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認知症高齢者の介護|4大認知症・BPSD・診断・ケア・支援施策のまとめ

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保健医療サービス分野 > 第33講 認知症高齢者の介護|4大認知症・BPSD・診断・ケア・支援施策のまとめ/全文

この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。

CH2 SEC8

第33講 認知症高齢者の介護

この講は第2章の大きな山場。認知症の種類と病態から、BPSD・診断・ケア・支援施策・地域のしくみまで、出題の多い分野を一気に押さえます。

第33講を始めましょう。テーマは、認知症高齢者の介護です。

この講は、第2章の大きな山場です。認知症の種類と病態から、BPSD、診断、ケア、そして支援施策や地域のしくみまで、出題の多い分野を、一気に押さえていきます。

まず、4つの大きな認知症。アルツハイマー型、血管性、レビー小体型、前頭側頭型。その特徴と、見分け方です。

次に、中核症状とBPSDの区別。そして、診断、長谷川式やMMSEに画像診断を合わせる方法と、治療です。

さらに、その人らしさを中心に置く、パーソンセンタード・ケアを軸にした、認知症ケア。

最後に、支援施策、新オレンジプランから大綱、基本法への流れと、地域包括支援センターなどのサポート体制です。盛りだくさんですが、順番に理解していきましょう。

種類・病態

認知症とは(定義と4大疾患)

認知症とは、いったん獲得した認知機能が持続的に低下し、日常生活・社会生活に相当の制限を受ける状態。原因疾患でタイプが分かれます。

学ぶ視点各タイプは「①原因物質・部位 ②主症状 ③進み方・性差」で対比すると整理しやすい。試験はこの違いをねらう。

まず、認知症とは何か、から始めます。

認知症とは、脳や身体の疾患などにより、これまでに獲得した認知機能が、持続的に低下して、日常生活または社会生活に、相当の制限を受ける状態をいいます。

その大部分を占めるのが、4つの代表的な疾患。アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、そして前頭側頭型認知症です。

これらは、それぞれ、原因、主な症状、男女どちらに多いか、そして進み方が異なります。次のスライドから、1つずつ見ていきます。

さらに、治療で治る認知症や、認知症の前段階である軽度認知障害、MCIも、区別して学びます。

学ぶときの視点です。各タイプは、1つめ原因となる物質や部位、2つめ主な症状、3つめ進み方や性差、この3点で対比すると整理しやすい。試験は、この違いをねらってきます。

種類・病態

アルツハイマー型認知症①(病態)

認知症のおよそ半数を占める最多のタイプ。脳に異常なたんぱく質がたまり、神経細胞が死んで脳が萎縮します。

血管性との対比アルツハイマーは「女性・徐々に進行・記憶が主」。次に学ぶ血管性は「男性・段階的・まだら」。性差と進み方がよく問われる。

では、1つめ。アルツハイマー型認知症です。重要なので2枚に分けます。まずは病態から。

病態は、脳に、たんぱく質の異常な蓄積、老人斑が起こり、神経細胞が死滅して、脳が萎縮することで生じます。

これは、認知症疾患の、およそ半数を占める、もっとも多いタイプです。そして、女性に多くみられます。

主な症状は、記憶障害。そして、徐々に進行していくのが特徴です。

初期症状は、もの忘れである健忘。とくに、数分から数か月の、近時記憶が障害されます。

次に学ぶ血管性との対比で覚えましょう。アルツハイマーは、女性に多く、徐々に進行、記憶障害が主。血管性は、男性に多く、段階的に進行、まだら。この性差と進み方が、よく問われます。

種類・病態

アルツハイマー型認知症②(進行)

