介護支援分野 > 第23講 居宅介護支援|基準・介護報酬・課題分析を押さえる/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
CH1 SEC23
第23講 居宅介護支援
居宅介護支援は、在宅で暮らす要介護者のケアプランをつくり、サービスにつなぐ仕事です。指定居宅介護支援事業者が行います。
- ①事業の基準(基本方針・人員・運営)
- ②介護報酬(単位と加算・減算)
- ③課題分析の標準項目と、計画作成〜実施の流れ
- ④よく出る数字とひっかけ
第23講を始めましょう。テーマは居宅介護支援です。
居宅介護支援は、在宅の要介護者のケアプランをつくって、サービスにつなぐ仕事です。担い手は指定居宅介護支援事業者です。
今日のゴールは4つです。
1つめ、事業の基準。基本方針・人員・運営の3本柱です。
2つめ、介護報酬。単位数と、加算・減算を押さえます。
3つめ、課題分析の標準項目と、計画づくりから実施までの流れ。
4つめ、試験でよく出る数字とひっかけです。
事業の基準
居宅介護支援とは/基本方針
対象は要介護者。事業者は「人員・運営の基準」を満たす必要があります。基準は市町村が条例で定めますが、厚生労働省令の基準に則ります。
- 自立した日常生活への配慮
- 利用者自身によるサービスの選択
- 公正中立(特定の種類・特定の事業者に偏らない)
- 関係機関との連携・協力
- 人権擁護・虐待の防止
- 介護保険等関連情報の活用
居宅介護支援の対象は、要介護者です。要支援者は別の介護予防支援になります。
基準は市町村が条例で定めますが、国の省令基準に則る必要があります。
事業の土台が、基本方針です。6つあります。
自立した日常生活への配慮、そして利用者自身がサービスを選べるようにすること。
とくに出るのが公正中立。特定のサービスや特定の事業者に、不当に偏ってはいけません。
関係機関との連携・協力、人権擁護と虐待の防止、そして関連情報の活用です。
事業の基準
人員基準
- 情報処理システムを活用し、かつ事務職員を置く場合は 49人 ごとに1人増
- 管理者は 常勤 で 主任介護支援専門員(原則専従)
- 主任要件は2018年度改定。経過措置で2027年3月まで猶予あり
人員基準です。介護支援専門員は、常勤で1人以上。利用者が44人増えるごとに、1人増やします。増やす分は非常勤でもかまいません。
ただし、情報処理システムを使って、さらに事務職員を置いている場合は、49人ごとに1人増でよくなります。
管理者は、常勤で、主任介護支援専門員でなければなりません。原則は専従です。
この主任要件は2018年度の改定で入りました。経過措置として2027年3月まで猶予されています。ここはひっかけで出ます。
運営基準
運営①サービス利用
運営基準は、サービス利用・利用料・計画作成・その他の4つに分かれます。まずサービス利用から。
- 提供開始時:運営規程の概要など重要事項を文書で交付し説明・同意
- 正当な理由なくサービス提供を拒んではいけない
運営基準は、サービス利用、利用料、計画作成、その他の4つに分かれます。まずはサービス利用です。
サービスを始めるときは、運営規程の概要など重要事項を文書で渡し、説明して同意を得ます。口頭だけではいけません。
原則として、正当な理由なくサービスの提供を拒んではいけません。
断ってよい正当な理由は3つ。現員で応じきれない、居住地が区域外、ほかの事業者にも併せて頼んでいる、です。
運営基準
運営①つづき
- 適切に提供できないとき:他の指定居宅介護支援事業者を紹介等
- 受給資格の確認:被保険者証で資格・認定の有無・有効期間を確認
- 要介護認定の申請にかかる援助を行う
- 身分証を携行し、初回訪問時と、求められたときに提示
自分のところで適切に提供できないときは、ほかの指定居宅介護支援事業者を紹介するなどの対応をします。
サービス提供のときは、被保険者証で、被保険者資格、要介護認定の有無、そして有効期間を確認します。
被保険者が認定の申請をしようとするときは、必要な協力をします。
介護支援専門員は身分を証する書類を持ち歩き、初回訪問のときと、求められたときに提示します。
運営基準
運営②利用料
- 利用料と計画費の額に不合理な差額を生じさせない
- 通常の実施地域外へ訪問する場合は交通費を受け取れる
- 支払いを受けたら「指定居宅介護支援提供証明書」を交付
次は利用料です。利用者から受け取る利用料と、計画費の額のあいだに、不合理な差額を生じさせてはいけません。
