福祉サービス分野 > 第71講 障害者総合支援法とは|自立支援給付6本柱・介護保険優先原則と例外・共生型サービスをわかりやすく/全文
この講で先生が話す内容を、そのまま文章にしたものです。音声を聞けないときや、あとから読み返したいときにどうぞ。上のスライドと同じ内容です。
介護保険との関係が最大論点
第71講 障害者総合支援制度
第3章 SEC20。ケアマネ試験で毎年のように出る横断単元。教科書掲載の過去問だけで4問あります。
- 自立支援給付と地域生活支援事業——サービスの体系を説明できる
- 申請から支給決定まで、利用の流れを言える
- 介護保険との関係——優先原則と例外をおさえる
第71講を始めましょう。今回は、障害者総合支援制度。ケアマネ試験で、毎年のように出題される、横断単元です。
今日のゴールは3つです。
1つ目、自立支援給付と、地域生活支援事業。サービスの体系を説明できる。
2つ目、申請から支給決定まで、利用の流れを言える。
3つ目、介護保険との関係。優先原則と例外をおさえる。
自立支援法を2012年に改正
障害者総合支援法の概要
正式名称=障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律。
- 国連の「障害者の権利に関する条約」の批准に向けた国内法整備の一環として、障害者自立支援法が2012(平成24)年に名称を含めて改正されたもの
- 2013年4月と2014年4月の2段階で施行
- 障害種別を区分せず、身体・知的・精神障害者と難病患者等を対象
障害者総合支援法。正式名称は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律です。
国連の、障害者の権利に関する条約の批准に向けた、国内法整備の一環として、障害者自立支援法が、2012年、平成24年に、名称を含めて改正されたものです。
2013年4月と、2014年4月の、2段階で施行されています。
障害種別を区分せず、身体・知的・精神障害者と、難病患者等を対象とします。
GH一元化・就労定着支援の創設
施行内容と2016年改正
- 2013年施行:社会的障壁の除去などの基本理念の創設/障害者の定義に難病等を追加
- 2014年施行:障害程度区分→障害支援区分に改正/重度訪問介護の対象拡大/共同生活介護(ケアホーム)を共同生活援助(グループホーム)に一元化
- 2016年改正:就労定着支援・自立生活援助の創設/重度訪問介護の入院時支援/高齢障害者の介護保険サービスの利用者負担を軽減
2段階施行の中身です。2013年施行では、社会的障壁の除去などの、基本理念の創設。障害者の定義に、難病等を追加。
2014年施行では、障害程度区分を、障害支援区分に改正。重度訪問介護の対象拡大。そして、共同生活介護、ケアホームを、共同生活援助、グループホームに一元化しました。
過去問、第18回。平成24年の改正によって、共同生活介護と共同生活援助は、共同生活援助に一元化された。答えは、マル、です。
さらに、2016年の改正では、就労定着支援と、自立生活援助を創設。重度訪問介護の、入院時の支援を可能にし、高齢障害者の、介護保険サービスの利用者負担を軽減しました。
共生する社会・社会的障壁の除去
目的と基本理念
- 目的:基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい生活を営めるよう、給付や支援を総合的に行う
- 障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し安心してくらせる地域社会の実現に寄与
- 基本理念:共生する社会の実現/社会参加の機会の確保/社会的障壁の除去に資するよう、支援を総合的かつ計画的に
目的です。障害者や障害児が、基本的人権を享有する、個人としての尊厳にふさわしい日常生活・社会生活を営むことができるように、必要な給付や支援を、総合的に行う。
障害の有無にかかわらず、国民が相互に人格と個性を尊重し、安心してくらすことのできる、地域社会の実現に寄与する。
基本理念では、共生する社会の実現。社会参加の機会の確保。そして、社会的障壁の除去に資するよう、支援を、総合的かつ計画的に行う、とされています。
社会的障壁とは、障害がある人が生活を送るうえで、妨げとなるような、制度や慣行、観念などのことです。
自立支援給付+地域生活支援事業
サービスの体系
- サービスは大きく自立支援給付と地域生活支援事業に分けられる
- 実施主体は、自立支援医療の一部を除き、原則として市町村
サービスの体系です。障害者総合支援法のサービスは、大きく、自立支援給付と、地域生活支援事業に分けられます。