進行すると、記憶以外の症状が次々に現れ、やがて人格の変化に至ります。BPSDも出現します。

過去問(第18回)「アルツハイマー型の初期症状として、近時記憶の障害が著しい」は正しい。新しいことを覚えるのが難しくなる。

アルツハイマー型の2枚目。症状の進行を見ます。

進行するにつれて、場所や人物がわからなくなる見当識障害、注意障害、そして、失認や失行などが現れます。

さらに進むと、自分が病気だという自覚、病識がなくなり、やがて、人格の変化がみられるようになります。

また、物盗られ妄想や、徘徊が出現することもあります。これらは、のちほど学ぶBPSDにあたります。

経過は、健忘から始まり、見当識障害、人格変化へと、ゆるやかに進んでいくのが特徴です。

過去問です。アルツハイマー型認知症の初期症状として、近時記憶の障害が著しい、は正しい。初期段階で近時記憶が障害され、新しいことを覚えるのが難しくなります。

種類・病態

血管性認知症

2番目に多いタイプ。脳梗塞などの脳血管障害が原因で、発作のたびに段階的に進行します。アルツハイマーと対で覚えます。

感情失禁とは感情をうまく抑えられず、喜びや怒りが簡単に・大きく出てしまう状態(情動失禁)。血管性認知症の特徴として問われる。

2つめ、血管性認知症です。アルツハイマー型と、対で覚えましょう。

原因は、脳梗塞などの、脳血管障害。発作を繰り返すことで、段階的に進行します。そして、男性に多くみられます。

症状は、記憶障害が中心ですが、感情失禁や、うつ症状も併発します。

障害された脳の部位によって、症状が異なります。できることとできないことがまだらに出る、まだら認知症や、運動障害、言語障害を伴うこともあります。一方で、病識や人格は、比較的長く保たれます。

そして、障害されていない、健康な脳が残っている場合があるので、適切な治療やリハビリテーションで、認知機能が改善することもあります。

感情失禁とは、感情をうまく抑えられず、喜びや怒りが、簡単に、大きく出てしまう状態。情動失禁ともいいます。血管性認知症の特徴として、問われます。

種類・病態

レビー小体型認知症

神経細胞にレビー小体という物質が出現。リアルな幻視パーキンソン症状が特徴で、転倒や誤診に注意が要ります。

過去問(第22回)「レビー小体型認知症では、幻視はみられない」は誤り。幻視が特徴的で、払いのけたり、逃げるような動作を伴う。

3つめ、レビー小体型認知症です。

脳や末梢神経の神経細胞に、レビー小体という物質が出現することで発症します。特徴は、症状の変動、リアルな幻視、パーキンソン症状、そして、レム睡眠行動障害です。

認知機能以外にも病変が及ぶため、起立性低血圧、失神、便秘、立ちくらみといった、自律神経症状が多く、それによる転倒も少なくありません。

認知機能の低下は、全般的で、記憶障害も伴います。

また、リアルな幻視などから、統合失調症との鑑別がしにくく、診断までに時間を要することがあります。

過去問です。レビー小体型認知症では、幻視はみられない、は誤り。幻視が特徴的で、見えるものを払いのけたり、逃げるような動作を伴います。レビー小体イコール幻視、と覚えましょう。

種類・病態

前頭側頭型認知症

前頭葉・側頭葉が萎縮するタイプ。記憶よりも行動・人格の変化が前面に出るのが特徴です。初老期(40〜60歳)に多い。

見分けのカギ記憶障害が前面に出るアルツハイマーと違い、前頭側頭型は「行動・人格・常同行動」が目立つ。BPSDに見える行動が中核症状のこともある。

4つめ、前頭側頭型認知症です。

前頭葉や側頭葉の萎縮により発症します。前頭葉が萎縮するタイプはピック病、側頭葉が萎縮するタイプは意味性認知症といわれます。通常、40歳から60歳の、初老期に発症し、徐々に進行します。

独特の行動障害があります。がまんができない脱抑制、思い立ったらすぐ行動に移す、怒りやすい、といった行動です。

さらに、同じ行動を繰り返す常同行動。毎日決まった時間に、決まったことをする、といった行動もみられます。

また、顔を見ても誰だかわからない、他人の気持ちを理解したり共感したりすることができなくなるため、社会生活に支障をきたすことが多くあります。

見分けのカギです。記憶障害が前面に出るアルツハイマーと違い、前頭側頭型は、行動、人格、常同行動が目立ちます。一見BPSDに見える行動が、実は中核症状であることもあります。

