、取消や効力停止をしたとき。都道府県知事が公示します。
数字の引っかけ。変更・再開は10日以内、廃止・休止は1か月前まで。後から届けるのが変更・再開で事後10日、前から届けるのが廃止・休止で事前、と整理しましょう。
利用者本位の義務
事業者の責務
指定を受けた事業者には、介護保険法で責務が課されています。
- 要介護者の人格を尊重し、忠実に職務を遂行する
- サービスの質を自ら評価し、利用者の立場に立つ
- 被保険者証の認定審査会の意見に配慮してサービス提供
- 業務管理体制の整備(2023年改正で経営情報の報告義務も追加)
指定を受けた事業者には、介護保険法で責務が課されています。
要介護者の人格を尊重し、忠実に職務を遂行すること。
サービスの質を自ら評価し、常に利用者の立場に立つこと。
被保険者証に認定審査会の意見が記載されているときは、その意見に配慮してサービスを提供すること。
業務管理体制を整備すること。2023年の改正で、経営情報を都道府県知事に報告する義務も追加されました。
どれも利用者本位、適正運営のための義務です。具体的な文言より、方向性で押さえましょう。
指定でなくても給付
基準該当サービス
指定の条件を完全には満たさなくても、一定基準に達していれば給付対象にできる仕組みが基準該当サービスです。
- 市町村が「基準に達している」と認めると、特例サービス費が支給される
- 対象は7つ:居宅介護支援・介護予防支援・訪問介護・通所介護・訪問入浴介護・短期入所生活介護・福祉用具貸与
指定の条件を完全には満たさなくても、一定基準に達していれば給付対象にできる仕組みが、基準該当サービスです。
市町村が、基準に達していると認めると、特例サービス費が支給されます。
対象は7つ。居宅介護支援・介護予防支援・訪問介護・通所介護・訪問入浴介護・短期入所生活介護・福祉用具貸与です。
引っかけ。地域密着型サービスは基準該当の対象外です。地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は基準該当として認められる、はバツです。
離島など特例
相当サービス・更新なし
指定も基準該当も確保できない地域向けが相当サービス。基準該当・相当の共通点も押さえます。
- 相当サービス:離島などで、指定も基準該当も確保できない場合に市町村が認める
- 基準該当・相当サービスは「指定」の分類にならない
- よって指定の更新という仕組みもない
指定も基準該当も確保できない地域向けが、相当サービスです。基準該当・相当の共通点も押さえます。
相当サービスは、離島などで、指定サービスも基準該当サービスも確保できない場合に、市町村が認めるものです。
基準該当サービスと相当サービスは、指定の分類にはなりません。
したがって、指定の更新という仕組みもありません。
整理すると、指定サービスは6年で更新あり、基準該当・相当は市町村判断で更新なし。指定とそれ以外の違いを対比で覚えましょう。
指定・社会福祉法人中心
介護保険施設①特養
施設サービスを提供する介護保険施設は3つ。まず指定介護老人福祉施設(特養)。
- 老人福祉法の特別養護老人ホームが設置認可を受けていることが前提
- 事業主体は原則、国・地方公共団体・社会福祉法人
- 都道府県知事が指定(指定時に市町村長の意見を求める)
施設サービスを提供する介護保険施設は3つ。まず指定介護老人福祉施設、特養です。
老人福祉法の特別養護老人ホームが、設置認可を受けていることが前提です。
事業主体は原則、国・地方公共団体・社会福祉法人です。
都道府県知事が指定します。指定にあたって市町村長の意見を求めます。
特養は指定。次の老健・介護医療院は許可です。この違いが頻出です。
許可・管理者は医師
介護保険施設②老健・医療院
残る2つ、老健と介護医療院は、開設に都道府県知事の許可が必要です。
- 介護老人保健施設(老健):開設に知事の許可。在宅復帰を目指す
- 介護医療院:2017年改正で創設。非営利法人が開設、知事の許可。介護保険法では介護保険施設、医療法では医療提供施設
- どちらも管理者は原則医師(知事の承認で医師以外も可)
残る2つ、老健と介護医療院は、開設に都道府県知事の許可が必要です。
介護老人保健施設、老健は、開設に知事の許可が必要で、在宅復帰を目指す施設です。