実施主体は、自立支援医療の一部を除き、原則として、市町村です。
介護保険と同じで、いちばん身近な市町村が窓口。ここは、共通の発想です。
この2つ=障害福祉サービス
自立支援給付① 介護給付・訓練等給付
自立支援給付は6本柱。まず前半の2本。
- ①介護給付:居宅介護(ホームヘルプ)・短期入所(ショートステイ)・施設での夜間介護など介護サービスを提供
- 重度訪問介護・同行援護・行動援護・療養介護・生活介護・施設入所支援など
- ②訓練等給付:生活の自立と就労を支援。自立訓練・就労移行支援・就労継続支援(A型/B型)・就労定着支援・自立生活援助・共同生活援助(グループホーム)など
自立支援給付は、6本柱。まず、介護給付と、訓練等給付です。
介護給付は、居宅介護、ホームヘルプや、短期入所、ショートステイ、施設での夜間介護など、介護サービスを提供するもの。
具体的には、重度訪問介護、同行援護、行動援護、療養介護、生活介護、施設入所支援などがあります。
訓練等給付は、生活能力向上の支援や、就労機会の提供など、生活の自立と就労を支援するもの。自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助、そして、共同生活援助、グループホームなどです。
この、介護給付と訓練等給付を、あわせて、障害福祉サービスとよびます。
自立支援医療・補装具・相談支援
自立支援給付② 残りの4本
- ③自立支援医療:心身の障害を除去・軽減する公費負担医療。障害者=更生医療/障害児=育成医療/精神障害者=精神通院医療
- ④補装具:身体機能を補完・代替する用具の費用の給付
- ⑤地域相談支援=地域移行支援+地域定着支援/⑥計画相談支援=サービス利用支援+継続サービス利用支援
- 費用=利用者負担分を除き公費(国50%・都道府県/市町村 各25%)
残りの4本です。自立支援医療は、心身の障害を除去・軽減するための、公費負担医療。障害者を対象とする更生医療、障害児を対象とする育成医療、精神障害者を対象とする、精神通院医療があります。
過去問、第22回、再試験。自立支援医療費の支給は、自立支援給付の一つである。答えは、マル、です。
補装具。身体機能を補完・代替するための、用具の費用の給付です。
地域相談支援には、地域移行支援と、地域定着支援。計画相談支援には、サービス利用支援と、継続サービス利用支援があります。
費用は、利用者負担分を除き、公費でまかなわれます。国50パーセント、都道府県と市町村が、各25パーセントです。
担い手は市町村・必須と任意
地域生活支援事業
- 市町村と都道府県が地域の実情に応じ、事業形態を柔軟に設定して実施。必須事業と任意事業がある
- 事業の中心的な担い手は市町村
- 市町村の必須事業:相談支援・成年後見制度利用支援・意思疎通支援・日常生活用具給付等・移動支援・地域活動支援センター機能強化 など
- 都道府県:専門性の高い相談支援・意思疎通支援、広域的な支援など
地域生活支援事業は、市町村と都道府県が、地域の実情に応じ、事業形態を柔軟に設定して実施できる事業。必須事業と、任意事業があります。
事業の中心的な担い手は、市町村です。
市町村の必須事業には、相談支援、成年後見制度利用支援、意思疎通支援、日常生活用具給付等、移動支援、地域活動支援センター機能強化、などがあります。
都道府県は、専門性の高い相談支援や意思疎通支援、広域的な支援などを行います。
申請は市町村・80項目・区分1〜6
★利用のしくみ①(区分認定まで)
利用のしくみ。まず障害支援区分の認定まで。
利用のしくみです。まず、障害支援区分の認定まで。
申請。障害者やその家族などが、市町村に、サービス利用のための申請を行います。
過去問、第25回。障害福祉サービスの利用を希望する障害者は、都道府県に対して支給申請を行う。答えは、バツ。申請先は、市町村です。
アセスメント。移動や動作等、80項目について調査します。
一次判定は、コンピュータ。二次判定は、市町村審査会が、一次判定の結果や、医師の意見書などに基づいて、判定します。
その結果を受け、市町村が、障害支援区分1から6、または非該当のいずれかの認定を行い、通知します。
計画案→支給決定→担当者会議→計画
利用のしくみ②(支給決定〜利用)
認定のあとの流れです。
利用者は、指定特定相談支援事業者に、サービス等利用計画案の作成を依頼し、市町村に提出します。
提出された計画案などを踏まえ、市町村によって、支給決定がなされます。
支給決定を受けて、指定特定相談支援事業者が、サービス担当者会議を開催。事業者との調整を経て、実際に利用する、サービス等利用計画を作成し、利用開始です。
