保健医療サービス分野 > 第49講 看護小規模多機能型居宅介護(看多機)とは|小規模多機能との違い・介護報酬をわかりやすく/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
CH2 SEC24
第49講 看護小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護(通称看多機(かんたき))は、訪問看護と小規模多機能型居宅介護を組み合わせ、通い・訪問・宿泊を一体的に提供して、医療ニーズの高い人でも自宅で暮らせるよう支える地域密着型サービスです。この講では「概要・目的」「3つのサービス」「事業の基準」「介護報酬」を学びます。
- ①概要(2011創設→2015改称→2023法定義)・目的
- ②内容(通い・訪問・宿泊を一体的)/計画
- ③事業の基準(地域密着型・人員・運営)
- ④介護報酬(月単位・同一建物区分/併給制限)
第49講を始めましょう。テーマは、看護小規模多機能型居宅介護です。
看護小規模多機能型居宅介護は、通称、看多機、かんたきと呼ばれ、訪問看護と小規模多機能型居宅介護を組み合わせ、通い・訪問・宿泊を一体的に提供することで、医療ニーズの高い人でも自宅で暮らせるよう支える、地域密着型サービスです。この講では、概要と目的、3つのサービス、事業の基準、介護報酬を学びます。
今日のゴールは大きく4つです。
1つめ、概要と目的。2011年に創設され、2015年に改称、2023年に法定義された流れがポイント。
2つめ、内容。通い・訪問・宿泊を一体的に提供する点と、計画のしくみ。
3つめは事業の基準。地域密着型で、人員や運営を見ます。
そして4つめが、介護報酬。月単位・同一建物区分と、併給の制限がポイントです。
複合型→看多機
概要と沿革
名前の変遷と法定義がよく問われます。
- 2011(平成23)年の介護保険法改正で、複合型サービスとして創設
- 2015(平成27)年4月より、内容をイメージしやすい現在の名称(看護小規模多機能型居宅介護)に改称
- 2023(令和5)年の法改正で、「訪問看護と小規模多機能型居宅介護を一体的に提供する」ものと明確に法定義された
まず、概要と沿革です。名前の変遷がよく問われます。
2011年、平成23年の介護保険法改正で、複合型サービスとして創設されました。
その後、2015年、平成27年の4月より、サービス内容をイメージしやすい、現在の名称、看護小規模多機能型居宅介護に改称されました。
さらに、2023年、令和5年の法改正により、訪問看護と小規模多機能型居宅介護を一体的に提供するもの、と明確に法定義されました。
複合型サービスとは、複数のサービスから2種類以上を組み合わせて提供するサービスの総称で、看多機はその代表例です。
医療ニーズの高い在宅
目的
看護と介護を密接に連携させ、医療ニーズの高い利用者の在宅生活を支えます。おもな目的は3つ。
- がん末期の看取り期・病状不安定期における在宅生活の継続支援
- 家族へのレスパイトケア・相談対応による不安の軽減
- 退院直後の在宅療養生活へのスムーズな移行支援
看多機の目的です。看護と介護を密接に連携させ、医療ニーズの高い利用者の在宅生活を支えます。おもな目的は3つ。
1つめは、がん末期の看取り期や、病状が不安定な時期における、在宅生活の継続支援です。
2つめは、家族へのレスパイトケアや、相談対応による不安の軽減です。
3つめは、退院直後の在宅療養生活への、スムーズな移行支援です。医療ニーズが高くても在宅で過ごせるよう支えるのが看多機です。
通い・訪問・宿泊
3つのサービス
通い・訪問・宿泊を一体的に提供します。
- ①通いサービス:入浴・排せつ・食事などの介護、健康状態の確認、相談・助言、機能訓練など
- ②訪問サービス:自宅を訪問して介護・看護のサービスを行う
- ③宿泊サービス:短期間入所してもらい、入浴・排せつ・食事などの介護、日常生活の世話を行う
サービスの内容です。看多機では、通い・訪問・宿泊を一体的に提供します。
1つめ、通いサービス。入浴・排せつ・食事などの日常生活上の介護、健康状態の確認、生活等に関する相談・助言、機能訓練などを行います。
2つめ、訪問サービス。自宅を訪問して、介護と看護のサービスを行います。看護があるのが、ふつうの小規模多機能との違いです。
