福祉サービス分野 > 第70講 社会資源とは|フォーマルとインフォーマルの違い・3つの会議・内的資源をわかりやすく/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
フォーマルvsインフォーマル
第70講 社会資源
第3章 SEC19。施設シリーズから一転、考え方の単元。特徴の対比がそのまま○×になります。
- フォーマルとインフォーマルの特徴を対比で言える
- ネットワークをつくる3つの会議を区別できる
- 介護支援専門員が活用する社会資源の種類をおさえる
第70講を始めましょう。今回は、社会資源です。
今日のゴールは3つです。
1つ目、フォーマルとインフォーマル、それぞれの特徴を、対比で言える。
2つ目、ネットワークをつくる、3つの会議を区別できる。
3つ目、介護支援専門員が活用する、社会資源の種類をおさえる。
物的・人的・制度的+内的資源
社会資源とは
社会に存在し、社会生活上のニーズの充足や問題解決のために利用されるさまざまな資源。
- 物的資源(施設・機関・資金)/人的資源(専門職・家族・ボランティア)/制度的資源(制度・政策・法律)+知識・技術・情報も含む
- 利用者自身のもつ可能性や能力=内的資源。これも社会資源の一つ
社会資源とは、社会に存在し、社会生活上のニーズの充足や、問題解決のために利用される、さまざまな資源をいいます。
施設や機関、資金などの物的資源。専門職や家族、ボランティアなどの人的資源。制度や政策、法律などの制度的資源。さらに、知識や技術、情報なども含まれます。
そして、利用者自身のもつ可能性や能力などを、内的資源といい、これも社会資源の一つです。
提供主体で分類
フォーマルとインフォーマル
提供主体で分類すると、フォーマル(公式)とインフォーマル(非公式)。
- フォーマル分野:行政・社会福祉法人・医療法人・企業・NPO法人など
- インフォーマル分野:地域の団体・組織、友人・近隣・親戚・家族など
社会資源を提供主体によって分類すると、フォーマル、公式なものと、インフォーマル、非公式なものに分けられます。
フォーマル分野の提供主体は、行政、社会福祉法人、医療法人、企業、NPO法人など。
インフォーマル分野は、地域の団体・組織、友人、近隣、親戚、家族などです。
安定だが画一 vs 柔軟だが不安定
★特徴の対比
今回いちばんの狙われポイント。長所と短所を入れ替える問題が出ます。
- フォーマル:公正性・専門性が高い・安定供給が可能/画一的になりやすい
- インフォーマル:柔軟な対応が可能/専門性が低い・供給が不安定
- とくに行政提供:最低限度のサービスが保障される平等さ+経済的能力への配慮=公正性
ここが今回いちばんの狙われポイント。特徴の対比です。
フォーマルは、公正性、専門性が高い、安定供給が可能。その一方で、画一的になりやすい。
インフォーマルは、柔軟な対応が可能。その一方で、専門性が低い、供給が不安定です。
とくに、行政が提供主体となるものは、最低限度のサービスが保障される平等さと、利用者の経済的能力への配慮がなされる、公正性が特徴です。
過去問、第16回。インフォーマルサポートは、画一的になりやすいものの、安定した供給が可能である。答えは、バツ。それはフォーマルの特徴。インフォーマルは、柔軟だけど、安定供給が難しい、です。
制度に基づくか、で見る
境界はあいまい
- フォーマル/インフォーマルの境界線ははっきり引けるものばかりではない
- 社会福祉法人・NPO法人・地域の団体などは、介護保険制度に基づくサービス→フォーマル/制度に基づかないサービス→インフォーマル
なお、フォーマル、インフォーマルの分類は、境界線がはっきり引けるものばかりでは、ありません。
社会福祉法人やNPO法人、地域の団体などは、介護保険制度に基づくサービスを提供する場合はフォーマル。制度に基づかないサービスを提供する場合は、インフォーマルに分類されます。
つまり、誰がやるか、だけでなく、制度に基づくかどうか、で見るわけです。
地域全体か、特定の利用者か
ネットワーク構築(3つの会議)
- 地域ケア会議(地域内専門職・機関間NW):専門機関・専門職・民生委員や町会関係者が集まり、情報交換・多職種多機関連携
- ネットワーク会議(住民・専門機関・事業者間NW):専門職に加え地域住民や事業者が集まり、地域内の福祉課題の検討
- サービス担当者会議:特定の利用者の支援にかかわる関係者が集まり、情報・支援方針の共有、連携・チームワークの促進
社会資源のネットワークを構築する方法として、3つの会議をおさえましょう。
地域ケア会議。地域内の専門機関や専門職、民生委員や町会関係者などが集まり、情報交換、多職種・多機関連携を図ります。
ネットワーク会議。専門職・機関間のネットワークに加え、地域住民や事業者などが集まり、地域内の福祉課題の検討などを行います。