種類・病態

若年性認知症

65歳未満で発症する認知症。原因疾患は問いません。働き盛りの発症ゆえ、経済・家庭の問題が大きくなります。

第2号被保険者とつながる「初老期における認知症」は16の特定疾病の1つ。だから40〜64歳でも、若年性認知症なら介護保険の給付対象になる。

5つめ、若年性認知症です。

これは、65歳未満で発症する認知症をいい、原因疾患は問いません。認知症全体の、1%程度を占めるといわれています。

不安や抑うつを伴うことが多いことから、うつ病と間違われることもあります。

高齢者に比べて、進行が比較的早く、前頭側頭型の割合が高い、などの特徴があります。

働きざかりに発症するため、経済的な問題や、家庭の問題が生じることが多くなります。そして、特定疾病の一つ、初老期における認知症として、介護保険給付の対象となっています。

第2号被保険者と、つながります。初老期における認知症は、16ある特定疾病の1つ。だから、40歳から64歳でも、若年性認知症であれば、介護保険の給付対象になるのです。

種類・病態

治療可能な認知症

認知機能の低下のなかには、治療で改善できるものもあります。代表が正常圧水頭症慢性硬膜下血腫。見逃さないことが大切です。

過去問(第20回)「慢性硬膜下血腫による認知機能障害は、慢性化しているため血腫を除去しても回復が期待できない」は誤り。血腫を除去すれば認知機能のレベルが戻る。

6つめ。治療可能な認知症です。認知機能の低下を生じる疾患のなかには、治療で改善できるものもあります。

1つめ、正常圧水頭症。脳でつくられる脳脊髄液の出口が詰まり、脳内にたまることで発症します。血管性認知症に似た認知機能低下、歩行障害、尿失禁が、三つの主症状。脳脊髄液をおなかに流す、シャント手術で改善できます。

2つめ、慢性硬膜下血腫。頭部の打撲による硬膜下の出血が、徐々に増大し、血腫となって脳を圧迫することで起こります。意識障害、認知機能低下、歩行障害などが現れますが、血腫を除去することで、認知機能のレベルが戻ります。

このほか、甲状腺機能低下症、アルコールの長期摂取、ビタミンB12欠乏症なども、認知症のような症状を呈することがありますが、治療により改善が可能です。

治る認知症を見逃さず、適切な検査と治療につなぐ。この視点が、とても重要です。

過去問です。慢性硬膜下血腫による認知機能障害は、慢性化しているため、血腫を除去しても回復が期待できない、は誤り。血腫が脳を圧迫して起こるので、血腫を除去すれば、認知機能のレベルが戻ります。

種類・病態

軽度認知障害(MCI)

健常と認知症の中間の段階が、軽度認知障害(MCI)。まだ認知症ではないけれど、放置すると移行することがあります。

なぜ重要?MCIは「引き返せる可能性のある段階」。早く気づいて生活を整えれば進行を防げることがあるため、見逃さないことが鍵。

7つめ。軽度認知障害、MCIです。

MCIは、記憶障害の訴えが、本人または家族から認められている。けれど、着替えや食事などの日常生活動作、ADLは正常です。

また、全般的な認知機能は正常で、年齢や教育レベルの影響だけでは説明できない記憶障害が存在します。

つまり、まだ認知症ではない、健常と認知症の中間の段階、と定義されます。

ただし、年間に、約1割が認知症に移行します。一方で、ライフスタイルの改善などで、MCIの一部は、健常に戻ることもあります。

なぜ重要なのか。MCIは、引き返せる可能性のある段階です。早く気づいて、生活を整えれば、進行を防げることがある。だから、見逃さないことが鍵になります。

BPSD

中核症状とBPSD①(区別)