3つめ、宿泊サービス。利用者に短期間入所してもらい、入浴・排せつ・食事などの介護、その他の日常生活の世話を行います。
事業所のケアマネ
計画と一元管理
利用には利用登録が必要で、当該事業所の介護支援専門員が計画を作成します。
- 当該事業所のケアマネが、利用登録者の居宅サービス計画と看護小規模多機能型居宅介護計画を作成し、利用者・家族に説明・同意
- 事業所のケアマネが「通い」「宿泊」「訪問(看護・介護)」を一元的に管理し、状態に即応してサービスを組み合わせられる
計画と一元管理です。
サービスの提供にあたっては、まず利用登録をしてもらいます。そして、当該事業所の介護支援専門員が、利用登録者の居宅サービス計画と、看護小規模多機能型居宅介護計画を作成し、利用者と家族に説明して同意を得ます。
事業所のケアマネが、通い・宿泊・訪問のサービスを一元的に管理するため、利用者や家族の状態に即応して、サービスを組み合わせることができます。ここが看多機の強みです。
3サービスに限る
計画に含める他サービスほか
- 計画に含められる他の居宅サービスは、訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導・福祉用具貸与に限る
- 計画作成には看護師等との密接な連携が必要。事業所の看護師等(准看護師を除く)が報告書を作成
- 看取り期等で通所困難な利用者の入浴機会確保のため、訪問入浴介護を多機能系サービス事業者の負担で提供できる
計画に関する細かいルールです。
計画には、他の居宅サービスを含めることもできますが、含められるのは、訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導・福祉用具貸与の3つに限られます。
計画を立てるにあたっては、看護師等との密接な連携が必要です。また、事業所の看護師等、ただし准看護師を除く者が、看護小規模多機能型居宅介護報告書を作成します。
さらに、看取り期などで通所が困難な利用者の入浴機会を確保する観点から、訪問入浴介護のサービスを、多機能系サービス事業者の負担で提供することが可能となっています。
市町村・サテライト型
事業の基準①地域密着型
看多機は地域密着型サービスです。
- 事業の基準は、厚生労働省令の範囲内で市町村が条例で定める(指定・監督も市町村)
- 2018(平成30)年度より、小規模多機能型居宅介護と同様にサテライト型看護小規模多機能型居宅介護の類型が創設された
事業の基準です。まず位置づけから。
看多機は、地域密着型サービスです。事業の基準は、厚生労働省令が定める基準の範囲内で、市町村が条例で定めます。指定や監督も市町村が行います。
なお、サービス供給量を増やす観点や効率化の観点から、2018年、平成30年度より、小規模多機能型居宅介護と同様に、サテライト型看護小規模多機能型居宅介護の類型が創設されました。
常勤換算2.5人以上
人員基準①看護職員
居宅介護従業者のうち、看護職員の配置がよく問われます。
- 常勤換算で2.5人以上(サテライト型では1人以上)は看護職員(保健師・看護師・准看護師)であること
- そのうち1人以上は常勤の看護師または保健師とする
人員基準です。まず、居宅介護従業者のうち、看護職員の配置。ここはよく問われます。
常勤換算で2.5人以上、サテライト型では1人以上は、看護職員、つまり保健師・看護師・准看護師であることとされています。
さらに、そのうち1人以上は、常勤の看護師または保健師とします。看護職員の常勤換算2.5人以上、という数字を押さえましょう。
通いは3対1
人員基準②通い・訪問・夜間
- 通いサービス提供者:常勤換算で利用者3人につき1人以上(うち1人以上は看護職員)
- 訪問サービス提供者:常勤換算で2人以上(うち1人以上は看護職員)
- 夜間・深夜の勤務にあたる者1人以上/宿直にあたる者 必要な数以上
続いて、通い・訪問・夜間の人員です。
通いサービスの提供者は、常勤換算で、利用者3人につき1人以上。このうち1人以上は看護職員とします。
訪問サービスの提供者は、常勤換算で2人以上。このうち1人以上は看護職員とします。
夜間・深夜の勤務にあたる者は1人以上、宿直にあたる者は必要な数以上を置きます。
管理者の要件
人員基準③管理者ほか
- 介護支援専門員:厚生労働大臣が定める研修修了者。専従(支障なければ兼務可)