ただし、通常の事業実施地域の外まで訪問してサービスを提供する場合は、交通費を受け取ることができます。ここはよく出ます。
支払いを受けたときは、利用料の額などを書いた、指定居宅介護支援提供証明書を交付します。
運営基準
計画作成(取扱方針)
- 基本取扱方針:要介護状態の軽減・悪化防止、医療との連携、質の評価・改善
- 作成業務は介護支援専門員に担当させる。懇切丁寧に説明
- 総合的に:インフォーマル(住民の自発的活動等)も計画に位置づけるよう努める
- 課題分析は居宅を訪問し、利用者・家族に面接して行う(入院中など物理的理由は除く)
ここから計画づくりです。基本の取扱方針は、要介護状態の軽減と悪化防止、医療との連携、そして質の評価と改善です。
計画の作成業務は、介護支援専門員に担当させます。利用者や家族には、懇切丁寧に、わかりやすく説明します。
計画は総合的に。介護保険以外の保健医療や福祉、住民の自発的な活動なども、位置づけるよう努めます。
課題分析、つまりアセスメントは、居宅を訪問して、利用者と家族に面接して行います。入院中など物理的な理由があるときは、この限りではありません。
運営基準
原案→会議→同意→交付
計画づくりの流れです。まず原案を作ります。意向、総合的な援助方針、解決すべき課題、目標と達成時期、サービスの内容などを書きます。
次に、サービス担当者会議を開いて、専門的な意見を聴きます。
そして原案を説明し、文書により利用者の同意を得ます。口頭での同意は誤りです。ここは過去問で何度も問われています。
最後に、できあがった計画を、利用者と担当者に交付します。
運営基準
把握・モニタリング・見直し
- 計画に位置づけた事業者へ個別サービス計画の提出を依頼
- 実施状況を把握し、必要に応じて計画変更・連絡調整
- モニタリング:少なくとも1月に1回、居宅訪問・面接し、結果を記録
- 更新認定・区分変更認定のときは、会議を開いて計画を見直す
計画に位置づけた事業者には、個別サービス計画を出してもらうよう依頼します。
実施状況を把握して、必要に応じて計画を変更したり、事業者と連絡調整したりします。
モニタリングは、少なくとも1月に1回、利用者の居宅を訪問して面接し、その結果を記録します。回数はよく出ます。
更新認定や、区分変更の認定を受けたときは、担当者会議を開いて計画を見直します。
運営基準
施設・回数・医療系
- 施設入所が必要・希望→介護支援専門員が施設を紹介等(市町村に依頼ではない)
- 施設からの退所→居宅生活へ円滑に移れるよう計画作成を援助
- 厚労大臣が定める回数以上の訪問介護→妥当性を検討し理由を記載、市町村に届出
- 医療系サービス希望→同意を得て主治医等の意見を求め、指示を尊重
利用者が施設への入院や入所が必要になったとき、または希望したときは、介護支援専門員が施設を紹介するなどの便宜をはかります。市町村に依頼する、ではありません。ここはひっかけです。
逆に、施設から退所しようとするときは、居宅での生活へ円滑に移れるよう、計画づくりを援助します。
国の大臣が定める回数以上の訪問介護を入れるときは、妥当性を検討し、理由を計画に書いて、市町村に届け出ます。
医療系サービスを希望しているときは、利用者の同意を得て主治医などの意見を求め、その指示があれば尊重します。
運営基準
短期入所・福祉用具・給付管理
- 短期入所:利用日数が認定有効期間のおおむね半数を超えないよう(機械的運用は求めない)
- 福祉用具:妥当性を検討し、必要な理由を計画に記載
- 被保険者証に認定審査会意見等→趣旨を説明し、配慮して計画作成
- 法定代理受領サービス→給付管理票を毎月、市町村(国保連)へ提出
短期入所を計画に入れるときは、目安として、利用する日数が要介護認定の有効期間の、おおむね半数を超えないようにします。ただし機械的な運用は求められていません。
福祉用具の貸与や販売を入れるときは、妥当性を検討して、必要な理由を計画に書きます。
被保険者証に認定審査会の意見などが書いてあるときは、その趣旨を利用者に説明し、配慮して計画を作ります。
法定代理受領サービスについては、給付管理票を毎月、市町村、または国民健康保険団体連合会に提出します。毎月、がポイントです。
運営基準
その他の基準・記録
- 市町村への通知:指示に従わず状態を悪化/不正受給を図ったとき等
- 管理者の責務・運営規程・勤務体制(研修機会)・健康管理・広告・苦情処理
- 事故発生時:市町村・家族等へ連絡し措置、状況と処置を記録
