介護支援分野 > 第19講 介護保険事業計画|誰が・何年・何を定める/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
第19講 はじめに
介護保険事業計画ってなに?
第19講は介護保険事業計画。介護サービスを「どれだけ・どう確保するか」を、国・市町村・都道府県が役割分担で計画します。
- 国:基本指針(誰が定める?)
- 市町村:介護保険事業計画(定めるべき/努める)
- 都道府県:介護保険事業「支援」計画+他の計画との関係
第19講は、介護保険事業計画です。介護サービスをどれだけ、どう確保するかを、国・市町村・都道府県が役割分担で計画します。
1つ目は国。基本指針を、誰が定めるかです。
2つ目は市町村の介護保険事業計画。定めるべき事項と、定めるよう努める事項に分かれます。
3つ目は都道府県の介護保険事業、支援計画。そして、他の行政計画との関係です。
この回は、誰が・何年ごと・何を定めるか、そして市町村と都道府県の振り分けが問われます。
国→市町村・都道府県
全体像|3つの計画
計画は3つ。国の基本指針に則して、市町村と都道府県がそれぞれ計画をつくります。
計画は3つです。国の基本指針に則して、市町村と都道府県が、それぞれ計画をつくります。
いちばん上が、国の基本指針です。
これに則して、市町村が介護保険事業計画をつくります。
同じく、都道府県が介護保険事業、支援計画をつくります。
市町村も都道府県も、計画はすべて3年が1期です。介護報酬の改定や、保険料の見直しと同じサイクルです。
まず、指針は国・計画は地方、そして計画はぜんぶ3年セット、をつかみましょう。
答えは厚生労働大臣
基本指針は誰が定める?
介護保険事業計画の土台になる基本指針。定めるのは厚生労働大臣です。
- 厚生労働大臣が、医療介護総合確保法の総合確保方針に則して定める
- 策定・変更は総務大臣その他の関係行政機関の長と協議し、策定後は公表
介護保険事業計画の土台になるのが、基本指針です。定めるのは、厚生労働大臣です。
厚生労働大臣が、医療介護総合確保法の総合確保方針に則して定めます。
策定や変更のときは、総務大臣その他の関係行政機関の長と協議し、策定後は公表します。
引っかけ。基本指針は都道府県知事が定める、はバツです。定めるのは厚生労働大臣。第23回で出ています。
キーワードは参酌標準
基本指針の中身
基本指針は、地方の計画づくりのものさし。中でも参酌すべき標準がキーワードです。
- サービス提供体制の確保・地域支援事業の実施に関する基本的事項
- 市町村計画でサービス量の見込みを定める際の参酌すべき標準
- 市町村計画・都道府県支援計画の作成に関する事項ほか
基本指針は、地方の計画づくりのものさしです。中でも、参酌すべき標準がキーワードです。
1つ目は、サービス提供体制の確保と、地域支援事業の実施に関する基本的事項。
2つ目は、市町村計画でサービス量の見込みを定めるときの、参酌すべき標準。
3つ目は、市町村計画と都道府県支援計画の、作成に関する事項などです。
ひとことで言うと、国は細かく決めず、地方が量を見込むときの目安、参酌標準を示す。これが基本指針の役割です。
3年1期・意見・提出先
市町村計画|つくり方
市町村は、基本指針に則して3年を1期とする計画を定めます。手続にひっかけが多い。
- あらかじめ被保険者の意見を反映させる措置をとる
- あらかじめ都道府県の意見を聴く
- 策定・変更後は、遅滞なく都道府県知事に提出
市町村は、基本指針に則して、3年を1期とする計画を定めます。この手続に、ひっかけが多いです。
まず、あらかじめ被保険者の意見を反映させる措置をとります。
そして、あらかじめ都道府県の意見を聴きます。
策定や変更のあとは、遅滞なく都道府県知事に提出します。
引っかけ。計画期間を5年を1期とする、はバツです。正しくは3年を1期。第27回で出ています。
必要利用定員総数がカギ