- 管理者:事業所等で3年以上認知症ケアに従事した経験があり研修を修了した者、または保健師・看護師。常勤専従
- 代表者:認知症ケアの経験、または保健医療・福祉サービスの経営経験があり研修修了した者、または保健師・看護師
人員基準の続き、介護支援専門員と管理者です。
介護支援専門員は、厚生労働大臣が定める研修修了者で、専従です。支障がなければ兼務もできます。
管理者は、事業所などで3年以上認知症ケアに従事した経験があり、厚生労働大臣が定める研修を修了した者、または保健師・看護師です。常勤専従です。
代表者は、認知症ケアの経験、または保健医療サービス・福祉サービスの経営に携わった経験があり、研修を修了した者、または保健師・看護師です。
第21回問42。管理者の要件が、3年以上の認知症ケア経験と研修修了に限定される、という誤りが問われました。記述の者のほか、保健師・看護師も管理者になれるので、答えはバツです。
小多機とほぼ同じ
その他の基準・運営
登録定員・利用定員・設備の基準などは、小規模多機能型居宅介護とほぼ同じです。
- 運営も小規模多機能型居宅介護と同様。加えて、次の点がある
- 看護サービスの提供にあたっての主治医による文書の指示
- 主治医に対する計画書と報告書の提出
その他の基準と運営です。
登録定員・利用定員・設備の基準などは、小規模多機能型居宅介護とほぼ同じです。詳細は第3章で学びます。
運営についても、小規模多機能型居宅介護と同様ですが、看多機ならではの点があります。
まず、看護サービスの提供にあたっては、主治医による文書の指示が必要です。口頭ではなく文書、と覚えましょう。
そして、主治医に対して、計画書と報告書を提出します。
月単位・同一建物区分
介護報酬
基本サービス費は、要介護度別に、同一建物居住者とそれ以外の者に区分して、1月あたりの額が決められています。
- 短期利用は1日あたりの設定
- 金額はYMYL。最新は教科書・公式で確認
介護報酬です。
基本サービス費は、要介護度別に、同一建物居住者と、それ以外の者に区分して、1月あたりの額がそれぞれ決められています。
短期利用は、1日あたりの設定です。
金額は改定で変わりうるので、最新は教科書や公式で確認してください。
第26回問43。看護小規模多機能型居宅介護費は月単位で設定されている、という記述はマルです。同一建物居住者と以外に区分し、月単位で設定、短期利用は1日単位でした。
訪問リハ・福祉用具貸与は別
併給の制限
看多機のサービスを受けている場合、他のサービスの費用は原則あわせて算定できません。
- 訪問リハビリテーションと福祉用具貸与を除く、居宅サービス・地域密着型サービスの費用は算定できない
- 逆に言うと、訪問リハと福祉用具貸与は併用できる(計画に含められるのもこの2つ+居宅療養管理指導)
併給の制限です。ここも出やすいポイント。
看多機のサービスを受けている場合、訪問リハビリテーションと福祉用具貸与を除く、居宅サービスおよび地域密着型サービスにかかる費用を、算定することはできません。
逆に言うと、訪問リハと福祉用具貸与は併用できます。計画に含められるのも、訪問リハ・居宅療養管理指導・福祉用具貸与でした。訪問リハと福祉用具貸与は別枠、と覚えましょう。
おつかれさまでした
第49講 まとめ
- 2011創設(複合型)→2015改称→2023法定義/訪問看護+小多機を一体的(通い・訪問・宿泊)
- 地域密着型(市町村・2018サテライト型)/看護職員常勤換算2.5人以上/管理者は保健師・看護師も可(第21回問42)
- 報酬は月単位・同一建物区分(短期は1日単位・第26回問43)/訪問リハ・福祉用具貸与を除き併給不可
第49講のまとめです。ひっかけを中心に整理します。
看多機は、2011年に複合型サービスとして創設され、2015年に改称、2023年に法定義されました。訪問看護と小規模多機能を一体的にし、通い・訪問・宿泊を提供します。
地域密着型サービスで、基準は市町村が条例で定め、2018年にサテライト型が創設。看護職員は常勤換算2.5人以上。管理者は、3年認知症ケア+研修のほか、保健師・看護師もなれました。第21回問42です。
介護報酬は月単位で、同一建物居住者と以外に区分。短期利用は1日単位でした。第26回問43です。そして、訪問リハと福祉用具貸与を除き、ほかのサービスは併給できませんでした。