- 記録の整備:居宅介護支援台帳等を、完結日から2年間保存(電磁的記録可)
その他の基準です。利用者が指示に従わず状態を悪化させたときや、不正に給付を受けようとしたときなどは、意見を付けて市町村に通知します。
管理者の責務、運営規程、勤務体制の確保、ここには研修の機会も含まれます。健康管理、広告、苦情処理もあります。
事故が起きたときは、すみやかに市町村や家族などに連絡して必要な措置をとり、事故の状況と、とった処置を記録します。
記録は、居宅介護支援台帳などを、その完結の日から2年間保存します。書面に代えて、電磁的記録でもよいとされています。
介護報酬
介護報酬(単位)
報酬は要介護度(1・2/3〜5の2段階)で、1月あたりの単価が決まります。2024年改定で取扱件数の区切りが見直されました。
- 居宅介護支援費(I):取扱件数 45未満/45〜60未満/60以上で単価が下がる
- (II)はデータ連携システム活用+事務職員配置で 50未満 が基準に
ここから介護報酬です。要介護1と2、要介護3から5、この2段階で、1月あたりの単価が決まっています。
2024年の改定で、件数の区切りが見直されました。居宅介護支援費の1は、取扱件数45未満、45から60未満、60以上、と件数が多いほど1件あたりの単価が下がります。
2の方は、ケアプランのデータ連携システムを使い、事務職員を置いている場合で、50未満が基準になりました。
単位数そのものは改定で動きます。具体的な金額は、必ず最新の教科書で確認してください。
介護報酬
加算①(連携系)
- 初回加算:新規開始、または区分が2区分以上変更(運営基準減算時は不可)
- 特定事業所加算:人員・会議・24時間連絡体制等+市町村長へ電子届出
- 特定事業所医療介護連携加算:退院退所の情報提供35回以上、ターミナル15回以上 等
- 通院時/入院時情報連携加算:医療機関と情報連携(入院時は1人月1回限度)
加算減算をいくつか。初回加算は、新規にサービスを始めたときや、区分が2段階以上変わったときに付きます。運営基準減算に当たるときは付けられません。
特定事業所加算は、基準以上の人員、定期的な会議、24時間の連絡体制などを満たし、市町村長へ電子で届け出た事業所に付きます。
特定事業所医療介護連携加算は、退院退所の情報提供が35回以上、ターミナルケアマネジメント加算が15回以上、などの要件があります。
通院時、入院時の情報連携加算は、医療機関と情報を連携したときに付きます。入院時は、1人につき1月に1回が限度です。
介護報酬
加算②・減算
- 退院退所加算/特別地域・中山間地域等の加算(市町村長へ電子届出)
- ターミナルケアマネジメント加算:在宅死亡の末期がん利用者に、死亡日前14日以内に2日以上訪問・記録
- 特定事業所集中減算:同一事業者への集中が80%超(訪問・通所・地域密着型通所・福祉用具貸与が対象)
- 虐待防止措置未実施減算/業務継続計画(BCP)未策定減算
退院退所加算や、離島・山間部などの加算もあります。これらも市町村長への電子届出が要ります。
ターミナルケアマネジメント加算は、在宅で亡くなった末期がんの利用者について、死亡日と、死亡日の前14日以内に、2日以上訪問して状況を記録した場合などに付きます。
特定事業所集中減算は、計画に入れたサービスが、同じ事業者に80パーセントを超えて偏った場合です。訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与が対象です。
ほかに、虐待防止の措置をしていない場合の減算や、業務継続計画、つまりBCPを作っていない場合の減算もあります。
居宅介護支援サービス
課題分析標準項目(23)
- 目的:生活課題(生活ニーズ)と社会資源を結びつけ、自立とQOL向上
- 国の指針による例示。すべての情報収集を求めるものではない
居宅介護支援サービスの中身です。課題分析にあたって、国が客観的な目安として示しているのが、課題分析標準項目です。
合計23項目。内訳は、基本情報に関する9項目と、課題分析に関する14項目です。
目的は、生活課題、つまり生活ニーズと、社会資源を結びつけて、自立を支援し、生活の質を高めることです。
注意したいのは、これは例示だということ。23項目すべての情報収集を、必ず求めているわけではありません。
まとめ
作成〜実施の流れ
最後に流れをまとめます。まず原案づくり。ニーズ優先、利用者主導で、生活ニーズに優先順位をつけ、短期目標と長期目標を立てます。
