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支援困難事例への対応|発生要因・セルフネグレクト・アウトリーチをわかりやすく

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福祉サービス分野 > 第54講 支援困難事例への対応|発生要因・セルフネグレクト・アウトリーチをわかりやすく/全文

この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。

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第54講 支援困難事例への対応

援助者が対応に困難を感じる事例が支援困難事例。分類が難しく、個々の事例で試行錯誤的に対応を探っているのが現状です。

第54講を始めましょう。テーマは支援困難事例への対応です。

援助者が対応に困難を感じる事例を、支援困難事例とよびます。まとめて分類するのは非常に難しく、個々の事例で試行錯誤的に対応を探っているのが現状です。

今日のゴールは4つ。1つめ、支援困難事例の特性と発生要因。

2つめ、基本的アプローチ。本人の視点と、自己決定のプロセスがキーワードです。

3つめ、分類と対応。セルフ・ネグレクトと、6つの対応を押さえます。

4つめ、アウトリーチ。対象は本人だけでなく家族も含みます。

特性

支援困難事例の特性

支援困難事例の特性は3つです。

1つめ、問題の多様性。虐待、サービス拒否、家族関係、近隣トラブルなど、事例ごとに問題が多岐にわたり、程度も原因も内容も異なります。

2つめ、事柄と原因の複合性。困難をまねく事柄が重なることで、さらに困難になります。原因と結果が錯綜して、一つの事柄が原因でもあり結果でもある、という状態になります。

3つめ、援助者が要因となる場合。援助者の不適切な対応が、支援困難事例を生み出したり、状態を悪化させたりすることがあります。

発生要因

発生要因の3分類

重なって発生例:ゴミ屋敷=個人的要因(不安やこだわり)+社会的要因(近隣との関係性の途絶)。発生要因が重なると支援困難事例が起こる。

発生要因は、発生源で3つに分けられます。

本人要因。精神的な不安定さ、強い不安、支援拒否、判断能力が不十分、疾病や障害、強いこだわりなどです。

社会的要因。生活苦、生活環境の悪化、家族の疾病、社会資源の不足、家族との不和、地域からの孤立などです。

そして、サービス提供者側の要因。援助者主導、本人の意思の無視、援助関係の不成立、チームアプローチの機能不全などです。

こうした要因が重なると、支援困難事例が起こります。たとえばゴミ屋敷は、不安やこだわりという個人的要因と、近隣との関係が途絶えた社会的要因の重なりです。

アプローチ

基本的アプローチ

基本的アプローチの留意点です。

まず、本人の視点から理解すること。そして、本人の存在そのものを尊重することです。

受容に基づく援助関係を構築し、その関係のなかで、本人の居場所を確保します。

本人が自分で決める、自己決定のプロセスを支えます。決めるプロセスを知ることで、なぜそのような決定をしたかが理解できるからです。プロセスは考慮しなくてよい、という記述は誤り。第18回で出ました。

そして、環境との良好な適合状態をつくること。新たな社会関係をつくっていくことです。

分類と対応

分類①自覚あり・援助拒否

現場で多いのが、客観的に援助が必要なのに、援助を受けようとしない人への対応。まず「問題を自覚しているが受けない」タイプです。

介護支援の現場で多いのが、客観的に援助を必要としているのに、援助を受けようとしない人への対応です。分類の1つめは、問題を自覚しているのに受けないタイプ。

困窮状態を他人に知られたくない、公的サービスの利用に抵抗がある、他人を信用しない、といった理由があります。

介護者による虐待の隠蔽や、介護者側に本人への感情的な葛藤があるケースもあります。

また、サービスに対する知識や情報がない場合もあります。

分類と対応

分類②自覚なし/セルフ・ネグレクト

分類の2つめは、問題を自覚していないため援助を受けないタイプです。精神疾患や障害がある、家族などが無関心、知識や情報の不足などが背景にあります。

援助を受けないために生活の維持ができなくなっている場合、本人の意思だからと、そのまま見過ごしてよいことにはなりません。適切なサービスを確保し、本人に援助を受け入れてもらえるように努めます。