市町村|定めるべき事項
市町村が必ず定めるのは、量の見込みと取組・目標です。
- 日常生活圏域ごとの各年度のサービス量の見込み(必要利用定員総数=認知症対応型共同生活介護・地域密着型特定施設・地域密着型介護老人福祉施設)
- 各年度の地域支援事業の量の見込み
- 自立支援・介護予防/重度化防止・費用適正化の取組と、その目標
市町村が必ず定めるのは、量の見込みと、取組・目標です。
1つ目は、日常生活圏域ごとの、各年度のサービス量の見込み。必要利用定員総数として、認知症対応型共同生活介護・地域密着型特定施設・地域密着型介護老人福祉施設が挙がります。
2つ目は、各年度の地域支援事業の量の見込みです。
3つ目は、自立支援・介護予防、重度化防止、費用の適正化の取組と、その目標です。
圏域は、市町村は日常生活圏域。そして、地域支援事業の量の見込みが定めるべきに入る点が、あとでひっかけになります。
ざっくり方向だけ
市町村|定めるよう努める事項
こちらは努力義務。細かく覚えるより「確保・推計・人材・連携」の方向で押さえます。
- 必要利用定員総数・見込み量を確保する方策、地域支援事業の費用と方策
- サービス量・費用・保険料水準の中長期的な推計
- 介護人材の確保・資質向上、業務の効率化・生産性向上、事業者間の連携 など
こちらは努力義務です。細かく覚えるより、確保・推計・人材・連携、の方向で押さえます。
必要利用定員総数や見込み量を確保する方策、地域支援事業の費用と方策。
サービス量・費用・保険料水準の、中長期的な推計。
介護人材の確保と資質向上、業務の効率化や生産性向上、事業者間の連携などです。
割り切りましょう。定めるべきは、量・取組・目標。努めるは、それを実現する方策や推計。この区別の感覚で十分です。
名前に「支援」・提出先に注意
都道府県|支援計画のつくり方
都道府県がつくるのは介護保険事業支援計画。名前と提出先がポイント。
- 基本指針に則して3年を1期として策定
- 名前は「介護保険事業支援計画」(市町村を「支援」する立場)
- 策定・変更後は、遅滞なく厚生労働大臣に提出
都道府県がつくるのは、介護保険事業、支援計画です。名前と提出先がポイントです。
基本指針に則して、3年を1期として策定します。
名前は、介護保険事業、支援計画。市町村を支援する立場、という意味です。
策定や変更のあとは、遅滞なく厚生労働大臣に提出します。
提出先のひっかけ。市町村は都道府県知事へ、都道府県は厚生労働大臣へ提出します。逆にしないこと。
圏域と施設がカギ
都道府県|定めるべき事項
都道府県の「定めるべき」は、圏域と施設の入所定員が市町村との違い。
- 老人福祉圏域ごとの各年度のサービス量の見込み
- 介護保険施設の種類ごとの必要入所定員総数(介護専用型特定施設・地域密着型特定施設・地域密着型介護老人福祉施設・介護保険施設)
- 市町村の取組(自立支援・介護予防/重度化防止・費用適正化)への支援と、その目標
都道府県の定めるべきは、圏域と、施設の入所定員が、市町村との違いです。
1つ目は、老人福祉圏域ごとの、各年度のサービス量の見込み。
2つ目は、介護保険施設の種類ごとの、必要入所定員総数。介護専用型特定施設、地域密着型特定施設、地域密着型介護老人福祉施設、介護保険施設などです。
3つ目は、市町村の取組、自立支援・介護予防・重度化防止・費用適正化への支援と、その目標です。
引っかけ。都道府県の支援計画に、地域支援事業の量の見込みを定める、はバツです。地域支援事業の量は、市町村の定めるべき事項。第28回で出ています。
違いを一気に
市町村 vs 都道府県 早見表
取り違えやすい4点を、左右で対比します。
市町村(事業計画)
日常生活圏域
必要利用定員総数(在宅系の地域密着など)/地域支援事業の量◯/提出先:都道府県知事
都道府県(支援計画)
老人福祉圏域
介護保険施設の必要入所定員総数/地域支援事業の量✕/提出先:厚生労働大臣
取り違えやすい4点を、左右で対比します。
