福祉サービス分野 > 第61講 住宅改修とは|支給対象6種類・20万円・3段階リセットをわかりやすく/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
CHAPTER 3 | SEC10 | 重要度A
住宅改修とは何か
住宅改修は、自宅の改修費用を保険給付する介護保険のサービスです。車いすが使えるスペースや手すりがあれば、自宅での生活が可能になる人がたくさんいます。
- 介護者の負担を軽くすることにもつながり、利用者や家族にとって大きな支援となる
- 住宅改修には指定事業者はない(一般の工務店やリフォーム会社などに依頼できる)
第61講、住宅改修・介護予防住宅改修を始めましょう。
住宅改修は、自宅の改修費用を保険給付する介護保険のサービスです。車いすが使えるスペースや、歩行を補助する手すりなどがあれば、自宅での生活が可能になる人がたくさんいます。
介護者の負担を軽くすることにもつながり、利用者や家族にとって大きな支援となるものです。
大事な特徴をひとつ。住宅改修には、指定事業者の仕組みがありません。一般の工務店やリフォーム会社などに依頼できます。
前の講の福祉用具とセットで覚えます。工事をするなら住宅改修、置くだけなら貸与。この対比を頭に置いて進みましょう。
6種類 その1
支給対象となる住宅改修(①〜③)
- ❶手すりの取り付け(取り外し可能な手すりは含まない=それは福祉用具貸与)
- ❷段差の解消(動力部分の設置がある場合、動力部分は支給対象外)
- ❸滑りの防止や、移動の円滑化のための床材の変更
支給対象となる住宅改修は、6種類です。まず1つめ、手すりの取り付け。ただし、取り外し可能な手すりは含みません。それは福祉用具貸与のほうです。
2つめは、段差の解消です。スロープの設置などですね。ただし、動力部分の設置がある場合、動力部分は支給対象外です。
3つめは、滑りの防止や、移動の円滑化のための床材の変更です。畳から滑りにくい床への変更などが典型です。
6種類 その2
支給対象となる住宅改修(④〜⑥)
- ❹引き戸等への扉の取り替え(扉の撤去・ドアノブの変更・戸車の設置も含む。動力部分は支給対象外)
- ❺洋式便器等への便器の取替え(便器の位置・向きの変更も含む。水洗化の費用は支給対象外)
- ❻その他、❶〜❺の改修に付帯して必要な住宅改修
4つめは、引き戸等への扉の取り替えです。扉の撤去、ドアノブの変更、戸車の設置も含みます。こちらも、動力部分の設置がある場合、動力部分は支給対象外です。
5つめは、洋式便器等への便器の取替えです。便器の位置や向きの変更も含みますが、水洗化の費用は支給対象外です。
6つめは、その他、1から5の改修に付帯して必要な住宅改修です。手すり取付のための下地補強などがイメージです。
ここが試験に出る
「対象外」ひっかけ集
- 取り外し可能な手すり・工事を伴わないスロープ→住宅改修ではなく福祉用具貸与
- 動力部分(リフト等動力により段差を解消する機器)→支給対象外
- 便器の水洗化の費用→支給対象外
対象外のひっかけを整理します。取り外し可能な手すりや、工事を伴わないスロープは、住宅改修ではなく福祉用具貸与です。
リフトなど、動力により段差を解消する機器の動力部分は、支給対象外です。
便器の取替えに伴う水洗化の費用も、支給対象外です。
過去問です。リフト等動力により段差を解消する機器を設置する工事は、住宅改修費の支給対象となる。第26回の出題で、答えはバツです。
施工「前」がカギ
利用手続き(前半):相談→事前申請
- 利用者の状況等を把握している介護支援専門員などに相談し、「住宅改修が必要な理由書」の作成を依頼
- 施工前に、支給申請書(理由書・工事費見積書・完成前後の状態がわかるもの〈写真や簡単な図など〉)を市町村に提出
利用の手続きです。指定事業者がないぶん、手続きの流れそのものが出題されます。
まず、利用者の状況等を把握している介護支援専門員などに相談し、住宅改修が必要な理由書の作成を依頼します。
次に、一般の工務店やリフォーム会社などから施工業者を選定し、施工前に、支給申請書を市町村に提出します。理由書、工事費見積書、完成前後の状態がわかる写真や簡単な図などを添えます。
ポイントは、施工の前に申請すること。事前申請が鉄則です。
いったん全額払う
利用手続き(後半):施工→事後申請→支給決定
- 完成後、施工業者に改修費用の全額を支払う(あとから償還払い)