サービス担当者会議。特定の利用者の支援にかかわる関係者が集まり、情報や支援方針の共有、課題の検討、連携やチームワークの促進を図ります。
地域全体か、特定の利用者か。ここが、区別のポイントです。
=ケアマネジメントの役割
社会資源の調整
- フォーマルもインフォーマルも、サービスを利用者の立場で調整する機能はもっていない
- 社会資源間の調整=ケアマネジメントに求められる役割であり、介護保険制度にケアマネジメントが導入された理由
- フォーマルにインフォーマルを効果的にはさみこみ、切れ目のないサービスを提供
- 既存の資源でニーズが充足されない場合、新たな社会資源の開発も視野に
フォーマルサービスも、インフォーマルサポートも、サービスの提供はしますが、それらを利用者の立場で効率的に調整する機能は、もっていません。
支援ネットワークの構築にあたり、社会資源間の調整をしていくこと。これが、ケアマネジメントに求められる役割であり、介護保険制度に、ケアマネジメントが導入された理由とも、いえます。
フォーマルなサービスに、インフォーマルサポートを効果的にはさみこんで、切れ目のないサービスを提供していく。
また、すでに存在する社会資源では、必要なニーズが充足されない場合など、新たな社会資源の開発も、視野に入れる必要があります。
介護保険の外側も使う
活用する社会資源① フォーマル
中心は介護保険サービス。+次のようなフォーマルサービス。
- 所得保障:年金制度・生活保護制度など
- 医療保険:急性期の医療サービスなど
- 市町村の保健福祉サービス:配食・見守り・移送・ごみ回収など
- 権利擁護:成年後見制度・日常生活自立支援事業・虐待の防止など/住宅:公営住宅・サ高住など
介護支援専門員が活用する社会資源。中心は、フォーマルサービスである介護保険サービスですが、そのほかに、次のようなものがあります。
所得保障サービス。年金制度や、生活保護制度など。
医療保険サービス。急性期の医療サービスなど。
市町村が実施する、保健福祉サービス。配食サービス、見守り、移送、ごみ回収サービスなど。
権利擁護にかかわるサービス。成年後見制度、日常生活自立支援事業、虐待の防止など。そして、住宅にかかわるサービス。公営住宅や、サービス付き高齢者向け住宅などです。
別居の子ども・親戚も含む
活用する社会資源② インフォーマル
- 家族など:単身・同居だけでなく別居の子ども・親戚なども、社会資源的な機能を把握
- ボランティア活動:訪問・配食・見守り・ごみ出しなど
- 自治会、民生委員・児童委員の活動:見守り活動・サロン活動など
インフォーマルサポートです。
まず、家族など。単身、同居だけでなく、別居の子ども、親戚なども含めて、社会資源的な機能を把握します。
ボランティア活動。訪問、配食、見守り、ごみ出しなど。
自治会、民生委員・児童委員の活動。見守り活動や、サロン活動などです。
過去問、第11回。要介護者の別居中の子どもや親戚、近隣等の資源は、インフォーマルサポートには含まれない。答えは、バツ。別居中の子どもや親戚、近隣等も、含まれます。
対比・3会議・調整=ケアマネ
まとめ
- ケアマネには、本人の能力・資産・意欲=内的資源の活用と、フォーマルとインフォーマルの連携も求められる
- 活用にあたっては要介護者本人および家族との協働
- フォーマル=公正・専門的・安定/画一的。インフォーマル=柔軟/不安定
- 会議3つ=地域ケア会議・ネットワーク会議・サービス担当者会議
- 調整はケアマネジメントの役割。内的資源と新たな資源の開発も忘れずに
最後に。介護支援専門員には、要介護者等自身の能力・資産・意欲といった、内的資源を活用することや、フォーマルサービスと、インフォーマルサポートの連携を図ることも、求められています。
社会資源の活用にあたっては、要介護者本人、および家族との協働が求められます。
まとめです。
フォーマルは、公正、専門的、安定。でも画一的。インフォーマルは、柔軟。でも不安定。
会議は3つ。地域ケア会議、ネットワーク会議、サービス担当者会議。
調整は、ケアマネジメントの役割。内的資源と、新たな資源の開発も、忘れずに。
お疲れさまでした。問題演習で知識を固めましょう。第70講、終了です。
この講の一問一答(◯×12問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
社会資源には、施設や資金などの物的資源、専門職や家族などの人的資源、制度や法律などの制度的資源のほか、知識や情報も含まれる。
答えと解説
◯ 正しい。社会生活上のニーズの充足や問題解決のために利用されるさまざまな資源をいう。
利用者自身のもつ可能性や能力などは、内的資源とよばれ、社会資源の一つである。
答えと解説