介護医療院は、2017年改正で創設されました。非営利法人が開設し、知事の許可が必要です。介護保険法では介護保険施設、医療法では医療提供施設に位置づけられます。
どちらも管理者は原則医師ですが、知事の承認で医師以外も可能です。
引っかけ。介護医療院の開設者は医療法人でなければならない、はバツ。地方公共団体・医療法人・社会福祉法人など、非営利法人が開設できます。
第15講 おつかれさまでした
まとめ & 次の講へ
第15講のまとめです。指定の仕組みを一気におさらいします。
- 指定権者:地域密着・支援・予防支援は市町村、それ以外(居宅・予防・施設)は都道府県
- 数字:指定は6年・欠格は5年・変更再開10日・廃止休止1か月前
- 基準該当=市町村が認める7サービス・更新なし(地域密着型は対象外)
- 施設:特養は指定、老健・介護医療院は許可(管理者は原則医師)
第15講のまとめです。指定の仕組みを一気におさらいします。
指定権者は、地域密着・支援・予防支援は市町村、それ以外の居宅・予防・施設は都道府県です。
数字は、指定は6年、欠格は5年、変更・再開は10日、廃止・休止は1か月前。
基準該当は、市町村が認める7サービスで、更新なし。地域密着型は対象外です。
施設は、特養は指定、老健・介護医療院は許可。管理者は原則医師です。
おつかれさまでした。次は第16講、または問題演習で力だめししてみましょう。
この講の一問一答(◯×10問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
居宅介護支援事業者の指定は、2018年度から市町村長が行っている。
答えと解説
◯ 正しい。それ以前は都道府県知事でした。頻出の引っかけです。
指定の有効期間は、6年である。
答えと解説
◯ 正しい。満了日前に更新申請が必要です。欠格要件の5年と区別しましょう。
指定を受けるには、原則として法人であることが必要である。
答えと解説
◯ 正しい。病院等が行う一部サービスなど、例外的に非法人でも可の場合があります。
事業の基準のうち「従うべき基準」は、参酌すれば異なる内容も定められる。
答えと解説
✕ 誤り。それは参酌すべき基準。従うべき基準は国基準どおりで、異なる内容は不可です。
事業を廃止・休止するときは、廃止・休止の1か月前までに届け出る。
答えと解説
◯ 正しい。変更・再開は10日以内、廃止・休止は1か月前まで、と区別します。
基準該当サービスは、都道府県知事が認めたサービスである。
答えと解説
✕ 誤り。基準該当サービスを認めるのは市町村です。
地域密着型サービスは、基準該当サービスの対象である。
答えと解説
✕ 誤り。地域密着型サービスは基準該当の対象外です。
基準該当サービス・相当サービスには、指定の更新という仕組みがない。
答えと解説
◯ 正しい。これらは「指定」の分類に入らないため、更新もありません。
介護老人保健施設(老健)と介護医療院は、都道府県知事の許可を受けて開設する。
答えと解説
◯ 正しい。特養は「指定」、老健・介護医療院は「許可」です。
介護医療院の開設者は、医療法人でなければならない。
答えと解説
✕ 誤り。地方公共団体・医療法人・社会福祉法人など非営利法人が開設できます。
五肢複択
事業者の指定について、正しいものを2つ選べ。
- 指定の有効期間は6年である。
- 居宅介護支援の指定は2018年度から市町村長が行う。
- 廃止・休止は廃止後10日以内に届け出る。
- 従うべき基準は参酌すれば異なる内容も可である。
- 指定を受けるのに法人であることは不要である。
答えと解説
正解:1・2
1 正しい。
2 正しい。
3 誤り。廃止・休止は1か月前まで。
4 誤り。従うべき基準は国どおり。
5 誤り。原則法人が必要。
基準該当サービスと介護保険施設について、正しいものを2つ選べ。
- 基準該当サービスは市町村が認める。
- 地域密着型サービスは基準該当の対象である。
- 特養は都道府県知事の許可で開設する。
- 老健・介護医療院は都道府県知事の許可で開設する。
- 介護医療院の開設者は医療法人に限られる。
答えと解説
正解:1・4
1 正しい。
2 誤り。地域密着型は対象外。
3 誤り。特養は指定。
4 正しい。
5 誤り。非営利法人なら可。