- 領収書・工事内訳書・改修が確認できるもの(改修前後の写真など)を市町村に提出
- 市町村は、事前申請の書類との確認・工事完了の確認をし、支給の必要を認めた場合に支給を決定
施工業者が住宅改修を行い、完成したら、利用者はいったん改修費用の全額を施工業者に支払います。
そのうえで、領収書、工事内訳書、改修前後の写真など改修が確認できるものを、市町村に提出します。
市町村は、事前申請の書類との確認と、工事完了の確認をして、支給の必要を認めた場合に支給を決定します。窓口は最初から最後まで市町村です。
数字で覚える
住宅改修費の支給(20万円・償還払い)
- 費用は利用者負担を除き償還払いで保険給付される
- 要介護状態区分による差はない(要支援1でも要介護5でも20万円)
- 申請は被保険者ごと。同一住宅に複数の被保険者が居住する場合、それぞれが支給申請できる
支給額です。上限は、同一住宅において総額20万円までです。
費用は、利用者負担を除き、償還払いで保険給付されます。前の講の福祉用具販売と同じ、あとから払い戻しの方式です。
要介護状態区分による差はありません。要支援1でも要介護5でも、上限は同じ20万円です。
また、申請は被保険者ごとに行われるため、同じ住宅に複数の被保険者が住んでいる場合は、それぞれが支給申請をすることができます。
もう一度20万円
3段階リセットの例外
- 住宅改修に着工した日の要介護状態区分を基準として、介護の必要の程度の段階が3段階以上上がった場合、再度20万円まで申請できる
- この例外は1人の被保険者につき1回まで
次は頻出の、3段階リセットの例外です。住宅改修に着工した日の要介護状態区分を基準として、介護の必要の程度の段階が3段階以上上がった場合は、再度20万円までの支給を申請できます。
ただし、この例外が使えるのは、1人の被保険者につき1回までです。
段階の数え方に注意します。第1段階が要支援1。第2段階が、要支援2または要介護1。ここが同じ段階です。以下、第3段階が要介護2、第4段階が要介護3、第5段階が要介護4、第6段階が要介護5です。
第16回の実例
3段階リセット:数えてみよう
- 要介護2(第3段階)→要介護5(第6段階)=3段階アップ→再度申請できる
- 要介護2(第3段階)→要介護4(第5段階)=2段階→再度申請できない
実際に数えてみましょう。要介護2は第3段階。要介護5は第6段階。差は3段階なので、再度の申請ができます。
一方、要介護2から要介護4は、第3段階から第5段階で、差は2段階。3段階に届かないので、再度の申請はできません。
これがそのまま第16回で出ています。要介護2から要介護4に重度化した場合には再度受給できる。答えはバツです。
もうひとつの「再度20万円」
転居リセットと介護予防住宅改修
- 住宅改修後に転居した場合にも、再度20万円までの支給が申請できる(新しい住宅について)
- 要支援者には介護予防住宅改修として提供され、支給対象・手続き・上限は同様
再度20万円になるパターンはもうひとつあります。住宅改修のあとに転居した場合です。新しい住宅について、再度20万円までの支給が申請できます。
また、要支援者に対しては、介護予防住宅改修として提供されます。支給対象や手続き、上限額の考え方は同様です。
リセットは2パターン。3段階以上の重度化と、転居。3段階のほうだけ、1人1回までの縛りがありましたね。
第61講のゴール
まとめ:住宅改修は「事前申請・償還払い・20万円」
- 支給対象は6種類:手すり取付・段差解消・床材変更・扉の取替え・便器の取替え・付帯工事(動力部分・水洗化は対象外)
- 指定事業者なし。施工前に市町村へ事前申請→全額支払い→事後申請→償還払い
- 上限20万円(区分による差なし)。3段階以上の重度化(1人1回)と転居で再度20万円
まとめです。支給対象は6種類。手すりの取り付け、段差の解消、床材の変更、扉の取替え、便器の取替え、そして付帯工事。動力部分と水洗化の費用は対象外でした。
指定事業者はなく、施工前に市町村へ事前申請。完成後にいったん全額を支払い、事後申請をして、償還払いで給付を受けます。
上限は20万円で、要介護状態区分による差はなし。3段階以上の重度化は1人1回まで、転居の場合も、再度20万円まで申請できます。
第61講はここまでです。福祉用具と住宅改修の線引きを、一問一答で確かめておきましょう。おつかれさまでした。
この講の一問一答(◯×12問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