認知症の症状は2つに分けて理解します。脳の障害そのものから生じる中核症状と、それに伴うBPSD(行動・心理症状)です。

対比のコツ中核症状は脳の障害から「必ず」出る。BPSDは「人や環境によって出たり出なかったり」。だからBPSDはケアで減らせる(次スライド)。

ここからは、BPSDです。認知症の症状は、2つに分けて理解します。

1つめが、中核症状。脳の障害そのものから生じ、認知症であれば必ず生じる症状です。記憶障害、見当識障害、計算力・理解力・判断力の低下、言語障害、段取りができなくなる実行機能障害、そして人格変化です。

2つめが、BPSD。認知症の、行動・心理症状のことで、以前は、周辺症状とよばれていました。

BPSDのうち、行動症状には、暴言、暴力、叫び声、徘徊、食べ物でないものを口に入れる異食、不潔行為などがあります。

そして、心理症状には、不安、抑うつ、幻覚、妄想などがあります。

対比のコツ。中核症状は、脳の障害から、必ず出ます。一方、BPSDは、人や環境によって、出たり出なかったりします。だから、BPSDはケアで減らせる。これを次のスライドで見ます。

BPSD

中核症状とBPSD②(要因と改善)

BPSDの大事な点は、適切な対応で改善できること。逆に、不適切なケアや薬がBPSDをまねくこともあります。

過去問(第25回)「BPSDは、住環境などの環境因子の影響は受けない」は誤り。BPSDは個人因子・環境因子の影響を強く受ける症状。

中核症状とBPSDの2枚目。要因と、改善について。

BPSDをまねく要因として、まず、多くの薬を併用する多剤併用や、向精神薬などによる薬物の作用の増大があります。

さらに、頻繁な声かけ、制止、軽視するなど、本人にとって不快な対応、不当な対応と感じられるような、不適切なケアも、BPSDを誘発します。

BPSDは、脳の障害のほか、生い立ちなどの個人因子、住環境などの環境因子の影響を、強く受ける症状です。

だからこそ、適切な対応によって、改善が可能なのです。なお、前頭側頭型の怒りやすさのように、BPSDに見えるものが、実は中核症状であることもあります。

過去問です。BPSDは、住環境などの環境因子の影響は受けない、は誤り。BPSDは、個人因子や環境因子の影響を、強く受ける症状です。だから、環境を整えれば改善できる、という点が大切です。

診断と治療

認知症の診断(検査)

診断は、認知機能検査画像診断あわせて行います。検査だけで決めつけないのがポイントです。

過去問(第12回)「MMSEの結果のみで、認知症と判断できる」は誤り。認知機能検査とMRIなどの画像診断をあわせて判断する。

ここからは、認知症の診断と治療です。まずは診断から。

認知症の診断では、まず、認知機能の検査を行います。簡便な検査として、長谷川式認知症スケール、HDS-Rや、MMSE、ミニメンタルステート検査が使われています。

そして、それらの検査結果と、MRIやCTなどの画像診断などをあわせて、認知症の診断と、原因疾患の鑑別を行います。

ここが大事。検査の点数だけで、認知症と判断することはしません。画像診断と組み合わせて、総合的に判断します。

なお、日付や場所、名前などを確認し、訓練する手法は、リアリティ・オリエンテーションとも呼ばれます。

過去問です。MMSEの結果のみで、認知症と判断することができる、は誤り。認知症の診断は、認知機能検査と、MRIなどの画像診断などをあわせて、判断します。

診断と治療

認知症の治療(薬物・非薬物)

治療には薬物療法非薬物療法があります。薬は進行を遅らせるもので、治癒に至る薬はまだありません

押さえ方「薬は進行を遅らせるが治せない」+「非薬物=見当識訓練・回想法」。新薬の名前(レカネマブ・ドナネマブ)も近年の出題に備える。

次は、治療です。認知症の治療には、薬物療法と、非薬物療法があります。

薬物療法は、進行を遅らせるなどの効果が認められていますが、治癒に至るものは、まだありません。ここは大事なポイントです。

近年では、早期のアルツハイマー病とMCIに対して、2023年1月よりレカネマブ、2024年11月よりドナネマブが、治療薬として使用されています。

非薬物療法には、まず、現実見当識訓練、リアリティ・オリエンテーション。日付、場所、名前などの情報を、何度も伝えて、見当識を高めます。

もう一つが、回想法。自分の過去を回想することで、自信を取り戻させる方法です。

押さえ方です。薬は、進行を遅らせるが、治せない。そして、非薬物療法は、見当識訓練と回想法。新しい薬の名前、レカネマブとドナネマブも、近年の出題に備えて覚えておきましょう。