おつかれさまでした。読んで復習したい人は、下の解説記事もどうぞ。
この講の一問一答(◯×12問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
看護小規模多機能型居宅介護は、訪問看護と小規模多機能型居宅介護を組み合わせたサービスである。
答えと解説
◯ ○。通い・訪問・宿泊に訪問看護を組み合わせ、一体的に提供する。
看護小規模多機能型居宅介護の訪問サービスでは、看護のサービスは行わない。
答えと解説
✕ ×(訪問サービスでは、介護のほか看護のサービスも行う。ここが小規模多機能との違い)。
看護小規模多機能型居宅介護は、当初「複合型サービス」として創設された。
答えと解説
◯ ○。2011年の改正で複合型サービスとして創設され、2015年に現在の名称に改称された。
看護小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスであり、市町村が条例で事業の基準を定める。
答えと解説
◯ ○。地域密着型で、厚生労働省令の範囲内で市町村が条例で定める。
看護小規模多機能型居宅介護の計画に含められる他の居宅サービスは、訪問リハ・居宅療養管理指導・福祉用具貸与に限られる。
答えと解説
◯ ○。この3つに限って計画に含めることができる。
看護小規模多機能型居宅介護の管理者になれるのは、3年以上認知症ケアに従事し研修を修了した者に限られる。
答えと解説
✕ ×(記述の者のほか、保健師・看護師も管理者になれる。第21回問42)。
看護小規模多機能型居宅介護では、常勤換算で2.5人以上を看護職員とする。
答えと解説
◯ ○。看護職員は常勤換算2.5人以上(サテライト型では1人以上)、うち1人以上は常勤の看護師または保健師。
看護小規模多機能型居宅介護の通いサービス提供者は、常勤換算で利用者5人につき1人以上でよい。
答えと解説
✕ ×(通いサービス提供者は、常勤換算で利用者3人につき1人以上)。
看護小規模多機能型居宅介護では、看護サービスの提供に際して主治医による文書の指示が必要である。
答えと解説
◯ ○。看護サービスの提供には主治医の文書による指示が必要。
看護小規模多機能型居宅介護費は、月単位で設定されている。
答えと解説
◯ ○。要介護度別に、同一建物居住者と以外に区分し月単位で設定。短期利用は1日単位(第26回問43)。
看護小規模多機能型居宅介護の利用中は、福祉用具貸与の費用も一切算定できない。
答えと解説
✕ ×(訪問リハビリテーションと福祉用具貸与は算定できる(併用できる))。
看護小規模多機能型居宅介護の報告書は、准看護師を含む看護師等が作成する。
答えと解説
✕ ×(報告書を作成するのは、准看護師を除く看護師等)。
五肢複択
看護小規模多機能型居宅介護について、正しいものを2つ選べ。
- 訪問看護と小規模多機能型居宅介護を組み合わせたサービスである
- 通い・訪問・宿泊のサービスを一体的に提供する
- 要支援者を主な対象とする介護予防のサービスである
- 訪問サービスには、看護は含まれない
- 都道府県が指定する居宅サービスである
答えと解説
正解:1・2
1 正しい。訪問看護と小規模多機能を組み合わせたサービス。
2 正しい。通い・訪問・宿泊を一体的に提供する。
3 誤り。医療ニーズの高い居宅要介護者を支えるサービスで、介護予防版ではない。
4 誤り。訪問サービスには介護のほか看護も含まれる。
5 誤り。地域密着型サービスで、市町村が指定する。
看護小規模多機能型居宅介護の基準・介護報酬について、正しいものを2つ選べ。
- 看護職員は、常勤換算で2.5人以上を置く
- 管理者には、保健師・看護師もなることができる
- 介護報酬は、すべて1回ごとの出来高で算定する
- 利用中は、訪問リハや福祉用具貸与も含め、一切の他サービスを算定できない
- 都道府県が条例で事業の基準を定める
答えと解説
正解:1・2
1 正しい。看護職員は常勤換算2.5人以上(うち1人以上は常勤の看護師か保健師)。
2 正しい。管理者は保健師・看護師でもよい(第21回問42)。
3 誤り。基本サービス費は月単位(短期利用は1日単位)である。
4 誤り。訪問リハビリテーションと福祉用具貸与は算定できる(併用できる)。
5 誤り。地域密着型なので、市町村が条例で基準を定める。