住宅改修費は、利用者負担を除き、償還払いで保険給付される。
答えと解説
◯ 正しい。完成後に施工業者へ全額を支払い、領収書等を市町村に提出して払い戻しを受ける方式。
リフト等動力により段差を解消する機器を設置する工事は、住宅改修費の支給対象となる。
答えと解説
✕ 誤り。段差の解消において動力部分の設置がある場合、動力部分は支給対象外(第26回-問54)。
取り外し可能な手すりの設置は、住宅改修費の支給対象に含まれない。
答えと解説
◯ 正しい。住宅改修の対象は取り付け工事を伴う手すり。取り外し可能な手すりは福祉用具貸与の対象。
引き戸等への扉の取り替えには、扉の撤去、ドアノブの変更、戸車の設置も含まれる。
答えと解説
◯ 正しい。ただし動力部分の設置がある場合、動力部分は支給対象外。
洋式便器等への便器の取替えでは、水洗化の費用も住宅改修費の支給対象となる。
答えと解説
✕ 誤り。便器の位置・向きの変更は含まれるが、水洗化の費用は支給対象外。
住宅改修費の上限は、要介護状態区分にかかわらず、同一住宅において総額20万円までである。
答えと解説
◯ 正しい。要介護状態区分による差はない。福祉用具販売の年間10万円との混同に注意。
住宅改修を利用するには、都道府県知事の指定を受けた住宅改修事業者に工事を依頼しなければならない。
答えと解説
✕ 誤り。住宅改修に指定事業者はなく、一般の工務店やリフォーム会社などから施工業者を選定できる。
住宅改修費の支給申請は、施工前に、理由書や工事費見積書などを市町村に提出して行う。
答えと解説
◯ 正しい。理由書・工事費見積書・完成前後の状態がわかるもの(写真や簡単な図など)を施工前に市町村へ提出する。
要介護2から要介護4に重度化した場合には、再度、住宅改修費を受給できる。
答えと解説
✕ 誤り。介護の必要の程度の段階が3段階以上上がった場合に再度支給できる。要介護2(第3段階)から要介護4(第5段階)は2段階(第16回-問54)。
介護の必要の程度の段階が3段階以上上がった場合の再度の支給申請は、1人の被保険者につき1回までである。
答えと解説
◯ 正しい。着工した日の要介護状態区分を基準に3段階以上上がった場合、再度20万円まで申請できるが、例外の対象は1人1回まで。
住宅改修後に転居した場合には、改めて住宅改修費の支給を申請することはできない。
答えと解説
✕ 誤り。転居した場合にも、再度20万円までの支給が申請できる。
同一住宅に複数の被保険者が居住する場合、それぞれが住宅改修費の支給申請を行うことができる。
答えと解説
◯ 正しい。申請は被保険者ごとに行われるため、同一住宅でもそれぞれが20万円まで申請できる。
五肢複択
介護保険における住宅改修費の支給対象となるものはどれか。3つ選べ。
- 手すりの取り付け(取り外し可能なものを除く)
- 滑りの防止や、移動の円滑化のための床材の変更
- 取り外し可能な手すりの設置
- 洋式便器等への便器の取替え
- 便器の取替えに伴う水洗化の費用
答えと解説
正解:1・2・4
1 正しい。取り付け工事を伴う手すりの取り付けは住宅改修費の支給対象。
2 正しい。滑りの防止や移動の円滑化のための床材の変更は支給対象。
3 誤り。取り外し可能な手すりは住宅改修ではなく、福祉用具貸与の対象。
4 正しい。洋式便器等への便器の取替えは支給対象(位置・向きの変更も含む)。
5 誤り。水洗化の費用は支給対象外。
住宅改修について正しいものはどれか。2つ選べ。
- 住宅改修費は、事前の申請をせず、工事完了後にまとめて申請すればよい。
- 住宅改修に指定事業者の仕組みはなく、一般の工務店などに工事を依頼できる。
- 住宅改修費の上限額は、要介護度が高いほど大きくなる。
- 介護の必要の程度の段階が3段階以上上がった場合は、再度20万円までの支給を申請できる。
- 「住宅改修が必要な理由書」は、施工業者が作成する。
答えと解説
正解:2・4
1 誤り。施工前に支給申請書(理由書・工事費見積書など)を市町村に提出する事前申請が必要。
2 正しい。指定事業者はなく、一般の工務店やリフォーム会社などから施工業者を選定する。
3 誤り。上限は同一住宅において総額20万円までで、要介護状態区分による差はない。
4 正しい。着工した日の要介護状態区分を基準に3段階以上上がった場合、再度申請できる(1人1回まで)。
5 誤り。利用者の状況等を把握している介護支援専門員などに作成を依頼する。