◯ 正しい。介護支援専門員には、本人の能力・資産・意欲といった内的資源の活用も求められる。
インフォーマルサポートは、画一的になりやすいものの、安定した供給が可能であるといわれている。
答えと解説
✕ 誤り(第16回-問58)。画一的だが安定供給が可能なのはフォーマルサービス。インフォーマルは柔軟だが安定供給が難しい。
フォーマルサービスは、公正性や専門性が高く、安定供給が可能である一方、画一的になりやすい。
答えと解説
◯ 正しい。とくに行政が提供主体のものは、最低限度のサービスが保障される平等さと公正性が特徴。
NPO法人が提供するサービスは、すべてインフォーマルサポートに分類される。
答えと解説
✕ 誤り。介護保険制度に基づくサービスを提供する場合はフォーマル、制度に基づかない場合はインフォーマルに分類される。
行政が提供主体となるサービスには、最低限度のサービスが保障される平等さがある。
答えと解説
◯ 正しい。あわせて、利用者の経済的能力への配慮がなされる公正性も特徴。
地域ケア会議は、特定の利用者の支援にかかわる関係者が集まり、支援方針の共有やチームワークの促進を図る会議である。
答えと解説
✕ 誤り。それはサービス担当者会議。地域ケア会議は地域内の専門機関・専門職、民生委員等が集まり多職種・多機関連携を図る。
サービス担当者会議では、特定の利用者の支援にかかわる関係者が集まり、情報や支援方針の共有、連携やチームワークの促進を図る。
答えと解説
◯ 正しい。「地域全体」ではなく「特定の利用者」が対象である点が他の会議との区別ポイント。
社会資源間の調整は、ケアマネジメントに求められる役割であり、介護保険制度にケアマネジメントが導入された理由ともいえる。
答えと解説
◯ 正しい。フォーマルもインフォーマルも、利用者の立場で調整する機能はもたないため。
既存の社会資源で利用者のニーズが充足されない場合であっても、新たな社会資源の開発を視野に入れる必要はない。
答えと解説
✕ 誤り。必要なニーズが充足されない場合など、新たな社会資源の開発も視野に入れる必要がある。
要介護者の別居中の子どもや親戚、近隣等の資源は、介護支援専門員が活用すべきインフォーマルサポートには含まれない。
答えと解説
✕ 誤り(第11回-問58)。別居中の子どもや親戚、近隣等も含まれる。ただし個々の要介護者の状況によりその機能は異なる。
市町村が実施する配食サービスや見守り、ごみ回収サービスなどは、フォーマルサービスに位置づけられる。
答えと解説
◯ 正しい。市町村が実施する保健福祉サービスとして、介護支援専門員が活用するフォーマルサービスの一つ。
五肢複択
社会資源の分類と特徴について正しいものはどれか。2つ選べ。
- フォーマルサービスの提供主体には、行政のほか、社会福祉法人や医療法人、NPO法人などが含まれる。
- インフォーマルサポートは、柔軟な対応が可能である一方、供給が不安定である。
- インフォーマルサポートは、フォーマルサービスに比べて専門性が高い。
- 家族や友人、近隣は、インフォーマル分野の提供主体には含まれない。
- フォーマルとインフォーマルの境界線は、常に明確に引くことができる。
答えと解説
正解:1・2
1 正しい。行政・社会福祉法人・医療法人・企業・NPO法人などがフォーマル分野の提供主体。
2 正しい。柔軟だが、専門性が低く供給が不安定という短所がある。
3 誤り。インフォーマルサポートは専門性が低い。専門性が高いのはフォーマルサービス。
4 誤り。地域の団体・組織、友人、近隣、親戚、家族などがインフォーマル分野の提供主体。
5 誤り。境界線がはっきり引けるものばかりではなく、制度に基づくかどうかで分類が変わる場合がある。
社会資源のネットワークと活用について正しいものはどれか。2つ選べ。
- 地域ケア会議では、地域内の専門機関や専門職、民生委員などが集まり、多職種・多機関連携を図る。
- 介護支援専門員が活用する社会資源には、年金制度や生活保護制度などの所得保障サービスも含まれる。
- 成年後見制度や日常生活自立支援事業は、インフォーマルサポートに分類される。
- ボランティア活動による見守りや配食は、フォーマルサービスに分類される。
- 介護支援専門員は、利用者自身の能力や意欲といった内的資源を活用すべきではない。
答えと解説
正解:1・2
1 正しい。地域内専門職・機関間ネットワークの構築方法である。
2 正しい。介護保険サービスのほか、所得保障・医療保険・市町村の保健福祉・権利擁護・住宅にかかわるサービスを活用する。
3 誤り。成年後見制度・日常生活自立支援事業は権利擁護にかかわるフォーマルサービス。
4 誤り。ボランティア活動(訪問・配食・見守り・ごみ出し等)はインフォーマルサポート。
5 誤り。要介護者等自身の能力・資産・意欲といった内的資源の活用も求められている。