認知症ケア

認知症ケア(パーソンセンタード・ケア)

認知症ケアの中心はパーソンセンタード・ケア。病気ではなく「その人」を中心に置き、尊厳を守る考え方です。家族への配慮も欠かせません。

考え方の軸「困った行動を抑える」のではなく「その人の視点に立つ」。BPSDが環境やケアで変わるのは、この考え方が効くから。

ここからは、認知症ケアです。中心となるのが、パーソンセンタード・ケアという考え方です。

パーソンセンタード・ケアとは、その人らしさを、ケアの中心に据え、本人の気持ちをくみとり、意向に沿い、尊厳を傷つけないケアを行うことです。病気ではなく、その人を中心に置きます。

具体的には、ありのままを受け入れ、理解する。否定的な言動は避ける。あたたかい言葉づかいや態度で、安心感を与える。

そして、なじみの関係、なじみの場所を、重視します。

パーソンセンタード・ケアと通じる、認知症の介護技法として、ユマニチュードや、バリデーション療法があります。また、認知症の介護では、家族の負担が大きくなりがちなので、家族への配慮も忘れてはなりません。

考え方の軸です。困った行動を抑える、のではなく、その人の視点に立つ。BPSDが、環境やケアで変わるのは、この考え方が効くからなのです。

支援施策

認知症支援施策①(新オレンジプラン)

ここからは国の施策の流れ。オレンジプラン→新オレンジプラン→大綱→基本法と発展します。まずは新オレンジプランから。

流れで覚えるオレンジ(2012)→新オレンジ(2015)→大綱(2019)→基本法(2023制定・2024施行)。年号と順番をセットで。

ここからは、認知症支援施策。国の施策の流れを見ます。オレンジプランから、新オレンジプラン、大綱、基本法へと発展します。まずは、新オレンジプランから。

2012年に、オレンジプラン、認知症施策推進5か年計画が策定され、早期診断・早期対応の重要性が示されました。そして2015年、その改訂版として、認知症施策推進総合戦略、新オレンジプランが策定されました。

基本的な考え方は、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で、自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す、というものです。

そして、7つの柱が示されました。普及啓発の推進、認知症の容態に応じた医療・介護の提供、ここで認知症ケアパスが作られます、若年性認知症施策の強化、介護者への支援、ここで認知症カフェが設置されます、などです。

さらに、認知症の人やその家族の視点の重視も、柱に含まれています。

流れで覚えましょう。オレンジ、2012年。新オレンジ、2015年。大綱、2019年。基本法、2023年制定で2024年施行。年号と順番を、セットで押さえます。

支援施策

認知症支援施策②(認知症施策推進大綱)

新オレンジプランの後継が認知症施策推進大綱(2019年)。キーワードは「共生」と「予防」を車の両輪です。

過去問(第26回)「認知症施策推進大綱では、発症を遅らせることを目指している」は正しい。予防は「ならない」ではなく「遅らせる」の意味、が頻出。

2つめ、認知症施策推進大綱です。新オレンジプランの後継として、2019年に策定されました。

対象期間は、団塊の世代が75歳以上となる、2025年までとされています。

基本的な考え方は、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望をもって日常生活を過ごせる社会をめざす、というもの。そして、共生と予防を、車の両輪として施策を推進します。

ここが超頻出。ここでいう予防とは、認知症にならない、という意味ではありません。認知症になるのを遅らせる、認知症になっても進行を緩やかにする、という意味です。

5つの柱は、普及啓発と本人発信支援、予防、医療・ケア・介護サービスと介護者支援、認知症バリアフリーと社会参加支援、そして研究開発・産業促進・国際展開です。

過去問です。認知症施策推進大綱においては、発症を遅らせることを目指している、は正しい。予防は、ならない、ではなく、遅らせる、の意味。ここがよく問われます。

支援施策

認知症支援施策③(基本法・基本計画)