市町村の事業計画。圏域は日常生活圏域。在宅系の地域密着などの必要利用定員総数。地域支援事業の量はマル、提出先は都道府県知事です。
都道府県の支援計画。圏域は老人福祉圏域。介護保険施設の必要入所定員総数。地域支援事業の量はバツ、提出先は厚生労働大臣です。
圏域・施設の入所定員・地域支援事業の量・提出先、この4点で、市町村と都道府県を機械的に区別しましょう。
2017・2020・2023
改正の流れ
近年の改正で、データ活用と交付金が加わりました。
- 2017年:厚生労働大臣が介護保険等関連情報を調査・分析し公表。市町村は情報提供が義務。保険者機能強化推進交付金を規定
- 2017年:自立支援等施策の実施・達成状況を評価し公表(市町村は都道府県知事へ、都道府県は厚生労働大臣へ報告)
- 2020年:取組の都道府県連携を前提に。2023年:生産性向上の事項を追加、効果的・効率的な提供に留意
近年の改正で、データの活用と、交付金が加わりました。
2017年。厚生労働大臣が、介護保険等関連情報を調査・分析して公表します。市町村は情報提供が義務になりました。あわせて、保険者機能強化推進交付金が規定されました。
同じく2017年。自立支援等施策の実施や達成の状況を評価して公表します。報告先は、市町村は都道府県知事へ、都道府県は厚生労働大臣へです。
2020年は、取組の都道府県連携が前提に。2023年は、生産性向上の事項が追加され、効果的・効率的な提供に留意することとされました。
細かい年号より、関連情報の公表と交付金、そして評価して報告する流れを押さえれば十分です。最新は教科書で確認しましょう。
一体・整合・調和
他の行政計画との関係
介護保険事業(支援)計画は、ほかの計画と3とおりの関係を結びます。
- 一体的に作成 ⇔ 老人福祉計画(老人福祉法)
- 整合性の確保 ⇔ 医療計画(医療法)・実施計画
- 調和を保つ ⇔ 地域福祉計画(社会福祉法)・高齢者居住安定確保計画
介護保険事業、支援計画は、ほかの計画と、3とおりの関係を結びます。
1つ目、一体的に作成するのは、老人福祉計画。老人福祉法の計画です。
2つ目、整合性を確保するのは、医療計画や実施計画です。
3つ目、調和を保つのは、地域福祉計画と、高齢者居住安定確保計画です。
引っかけ。市町村計画と老人福祉計画は一体で、調和ではありません。また、市町村には医療計画がないので、整合の相手は都道府県側だけです。第16回で出ています。
出るところ5つ
ひっかけ総まとめ
この単元の5大ひっかけを、一気に確認します。
- 基本指針を定めるのは厚生労働大臣(×都道府県知事)
- 計画期間は3年を1期(×5年)
- 地域支援事業の量の見込みは市町村の定めるべき事項(×都道府県)
- 提出先=市町村は都道府県知事/都道府県は厚生労働大臣
- 老人福祉計画とは一体(×調和)/市町村に医療計画なし
この単元の5大ひっかけを、一気に確認します。
1つ。基本指針を定めるのは厚生労働大臣。都道府県知事ではありません。
2つ。計画期間は3年を1期。5年ではありません。
3つ。地域支援事業の量の見込みは、市町村の定めるべき事項。都道府県ではありません。
4つ。提出先は、市町村は都道府県知事、都道府県は厚生労働大臣です。
5つ。老人福祉計画とは一体で、調和ではない。そして市町村に医療計画はありません。
この5つは、そのまま過去問です。逆・入れ替え・数字違いで出るので、正しい形を覚えておけば即答できます。
第19講 おつかれさまでした
まとめ & 次の講へ
第19講のまとめ。「指針は国・計画は地方/全部3年1期/市町村と都道府県の振り分け」が背骨です。
- 基本指針=厚生労働大臣が定める(参酌標準を示す・公表)
- 市町村計画=3年1期・被保険者と都道府県の意見・都道府県知事へ提出
- 都道府県支援計画=3年1期・老人福祉圏域・施設の入所定員・厚生労働大臣へ提出
- 他計画=一体(老人福祉)・整合(医療)・調和(地域福祉/高齢者居住)