なお、訓練等給付の場合は、障害支援区分の認定は、行われません。
応能負担(介護保険との対比)
利用者負担
- 原則として応能負担。所得に応じた1月あたりの負担上限額が設定
- 世帯合算額が一定基準を超えると高額障害福祉サービス等給付費が支給
- 施設での食費・光熱水費、グループホームの家賃などは実費負担(低所得者へは減免や助成)
利用者負担です。原則として、応能負担。所得に応じた、1月あたりの負担上限額が設定されています。
介護保険の応益負担、原則1割とは違う。ここが、対比ポイントです。
世帯合算額が一定基準を超えた場合には、高額障害福祉サービス等給付費が支給されます。
施設での食費・光熱水費、グループホームの家賃などは実費負担ですが、低所得者へは、減免や助成の措置がとられています。
原則は介護保険優先+例外4つ
★障害福祉サービスと介護保険
今回いちばんの狙われポイント。障害者が介護保険の被保険者となる場合——
- 原則として介護保険サービスが優先される
- ①介護保険に相当するサービスがない場合(同行援護など固有サービス)は障害福祉サービスが利用できる
- ②介護保険の支給限度額を超え、介護保険のみでは確保できない場合も利用できる
- ③事業所が身近にない等利用が困難と市町村が認める場合/④要介護認定で非該当でも支援が必要と市町村が認める場合も利用できる
ここが今回いちばんの狙われポイント。介護保険との関係です。
障害者であって、介護保険の被保険者となる場合。原則として、介護保険サービスが、優先されます。
ただし、障害福祉サービスが使える場面があります。1つ目、介護保険に相当するサービスがない場合。たとえば、同行援護などの、固有のサービスです。
2つ目、介護保険の支給限度額を超え、介護保険のみではサービスが確保できない場合。
3つ目、介護保険サービスの利用が困難と、市町村が認める場合。そして4つ目、要介護認定で非該当となった利用者で、障害福祉サービスによる支援が必要と、市町村が認める場合です。
過去問、第18回。障害者が65歳以上になった場合には、それ以後、障害福祉サービスは利用できない。答えは、バツ。固有のサービスなどは、利用できます。
ケアマネは、ケアプランの作成にあたり、障害福祉サービスの位置づけも、視野に入れる必要があります。
ホームヘルプ・デイ・ショート
共生型サービス・まとめ
- 共生型サービス:2017年の介護保険法改正により2018年4月創設
- 障害福祉サービス事業所等であれば介護保険事業所の指定も受けやすくする特例(逆も同じ)
- 対象=①ホームヘルプサービス ②デイサービス ③ショートステイ等。65歳以上になっても使い慣れた事業所で利用しやすく
- 長期間利用してきた低所得の高齢障害者には、介護保険サービスの利用者負担を軽減(償還)する仕組み
- 体系=自立支援給付6本柱+地域生活支援事業。実施主体は原則市町村
- 申請は市町村へ。区分は1〜6と非該当。訓練等給付に区分認定なし
- 介護保険が原則優先。固有サービス・限度額超え・非該当などでは障害福祉サービスが使える
共生型サービスです。2017年の介護保険法改正により、2018年4月から、創設されました。
障害福祉サービス事業所等であれば、介護保険事業所の指定も受けやすくする特例で、逆の場合も同じです。
対象は、ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイ等。65歳以上になっても、使い慣れた事業所で、サービスを利用しやすくなりました。
また、65歳まで長期間、障害福祉サービスを利用してきた、低所得の高齢障害者には、介護保険サービスの利用者負担を、障害福祉制度により軽減、償還できる仕組みがあります。
まとめです。
体系は、自立支援給付6本柱と、地域生活支援事業。実施主体は、原則市町村。
申請は市町村へ。区分は、1から6と、非該当。訓練等給付に、区分認定なし。
介護保険が、原則優先。でも、固有サービス、限度額超え、非該当などでは、障害福祉サービスが使えます。
お疲れさまでした。問題演習で知識を固めましょう。第71講、終了です。
この講の一問一答(◯×12問・五肢複択2問)
すべてオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。答えは「答えと解説」を開くと出ます。全82講ぶんをまとめて解く →
障害者総合支援法は、障害者自立支援法が2012(平成24)年に名称を含めて改正されたものである。
答えと解説
◯ 正しい。国連の「障害者の権利に関する条約」批准に向けた国内法整備の一環。2013年4月と2014年4月の2段階で施行された。