自分自身が必要な支援を求めない、というニーズの放棄を、セルフ・ネグレクト、自己放棄といいます。用語として押さえましょう。

分類と対応

福祉現場での対応(前半)

福祉現場での対応は6つ。前半の3つです。

予防対策と、問題発見のしくみづくり。地域活動などを通して、高齢者の見守りや問題の早期発見のしくみをつくります。

観察と情報収集。直接尋ねることが逆効果になることもあります。本人、家族、環境などを観察して、情報を集めます。

共感的理解。本人や介護者などの話を、共感的理解を示して聞きます。場合によっては、距離をおいて見守ります。

分類と対応

福祉現場での対応(後半)

後半の3つです。

信頼関係の構築。訪問を重ねるなどして、根気よく関係性を築きます。

事例検討会やカンファレンス。専門職や関係機関で開催し、情報や知識を出し合って、連携して支援します。

そして、強力な介入。生命に危険がある、他害のおそれがあるなどの場合には、一時保護や入院といった、行政措置による介入を行います。

アウトリーチ

そのほかの対応/アウトリーチとは

そのほかの対応として、正しい知識や情報を提供して偏見を是正すること、それぞれの立場に配慮しながら家庭環境を調整すること、社会資源の活用や開発があります。

ここで重要用語、アウトリーチです。サービス利用に消極的・拒否的な人や、地域から孤立している人に対して、住まいや地域に積極的に出向いて働きかけることをいいます。

出向くことで、クライエント自身の課題解決や、サービス利用に向けた動機づけを行います。

まとめ

アウトリーチの方法

ひとこと支援拒否の背景に社会的孤立がある場合は、信頼できる人を探し、支援につなげることも有効。

アウトリーチの具体的な方法は3つです。

1つめ、家庭への個別訪問による実態把握。家族も含めて訪問します。

2つめ、自治会や民生委員とのネットワーク形成。

3つめ、関係機関や地域住民に対する啓発活動。出前相談や出張講座の開催などです。

試験ポイント。アウトリーチの対象は、本人のみならず家族も含みます。本人と家族の関係が問題を複雑にしていることも多いからです。第22回再試験で正しい肢として出ました。

支援を拒否する背景に社会的孤立があるなら、信頼できる人を探して支援につなげることも有効です。第54講は以上です。おつかれさまでした。

この講の一問一答(◯×12問・五肢複択2問)

すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →

  1. 支援困難事例は、まとめて分類することが難しく、個々の事例で試行錯誤的に対応を探っているのが現状である。

    答えと解説

     ○。問題の多様性や事柄と原因の複合性などの特性から、類型化は非常に難しい。

  2. 支援困難事例では、事柄の積み重ねにより原因と結果が錯綜し、一つの事柄が原因でもあり結果でもあるということが起こる。

    答えと解説

     ○。事柄と原因の複合性という特性であり、困難さをまねく事柄が重なることでさらに困難になる。

  3. 援助者の対応が、支援困難事例の発生要因となることはない。

    答えと解説

     ×(援助者の不適切な対応が支援困難事例を生み出し、状態を悪化させる場合がある)。

  4. 支援困難事例の発生要因のうち、地域からの孤立や社会資源の不足は、社会的要因に分類される。

    答えと解説

     ○。社会的要因には、生活苦、生活環境の悪化、家族の疾病、社会資源の不足、家族との不和、地域からの孤立などがある。

  5. 支援困難事例では、本人が決めたことを大事にすることが重要であり、本人が決めるプロセスは考慮しなくてよい。

    答えと解説

     ×(本人が決めるプロセスを知ることによって、なぜそのような決定をしたかが理解できるため、自己決定のプロセスを支えることが重要である。第18回問49)。

  6. 問題を自覚しているのに援助を受けようとしない背景には、困窮状態を他人に知られたくないことや、介護者による虐待の隠蔽がある場合がある。

    答えと解説

     ○。ほかに公的サービスの利用への抵抗、他人を信用しない、サービスに対する知識や情報がないことなども背景となる。

  7. 援助を受けないために生活の維持ができなくなっている場合でも、本人の意思であれば、そのまま見過ごしてよい。

    答えと解説

     ×(本人の意思だからと見過ごしてよいことにはならず、適切なサービスを確保し、援助を受け入れてもらえるように努める)。

  8. セルフ・ネグレクトとは、自分自身が必要な支援を求めないというニーズの放棄をいう。

    答えと解説

     ○。自己放棄ともいい、支援を求めない人への働きかけが課題となる。

  9. 支援困難事例では、本人に直接尋ねることが常に最も有効な情報収集の方法である。

    答えと解説

     ×(直接尋ねることが逆効果になることもあるため、本人・家族・環境などを観察し、情報を集める)。

  10. 生命に危険がある場合や他害のおそれがある場合には、一時保護や入院などの行政措置による介入を行うことがある。

    答えと解説

     ○。強力な介入として、場合によっては行政措置による介入を行う。

  11. アウトリーチとは、クライエントが相談に訪れるのを機関で待って対応することをいう。

    答えと解説

     ×(アウトリーチは、消極的・拒否的な人や孤立している人に対し、住まいや地域に積極的に出向いて働きかけることをいう)。

  12. 支援困難事例への対応として、アウトリーチの対象は、本人のみならず家族も含む。

    答えと解説

     ○。本人と家族の関係が問題を複雑にしていることも多いため、家族も対象とする(第22回再問48)。

五肢複択

  1. 支援困難事例の発生要因について正しいものはどれか。3つ選べ。

    • 強いこだわりや判断能力の不十分さは、本人要因に分類される。
    • 援助者主導やチームアプローチの機能不全は、社会的要因に分類される。
    • 地域からの孤立や家族との不和は、社会的要因に分類される。
    • 発生要因が重なることで、支援困難事例が起こる。
    • サービス提供者側の対応が発生要因となることはない。
    答えと解説

    正解:1・3・4

    1 正しい。本人要因には、精神的不安定、強い不安、支援拒否、判断能力が不十分、疾病・障害、強いこだわりなどがある。

    2 誤り。援助者主導、本人の意思の無視、援助関係の不成立、チームアプローチの機能不全は、サービス提供者側の要因である。

    3 正しい。社会的要因には、生活苦、生活環境の悪化、家族の疾病、社会資源の不足、家族との不和、地域からの孤立などがある。

    4 正しい。例えばゴミ屋敷は、不安やこだわりという個人的要因と、近隣との関係性の途絶という社会的要因の重なりで生じる。

    5 誤り。援助者の不適切な対応が支援困難事例を生み出し、悪化させる場合がある。

  2. 支援困難事例への対応について正しいものはどれか。2つ選べ。

    • 本人や介護者の話は共感的理解を示して聞き、場合によっては距離をおいて見守る。
    • 信頼関係の構築は時間の無駄になるため、初回訪問で援助計画への同意を必ず得る。
    • 事例検討会やカンファレンスを開催し、専門職や関係機関が連携して支援する。
    • アウトリーチの具体的方法に、自治会や民生委員とのネットワーク形成は含まれない。
    • 支援を拒否する高齢者への対応では、いかなる場合も行政措置による介入は行われない。
    答えと解説

    正解:1・3

    1 正しい。共感的理解を示して話を聞き、場合によっては距離をおいて見守ることも対応の一つである。

    2 誤り。訪問を重ねるなどして、根気よく関係性を築くことが必要である。

    3 正しい。専門職や関係機関で情報や知識を出し合うなど、連携して支援する。

    4 誤り。家庭への個別訪問、自治会や民生委員とのネットワーク形成、関係機関や地域住民への啓発活動が具体的方法である。

    5 誤り。生命に危険がある、他害のおそれがあるなどの場合には、一時保護や入院などの行政措置による介入を行うことがある。

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