第19講のまとめです。指針は国・計画は地方、全部3年1期、市町村と都道府県の振り分け、が背骨です。
基本指針は、厚生労働大臣が定めます。参酌標準を示し、公表します。
市町村計画は、3年1期。被保険者と都道府県の意見をふまえ、都道府県知事へ提出します。
都道府県支援計画は、3年1期。老人福祉圏域、施設の入所定員を定め、厚生労働大臣へ提出します。
他の計画とは、一体が老人福祉、整合が医療、調和が地域福祉や高齢者居住です。
おつかれさまでした。次は第20講、または問題演習で力だめししてみましょう。
この講の一問一答(◯×11問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
介護保険事業に係る基本指針は、厚生労働大臣が定める。
答えと解説
◯ 正しい。医療介護総合確保法の総合確保方針に則して厚生労働大臣が定めます。
介護保険事業に係る基本指針は、都道府県知事が定める。
答えと解説
✕ 誤り。定めるのは厚生労働大臣です。頻出の引っかけ(第23回)。
市町村介護保険事業計画は、3年を1期として定める。
答えと解説
◯ 正しい。市町村も都道府県も計画は3年を1期です。
市町村介護保険事業計画の計画期間は、5年を1期とする。
答えと解説
✕ 誤り。3年を1期です(第27回)。
市町村は計画の策定・変更にあたり、あらかじめ被保険者の意見を反映させる措置を講じ、都道府県の意見を聴かなければならない。
答えと解説
◯ 正しい。被保険者の意見反映の措置+都道府県の意見聴取が必要です。
市町村介護保険事業計画は、策定・変更後、遅滞なく厚生労働大臣に提出する。
答えと解説
✕ 誤り。提出先は都道府県知事です。都道府県の支援計画が厚生労働大臣へ。
都道府県介護保険事業支援計画は、策定・変更後、遅滞なく厚生労働大臣に提出する。
答えと解説
◯ 正しい。市町村は都道府県知事へ、都道府県は厚生労働大臣へ提出します。
地域支援事業の量の見込みは、都道府県介護保険事業支援計画の定めるべき事項である。
答えと解説
✕ 誤り。地域支援事業の量の見込みは市町村の定めるべき事項です(第28回)。
介護保険施設の種類ごとの必要入所定員総数は、都道府県介護保険事業支援計画の定めるべき事項である。
答えと解説
◯ 正しい。施設の入所定員総数は都道府県(老人福祉圏域単位)の定めるべき事項です。
市町村介護保険事業計画は、市町村老人福祉計画と一体のものとして作成する。
答えと解説
◯ 正しい。老人福祉計画とは一体的に作成します(第16回)。
市町村介護保険事業計画は、医療計画と一体のものとして作成する。
答えと解説
✕ 誤り。市町村に医療計画はありません。医療計画との整合は都道府県側です。
五肢複択
介護保険事業計画について、正しいものを2つ選べ。
- 基本指針は厚生労働大臣が定める。
- 基本指針は都道府県知事が定める。
- 市町村介護保険事業計画は5年を1期とする。
- 市町村介護保険事業計画は3年を1期とする。
- 市町村介護保険事業計画は市町村老人福祉計画と調和を保って作成する。
答えと解説
正解:1・4
1 正しい。
2 誤り。厚生労働大臣が定める。
3 誤り。3年を1期。
4 正しい。
5 誤り。老人福祉計画とは一体的に作成。
市町村と都道府県の介護保険事業(支援)計画について、正しいものを2つ選べ。
- 地域支援事業の量の見込みは市町村の定めるべき事項である。
- 地域支援事業の量の見込みは都道府県の定めるべき事項である。
- 市町村の計画は策定後、遅滞なく厚生労働大臣に提出する。
- 都道府県の支援計画は策定後、遅滞なく厚生労働大臣に提出する。
- 介護保険施設の必要入所定員総数は市町村の定めるべき事項である。
答えと解説
正解:1・4
1 正しい。
2 誤り。市町村の定めるべき事項。
3 誤り。都道府県知事に提出。
4 正しい。
5 誤り。施設の必要入所定員総数は都道府県。