障害者総合支援法の対象に、難病患者等は含まれない。
答えと解説
✕ 誤り。障害種別を区分せず、身体・知的・精神障害者と難病患者等を対象とする。
2012(平成24)年の改正によって、共同生活介護(ケアホーム)と共同生活援助(グループホーム)は、共同生活援助に一元化された。
答えと解説
◯ 正しい(第18回-問60)。あわせて障害程度区分は障害支援区分に改正された。
自立支援医療費の支給は、自立支援給付の一つである。
答えと解説
◯ 正しい(第22回再-問58)。自立支援給付は介護給付・訓練等給付・自立支援医療・補装具・地域相談支援・計画相談支援からなる。
介護給付と訓練等給付をあわせて、地域生活支援事業とよぶ。
答えと解説
✕ 誤り。介護給付と訓練等給付をあわせて障害福祉サービスとよぶ。地域生活支援事業は自立支援給付とは別の柱。
自立支援医療には、障害者を対象とする更生医療、障害児を対象とする育成医療、精神障害者を対象とする精神通院医療がある。
答えと解説
◯ 正しい。心身の障害を除去・軽減するための公費負担医療である。
障害福祉サービスの利用を希望する障害者は、都道府県に対して支給申請を行う。
答えと解説
✕ 誤り(第25回-問60)。支給申請は市町村に対して行う。
障害支援区分の二次判定は、市町村審査会が、一次判定の結果や医師の意見書などに基づいて行う。
答えと解説
◯ 正しい。一次判定はコンピュータで行い、結果を受けて市町村が障害支援区分1〜6・非該当のいずれかを認定し通知する。
訓練等給付の利用にあたっても、障害支援区分の認定を受けなければならない。
答えと解説
✕ 誤り。訓練等給付の場合、障害支援区分の認定は行われない。
利用者負担は原則として応能負担であり、所得に応じた1月あたりの負担上限額が設定されている。
答えと解説
◯ 正しい。介護保険の応益負担(原則1割)との違いに注意。世帯合算が基準を超えると高額障害福祉サービス等給付費が支給される。
障害者が介護保険の被保険者となる場合、原則として障害福祉サービスが介護保険サービスに優先する。
答えと解説
✕ 誤り。原則として介護保険サービスが優先される。ただし相当するサービスがない場合などは障害福祉サービスが利用できる。
同行援護など介護保険に相当するサービスがない障害福祉サービス固有のサービスは、65歳以上になっても利用できる。
答えと解説
◯ 正しい(第18回-問60の論点)。「65歳以上になると障害福祉サービスは一切利用できない」は×。
五肢複択
障害者総合支援法のサービス体系について正しいものはどれか。2つ選べ。
- 自立支援給付は、介護給付、訓練等給付、自立支援医療、補装具、地域相談支援、計画相談支援からなる。
- サービスの実施主体は、自立支援医療の一部を除き、原則として市町村である。
- 地域生活支援事業の中心的な担い手は、都道府県である。
- 共同生活援助(グループホーム)は、介護給付に位置づけられる。
- 自立支援給付に要する費用は、利用者負担分を除き、全額国庫負担である。
答えと解説
正解:1・2
1 正しい。自立支援給付は6本柱で構成される。
2 正しい。介護保険と同様、身近な市町村が実施主体。
3 誤り。中心的な担い手は市町村。都道府県は専門性の高い相談支援・意思疎通支援や広域的な支援を行う。
4 誤り。共同生活援助は訓練等給付。介護給付には居宅介護・短期入所・同行援護などがある。
5 誤り。公費のうち国50%、都道府県・市町村が各25%を負担する。
障害福祉サービスと介護保険サービスの関係について正しいものはどれか。2つ選べ。
- 障害者が介護保険の被保険者となる場合、原則として介護保険サービスが優先される。
- 介護保険の支給限度額を超え、介護保険のみではサービスが確保できない場合は、障害福祉サービスが利用できる。
- 障害者が65歳以上になった場合には、それ以後、障害福祉サービスは一切利用できない。
- 共生型サービスの対象は、訪問看護、訪問リハビリテーション等である。
- 要介護認定で非該当となった利用者は、障害福祉サービスも利用できない。
答えと解説
正解:1・2
1 正しい。介護保険優先原則。
2 正しい。限度額を超えて確保できない場合は障害福祉サービスが利用できる。
3 誤り(第18回-問60)。同行援護など固有のサービスや、介護保険でカバーしきれない分は利用できる。
4 誤り。共生型サービスの対象はホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイ等。
5 誤り。障害福祉サービスによる支援が必要と市町村が認める場合は利用できる。