施策はついに法律へ。認知症基本法(2023年制定・2024年施行)と、それに基づく基本計画で、共生社会の実現を進めます。

3段階で整理「戦略(新オレンジ)→大綱→法律(基本法)+基本計画」。施策が、計画から法律へと格上げされた流れを押さえる。

3つめ、認知症基本法と、基本計画です。施策は、ついに法律になりました。

2023年6月に、共生社会の実現を推進するための認知症基本法、認知症基本法が制定され、2024年1月1日に施行されました。

その目的は、認知症の人が尊厳を保持しつつ、希望をもって暮らすことができるよう、共生社会の実現を推進することです。

そして、この認知症基本法に基づき、政府に策定義務がある、認知症施策推進基本計画が、2024年12月に閣議決定されました。これは大綱の後継で、対象期間は2029年度とされています。

基本計画では、新しい認知症観、つまり、誰もが認知症になり得ることを前提に、国民一人一人が自分ごととして理解する、という考え方が重視されています。

3段階で整理しましょう。戦略である新オレンジプランから、大綱、そして、法律である基本法と基本計画へ。施策が、計画から法律へと格上げされた流れを、押さえておきましょう。

地域のサポート体制

地域のサポート体制①(中核機関)

認知症の人を地域で支えるには、機関の連携が要。中核となる地域包括支援センター認知症疾患医療センターを押さえます。

役割の違い地域包括支援センター=「総合相談・つなぐ拠点」。認知症疾患医療センター=「専門医療の拠点」。どちらが医療か、で区別。

ここからは、地域におけるサポート体制です。認知症の人を地域で支えるには、さまざまな機関の連携が大切です。まず、中核となる2つの機関から。

1つめ、地域包括支援センター。2005年の介護保険法改正に基づき設置された、地域包括ケアシステムの中核となる機関です。

地域における横断的なネットワークの構築を担い、見守り体制を整備します。また、認知症の人や家族にとっての相談機関であり、権利擁護業務なども行っています。

2つめ、認知症疾患医療センター。認知症の人に必要な医療を提供する、中核となる機関で、都道府県や政令指定都市によって指定され、設置されます。

医療、つまり主治医やかかりつけ医と、介護の連携を深める役割を果たします。業務は、認知症の診断、急性期の治療、専門的な医療相談、地域の介護関係者への研修などです。

役割の違いを押さえましょう。地域包括支援センターは、総合相談、つなぐ拠点。認知症疾患医療センターは、専門医療の拠点。どちらが医療か、で区別します。

地域のサポート体制

地域のサポート体制②(初期集中支援チーム)

認知症初期集中支援チームは、早期診断・早期対応のかなめ。複数の専門職が訪問して、おおむね6か月、集中的に支援します。

過去問(第28回)「認知症初期集中支援チームは、行方不明の認知症の人を捜索する仕組み」は誤り。それはSOSネットワーク。チームは紹介・家族支援を集中的に行う。

2つめのテーマ、認知症初期集中支援チームです。早期診断・早期対応の、かなめとなるチームです。

認知症の早期診断・早期対応を図るため、初期段階から、複数の専門職がかかわり、訪問による状態の把握やアセスメントを行い、専門医療機関の紹介や、家族支援を、包括的・集中的に、おおむね6か月、行います。

市町村によって、地域包括支援センターや、医療機関などに設置されます。

メンバーは、サポート医、保健師、看護師、作業療法士、介護福祉士などが、チームを組みます。

支援の対象は、40歳以上で、自宅で生活している人。医療や介護のサービスを受けていない、または中断している人や、認知症の行動・心理症状が顕著で、対応に苦慮しているケースなどです。

過去問です。認知症初期集中支援チームは、行方不明の認知症の人を捜索する仕組みである、は誤り。それは、次に学ぶSOSネットワークのことです。チームは、専門医療機関の紹介や家族支援を、包括的・集中的に行います。