次に担当者会議。状況を共有し、専門的な見地から意見をもらい、同意を得て計画を交付します。利用者や家族が参加するのが基本です。家庭内暴力などで望ましくない場合は除きます。
そして実施。計画に基づいてサービスを提供し、少なくとも月に1回モニタリングを行います。
担当者会議はテレビ電話などでも開けます。ただし、利用者や家族が参加するときは、その活用について同意を得る必要があります。
おつかれさまでした
第23講 まとめ
- 公正中立/提供拒否の正当な理由3つ/同意は文書
- 人員 44(49)人ごと+1・管理者は主任/記録は2年/モニタリング月1回
- 施設はケアマネが紹介/給付管理票は毎月/集中減算80%
第23講のまとめです。公正中立、提供を断ってよい正当な理由は3つ、そして同意は文書で。
人員は44人、システム活用なら49人ごとに1人増。管理者は主任。記録は2年保存。モニタリングは月1回。
施設はケアマネが紹介、給付管理票は毎月、集中減算は80パーセント超。ここを押さえれば大丈夫です。
おつかれさまでした。読んで復習したい人は、下の解説記事もどうぞ。
この講の一問一答(◯×11問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
居宅介護支援の対象は要介護者である。
答えと解説
◯ ○。対象は要介護者。要支援者は介護予防支援の対象になる。実施は指定居宅介護支援事業者。
指定居宅介護支援の提供は、公正中立に行わなければならない。
答えと解説
◯ ○(第26回)。特定の種類・特定の事業者に不当に偏ってはならない。
介護支援専門員は常勤で1人以上を置き、利用者が44人増えるごとに1人増やす(増員は非常勤でもよい)。
答えと解説
◯ ○。情報処理システムを活用し事務職員を置く場合は49人ごとに1人増でよい。
居宅介護支援事業所の管理者は、介護支援専門員であればよく、主任介護支援専門員である必要はない。
答えと解説
✕ ×。管理者は常勤の主任介護支援専門員。2018年度改定の要件で、経過措置として2027年3月まで猶予がある。
事業所の現員では利用申込に応じきれない場合、サービスの提供を拒むことができる。
答えと解説
◯ ○(第22回)。提供を断れる正当な理由は、現員不足/区域外/他事業者へ併行依頼の3つ。
居宅サービス計画の原案は、利用者に説明し口頭で同意を得ればよい。
答えと解説
✕ ×(第25回)。同意は文書で得る。流れは原案→担当者会議→文書による同意→利用者・担当者へ交付。
モニタリングは、少なくとも3か月に1回、利用者の居宅を訪問して行えばよい。
答えと解説
✕ ×。少なくとも1月に1回、居宅を訪問して面接し、結果を記録する。
利用者の施設入所が必要になった場合、介護支援専門員は施設紹介を市町村に依頼しなければならない。
答えと解説
✕ ×(第28回)。施設を紹介するなどの便宜を行うのは介護支援専門員。
通常の事業実施地域以外の居宅を訪問してサービスを提供する場合、交通費の支払を受けることができる。
答えと解説
◯ ○(第23回)。区域内では受け取れない。
法定代理受領サービスにかかる給付管理票は、毎月、市町村(国民健康保険団体連合会)に提出する。
答えと解説
◯ ○。『毎月』提出がポイント。
居宅介護支援に関する記録は、その完結の日から2年間保存しなければならない。
答えと解説
◯ ○。書面に代えて電磁的記録も可。専門員証の5年などと数字を混同しない。
五肢複択
居宅介護支援について正しいものはどれか。3つ選べ。
- 対象は要支援者である
- 提供を断れる正当な理由に「現員で応じきれない」が含まれる
- ケアプランの原案は口頭での同意でよい
- モニタリングは少なくとも1月に1回行う
- 施設入所が必要なときは介護支援専門員が施設を紹介する
答えと解説
正解:2・4・5
1 誤り。対象は要介護者。
2 正しい。
3 誤り。同意は文書で得る。
4 正しい。
5 正しい。
居宅介護支援の介護報酬・課題分析について正しいものはどれか。3つ選べ。
- 報酬は要介護度に関係なく一律である
- 初回加算は要介護状態区分が2区分以上変更された場合にも算定できる
- 特定事業所集中減算は、同一事業者への集中が80%を超える場合に該当する
- 管理者を主任介護支援専門員とする要件に経過措置はない
- 課題分析標準項目は、基本情報9項目と課題分析14項目の合計23である
答えと解説
正解:2・3・5
1 誤り。報酬は要介護1・2/3〜5の2段階。
2 正しい。
3 正しい。
4 誤り。2027年3月までの経過措置がある。
5 正しい。