地域のサポート体制

地域のサポート体制③(推進員・カフェ・サポーター・SOS)

地域を支える人・場・しくみです。推進員・カフェ・サポーター・SOSネットワークを、それぞれの役割で区別します。

区別のコツ推進員=つなぐ人/カフェ=集う場/サポーター=見守る人(講師はキャラバン・メイト)/SOS=捜すしくみ。役割名と機能をペアで。

3つめ。地域を支える、人、場、しくみです。4つを、役割で区別しましょう。

まず、認知症地域支援推進員。認知症の人や家族への相談支援サービスの、コーディネートや、連絡調整などを担います。

次に、認知症カフェ、オレンジカフェ。認知症の人や、その家族、専門職などが集い、交流や情報交換をする場です。

そして、認知症サポーター。認知症を正しく理解して、認知症の人とその家族を見守り、支援する、民間のサポーターです。サポーターを養成する講座の講師は、キャラバン・メイトと呼ばれます。

最後に、SOSネットワーク。認知症の人が行方不明になったときに、警察と、介護事業者や地域の関係団体が協力して捜索するしくみです。タクシーやバスの運転手、宅配業者、コンビニで働く人など、多様な人々が協力します。

区別のコツ。推進員は、つなぐ人。カフェは、集う場。サポーターは、見守る人で、講師はキャラバン・メイト。SOSは、捜すしくみ。役割名と機能を、ペアで覚えましょう。

おつかれさまでした

第33講 まとめ

おつかれさまでした。大ボリュームの認知症分野、タイプの鑑別・BPSD・施策の流れ・地域のしくみを総点検しましょう。

おつかれさまでした。大ボリュームの認知症分野、まとめです。タイプの鑑別、BPSD、施策の流れ、地域のしくみを、総点検しましょう。

まず、4大認知症。アルツハイマーは女性に多く近時記憶。血管性は男性に多く感情失禁。レビー小体は幻視。前頭側頭型は常同行動。この鑑別が基本です。

症状は、必ず生じる中核症状と、環境やケアで改善できるBPSD。診断は、認知機能検査と画像診断を、あわせて行う。

ケアの中心は、パーソンセンタード・ケア。そして、治る認知症、正常圧水頭症と慢性硬膜下血腫も、忘れずに。

施策は、新オレンジプランから、大綱、共生と予防ですね、そして基本法へ。認知症初期集中支援チームは、おおむね6か月。捜索はSOSネットワーク。混同しないように。

下の解説記事で、もう一度、全体を整理しておきましょう。第2章も大詰めです。次回もお楽しみに。

この講の一問一答(◯×15問・五肢複択3問)

すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →

  1. アルツハイマー型認知症は、認知症のなかでもっとも多い。

    答えと解説

     ○。認知症疾患の約半数を占め、女性に多い。脳の萎縮で生じる。

  2. アルツハイマー型認知症の初期症状として、近時記憶の障害が著しい。

    答えと解説

     ○(第18回類問)。新しいことを覚えるのが難しくなる。

  3. 血管性認知症は、女性に多くみられる。

    答えと解説

     ×。血管性認知症は男性に多い。脳血管障害により段階的に進行する。

  4. 血管性認知症では、感情失禁(情動失禁)がみられることがある。

    答えと解説

     ○。記憶障害が中心だが感情失禁やうつも併発。病識・人格は比較的保たれる。

  5. レビー小体型認知症では、幻視はみられない。

    答えと解説

     ×(第22回類問)。リアルな幻視が特徴的で、パーキンソン症状や自律神経症状も伴う。

  6. 前頭側頭型認知症では、同じ行動を繰り返す常同行動がみられる。

    答えと解説

     ○。脱抑制や常同行動など、行動・人格の変化が前面に出る。40〜60歳に発症。

  7. 若年性認知症は、65歳未満で発症する認知症をいう。

    答えと解説

     ○。原因疾患は問わない。特定疾病(初老期における認知症)として給付の対象。

  8. 慢性硬膜下血腫による認知機能障害は、血腫を除去しても回復しない。

    答えと解説

     ×(第20回類問)。血腫が脳を圧迫して起こるので、除去すれば認知機能のレベルが戻る。

  9. 軽度認知障害(MCI)の人は、年間に約1割が認知症に移行する。

    答えと解説

     ○。健常と認知症の中間。ライフスタイルの改善で一部は健常に戻る。

  10. BPSDは、住環境などの環境因子の影響を受けない。

    答えと解説

     ×(第25回類問)。BPSDは個人因子・環境因子の影響を強く受け、適切な対応で改善が可能。

  11. 認知症の診断は、MMSEの結果のみで判断できる。

    答えと解説

     ×(第12回類問)。認知機能検査とMRIなどの画像診断をあわせて判断する。

  12. 認知症の薬物療法には、進行を遅らせる効果が認められている。

    答えと解説

     ○。ただし治癒に至る薬はまだない。非薬物療法に現実見当識訓練・回想法。

  13. 認知症施策推進大綱の『予防』とは、認知症にならないことを意味する。

    答えと解説

     ×。なるのを遅らせる、進行を緩やかにする、の意味。共生と予防を車の両輪とする。

  14. 認知症初期集中支援チームは、行方不明の認知症の人を捜索する仕組みである。

    答えと解説

     ×(第28回類問)。捜索はSOSネットワーク。チームはおおむね6か月、紹介・家族支援を集中的に行う。

  15. パーソンセンタード・ケアでは、本人の気持ちや意向を尊重する。

    答えと解説

     ○。その人らしさを中心に、尊厳を傷つけないケア。ユマニチュード・バリデーションも通じる。

五肢複択

  1. 認知症のタイプと特徴の組合せとして、適切なものを2つ選べ。

    • アルツハイマー型 ― 近時記憶の障害から始まり、女性に多い
    • 血管性認知症 ― 幻視やパーキンソン症状が特徴
    • レビー小体型 ― 段階的に進行し、男性に多い
    • 前頭側頭型 ― 脱抑制や常同行動がみられる
    • 若年性認知症 ― 65歳以上で発症する
    答えと解説

    正解:1・4

    1 正しい。脳の萎縮で生じ、女性に多い。

    2 誤り。幻視・パーキンソン症状はレビー小体型。

    3 誤り。段階的・男性に多いのは血管性。

    4 正しい。行動・人格の変化が前面に出る。

    5 誤り。若年性認知症は65歳未満で発症する。

  2. 認知症について、適切なものを2つ選べ。

    • 中核症状は、脳の障害により必ず生じる
    • BPSDは、環境因子の影響を受けないため改善できない
    • 正常圧水頭症は、シャント手術で改善することがある
    • MMSEの結果のみで認知症と診断できる
    • 認知症の薬物療法は、認知症を治癒させることができる
    答えと解説

    正解:1・3

    1 正しい。記憶障害・見当識障害・実行機能障害など。

    2 誤り。BPSDは個人・環境因子の影響を強く受け、適切な対応で改善できる。

    3 正しい。認知機能低下・歩行障害・尿失禁が主症状。

    4 誤り。認知機能検査と画像診断をあわせて判断する。

    5 誤り。薬は進行を遅らせるが、治癒に至るものはまだない。

  3. 認知症の支援施策・地域のしくみについて、適切なものを2つ選べ。

    • 認知症施策推進大綱は、共生と予防を車の両輪としている
    • 認知症基本法は、2024年1月に施行された
    • 認知症初期集中支援チームは、行方不明者を捜索する仕組みである
    • 地域包括支援センターは、2025年に新設された
    • 認知症サポーターの養成講座の講師を、ケアマネジャーという
    答えと解説

    正解:1・2

    1 正しい。予防は『なるのを遅らせる』の意味。

    2 正しい。2023年制定、2024年1月施行。

    3 誤り。捜索はSOSネットワーク。チームはおおむね6か月の集中支援。

    4 誤り。地域包括支援センターは2005年の介護保険法改正で設置。

    5 誤り。養成講座の講師はキャラバン・メイト。

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